もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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小型犬のしつけは意外と大変なもの

 

 

 

 

 

「・・・・・・つまり、ここの『私』の心情はね・・・・・・」

 

 

「はぁ」

 

 

 

今日の四限は現国だ

 

 

女性用の紺色のスーツを着たセミロングの先生は優しくて生徒から評判の良い先生。だけど俺はまた先生の授業を聞かず、先程の上原さんとのやり取りを思い出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

【ねぇ!いつから?いつからつぐのことが好きだったの?!】

 

 

【違うから!そんなんじゃないから!】

 

 

【つぐの一体どんなところが好きなの?!ねぇねぇ教えてよ〜!】

 

 

【だから本当に違うんだ!お願いなんで話を聞いて!】

 

 

【そうだよねぇつぐ可愛いもんねぇ!真面目で静かで努力家で!ああ!つぐはあたし達を置いて先に大人になるんだねぇ】

 

 

【上原さん!話聞いて!ちょっともしもし!もしもーし!!・・・・】

 

 

 

 

上原さんはその後も俺の話をろくに聞かず自分の世界に没頭していた

 

 

 

 

「はあぁ」

 

 

 

()()隣からため息が聞こえる

 

 

羽沢さんだ、いつもは授業中ため息なんてつかないで集中しているのに珍しい

 

 

 

コツン!

 

 

 

と羽沢さんのことを横目で見ていたら俺の側頭部に折りたたまれた小さいメモ用紙が飛んできた

 

 

何だか文字が書いてあったので紙を切れないように気をつけながら元に戻すそうすると、

 

 

 

《今日のお昼一緒に学食に行こうね!もちろんつぐもいっしょだよ♪

 

P.S授業は集中しなよ!嫌われちゃうからね☆》

 

 

 

クシャっ!!

 

 

 

読んだ瞬間に手に力がこもった俺はきっと悪くない

 

 

 

誰だ?なんて考えるまでもない上原さんだろう

 

 

 

どうやら本当に俺が羽沢さんのことを好きになったと勘違いしているらしい

 

 

 

はぁどうやって勘違いをとけばいいんだろう?

 

 

 

 

そんなこんなで現国の授業が終わった

 

 

 

授業終了のチャイムが絶望の音に聞こえる

 

 

 

上原さんには悪いが俺は別のところで食べよう、そうだな屋上とか行ってみるか

 

 

 

「つーぐー!!お昼たーべーよ!!」

 

 

「うん!一緒に食べよっかひまりちゃん!」

 

 

 

上原さん!行動早すぎ!

 

 

 

急いで立ち上がって行かないと!

 

 

 

「っあ!ホクサイくん!一緒に食べようって言ったじゃん!どこ行くの?!」

 

 

「え?そうなのひまりちゃん?」

 

 

 

不味い!捕まった!ど、ど、どうする?俺には何ができる??!

 

 

 

 

「ホォォクゥゥサァァイィィ!!!飯食おうぜぇ!!」

 

 

 

 

おお神よ!!

 

 

 

間違えたハジメありがとう!どうか俺をこの魔窟(まくつ)から救ってくれ!

 

 

 

初めてお前がいてくれて良かったと思ったぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!ハジメくんも一緒に学食行こ!」

 

 

 

「おお!いいぜ!」

 

 

 

 

 

こんのクソッタレがああぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽丘学園の食堂ではいつものように賑やかな生徒がいてみんなが楽しそうに食事をして、会話を弾ませていた

 

 

 

そんな中・・・・・・

 

 

 

 

 

俺達は今四人がけのテーブルにいる

 

 

俺の隣はハジメ、目の前にいるのが羽沢さん、羽沢さんの隣が上原さんだ

 

 

ハジメはさっき注文したカレーライスがいつ出来るのか楽しみにしていて、羽沢さんは上原さんに話しかけていた、俺は・・・・・・

 

 

 

「カレーはまだかなぁ?ここのカレー上手いんだよ!な!ホクサイ!」

 

 

 

「ひまりちゃん、どうして今日はこの四人なの?みんなは?」

 

 

 

「ええ?まぁ〜その〜そ、そう!たまたま今日はこの四人で食べたい気分だったの!」

 

 

 

「そうなんだ!・・・・・・それで、ホクサイくんはどうしたの?その、悲しそうな顔をしてるけど」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・聞かないでくれ」

 

 

 

俺は弁当も広げずに『どうやったら過去に帰れるか』という現実逃避に没頭していた

 

 

 

「まぁまぁつぐ、きっとホクサイくんは緊張してるんだよ!ね!」

 

 

 

上原さんは可愛くウインクしてこっちに話しかけてきた

 

 

 

 

ヤバい、家族以外の女の人を殴りたいと思ったのはこれが初めてだ

 

 

 

日菜先輩にだってこんなことに思ったことないのに

 

 

 

「「はあぁ」」

 

 

 

ため息が重なる

 

 

 

ひとつは俺だがもうひとつは・・・・・・

 

 

 

「つぐ大丈夫?今日は何だか疲れてるの?最近はいっつも練習頑張ってるからそれで」

 

 

「ええ?そんなことないよ!ひまりちゃん大丈夫!私は元気だよ!」

 

 

羽沢さんだ

 

 

さっきの現国の授業だけでも二回はため息を着いていた言われてみればいつもより元気がない気がする

 

 

 

少し心配だ

 

 

 

「なぁなぁ!『練習』ってなんの練習なんだ?羽沢さんも何かスポーツやってるの?」

 

 

「え?ううん違くて、その私たちは・・・」

 

 

「あたし達!バンド組んでるの!」

 

 

「バンド?!へぇぇ!凄いじゃん!」

 

 

「えへへーでしょ!あたしがベースでつぐがキーボードこの前一緒にお昼食べたモカと巴もメンバーなんだー!」

 

 

 

 

少し意外だ、羽沢さんがもし趣味があるならもっと大人しめのものかと思っていたから(読書とか?)

 

 

 

「あたし達今度ね『ガルジャム』って言う大きいライブに出るんだ!」

 

 

 

「そう、だから私達は毎日練習頑張ってるんだ!」

 

 

 

 

そうなのか、まあ頑張ってください

 

 

 

 

いや、俺に言われるでもなく、羽沢さんはきっと頑張るだろう

 

 

 

 

まあ現実逃避はこれぐらいにして弁当食べるか

 

 

あ、豚のしょうが焼きだ。美味そう

 

 

 

「11番のお客様〜!!」

 

 

「あ!カレー出来たみたいだ!取ってくるから先に食べててくれ!」

 

 

ハジメはそのまま番号札を持ってカレーを取りに行った。つかあいつはもう弁当を食べたのか?

 

 

「あ!あたしも少しお手洗いに〜」

 

 

上原さんはそう言って席を立ってそそくさと行ってしまった

 

 

 

テーブルには俺と羽沢さんの二人きりだ

 

 

 

 

上原さんはきっと今頃『あたしいい事してる!』的なことを考えているだろう

 

 

 

ヤバい!凄く胃がキリキリいって飯を食べる気分にはなれない!なんなのこの状況!なんだか知らないけど緊張してきた!なんでだ!あのポメラニアンめぇ!!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ホクサイくん」

 

 

羽沢さんが俺の名前を呼んできた

 

 

 

「な、な、何?」

 

 

 

「昨日の事なんだけど・・・・・・」

 

 

 

ま、ま、ま、不味い!!!昨日の事ってあのことだよな!ヤバいヤバいヤバい!どうする!このまま進めて傷を作るか!会話を取り止めて羽沢さんに嫌われてしまうか!どっちがマシだ??!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どっちもマシじゃねぇよ!どっちも絶望的にダメじゃねえか!!

 

 

羽沢さんはゆっくりと口を開いていく!来る!鋭い口撃が来る!!

 

 

 

 

 

 

 

「昨日は本当にごめんなさいそして本当にありがとうございました!!」

 

 

 

羽沢さんは座ったまま頭を下げてこういった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

 

 

 

俺は今なんて言われた?「アリガトウゴザイマシタ」?

 

 

ん?どんな意味だったけ?どんな罵声だっけ?ん?

 

 

 

「・・・・・・・・・えっと?・・・・・・」

 

 

 

「昨日のとても迷惑をかけたし、それに凄く失礼な質問をしたから。だから今日はずっとお礼が言いたかったの!」

 

 

 

ん?

 

 

 

待て待て、頭が追いついてない。

 

 

とりあえず罵声じゃないな、それは間違いない

 

 

 

それでえっとお礼?なんの事だ?それに失礼な質問って一体?・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!日菜先輩のことか!」

 

 

 

「そ、そう!そのこと」

 

 

 

なるほどやっと話が繋がった

 

 

 

「ずっと気にしてたの?」

 

 

 

「う、うん」

 

 

 

うつむきながら羽沢さんはそう言った

 

 

 

「大丈夫だよ、別に気にしてないそれに迷惑をかけたって言うなら俺の方が先に羽沢さんに迷惑をかけてるだろならこれでチャラってことにしない?」

 

 

 

「いいの?本当に?」

 

 

 

「ああ、だから気にしてないって」

 

 

「そっかぁー良かったぁー」

 

 

本当だ気にしてない。()()()の質問は慣れている

 

 

 

 

そのあとはハジメと上原さんが戻ってきて二人きりは終わり、少し落ち着いた俺はゆっくりと昼飯を食べたのだった(しょうが焼きは美味かった)

 

 

 

 

食堂を出た後ポメラニアンに質問攻めにされたのはまた別の話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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