羽沢さんと一緒に救急車で近くの総合病院に着いた俺達は受付の前のベンチに座って医師の先生が来るのを待っていた
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
三人とも誰も喋らない。うつむいて黙ったまま先生を待った
ガラっ
扉が開く音がする
「・・・っ!」
「・・・つぐ」
「先生!つぐは!」
宇田川さんが立ち上がって白衣を着た人に声を掛ける
「大丈夫ですよ、恐らく過労からくる発熱ですね。念の為二、三日様子は見ますが大したことはないと思われます」
「「「・・・・・・・・・はああああ」」」
三人同時に口からため息が漏れる
過労からの発熱かぁ〜良かったあぁ〜
「あ、ありがとうございました」
「はい、それでは私はこれで」
先生はそのまま病院の奥に歩いていった
俺は椅子の背もたれに上体を乗りかける、力が抜ける
「あぁぁ良かったあぁ」
「つぐが倒れた時はどうなるかと思ったけどほんとに大したことなくて良かったよ」
俺と宇田川さんは顔を見合わせて頷いた
「・・・・・・うん」
けど上原さんはまだうつむいたままだ、どうかしたのか?
「ひまり?」
「あたし、つぐが倒れた時頭が真っ白になっちゃって・・・・・・ホクサイくんに声かけられてやっとハッとしたの。・・・・・・ダメだねしっかりしなきゃ。つぐ最近見るからに疲れてたしもっとしっかり休むように言えばよかった・・・」
「・・・・・・上原さん」
ど、ど、どうする?上原さんが落ち込んでいる!ここは何とか元気出してほしい!えっとえっと!どうすればいいんだ?何をどうしてどうすれば!あああわからん!なんて声をかけるのが正解なんだぁぁ!!誰か教えてくれぇぇぇ!!
「あたしはあの時ひまりが隣にいてくれて良かったと思ってるよ」
う、宇田川さん?
「一人じゃ不安でなにも出来なかったと思う、けどひまりとホクサイがいたからああやって対処出来たんだ」
宇田川さん!すげぇー!!
「ひまりはよーく、知ってると思うけど。あたしだってそんなに強くないんだぜ。だからひまりだけ自分を責めないでくれ。・・・・・・ほら!笑顔笑顔!」
宇田川さんはそう言って上原さんのほっぺをつまんでいきなり伸ばし始めた
「ひゃ、ひゃう〜〜巴ぇぇ〜〜ほっぺひっぱるのやめてぇぇ〜〜〜」
うわ、可愛い!俺もやっていいですか?ダメですね!事案ですネ!!
「あはは、悪い悪い。でもひまりには落ち込んだ顔して欲しくないんだよ」
「怒った顔はいいわけ〜〜!!」
「怒った顔はまあ面白いしいいかなって」
「も〜〜〜〜巴ぇぇ〜〜!!」
うわっ!誰だよ!このイケメン!ハジメなんかよりも全然カッコイイは!もし俺と宇田川さんの性別が逆だったら間違いなく惚れてたね!惚れて告ってフラれてたね!フラれちゃうのかよ!
「ホクサイもありがとな!」
「はっ?!俺?」
「おう!あの時救急車!ってあたしに言ってくれたろ。あれだけ冷静に指示を出せるなんて凄いよ」
「そうだよ!ホクサイくん!凄いかっこよかったよ!」
「い、いや!あれは映画の真似しただけだから!そんなにたいしたことじゃないよ」
「そんな謙遜すんなよ!あたし達は本当にスゲェって思ってるんだからさ」
「そうそう!!」
何だか背中が痒くなる!やめて!やめて!そんなに尊敬の眼差しでこっちを見るのをやめて!恥ずかしいから!!背中から変な汗出るから!!
「巴ちゃん!!ひまりちゃん!!」
病院の入口から大学生ぐらいの女性が走って入ってきた、二人の知り合いか?
「あっ!つぐのお母さんだぁー!」
「こっちです、すいませんお店もあったのに」
「いいのよ、それでつぐみは?どうなったの?」
「先生は過労から来る発熱って言ってました。念の為二、三日様子を見るって」
「はぁぁぁそうなの・・・・・・良かったわぁぁ」
羽沢さんのお母さんは力が抜けたようですぐ近くの椅子に、つまり俺の隣に座ってきた
・・・・・・って!!っはあぁ!!若すぎだろ!!本当に『お母さん』!!?う、嘘だろ!一体いくつなんだこの人!『お姉さん』の間違いだろ!!
「あら?君は?羽丘の制服を来てるけど」
まぁそりゃ声を掛けてきますよね、
「えっと俺は北「ホクサイくんだよ!つぐのお母さん!」
・・・・・・・・・・・・もう慣れたからツッコミを入れないからな!!
「ホクサイくん?」
「あ、いえ。ホクサイって言うのは俺のあだ名で本名は」
「ああ!ホクサイくんね!!」
お願いなんで自己紹介くらいはしっかりさせてくれません?!別に俺の名前ホクサイじゃあないんですけど!!
「つぐみから話は聞いています。毎日勉強してる凄い人なんでしょう?でもあなたはどうしてここに?」
「ホクサイが救急車を呼ぶようにあたしに言ったんだ。それに校門までつぐを運んでくれたんだぜ」
宇田川さんが話を続ける、羽沢さんのお母さんは驚きの表情を浮かべて
「・・・・・・そうなの?」
「ああいや、そうですけど俺がしたことはそんなに大したことではないので・・・」
ガシッ!!
羽沢さんのお母さんが俺の手を両手でしっかりと掴んだ。な、何?!何?怖い怖い!!
「ありがとうございます!つぐみを助けてくれて本当にありがとう!!」
随分、感極まった感じで少し涙声だ
「い、いえ本当に大したことは・・・」
「いいのよ!それでも本当にありがとうございます」
「は、はあ」
驚きのあまりなにも言えなかった
その時、看護師の方がこっちに来て
「えっと、羽沢さん、羽沢つぐみさんの関係者ですか?先生がお呼びしていますのでこちらにお願いします」
「ええ、分かりましたすぐに向かいます。それじゃあホクサイくん本当にありがとう、今度ゆっくりお礼がしたいわ」
そのまま羽沢さんのお母さんは看護師さんのあとを歩いていった
呆然とする俺の肩をポンッと宇田川さんが叩いた
「っな?お前のしたことは当事者にしてみれば大したことだったんだよ。お前はつぐを助けたんだ」
宇田川さんはそう俺に声をかける、上原さんもうんうんと頷いて強い肯定の意を示した
そうなのか、なら少しほんの少しだけ自分の