ガルジャムが終わった後のとある休日の朝
俺が冷蔵庫から何か適当なものを探している時にうちのオカンが
「ねえ
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」
一瞬なんの冗談かと思ったがオカンはそう言ってキャリーバッグに荷物を詰め込んで颯爽と家を出ていった
ガッチャン、扉の閉まる音がする
「・・・・・・は?・・・・・・えっ!もう行くの?!飯は?洗濯は?その他家事は?」
ピロリン!
俺が困惑していると携帯から電子音が鳴る、メールが来た
『キッチンの戸棚にお金をしまってある。何か困ったら氷川さんを頼りなさい』
「マジかよ」
というわけで俺の一人暮らし(仮)が本当に唐突にスタートした
さて、どうしたものか
キッチンに置いてあったお金の金額は一週間を過ごすには十分なものだったから食事なんかの問題はない
けどそれ以外の掃除や洗濯は全くと言っていいほど経験がない
う〜んどうしたもんか?困ったら氷川家を頼れと言われたが高校生にもなってお隣さんを頼るのもなんだか恥ずかしいし
まあ、オヤジが急にわけの分からないことを言って俺たちを引っ掻き回すのはよくあったことだしなんとかなるだろ
まあ、一人暮らし(仮)でちょっとテンション上がるな
ピーンポーン!!
ん?
誰か来たな、誰だろう?何か郵便か?新聞屋かな?
少し考えながら玄関の扉を開けるとそこには
ガチャ
「やっほー!ホクサイ!手伝いに来たよ!」
薄青の色の髪をショートカットにした、小さい花の刺繍の服に黒いミニスカを合わせた美少女
ガッチャン!!!ガチャ
扉が悲鳴をあげるのではと思うくらい勢いよく閉めた。ついでに鍵もかけた
な、な、な、なんで
「ちょっと!開けてよ!ホクサイ!ねえ!」
ま、不味い!何が不味いか具体的には分からないけどとにかくヤバい事が起こる予感がある!
つかあの人今なんてった?“手伝いに来た”とか言ってたな、ダメだダメだ!あの人をこの家に入れちゃいけない!あの人が手伝ったら最悪この家が丸ごと吹っ飛ぶ可能性すらあるぞ!
ガチャガチャガチャ!
我が家の扉が「入れてなるものか!」とあの天災を食い止めている
ガチャガチャガチャガチャ!
「ホクサイ!鍵を開けてよ!変な事は何もしないってば!本当に手伝いに来ただけなの!ねえ!開けてよ!」
何やら扉の向こう側で伝えているがそんなものは関係ない!あの人の行動は読めないからな!
つか今まで変なことしてた自覚はあったんだ
ガンガンガン!!
コラコラ扉を蹴るな
「もういいよ!ホクサイのバカ!もう帰る!」
はあぁぁぁぁぁ
よし勝った!天災は去った!我が家に平和が訪れた!我慢して待って良かった!ハッハッハ!今回は俺の勝ちだな!やったぜぇぇええ!!!
カチャン
えええ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぇえっ!
「おじゃましまーーす!!」
「はあああ!!帰ったじゃないの?!てかどうやって入った?!魔法でも使ったのか!」
鍵はしてたよな!どうやって?
「どうやってって?合鍵で」
「その合鍵はどこで手に入れた?!」
「あははははっ!それはまあいいとして!」
「笑って誤魔化すな!良くねぇよ!一番良くねぇよ!どこで手に入れた!もしかして作ったのか?!」
「ホクサイ!手伝いに来たよ!」
おう、来るなよ
俺の唐突な一人暮らし(仮)はここに唐突に崩れ去った
「で?」
「で?って何が?」
「だからどうやって家に入った、まずなんでウチのオカンが海外に行くなんてどうやって知ったんだ?」
「昨日、ホクサイのお母さんに聞いたんだよ」
「なんで?普通まず実の息子に伝えるだろ!なんでお隣さんに先に伝えるんだよ!つか昨日?!俺いまさっき聞いたんだけど!!」
「さあ?あ、鍵はその時預かったんだ!」
「・・・・はぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・ソウスカ」
オカンの頭は大丈夫なのだろうか?本気で心配になるわ
ぐうぅぅ
空腹のためかお腹が自己主張してきた
俺じゃなくて俺の目の前の
おいおいそんなに顔を赤くするなら飯を食べてこいよ
「・・・・・・・・・えっと・・・急いで来たから・・・朝ごはん食べられなくて・・・・・・」
急いでうちに来る意味がわからん、隣だろ
少し早いけど昼飯を食べてもいい時間帯だ
「どっか食べに行きます?」
「うん!!行こ!ホクサイ!!」
そんなに嬉しそうな顔すんなよ
次から断りずらくなるから
俺達はウチから少し歩いた所にあるファミレス(サ○ゼ)に来ていた
「ホクサイ!何食べる?」
「ドリア」
「またぁ?たまには別のものにしたら?う〜んあ!このハンバーグ美味しそう!」
あんたも似たようなものしか食わないじゃん前来た時はその隣のステーキ食ってたぞ
店員にドリンクバーとさっきの注文して飲み物を取りに行ってきた
俺はアイスコーヒー日菜先輩はまたよく分からないドリンクを開発してした
まあそれが毎回めちゃくちゃ美味いんだよな商品にしたらいいのにってぐらい、さすが天才
「あれ?ホクサイはコーヒー飲むの?」
「え?まあ最近飲み始めたんですよ」
「ふーんそう、ねえ!ホクサイ!」
「なんすか?」
「今日の私、何か気づかない!」
「はあぁ?」
何か気づかないってなんだ?何か変わったのか?全く分からない・・・・・・・・・
あ!なるほど!
「それぐらい分かりますよ」
「ほんと!」
「ええ、髪切ったんですよね」
「切ってない!」
「え?じゃあ髪留め変えました?」
「変えてない!」
ええ!自信あったのに
「むー!わかんないならもういい!」
自分から聞いといて勝手に怒るなよ本当に気分屋だな。でもこのまま不機嫌が続くとそれはそれでコッチに八つ当たりが来るからな何とかして当てないと
「んーと、・・・・・・」
「だから分からないならいいって!」
まあ分からないんだよなこの人の考えてることなんて一度も、全く、これっぽっちも理解出来たことが無い
なんてたって俺は天才じゃない
自分に才能を感じた瞬間がないから
それでもまあ考えるんだけどな
「・・・・・・・・・ぁ!服?」
「え?」
「もしかしてそれこの前買った服?」
“それ”と俺が指刺したのは小さい花の刺繍が入った長袖の服
日菜先輩はポカンとした顔をしてそれから心の底から嬉しそうに、
「うふふふふ!わかってたなら最初から言ってよ!!!」
ニヤニヤ笑いながらそう言ってストローをくわえて新作ジュースを飲んだ
「失礼します!こちらドリアとハンバーグです!ごゆっくりどうぞ!」
先程の店員が商品を運んで来た
「わあぁ!美味しそうだよ!ホクサイ!」
いただきまーす!と両手を合わせて挨拶をすると大口開けてハンバーグを食べだした
「美味しいぃ!!!」
さっきとは違って口にソースを付けながらもご満悦である
やっぱり