もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

25 / 39










ホラー映画は苦手、どうして見てしまうから

 

 

 

 

 

 

ガチャア

 

 

 

 

扉を開けて外に出てみると真っ赤な夕日が目に入ってきて眩しい

 

 

 

「あ!つぐとホクサイくん!」

 

 

 

玄関の前には上原さんが携帯を操作しながら俺たちを待っていた

 

 

 

「待たせてゴメンねひまりちゃん」

 

 

 

「ううん、大丈夫だよ。でもどうしてホクサイくんも?」

 

 

 

「うん、ホクサイくんご両親が旅行中だからうちの店でご飯食べたらと思って」

 

 

 

あ!そっか羽沢さんの家って珈琲店だ

 

 

 

なんか勝手に想像していた俺が恥ずかしい

 

 

 

「なるほどね〜流石、つぐってるね!」

 

 

 

「え?え?そ、そうかな?つぐってるかな?」

 

 

 

『つぐってる』とはなんぞや?初めて聞いた言葉だ

 

 

女子高生はよく分からない造語で喋るらしいしそれかな?何かの省略かもしれない

 

 

 

「ひまりちゃんもウチの店で食べる?」

 

 

 

「あぁー嬉しいんだけどアタシお母さんに買い物頼まれちゃって〜今回はやめとくね」

 

 

 

「え!あ、そ、そっかおつかいならしょうがないね」

 

 

 

羽沢さんは少し驚きの声を上げる

 

 

 

そうこうしているうちに上原さんは軽く駆け足になりながら「じゃーねー!」と走って行ってしまった

 

 

 

 

 

 

我が家の前で二人きりになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤバい

 

 

 

 

一回意識したら止まらない

 

 

 

 

 

 

 

あの時を思い出す

 

 

 

 

あの最悪の春の日を

 

 

 

 

氷川紗夜にフラれたあの日を思い出す

 

 

 

 

ドッドッドッ!!と鼓動が不自然に早くなって呼吸がやりずらくなる、苦しい思いが込み上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ホクサイくん?」

 

 

 

「え?あ!ああ大丈夫」

 

 

 

危なかった!一瞬目の前が真っ白になったわ

 

 

 

「それじゃあ行こうか!」

 

 

 

「ああ、うん」

 

 

 

やっぱり天使(つぐみえる)は俺の心を癒すね、天然悪魔なんかじゃなかった

 

 

 

 

確信したぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方の商店街は俺に盛大な賑わいを見せてきた

 

 

 

「あ!奥さん!今日は夕食はハンバーグにしない?!今日はひき肉が安いよ!」「食パン焼きたてでーす!いかかですかぁ!」「けいちゃーんそろそろ帰るよー!」「はーい!」

 

 

 

 

 

う、うわぁ

 

 

 

圧倒される。前来た時はここまですごくなかったけど平日だとすげぇな

 

 

 

それに

 

 

 

「あ!つぐみちゃんおかえり!」「おかえりなさいつぐみちゃん」「今日もべっぴんさんだね!つぐみちゃん!」

 

 

 

「あはは、ただいまです」

 

 

 

羽沢さんの人気が凄い!

 

 

 

道行く人全員に声をかけられては挨拶を交わしている

 

 

 

もしかしたら俺が今日挨拶した人よりも羽沢さんが今ここで挨拶した人の方が多いかもしれない

 

 

 

うん、やめよう!こういうネガティブ思考は良くないものを呼んでくるからな!

 

 

 

そう例えばお化けとか!(俺は霊感とかないけど)

 

 

 

 

「どうかしたホクサイくん?」

 

 

 

「いや、なんでもない。少し圧倒されただけ」

 

 

 

「やっぱり初めて見た人はだいたいそんな感じになるみたい。私はもう慣れちゃったけど」

 

 

 

「うん、確かに驚いたけどでも・・・なんかいいな」

 

 

 

言葉に出来ないし、何となくだけど、居心地良い場所だ

 

 

 

「そう?なんか、私の事じゃないけど嬉しいな!」

 

 

 

この人は本当に嬉しそうに笑う人だな

 

 

 

素直で、優しいくて、正しい人だ

 

 

 

 

 

 

やっぱり紗夜さんとは違うな

 

 

 

あの人は

 

 

 

努力家で、真面目で、人にも自分にも厳しい人だ

 

 

 

 

 

あぁあぁあぁー女々しいな俺は

 

 

 

まだ未練たらしく紗夜さんを見ているな、もう辞めた方がいいよな

 

 

 

自分にも紗夜さんにも

 

 

 

 

 

 

「ホクサイくん大丈夫?今日はなんだがずっとぼーっとしているね。もう家に着いたよ」

 

 

 

羽沢さんが俯いて下を向いている俺の顔を覗き込んで見てきた

 

 

 

その声を聞いて顔を元に戻す。すると看板には『羽沢珈琲店』とデカデカと書かれていた

 

 

 

「ご、ごめん。大丈夫ありがとう羽沢さん。これで来るのは二度目だな」

 

 

 

ここも雰囲気とか、かかってる音楽とかがすごく好みでずっといてしまいたいと思うぐらいのお店だ

 

 

 

ハッキリ言って最高の憩いの場だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ウキウキしながら扉を開ける

 

 

 

 

 

するとそこには!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「店員さーん!注文いいですかー?!」

 

 

 

「あまり大きい声を出してはダメよ日菜、周りの人の迷惑になるわ」

 

 

 

「あ、ゴメンねお姉ちゃん 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バタン!

 

 

 

 

そして扉を閉める

 

 

 

 

 

 

 

はぁぁぁぁぁぁ

 

 

 

 

 

 

ああああーこれはダメだわ〜立ち直れないわ〜せっかくの癒しの空間になるはずの場所にトラウマの原因と黒歴史の原因がいるなんていくらなんでも立ち直れないわ〜

 

 

 

「ホクサイくん?入らないの?」

 

 

 

羽沢さんが不思議がって俺に質問してくる

 

 

 

ごめん羽沢さんちょっと待って

 

 

 

 

時間をくれ

 

 

 

 

どうやったらあの人たちにバレないで店内に入るか考えているから

 

 

 

 

 

 

ポクポクポクポクポクポクポクポクポクポクポク

 

 

 

 

 

チーン

 

 

 

 

 

 

 

 

うむ、無理だな

 

 

 

逃げよう

 

 

 

「羽沢さん、悪いんだけど俺ちょっと急用を思い出したよ。帰るね!」

 

 

 

「え?!ホクサイくん!!」

 

 

 

羽沢さんの声を振り切って俺はその場で回れ右して立ち去ろうとしたその時!

 

 

 

 

ガシ!!

 

 

 

 

あれれれ〜?おかしいぞ〜?どうして俺の右手がこんなに力強く握られて動けないようになっているんだぁ??

 

 

 

 

考えたくないなぁ〜後ろを振り向きたくないなぁ〜

 

 

 

よくあるよね〜ホラー映画ってさ、映画館では見ないけど地上波とかに少し興味本位で見ちゃって後悔しちゃうパターン

 

 

 

 

嫌なら見なきゃいいのについつい見ちゃう

 

 

 

 

 

そう()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホォォクゥゥサァァイィィ〜」

 

 

 

 

 

お化け(氷川日菜)が恐ろしいほど美しい笑顔で扉を開けてその両手で俺の右手をガッシリと握っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあああああああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直に言うなら本気でチビりそうになりました

 

 

 

 

 

 

 











  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。