かっえりた〜い♪かっえりた〜い♪
こんなに我が家が恋しくなったのは生まれて初めてだ
「まさかホクサイとつぐみちゃんが同じクラスだったなんて意外だったなぁ教えてくれれば良かったのに!」
「ゴメンネ」
「
「ダイジョウブデス」
いやいや全然大丈夫なんかじゃない、むしろ風邪をひくよりも悪いことが起きてる
俺達は今、木製で正方形のテーブルについている。元々二人がけのものに椅子を無理矢理追加した感じだ
羽沢さんはキッチンに向かって行き、俺は美人の双子に挟まれる
「ホクサイ大丈夫?元気ない?」
日菜先輩に話しかけられるのは問題はないんだ、部室でいつも喋るから慣れているけど
「あまり慣れない生活で体調を崩したのかしら?心配ね」
紗夜さんはまずい!緊張して思考が定まらないだよ!さっき「もう意識するのはやめよ」って考えたばかりなのに意味ねぇじゃねえか!!無理だよ!すぐ側にいんだもん!考えるなってのがそもそも不可能!うわあヤバい綺麗!美人!その髪型も似合ってるし、まつ毛も長いし、落ち着きのあるその雰囲気!あんたは女神か!!
ああああぁぁぁ!!!!羽沢さぁぁぁん早く戻って来てええ!俺を救ってえぇ!助けてぇーつぐえもーん!!
「斎くん」
「は、はい!なんでせうか!」
「ん?・・・・・・『せうか』?」
紗夜さんの頭にはてなマークが浮かんだ(ように見える)
おいおい俺よ、何度目だこの言い間違いは
これで二回目か、うん、でもさ
恥ずかしいぃぃぃい!!!やべええええええ!!!埋まりたいいいい!!!消え去りたいいい!!
「あははは!ホクサイ『せうか』ってなにぃ?!あはははは!」
この人はいつか絶対に泣かしたる!
「さっきも言ったけど日菜、あまりうるさくしないで。迷惑よ」
「むー、ごめんなさ〜い」
相変わらず日菜先輩は紗夜さんの言うことだけは素直に聞くよな
「それで斎くん、高校生活はどうですか?」
なんか先生との二者面談みたいだ
「・・・・・・うん、楽しいです。慣れないことも沢山あるけど」
「それはよかった。日菜と同じ学校に行ったと聞いたので昔のように迷惑を掛けているのではと心配していたのです」
「いくら私でもそんなことしないよ〜お姉ちゃん」
確かにな、学校では迷惑掛けないよな!
「みなさんお待たせしました」
俺が注文したナポリタンスパゲティ、氷川姉妹にはお代わりのコーヒー、それから小さいサンドイッチとバスケットにフライドポテト
それらを器用に一枚のお盆に乗せて羽沢さんがこっちにやってきた
「ありがとう羽沢さん!」
「ええ?ど、どういたしまして?」
本当にありがとう!俺をこの地獄のような状況から救ってくれて!
「つぐみちゃ〜んありがとうね〜」
「は、はい。こちら注文の品です。えっと・・・」
羽沢さんがテーブルに料理を置きながら日菜先輩と紗夜さんの方を向いている。そっか・・・
「羽沢さん、こちら日菜先輩の双子の姉、氷川紗夜さん」
「こ、こんばんは!ホクサイくんと同じクラスの羽沢つぐみです!」
料理を置き終わった羽沢さんが礼儀正しくお辞儀をした
そして紗夜さんもガタッと立ち上がって頭を下げる
「こんばんは羽沢さん。私は氷川紗夜と言います、何度かライブハウスであったことがありますね。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
ああ、ライブハウスか!なるほどお互い同じような活動していたら会うこともあるのか
羽沢さんが恥ずかしそうにうつむきながら
「あ、あの!私もご一緒してもいいですか?母に聞いたらもう休んでいいと言われて!」
と言ってきた、もちろん!むしろ俺と羽沢さんの立場を取り替えたいぐらいだぜ!!
「いいよ!」
「私も構いません」
「俺も大丈夫」
「ありがとうございます」
羽沢さんは側にある空いている椅子を持ってきて俺の反対側に座る
羽沢さんは小さいサンドイッチを自身の前に置く、俺もフォークを持ってパスタをクルクルと巻いて口に運ぶ
お、美味い
「凄い偶然だよねホクサイ!またホクサイとご飯食べれて嬉しい!」
「え?
日菜先輩がとても嬉しそうに笑いながら俺に話しかけてきた
けどやめて欲しい、いや辞めてください!ずっと片思いしてきた相手がいる前でそんなこと言わないで!!空気が重たくなるんだよ!!
「楽しかったなぁ!またご飯一緒に行こうよ!」
しかし日菜先輩には俺の気持ちは届かずしゃべるのをやめない
それにしても紗夜さんは落ち着いてるわ〜コーヒー飲んでポテト食べてるわ〜(味が合うのか分からないけど)少しぐらい反応してくれないとショックだ、あれ?俺はこの人に告白したよね?夢だったのか?
「わ、私もホクサイくんと一緒にご飯食べたことあるよね!ね!」
すると羽沢さんも反応して俺に話しかけてくる
「え?ああ、そうだな」
教室と学食でな
「また一緒に食べようよ!ホクサイくんと一緒だとみんなも嬉しいと思うし!」
「お、おう」
あまりの迫力につい返事をしてしまった。なんか羽沢さんに必死さを感じる、怖いよ
それに俺は昼食はハジメと食べるからなぁ。きっとその『みんな』ってのはハジメを待っているんだろう
「むー!この前二人で!二人だけで!デパートで買い物も行ったことあるよね!ホクサイ!!」
日菜先輩もどうした?圧があるぞ!なに?怒っているの?
「それならホクサイくんは私が入院してる時お見舞いに来てくれたよね!!その時二人だけだったよね!!」
羽沢さんもどうした?何を張り合ってる?
日菜先輩と羽沢さんは顔を見合わせて周りの人に強烈なプレッシャーをかける
紗夜さんはクールだなぁそんなプレッシャーものともしない。そのコーヒーを飲む仕草がテレビCMみたいだ。是非ともカメラに収めたい
なんか自分が変態みたいだ
「むむー!!私はホクサイと一緒にお風呂入ったことあるもん!」
日菜先輩のその発言によってこのテーブルの時が止まった気がした
・・・・・・・・・・・・・・・え?日菜先輩何言ってんの?
「斎くん?」
初めて紗夜さんが会話に参加した、俺に非難の目線を向けて
「何言ってんだアンタ!紗夜さん違います!幼稚園児の時ですよ!知ってるでしょ!」
「あぁそうですよね。すみません少し驚いてしまって」
あああーびっくりした!良かった!紗夜さんの誤解は解けたみたいで
「わ、私だってホクサイくんに頭を撫でられたことあります!」
「羽沢さん?!!どうした!何言ってんだ!」
やめてやめて!紗夜さんがいる前でそんなこと言わないでくれぇ!
「斎くん!」
紗夜さんが驚きの声を上げる
「ち、違います!その時は羽沢さんが落ち込んでいたからで!慰めるつもりだったんです!」
「そ、そうなんですか。すみません斎くんのことを誤解しそうになりました」
ああ良かった!紗夜さんに女たらしのレッテルを貼られたら俺はもう生きていけないかもしれない
バン!!!
日菜先輩が机を叩いてそれから立ち上がる
「むむむー!私はついこの間ホクサイにお腹見られたんだよ!」
「おい!アンタ何口走ってんだああぁ!!」
こればっかりは口を出さずにはいられない
「斎くん?」
不味い!!紗夜さんの視線が氷点下を下回った!
「紗夜さん違いますよ!俺が風呂に入ろうとしたら日菜先輩が急に服を脱ぎ出したんです!断じて俺が脱がせたりしてません!!」
紗夜さんは未だにジーっと見つめる
そしたら
バン!!!
今度は羽沢さんが立ち上がって
「私だってホクサイくんには背中を見られました!!」
「羽沢さんまで何言ってんのぉぉ!!」
お腹に対抗して背中って何それ?意味不明なやり取りをくり広げないで!
「斎くん」
不味い!!紗夜さんの視線が絶対零度にさしかかった!目線だけで凍りつきそう!
「紗夜さん違います!見てないです!見えそうになりましたけど見てないんです!!」
いや、見たんですけどね、嘘でも見てないと言うべきだろう!俺の(社会的)命に関わる!
白熱した二人は周りを置いていって討論?のようなものを繰り返す
「こーら!つぐみもアナタもお店の中なんだから静かにしなさい。他のお客様の迷惑になるわ」
不毛すぎるやり取りを止めたのは意外にも羽沢さんのお母さんだった
ありがてええぇ!!
「「ご、ごめんなさい」」
二人は素直に謝って、会話もここで終了した
はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ良かったぁ嵐は去って行ったみたいだ
「ホクサイくんと隣にいる綺麗なお姉さん。うちの店そろそろ閉店時間なの」
羽沢さん(母)が俺と紗夜さんに声をかける
俺達は顔を見合わせて頷き、
「分かりました、お店で騒いですみませんでした」
「この度は申し訳ございませんでした」
二人で謝って、荷物を持って出ていこうとすると
ガシッ
と羽沢さんのお母さんが俺の肩を掴んでくる
なんだろう?すごく嫌な予感がする、ヤバい帰りたい!今すぐに立ち去りたい!
「いやーいいのよ〜ただちょっとそこにいる顔のそっくりな美人さんのお話を聞きたいからホクサイくんは残ってくれない?」
その質問は俺にとって死刑宣告だった。何としても回避したい!!
「・・・・・・・・・えぇ?いや〜それは」
「いいわよね?」
『はい』と言わなければ殺すと目で訴えてきた
「いいわよね」
今度は疑問系がなくなった
その目からは『次は無いぞ』と言っている
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
ホクサイはその後に考えるのをやめた