もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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ハジメての恋を略して初恋(後編)

羽丘学園、学食

 

 

 

 

昼休みである今、沢山の生徒や教師が集まり明るく楽しく談笑しながら昼食を取るこの場所に一際暗い二人組が一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というか俺たちだ

 

 

 

体に力が入らないで顔をうつ向けちゃう、今朝コンビニで買った昼飯を食べる気すら起きない

 

 

 

なんでか知らないけど俺もハジメがフラれたことがショックだ

 

 

 

まさかイケメンの体現者なコイツに限ってフラれるなんて思いもしなかったからかな?

 

 

 

まぁ確かに美竹さんの好みのタイプとか知らないし、知っている事と言えばツンデレってことだけだしなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁぁぁぁぁ」

 

 

 

 

 

 

目の前で顔を机に押し付けているゾンビ(ハージメ)がやっとの思いでため息だけを吐いたみたいだ

 

 

 

こればっかりは同情出来る、俺も入学式で似たような経験をしているからな

 

 

 

辛いよなぁその気持ちは凄く分かる、死にたくなるよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、そういえば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁハジメ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・なんだ?

 

 

 

めちゃくちゃ小声で聞こえずらいけど何とか聞こえた、いつものバカ騒ぎは出来ないみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハジメはどうして美竹さんなんだ?」

 

 

 

 

 

 

()()をまだ聞いていなかった

 

 

 

 

 

 

そもそもどうしてコイツは美竹さんが好きなんだ?

 

 

 

 

 

ハジメはさっきみたいにため息をつく訳でもなく、相変わらず死にそうな雰囲気の中

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・なぁホクサイ。お前は三日前に俺が校門で出待ちされてたの知ってるか?」

 

 

 

「いや、知らない。テスト期間は速攻で帰ってるから」

 

 

 

「ははは、確かにお前はいつもそうだったな。なんかウチの生徒だけじゃなくて他の女子高の人まで沢山いて驚いた」

 

 

 

何コイツ?自慢話しているの?テスト期間に何してんの?しかもいつの間に他校にファンを作ったの?その話長くなる?慰めるのやめようかな?

 

 

 

「それで校門から歩道まで人が溢れて周りの人に迷惑をかけててさ、なんとか帰って貰おうと思ったんだけど収拾がつかなくて困ってた」

 

 

 

「ふぅん、それで?」

 

 

 

「その時、美竹さんが『あんた達邪魔だよ、そこにいると他の人の迷惑になるじゃん』って言って来たんだよ」

 

 

 

うわ、言いそう!美竹さんならすげぇ言いそうだなぁ!

 

 

 

「その誰の前でも物怖じしない姿が凄くカッコよくてさ、思わず見とれた。それだけ」

 

 

 

 

本当にそれだけだと

 

 

 

 

ハジメはいつものように淀みなく冷静に恥ずかしい事を告げる

 

 

 

「・・・・・・・・・その後も美竹さんの事がずっと頭から離れなくて、この感情が『好き』って事を自覚してからどうすればいいのか分からなくて。でもどうにかして美竹さんと仲良くしたくてさ」

 

 

 

「それで告白しようとしたのか?」

 

 

 

「そうだ」

 

 

 

即答しやがった

 

 

 

ハジメは目が死んだままカバンから弁当を取り出して食べる

 

 

 

いつもとは違ってゆっくりと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか調子くるうな

 

 

 

 

 

俺はハジメの事をどこか日菜先輩と似た人だと思っていた

 

 

 

 

あの人のような万能ではないけれど自分を信じて疑わなくていつもいつも誰かを振り回していく

 

 

 

 

自分が楽しければそれでいいんだとそういう奴だと思っていた

 

 

 

 

でもそれは誤解だったみたいだ

 

 

 

 

なんというかコイツも普通に傷つくんだな

 

 

 

 

「あれあれ〜ハジーくんとホクちんの二人だけでお昼ですかぁ?」

 

 

 

ふと俺達のテーブルに近づく人影

 

 

 

灰色のような髪に寝ぼけたような目つきに多量の菓子パンを抱えた人

 

 

 

青葉さんだ

 

 

 

「そ、そうだけど、青葉さんはどうしてここに?」

 

 

 

慌てて返事をする、今のこの状況だとあんまり他の人と会話したくないなぁ

 

 

 

ハジメはモソモソと弁当を食べる、大丈夫か?青葉さんが見えてないのか?

 

 

 

「えーっとねーお昼のパンを朝のうちに食べちゃったからここで買いに来たんだー」

 

 

 

「ふーん、それじゃ青葉さんは今朝は朝ごはんは食べれなかったんだ、寝坊でもしたの?」

 

 

 

「えー?普通に食べたよー」

 

 

 

「え?」

 

 

「んー?」

 

 

 

俺の当然の疑問は何故か伝わらないでどこかに行った

 

 

 

「そういえば蘭とトモちんが二人の事でお話してたよ」

 

 

 

「それは本当か!」

 

 

 

うわ!ビックリした!急に覚醒するなよハジメ!怖いわ!

 

 

 

「ほんとー、遠くだったからよく聞こえなかったけどハジーくんの事を喋ってた気がするなー」

 

 

 

「良し!だったらまだチャンスがあるな!」

 

 

 

うおー!と言いながら飯をかっ込むハジメ

 

 

 

急に元気になったな、本当に単純なやつだ

 

 

 

羨ましい

 

 

 

「んー?どいうこと?」

 

 

 

「え?まあ簡単に言えばハジメが美竹さんをデートに誘って断られたって話だよ」

 

 

 

「おおーこれはビックリですなー」

 

 

 

だったらもう少し驚いた反応をして欲しい、表情が変わってないよ

 

 

 

「でもいきなりデートに誘うのはやめたほうがいいよー蘭は意外と人見知りだからね」

 

 

 

「えぇぇ!!そ、そうなのか!!あの態度だからてっきり・・・」

 

 

 

ハジメは箸を動かすのを辞めて頭に手を当てる

 

 

 

てか、そうなのか

 

 

 

あんなふうにハキハキしゃべる人だから知らない人でもハッキリ意見を言う人だと思っていた

 

 

 

「そうそうーだからまずはみんなと一緒におしゃべりしたりとかからがいいんだよー」

 

 

 

おお、流石幼馴染だな

 

 

 

相手の気持ちは直ぐに分かるって感じなんだ!

 

 

 

俺にもいるけど絶対にこの人みたいにはならないと思う

 

 

 

 

 

 

 

「な、なあハジメ。とりあえず遊びに誘わないで自己紹介みたいなのをしてこいよ。さっきの話だと美竹さんはまだお前の名前すら知らないんじゃないか?」

 

 

 

「そういえばそうかもしれない、けどそれでいいのか?さっきみたいにキツイ言葉を食らったら死ぬぞ俺」

 

 

 

「わかんないけど、でも同じことしてもしょうがないだろ。別の方から近づいて見たらどうだ?」

 

 

 

ハジメは腕を組んで唸りながら「わかった」と言って

 

 

 

「それじゃあ行ってくる!後で弁当を持ってきてくれ!」

 

 

 

走って学食を出て行った

 

 

 

 

相変わらず決めた時から行動が始まる奴だ、忙しなくて切り替えが早い

 

 

 

俺もいい加減紗夜さんとの区切りを付けるべきだしな

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そういえばねーつぐがなんでかお弁当を二つ持って来てたんだよねーどうしてかなー?」

 

 

 

青葉さんはさっきまでハジメが座っていた椅子に座って菓子パンを食べながらニヤニヤと俺に質問してきた

 

 

「え?いや、わかんないけど」

 

 

 

 

ん?なぞなぞか?お弁当が二つ?普通に考えたら自分で食べるんだよな

 

 

 

 

いや、羽沢さんはそんなに食べる人には見えないし。前に宇田川さんと一緒に羽沢さんを抱えて見たけど凄い軽かったよな

 

 

 

 

なんでだろう?

 

 

 

 

「分からないのー?つぐは苦労しそうですなー

 

 

 

「え、何が?」

 

 

 

「なんでもないよー」

 

 

 

羽沢さんが苦労する?お弁当二つ持ってきたから?

 

 

 

 

 

「そろそろ休み時間終わっちゃうよ、私は先に戻るねー」

 

 

 

「え?あぁ!本当だ!」

 

 

 

ヤバイヤバイ!急いで食べないと!

 

 

 

それにしてもコンビニのお弁当って美味しいけどなんか味に飽きて来るなぁー

 

 

 

まぁ今日の夜にはオカンも親父も帰って来るからいいんだけどさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は教室でハジメを見ると満面の笑みを浮かべていたからきっと仲良くはなれたんだろう

 

 

 

 

こっから先の事はコイツで何とかするだろう

 

 

 

 

もし本当に美竹さんと付き合ったら・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁその時ぐらいは何か適当にお祝いのものを送ってやろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












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