ハジメ告白事件が終わった翌日は幸運にも俺史上最強の曜日の土曜日だった
やることと言えばもちろん惰眠
ココ最近勉強以外にもやることがあったから疲れてる
昔ハジメにその事を話したら「お前それ楽しいか?」と言われたのを覚えている(余計なお世話だ!超楽しいよ!)
眠るってすごくいいリフレッシュだよ
テスト明けで疲れた脳みそを休めるのには睡眠が一番だってことにアイツは気づくべきだ
いや、アイツはテストで疲れないからいいのか
ハジメと言えばあの日の放課後に美竹さんと二人きりではないけど一緒に帰れたみたいなんだよなぁ
なんというかあの鈍感野郎に恋人が出来るのかと思うと感慨深いものがある、二人が上手く行くようにここから祈っておこう
布団の中でハジメの事を考えているけどもう無理だな
二度寝だ、セカンドスリープだ、いやこの英語が合ってるか知らないけど
勉強?するわけないやん!
それでは夢の世界へさぁ行こう!
ぐーーぐーー
ガチャ
「い・・・くん」
zzzz
「いつ・・・くん?・・・ていま・・・か?」
なんか声が聞こえる?
「しょうが・・・もう・・・時を過ぎ・・・ます。む・・・でも・・・きてもらい・・・しょう」
うぅん、なんだろう?でも落ち着く声だなぁ余計に眠れる
「起きてください
「へぇぇ?」
耳元で天使のように優しい声が聞こえて肩を揺らされた。なんだ?てか誰だ?
「睡眠をとることは大事ですがそれでも生活リズムを乱してはいけません。朝はしっかりと起きなくてはダメですよ、早く起きて朝食を食べましょう」
「は、はい。分かりました」
起きていきなり美少女に説教された
ん?
「さ、紗夜さん?」
「はい、その通りですよ」
なぁんだ紗夜さんかぁ!!ビックリしたよ、目を開けたらいきなり美人さんがいるんだもん!俺の部屋に女神降臨したのかと思ったぜ!でも紗夜さんか!ならその綺麗な髪もいい匂いも納得だ!!いやービックリビックリ!!
あははは!!
「ってはあああああ!!!!」
現在時刻AM9:00
俺は今自分の置かれている状況を理解できないでいた
キッチンからはオカンが朝食の準備を進めていて久しぶりに我が家には料理の音が響いている
テーブルには俺
隣には何故か紗夜さん
本当になんでだ?!なんでウチに紗夜さんがいるんだ!!日菜先輩が部屋に入る(侵略する)のはよくあるけど紗夜さんがウチに来るなんて小学校以来だ!これはアレか?!今日は紗夜さんと一日過ごせるボーナスデェイなのか?!だったらわたくしテストの疲れも関係なく勉強に一日費やしても構いませんことよ!!
ダメだな起き抜けで頭が変な方向に行っちゃってる。自重しよう
それにしてもどうして紗夜さんがいるんだ?本当に分からないぞ?今日の日付が特別ってわけではないし、何か予定があった訳でもない
さっぱりだ
「おねーちゃーん!ホクサイ起きたぁ?」
ん?
「ええ、起きたわ」
「お姉ちゃんありがとう!今ちょうど手が離せなくてさぁ!」
キッチンからどこかで聞いた事のある声が聞こえた
幸せの気持ちいっぱいの俺を一気に不安に落としそうなこの感覚
やめて欲しい
久しぶりのオカンの手料理だと思ったらキッチンにいたのは別人でしたーってオチはやめて欲しい
「ホクサイおはよう!今日もいい天気だね!」
キッチンからひょこっと顔だけ出して太陽のように笑う天才が一人
ああぁぁぁダメだわー!!受け止められないぃぃ!!
「はい!出来たよ朝ごはん!」
なんでいるのー日菜先輩?
いや、紗夜さんがいる時点でこの人がいてもおかしくないのか
トホホ、今の今まで「ラッキー!」って思っていた自分を殴りたい
テーブルに運ばれたのはトーストにベーコンエッグ、それから簡単なサラダ
見た目は綺麗な朝食だ
『
俺は既にこのパターンを知っている
このベーコンの焦げ目もサラダの水滴も全て紙粘土と絵の具で描かれているのだろう
同じ轍は踏まない、俺は学習する男なのだ
「さあ、どうぞ!召し上がれ!」
分かっているぞ日菜先輩!その満面の笑みの下にどんな顔が隠れているのかを俺はよく知っている!目の前に座るアンタの椅子の後ろにはドッキリ成功の看板があるのだろう!!
残念だったな!俺は食べない!引っかからないぞ!
「いただきます」パク
え?
「美味しいわ日菜」
え?!!
「えへへーでしょう!ホクサイも早く食べて!」
えぇ!!
え?マジなのこれ?本物の卵とベーコンとトマトとレタスときゅうりと食パンなの?
日菜先輩と紗夜さんが不思議の目線を俺に送ってくる
やめて!そんな顔までそっくりに似せないで!
お、おお、おお、お、お、落ち着けぇぇ
く、口に入れる前に確認出来ることはし、しておこう!
ま、まずはトーストを触ってみるか
焦げ目がついたトーストは触ると一瞬サクッとした音がしてから指先に少し熱を送ってくる
ほ、本物?!
まだだ!次はベーコンエッグの匂いを確認しよう!
皿を持ち上げて匂いを嗅ぐ
本物だ
隣を見てみると紗夜さんが疑心暗鬼な俺を置いていってパクパクと食事を進めている
え?いけるの?マジで?!俺のだけ偽物の食品サンプルとかではない??
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
トーストを持った腕が緊張で震える
なんで飯を食べるのにこんなに緊張しなくちゃいけないんだ!俺の日常を返して欲しい!
目の前を見ると日菜先輩がキラキラした期待のひとみで俺を見る
日菜先輩も凝視しているし紗夜さんも食べているし問題ないのか?ここまで確認してからでもどんでん返しが来る可能性は否定出来ないけど
よ、よよよよ、よひ!食べよう!
「い、いい、いいいい、いたいた、いただきます!!そして南無三!!」
パク!
モグモグモグモグモグ
ゴクン
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「た、食べ物・・・だと!!!」
「当たり前だよ!!!」
我が家のリビングに日菜先輩の謎の悲鳴が響いた
俺の平和な日常が始まった