もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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灯台もと暗し

 

 

 

走った

 

 

 

 

 

紗夜さんを見つけるために、日菜先輩が泣かないようにするために

 

 

 

 

 

 

何をすればいいのかまるで分からないけどとりあえず走った

 

 

 

 

 

 

 

 

走っているんだけど・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜さんがどこにいるかなんて分かるわけないだろおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

ちっくしょうぉ!!くそったれがああぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 

日菜先輩にあんなふうにカッコつけて出てきてやることがただ突っ走るだけなんて馬鹿か俺は!!はい、俺は馬鹿野郎です!!

 

 

 

 

 

分かるわけあるか!名案なんて一個もない!!こっちは名探偵(シャーロック・●ームズ)じゃないんだよ!!

 

 

 

 

 

 

久しぶりの長距離全力疾走で心臓と肺がめっちゃ痛い!こんなことになるならハジメと一緒にバド部入れば良かったぁ!!

 

 

 

 

ショッピングモールを出て街の中を走り回る

 

 

 

 

 

実際は自分の知っている場所を虱潰しに行っているだけなんだけど

 

 

 

 

 

とりあえず商店街とライブハウスにはいなかった

 

 

 

 

 

これだけ走ってそれしか分からないけどさ!

 

 

 

 

くそぉ!もう無理走れない!いや、まだだ!まだいける!!でも足が動かないぞ!

 

 

 

 

 

ぜぇはぁぜぇはぁぜぇはぁ・・・

 

 

 

 

 

落ち着け、落ち着いて考えればきっと分かる!落ち着い・・・・・・

 

 

 

 

 

落ち着けない!呼吸が荒いし拍動の音がうるさい!

 

 

 

 

どうしよう!休むか?歩くか?

 

 

 

 

どうしよう日菜先輩が待っているのに!やばいもしかしたら反対方向に行ってるかもしれない、直ぐに引き返すか?いや待てまずはこの先に続く道を探してからでも・・・そうだ!今、ライブハウスに入ったかも!ならやっぱり戻って行くべきか?でもやっぱり!

 

 

 

 

良し!まずは走れ!

 

 

 

力を込めて勢いよく足を踏み出してみたら、足音もせずにスっと横から人影が現れた

 

 

 

 

 

 

「ぇ?」

 

 

 

 

 

ドン!

 

 

 

「きゃっ」

 

 

 

危ないと気がついても直ぐに避けるなんて高度な運動神経は持っていないので普通にぶつかる

 

 

 

幸いなことに疲れ切った俺の力では対した威力は出ないからぶつかっても二人とも倒れなかった

 

 

 

ぶつかってしまった人は黒い髪を背中まで伸ばして同じ色のロングスカートに白いシャツを着た大人っぽい女性だった。多分だけど年上、日菜先輩よりも断然大人っぽい

 

 

 

「す、すみません!大丈夫ですか?!」

 

 

 

え・・・えっと・・・その・・・あ

 

 

 

目が右往左往し、明らかにオドオドした表情している。大人っぽいと言うか大人しい人のようだ

 

 

 

口が動いているのが見えるけど何を言っているか全然分からない

 

 

 

「大丈夫ですか?その、怪我とかしてませんか?」

 

 

 

あ・・・はい・・・その・・・け、けい・・・

 

 

 

なんだろう?何言ってんのか全然わからん

 

 

 

ここに日菜先輩がいたらきっと読唇術とかで通訳してくれるんだけどな

 

 

 

この人には悪いけど急いでいるんで!

 

 

 

「すいません、俺先を急ぐので!」

 

 

 

「ぁ!」

 

 

 

時間が勿体ないのでその人を置いて先に進む

 

 

 

ごめんなさい!でも走る!

 

 

 

 

 

 

うおおおおぉ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理な気がする

 

 

 

 

デパートからでてかれこれ二時間ほど経過した今、空は燃えるように真っ赤に染まっていて、カラスかがカーカー鳴いている

 

 

 

俺は一人公園のベンチに座って現実に打ちのめされていた

 

 

 

無理だよもーあの後紗夜さんが通ってる学校と楽器屋とファーストフード店にも行って、もう一度ライブハウスと商店街見て回ったけど全然見かけなかったわー

 

 

 

 

走る体力は一切残っていないし、肺と心臓は死ぬほど痛い

 

 

 

唯一活動しているのは脳みそだけど俺の脳みそは天才(日菜先輩)とは違って普通(ノーマル)なため基本役にたたない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうやめてしまおうか

 

 

 

そもそもなんで俺がこんなにしんどい思いしなくちゃいけないんだよ

 

 

 

意味不明だ!実際問題、無茶無謀だったしあきらめても良くね?

 

 

 

 

 

日菜先輩には悪いけど紗夜さんは見つからなかったと言って・・・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

この場合日菜先輩はどうなるんだろう?

 

 

 

 

 

ショックを受けるのかな?絶望するのか?

 

 

 

 

 

 

もしかしてまた()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間ズキッと胸の奥が痛んだ

 

 

 

 

 

鋭く、重く、鈍い、

 

 

 

 

 

今まで経験した事の無いそんな痛みだった

 

 

 

 

どうしてか、日菜先輩を()()()()()()()と、あの光景を繰り返したくないとそう強く思った

 

 

 

どうしてだ?なんで日菜先輩の泣き顔が見たくないんだ?小学校の時、紗夜さんには一度もそんなこと思ったことないのに、どうして?

 

 

 

 

 

いや、今は置いておこう。今はもっと重要なことがある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

考えよう

 

 

 

 

 

 

それだけだ

 

 

 

 

 

 

俺に出来るのは考えるだけだ

 

 

 

 

 

 

そうだよ、何自信を無くしてんだ!思い出せよ!今まで俺は何年間氷川紗夜の事を考えて来たと思っているんだ!・・・・・・・・・なんかストーカーしてる人みたいだ

 

 

 

 

 

氷川紗夜、真面目で努力かの権化のような人で天才の姉。フライドポテトが好きで人参が苦手

 

 

 

負けず嫌い、自分にも他人にも厳しい

 

 

 

 

なかなか出さないけどたまに見せる笑顔が素敵な人

 

 

 

 

高校では弓道していて、精神統一が得意技

 

 

 

それからギターを初めていてバンドを組んでいる

 

 

 

 

ギター?

 

 

 

 

ちょっと待て・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言えば家を出る時、紗夜さんギターケースを持ってなかったか?

 

 

 

 

持ったことないけどギターって結構重たいんじゃなかったか?(青葉さんが教室で愚痴ってた)

 

 

 

そんな荷物を持ちながら長い距離を移動するとは思えない

 

 

 

なら家からそう離れた場所にはいないはずだ

 

 

 

そして相手は紗夜さんだ、時間を無駄にすることは一番嫌う、同じバンドの今井さんの言葉を信じるなら自主練を予定している

 

 

 

 

つまり家からそんな離れていないかつギターの練習が出来る場所

 

 

 

 

そこに紗夜さんはきっといる!

 

 

 

でも俺にそんな場所に心当たりはないんですよねぇ!!

 

 

 

どこだよ!そこ!ちょっと探偵みたいに推理出来た気がしたのに!

 

 

 

家から近くて、ギターが引けて、そして知り合いに会わない

 

 

 

そんな都合のいい所が存在する訳・・・・・・・・・あ、あった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緊張してきた

 

 

 

 

 

目の前に広がるのはいつも通りの道

 

 

 

 

 

毎日毎日見ている景色

 

 

 

 

 

このブロック塀もカーブミラーも信号も標識もいつもの様に見ていた景色なのに特別に感じてしまう

 

 

 

 

 

いつもの様に扉を開けて廊下に入る

 

 

 

 

階段を上がってまた扉の前に立つ

 

 

 

 

俺の考えが正しければここにいるはずだ

 

 

 

って言うか多分いる

 

 

 

外にいる時から音が聞こえてきたから

 

 

 

 

 

コンコンコンとノックをする

 

 

 

なんとも不思議な感覚だ

 

 

 

「・・・・・・・・・はい」

 

 

 

 

扉の中から返事が帰ってくる

 

 

 

 

 

(いつき)です、入りますね」

 

 

 

 

ガチャと音を立てて扉を開けるとベットに腰掛けた紗夜さんがいる

 

 

 

「お邪魔します紗夜さん」

 

 

 

「その挨拶は私がするべきだと思うけど」

 

 

 

「そうですね」

 

 

 

冗談を言うがお互い目は一切笑ってない

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しましています、斎くん」

 

 

 

 

「いらっしゃい紗夜さん」

 

 

 

いつも通りの景色にひとつの大きな違和感

 

 

 

いつもと同じベットに本棚、勉強机にプラス紗夜さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは俺の部屋だ

 

 

 

 

 

 

 

 










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