もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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タイトル『俺の人生』

 

 

あああ〜気持ちが重いー。先生の独り言(主にフラれた男の悪口)のせいで気持ちがブルーだよ!!まじで嫌になるんだけどあの担任!なんで俺が「青春謳歌してるんじゃないわよ!爆ぜろ!」なんて言われなくちゃいけないんだよ。それは俺じゃなくてハジメに言えよ!俺もハジメに言いたい!鈍いくせに鈍いくせに!

 

 

でも彼女が欲しいわけじゃないんだよなぁ。紗夜さんにフラれてから恋愛はあんまり積極的になれないし。ハジメが美竹さんと付き合いみたいなんだが俺は全然あんな風になりたいとは思わないんだよな。勝手にやってくれって感じだ。

 

 

紗夜さんといえば最近は紗夜さんとも普通に話せるようになった。紗夜さんも日菜先輩とも会話が増えてきたみたいだ。これもいい傾向だよな。あの二人の仲が悪いわけないんだよ。お互いがお互いを思っているけど、空回りしていただけなんだから。それが解消したら仲良くなるに決まってる。

 

 

しかしこの両手にかかる重量は絶対に一人で持っていい量じゃないと思うんですけど!ホントにうちのオカンはひとづかい荒いなぁ!えっとなに?食パン?てかまだあんのかよ!もう無理だよ!持てねぇよ!

 

 

携帯をなくした俺を心配してくれた上原さんと青葉さんを置いて先に下校し、オカンに頼まれていた買い物をしに商店街に来ていた。相も変わらず商店街は買い物客で賑わいを魅せる。しかし騒々しいわけではなく、穏やかなだけだ。ここにはなんのトラブルもないんじゃないかと錯覚しそうになる。

 

 

やがてこの手にかかるビニール袋と紙袋が俺の体を襲ってくる。俺ってこんなに体力なかったか?

 

 

なかったんだろうなぁ。この前、意味の無い街中ランニングをした時も酷い有様だったし

 

 

昔から根っからのインドア系だったからな。放課後や休み時間、クラスメイトが外に遊んでいるのに俺だけは教室で勉強してたもんな。なんなら休日も家で勉強してたまである。そのせいでゲームとか特撮の話とか全くわからなかったぁー。今思えばなかなかに寂しかった。それでも紗夜さんに褒められたくて必死に勉強してたからなぁ。しょうがないといえばしょうがないのかな。

 

 

とそんなことを考えながら俺は(物理的にも精神的にも)重い体を引きずりながら歩いて行くと、目の前に異様な人物が見えてきた。

 

 

まず目に付いたのはその背中まで延びる綺麗な黒い長髪。そして同じ色のロングスカートに白い長袖のシャツ。そして服の上からでも分かる女性的で豊かさのある身体。たいへん大人の魅力がある美人が俺の目の前にいた。

 

 

誰もが振り返りそうな、そんな人が俺の目の前にいた。

 

 

目の前にいて。

 

 

そして・・・

 

 

「きゃっ!・・・じ、自動販売機が・・・しゃ、喋るなんて・・・こ、怖い」

 

 

 

自動販売機にビビっていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

なんだろう。この裏切られた感

 

 

いや、別にいいんですけどね。自分が自分らしくいるなんて全然構わないんだけど。なんだろうやるせない感じ

 

 

こんな大人っぽいひとなら「今の自動販売機は喋るのね・・・」みたいなクールな反応をしてきそうなのに。

 

 

大人の人って言うより大人しい人なんだろうな。あれ?これ前にも思ったことあるな。似たようなことを考えた気がする。

 

 

目の前の人物をもう一度よく見てみる。オドオドして何かに怯えている。なんだかハリネズミのような人だ。

 

 

誰だろう?全く思い出せない。

 

 

その時パチッとハリネズミ女子と目が合う。その時ハリネズミ女子は目を見開いて俺の事を見てくる

 

 

あ!あ、あ、あ、

 

 

ハリネズミ女子はいきなり俺をみるなり指差して驚きの表情を浮かべている。

 

 

え?何?なんだなんだ?

 

 

何か言っているのか?口がパクパク動いているから喋ろうとしているのは分かるんだけど何言ってんだ?

 

 

「あ、あのなにかご用ですか?」

 

 

何はともあれ俺に話しかけていることは間違いなさそうだし、一応話しかけておこう

 

 

「ひっ!」

 

 

ものすごい勢いで驚かれた。さっきの自動販売機以上にびびっているような感じだな。

 

 

普通にショックなんだけど。俺ってそんなに怖い顔しているかな?

 

 

「あ、あのなにかご用ですか?」

 

 

え、ええ、えっと。あのけ、けい。うぅぅ

 

 

もう一度声をかけてみるけどやっぱり声が小さくて聞き取れない。

 

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

 

流石に心配なので話を聞くためにも少し近づいてみる。すると

 

 

「う、うう、ううぅぅぅぅぅ」

 

 

ハリネズミ女子はポロポロと泣き出してしまった。

 

 

ちょっちょっと!!

 

 

「ちょっとまって?!ご、ごめんなさい!!え、え、えっと俺何かしましたか?!」

 

 

まずいまずい!!こんなところだれかにみられたら!!でもなんだろう最近女子の泣き顔をよく見ている気がしてならない。日菜先輩や羽沢さん、それから紗夜さんだったり。なんでだろう?

 

 

「うううぅぅぅぅー!」

 

 

でも結局ハリネズミ女子は泣きやまない。手で顔を覆ってその場に座り込んでしまっている。

 

 

ざわざわと商店街からは騒ぎを聞いた人が俺たちを見ていて注目を集めている。

 

 

まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!!!!!誰かに見られたら社会的に死んでまう!!!!

 

 

 

「斎くん?」

 

 

 

 

ビッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

この時に絶対聞こえてはいけない人の声がした。

 

 

 

「斎くん」

 

 

 

やばいなーこれはやばい。きっと怒られるじゃあ済まないだろうなー

 

 

 

「斎くん」

 

 

いやーもう無理だなー絶対逃げられないよねー死んだかな?一体どんな罵詈雑言が飛んでくるんだろうねータノシミダー

 

 

もう隣で泣いているハリネズミも俺達を見に集まっている買い物客も何も気にならない。それほど穏やかで落ち着いた気持ちになれた。

 

 

ぽんぽんと優しく肩を叩かれたのでゆっくり振り返るとやっぱりそこには幼馴染の薄青の美少女がそこにいた。改めて言うまでもないけど無論、目は笑っていない。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

で、このホラー映画のタイトルってなんだったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


















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