もう二度と勘違いしない   作:ホモ・サピエンス

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可愛いに罪はない、なぜなら可愛いは正義なのだから!

 

 

 

 

ワイシャツにネクタイを付けてその上にジャージを一枚はおった、中年の先生が黒板にチョークで数式を書いては読み上げる。

 

 

「なので、ここのxにαを代入すると・・・・・・」

 

 

 

四限の今の授業は数学だ。この授業が終われば学生達が待ちに待った昼休み。

 

 

得意とは言わないが嫌いな科目では無いこの授業、いつもなら集中して先生の話を聞いて板書をノートに写すのだが、今日に限って言えば全然話が聞けていない。

 

 

 

原因は分かってる。

 

 

何とか気を持ち直そうとしてハジメの席を見てみるが、アイツはノートの上にシャーペンを置かないで代わりに自分の頭を乗せて目をつぶりながら規則正しい呼吸を繰り返している。

 

 

 

つか、アイツ!今日は授業中に眠らないって言ってたじゃねえか!はぁぁ。もういい、あの頭の悪いイケメンは放っておこう。

 

 

 

 

隣ではカリカリと板書をとる音がする。一旦音が止まって、またカリカリ。

 

 

 

俺が授業に集中してない原因が板書をノートにとっている。先生が言葉で説明を付け加えると時折、「あ、そうなんだぁ」と小声で感心する声が聞こえ、またノートにカリカリ。

 

 

 

どうしても隣の席の人、羽沢さんが気になってしまう。いや!恋愛的な事ではなく、ただ純粋に昨日のことをどう思っているのか気になっている。

 

 

 

 

てか俺は今までは学校で何を見てきたんだよ!!

 

 

隣の席なんだぞ!隣の席!教室の中で一番近くにいてそして一番長い時間一緒にいるのになんで気が付かないんだよ!

 

 

 

ああくっそ!俺はなんて馬鹿野郎なんだ!

 

 

 

いくら他人に興味がなくても、いくら真面目に授業を聞いて休み時間はハジメと話してたからって普通隣の人の顔ぐらい覚えてるだろ!

 

 

 

なんで昨日は“同じクラス”ってことしか分からなかったんだよ!

 

 

 

アホか俺はぁぁああああああ!!(はい、アホです)

 

 

 

キーーンコーーーンカーーンコーーン

 

 

 

終業のチャイムが鳴る。先生がチョークを持つ手を止めて、

 

 

 

「それじゃあ、ここの途中の問題を次の授業までにやって来ること。それでは」

 

 

と言って簡単な宿題を出して先生は扉から廊下に出る。

 

 

 

クラスメイト達は先程の静寂から途端にガヤガヤと騒ぎ立てる。学食や購買部に走りに行くもの、机を動かして仲の良い友達とお弁当を広げるもの、仲良く談笑するもの、様々だ。

 

 

 

さて俺もハジメを起こして、メシを食べよう。

 

 

 

「つーぐー、ごはんたべよー」

 

 

急に前からのほほんとした声が聞こえてきた。つい目が向いてしまい見てみるとそこには、両手いっぱいの紙袋を持った灰色の髪の女の子がいて羽沢さんに声をかけていた。

 

 

「つぐー!!お昼食べよ!」

 

 

次は後ろから元気ハツラツな声が聞こえてきた。その音源はそのまま羽沢さんの隣まで来て羽沢さんを見下ろしている。いかにもJKをしていますって感じのピンク髪の女の子だ。

 

 

なんというか不自然な組み合わせだ。

 

 

 

「うん!一緒に食べよ!モカちゃん、ひまりちゃん!」

 

 

「どこでたべるー?学食かなー?それとも屋上行くー?」

 

 

「ああ、どうしよっか?どこかすいてる所があればいいんだけど。」

 

 

「それは巴ちゃんと蘭ちゃんが来てからでもいいんじゃないかな?」

 

 

「そうだねーそれにしてもふたりともおそいよーこのままじゃモカちゃんのお腹と背中がくっついちゃうよー」

 

 

 

お前の体内には内臓がないのか!!

 

 

 

って何言ってんだ、隣の会話が面白くてついツッコミを入れちゃったのか?早くハジメを起こして、学食に行かないと椅子がうまってメシが食えなくなる。

 

 

 

「おおーい!みんな!昼飯食おうぜぇ!」

 

 

 

今度は教室の扉から男らしくて大きい声が響いてきた。これもまた女の子だがさっきの二人とは違ってスラッと背が高く赤色が入った髪を背中まで伸ばしたかっこいい系のの女の子だ。

 

 

 

 

 

「おお、巴!待ってたよー!ってあれ?蘭は?一緒じゃないの?」

 

 

 

「実は、蘭のやつ前の授業の世界史のプリントやり忘れたみたいで昼休み終わる前までに終わらせてこいって怒られてた、 まったく言ってくれたら見せてやったのに。」

 

 

「あはは、そこで頼らないのが蘭ちゃんらしいよね。」

 

 

「じゃあ今日は蘭いないのかーちょっと寂しいね。」

 

 

「ねぇえ、はやくパンたべよう。お昼終わっちゃうよー」

 

 

「それもそうだな、早く食べようぜ。どこ行く?」

 

 

 

おっと!そうだ。俺も早く・・・・・・

 

 

 

「ホクサイ!メシ食おうぜ!」

 

 

「お、ああハジメか。睡眠学習はもういいのか?」

 

 

「おうよ!バッチグーだぜ!」

 

 

「何も良くないだろ、てかまずは眠ったことを否定しろよ。それじゃ、学食行くか。」

 

 

カバンから弁当を取り出して、席を立とうとするが。

 

 

「はぁ?なんで?」

 

 

またハジメが意味の分からないことを言い出したな。

 

 

「そりゃ飯食うためだろ。」

 

 

「今日はここで食うだろ?」

 

 

「え?なんで」

 

 

「英語の課題、終わってないんじゃないのか?俺も早く写したいからここで食うぜ。」

 

 

あ、そうか!そう言えばまだ終わってなかったな。それじゃここで「え、英語の課題??!」

 

 

うわ!ビックリした!なんだ?

 

 

 

近くから急に大声が聞こえた。隣を見るとさっきのJKさんが驚きの表情を浮かべていた。

 

 

「今日、英語に課題なんて出てたっけ?!うそぉぉー!」

 

 

 

「ひ、ひまりちゃん?一昨日の授業で先生が話してたよ?聞いてなかったの?」

 

 

 

「ええ!!全然知らなかった!モカは!知ってた?」

 

 

 

「もっちろーん、ワタシはもう終わってるよー」

 

 

「モ、モカが?つ、つぐは終わってる?」

 

 

 

「わ、私も終わってるよ。ひまりちゃん。」

 

 

 

「えー!!どうしよう!とーもーえー!!」

 

 

 

「いやいや、私は違うクラスだぞ。ひまり。」

 

 

 

うお、スゲー表情が次々変わっていくなぁ。なんというか感情と表情が直結してるって感じだ。

 

 

周りはそんなJKさんを見て、アハハと笑っている。

 

 

じゃあ俺は手早く課題を終わらせてゆっくりと弁当を食べよう。今日のおかずはなんだろ?コロッケか?それとも鮭の塩焼きか?・・・・・・

 

 

「んじゃあ!俺たちと一緒に課題やらないか?一緒にやればその分教え合えるしさ!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っは!!??

 

 

 

 

 

な、な、な、何言ってんだこのイケメンは!!!

 

 

 

「コイツさぁ!こんな感じで人当たり悪そうだけど頭はいいんだよ!だからわからない所は教えてくれるぜ!なっ!ホクサイ!」

 

 

「なっ!」じゃねえよ!アホ!

 

 

そしてお前さりげなく人当たり悪そうとかいいやがったな!ってそうじゃない!

 

 

 

「お、おい!ハジメ!いきなり何言ってんだ、お前!」

 

 

「はぁ?なにか変なこと言ったか俺?俺も困ってる、あの子も困ってる、なら同時に解決した方が手っ取り早いだろ。」

 

 

 

ああぁぁぁ!そうだコイツはいつもこんなんだった!

 

 

あのですね!俺はいつもの様に静かに昼飯を食いたいんだよ!静かに、穏やかに、いつも通りに!

 

 

 

いや、まだだ!まだ一緒に食べるとは決まってない!羽沢さん達が断ればそれで・・・

 

 

「いいの!ありがとう!みんなも今日はここでもいい?」

 

 

「いいよーモカちゃんはパンを食べれればそれで良いのだー」

 

 

「あたしも大丈夫だ。つぐはどうする?」

 

 

「私も平気だよ!みんなでお昼、嬉しいな!」

 

 

ああくっそーオワター俺の平穏な昼休みが終了したー

 

 

「おお!てなワケでよろしく頼むぜ!ホクサイ!」

 

 

やめろ、その満面の笑みを浮かべるのを今すぐやめろ。

 

 

つい衝動的にお前の腹と俺の全力で握りしめた拳でグータッチしたくなるから、本気(マジ)で!!

 

 

ちくしょう!俺の高校生活・・・・・・幸先が悪すぎませんかねぇ?!!

 

 

 

 

 

 

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