スーパーロボット大戦N   作:黒百合蜂

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急げ 乗り遅れるな
更新・ラッシュだ

…実を言うとある程度貯めてたから短い頻度で更新できてるなと…

次回からは遅くなると思いますが…ご了承ください、何でもしますから(何でもするとは言ってない)


第十話 もうひとつの因子

〜御崎中学校~

ほとんど誰もいない校舎、そこから出る浩一と城崎、道明寺に理沙子、降谷、ジゼラ。設置された時計の針は3の文字を指している。

 

浩一「いやぁ~、疲れた疲れた……」

 

道明寺「無理もねえよ、早瀬軍団結成後の最初の活動が、『花壇の整備』だからな」

 

額に汗を垂らし、和気藹々と話をする道明寺達……いや、早瀬軍団。「浩一をサポートする」という名目の下、「面白全部」で結成されたチームだ。

 

降谷「ホントだよ、せっかくの午前授業だったから、早く帰れたハズだってのに」

 

ジゼラ「そうは言っても、皆さん楽しんでましたね」

 

予期せぬ労働にぼやく降谷と、それを楽しんでいたジゼラ。

 

道明寺「今んとこ華はあるけど、もっと女の子入れてえなぁ。とりあえずおかっぱちゃんは入れるとして……後は俺以外の保護者枠に宗美さんかな!」

 

浩一「保護者枠って……つか、何でさりげなくソコにお前が入ってんだよ……」

 

理沙子(ソレにしても浩一のヤツ……いつの間に私以外の女の子と仲良くなったのよ……!)

 

降谷(顔が怖いって、理沙子……)

 

いつ頃だろうか、城崎とジゼラ……女子2人と仲良くしている浩一にモヤモヤを感じている理沙子と、それを見ながら怯えを見せる降谷。

 

辰也「よう、お前らも今帰りか……」

 

そんな中、どことなく弱々しい声の辰也が現れる。

 

ジゼラ「辰也さ……ん!?」

 

辰也の様子を見たジゼラは絶句したが、それも無理はない。顔には痣ができており、しっかりと立っていられないのか、山下に支えられていたのだ。

そばにいるアトラとシャクティも、彼を心配そうに見ている。

 

ジゼラ「大丈夫なんですか!? どうしてそんなにボロボロに……!!」

 

辰也に駆け寄るジゼラ。平気平気、と辰也が呟く。

 

辰也「別に大した事じゃねえよ、階段でずっこけただけだぜ」

 

ジゼラ「嘘です! 階段で転んだだけで、そんなになる訳……」

 

山下「そうだよ、無理のある言い訳はやめなって。こうなったのも、瀧城が変なのに絡まれてる女のコを助けたからじゃないか」

 

道明寺「女の子を……ってコトは、名誉の負傷ってワケですか」

 

辰也「言うなってサトル! わざわざ話す事でもねえんだから……一応言っとくけど、俺だってただ殴られて終わったんじゃねえぞ。そいつらにはきっちりと……」

 

話し終わるのを待たず、ジゼラが辰也の顔に触れる。

 

辰也「じ、ジゼラ?」

 

道明寺「おっ、積極的だねェ」

 

理沙子「な、なんて大胆な……」

 

山下「そういうコトは家でやれっての」

 

城崎「皆さん……ふざけてる場合じゃありませんよ」

 

周りの目も気にせず、ジゼラが口を開く。

 

ジゼラ「あまり……無茶しないで下さいね。その……辰也さんに何かあったら悲しいですから」

 

目を真っ直ぐに向けて辰也に話す。

 

辰也「おう! もちろん分かってるぜ!」

 

そんなジゼラに、屈託のない笑顔で応える辰也だった。

 

道明寺「ずいぶん慕われてますね~、辰也さん」

 

山下「羨ましいくらいだよ、ホントにさ」

 

浩一「……ところで、どうしてアトラとシャクティがここに?」

 

山下「この2人がさ、ジゼラに東京の案内をして欲しいって約束してたんだって」

 

辰也「んで、たまたまこいつらと会ったから、一緒にここに来たんだ」

 

事の経緯を説明する2人。その側では、アトラとシャクティがそわそわとしている。

 

アトラ「……じゃあ、そろそろ行かない? 私、もう待ちきれないよ!」

 

ジゼラ「そうですね……あ、皆さんもどうですか?」

 

城崎「私は……どうしようかな」

 

ジゼラからの誘いを決めあぐねる城崎。

 

浩一「行ってみたら?」

 

そんな城崎の背中を、浩一が押す。

 

城崎「え……」

 

浩一「……前の城崎はさ、周りと距離とってて、何かとっつきにくい感じがしたんだ」

 

ジゼラ「言われてみれば、最初の頃の城崎さんって、ずっと私と一緒でしたよね」

 

浩一「ケド、今はそうじゃない。さっきも楽しそうに活動してたしね……だから、こういうのが城崎にもいい刺激になると思うんだよ」

 

道明寺「そうそう、女の子同士水入らずで楽しんできなって!」

 

城崎「……分かりました。ジゼラさん、よろしくお願いします」

 

ジゼラ「はい! こちらこそ!」

 

理沙子「いいなぁ……本当は私も行きたいケド、やるコトが、やるコトが多いのよ……!」

 

和気藹々とした雰囲気の中、落ち込んでしまう理沙子。

 

降谷「そう落ち込むなよ……浩一に道明寺クン、こいつの課題手伝ってやってくんない? 俺も手伝ってるケドさ、なかなか量が多くて大変なんだよね」

 

浩一「しょうがねェな……どこが分かんねえのか教えてくれよ」

 

道明寺「俺もやってやるよ。これでも地頭はいい方だからな」

 

理沙子「こ、浩一ぃ……! ソレに道明寺も……!」

 

ぱあぁ……と顔が明るくなる理沙子。持つべきものは友達ね! と上機嫌に言っている。

 

道明寺「ところで……辰也さんはどうすんですか?」

 

山下「瀧城はボクと一緒に、キバイダーを見る約束してるんだ! その後はゲキ・ガンガーにプリティ・リリアンも……楽しみだなァ……!!」

 

辰也「その前に怪我の手当てもな……んじゃそういう訳だから、いっぱい楽しんでこいよ、ジゼラ!」

 

ジゼラ「はい!」

 

こうして各々の目的のために、一同は別れる事となった……

 

~町~

人の流れに合わせて歩く4人の影。城崎とジゼラ……その後ろにいるのはアトラとシャクティ。

 

アトラ「ん~~~!! 地球のタピオカも美味しいな~!!」

 

城崎「そうですね……このもちっとした食感が、何だかクセになります」

 

ジゼラ「私も食べるのは初めてですね……ところでこのタピオカというのは、火星でも流行ってるんですか?」

 

アトラ「うん! 火星の気候とタピオカの元になる芋が上手く合ってるから、いい商売になるかも……ってオルガさんが言ってたんだ!」

 

鉄華団のビジネスはここまで手を伸ばしているようだ。

 

シャクティ「ところで、こんなに服、買ってもいいんですか……?」

 

城崎「足りない分は私達が払います……ですよね、ジゼラさん?」

 

ジゼラ「わ、私もですか……? 構いませんけど……」

 

まあ、JUDAからの報酬はいっぱいあるしね……と心の中で思うジゼラ。

 

アトラ「……ねえジゼラ、ちょっと聞きたい事があるんだけど、いい?」

 

そんな中、アトラがジゼラに問いかける。

 

ジゼラ「何ですか?」

 

アトラ「あのさ……ジゼラって、辰也さんの事どう思ってるの?」

 

ジゼラ「!!」

 

唐突に浴びせられた質問に驚いてしまうジゼラ。その顔は少しだけ、紅くなっている。

 

ジゼラ「……辰也さんは、頼もしい人です。私が困ってる時は手を差し伸べたり、声をかけたりしてくれる……この間のエレミタの襲撃でも、悪夢を見てうなされた時も、混乱する私を助けて守ってくれたし……私から……いえ、誰から見ても頼もしい人なんです」

 

ぽつりぽつりと語り始めるジゼラ。

 

ジゼラ「でも、あの時……エレミタの襲撃から私を守ってくれた後……辰也さんはこう言っていました」

 

怖くなっちまった。この先、お前を守れるのか、ずっと一緒にいられるのかって。

 

ジゼラ「……って。その時思ったんです、辰也さんも私と同じくらい……いえ、それ以上に不安を抱えている……だから私も守られてばかりじゃない、辰也さんを守れるようになりたいなって」

 

アトラ「へぇ〜……カッコいいね、ジゼラは」

 

シャクティ「そう思えるのも、1つの強さなんでしょうか。私はいつも、ウッソやリガ・ミリティアの皆が帰ってくるのを、待ってる事しかできないから……」

 

でも待ち続ける事だって、1つの強さじゃないの? 私もそんな感じだし……とアトラが声をかける。

 

城崎「!」

 

と、その時、城崎が何かに気づいた。

 

城崎「皆さん、止まって下さい」

 

アトラ「どうしたの?」

 

城崎の言葉で歩みを止める4人。そこには、女の子とそれに絡んでいる3人の男がいた。

 

サリー「や、やめて下さい!」

 

男1「そんな事言わずにさぁ~、ね? 君も生活に困ってんでしょ?」

 

ジゼラ「あの人……さっきの店員さんじゃありませんか!?」

 

城崎「ええ……こうしてはおけません……!」

 

男2「30分で、5万! こんな手っ取り早いバイト他にないと思いますよ? パパパっとやって、終わりっ!」

 

男3「そうだよ」

 

サリー「もう間に合ってますので、離して下さい!」

 

なおも抵抗するサリー。しかし男達は聞き入れず、しつこく留まる。

 

男1「あっそうだ。この辺にぃ、美味いコーヒーの店あるんすけど~、行きませんか? 行きましょうよ~」

 

男3「おっ、そうだな。よし田処、喜村、こいつ連れてくぞ~」

 

男2「そうですね。じゃあそこでゆっくりお話しようや、お茶でも飲んでさ……」

 

城崎「いい加減にして下さい!」

 

ジゼラ「その人が困ってますよ!」

 

あまりの横暴さに、我慢できず飛び出す城崎達。

 

男1「何だこいつら!?」

 

男2「メスガキが何の用ですか……ん?」

 

男達の1人が舐め回すようにジゼラ達を眺め、下卑た笑みを浮かべる。

 

男2「先輩、こいつらもレベル高いですよ」

 

男1「言われてみれば可愛い子ばっかですねぇ! 美浦さん、ついでに連れて行きませんか?」

 

男3「よし、じゃあ後部座席にぶち込んでやるぜ!」

 

そう言うと共に、男達が乱暴にジゼラ達を掴んだ。

 

アトラ「は、離して!」

 

城崎「あなた達、最低です!」

 

男3「お、そうだな」

 

男1「最低なのはま、多少はね?」

 

アトラの懇願も、城崎の罵倒もどこ吹く風、そんな彼らに、ジゼラ達はただ唇を噛むしかなかった。

 

ジゼラ「くっ……!」

 

シャクティ「そんな……!」

 

男2「姉ちゃん達、抵抗はもう終わりか? じゃあ、行こうか……」

 

このまま連れ去られる……何をされるかも分からない。下手をすればもう、辰也にも浩一にも、誰にも会えない。

 

サリー「誰か……助けて……」

 

絶望的な状況の中、心の中でサリーが祈る。その祈りは果たして届くのか───

 

 

 

 

 

???「おい、邪魔だ」

 

男3「……あ?」

 

その時、何者かが声を掛ける。

 

城崎「! あなたは……!」

 

男1「何すかぁ? こっちは色々と忙しいんすよね~。それとも何か? 可哀想ってんで、この子達を助けに来たんですかね? はぁ~~~……あ・ほ・く・さ。正義の味方ごっこはよそで───」

 

突然現れた何者かに対し、男が挑発をする。と、次の瞬間───

 

 

 

 

 

───ドゴリ、と鈍い音を立て、男に蹴りが炸裂した。

 

男2「田処先輩!?」

 

男1「アッ……ハァ……痛……すぎィ……!!」

 

田処と呼ばれた男の体は、蹴りによって壁にめり込んだ。

 

???「邪魔だ、と言ったんだ。そしてもう一つ教えてやる……俺は『正義』という言葉が嫌いだ……虫唾が走る程にな!」

 

青筋を立て、憤る。彼にとってはその言葉が、何よりも腹の立つ一言だった。

 

男3「あっおい待てい、こんな事してタダで済むと思ってんのか?」

 

男2「先輩をぶっ飛ばした事、そして俺達の顔に泥を塗った事を後悔させてやるよ。おら、舐めてんじゃねえぞ!!」

 

???「……」

 

そんな事はお構いなしに、仲間の仇を取ろうと2人が攻撃する。だが───

 

 

 

 

 

???「───そんなものか」

 

ひらりと攻撃をかわし、肘打ちと裏拳を放つ。

 

男2「なぉぎっ!?」

 

男3「ボッヂャマッ!?」

 

怯んだ所へ更に鉄拳が打ち込まれ、ものの見事に2人まとめてボロ雑巾と化した。

 

???「ふん……」

 

伸びた男達には目もくれずに去ろうとする男の元へ、サリーが駆け寄る。

 

サリー「た、助けていただき、ありがとうございます!」

 

???「……勘違いするな、俺はお前達を助けた訳じゃない。通りたかった道に、邪魔な奴らがいただけだ」

 

サリーの礼を冷たく突っぱねる男。

 

城崎「……そんなコトより、何故アナタがここにいるんですか!?」

 

ジゼラ「加藤機関の……エースのジョー!」

 

ジョー「! お前達……JUDA特務室の人間か」

 

意外な場所での対峙に、一触即発の雰囲気。

 

ジョー「……今日はお前達と争いに来た訳じゃない。奴らもいないなら尚更だ……とっとと失せろ、俺の気が変わらないうちにな」

 

しかしジョーは冷たくあしらう。彼にとっては、この少女達は眼中にないようだ。

 

???「いやァ~~~お手柄ですねェ、雷張さァん!!」

 

ジゼラ「! この声……!」

 

ジョー「っ! 逃げ───」

 

言い終わる前に、少女達はどこからともなく現れたヤオヨロズに攫われてしまった。

 

陸「さてと……アナタもついて来て下さいねェ、雷張さん!」

 

ジョー「ちっ……!」

 

厄介な奴に目をつけられていたか……!

 

~大井埠頭・旧倉庫群~

薄暗い倉庫の中、テーブルに並べられた菓子類をモグムグモグと貪る陸。

 

サリー「汚い……」

 

シャクティ「赤ん坊でも、もっと綺麗に食べるのに……」

 

あまりの行儀の悪さに、顔を顰める2人。その一方で、城崎は冷静さを保っていた。

 

城崎「……私たちを攫って、どうするつもりですか」

 

陸「5年前、中国の所有するコロニーで死傷者23570人を出した大規模な爆破事件をご存知ですか?」

 

投げかけられた質問を無視し、自分の話をし始める陸。

 

陸「どこかの過激な宇宙移民か海賊のテロ行為だ……なんて報道されてましたが、実はアレ、僕一人がやったんです」

 

ジゼラ「何で……そんな事をしたんですか……?」

 

陸「僕の想像力の高さを知らしめるためです。あの爆発の被害を受けた人間達は、まさか自分が死ぬなんて想像もしてなかった……皆が当たり前に一日が終わり、また明日が来ると思っていた……」

陸「つまり───僕はあの瞬間、爆発で死傷した23570人の想像を、凌駕したのです!!」

 

シャクティ「ひどい……」

 

陸「そうそう、その時たまたまいたブルワーズの方に、僕の想像力を買われてですねェ……以来、様々なコロニーや商業船の爆破も行いましたよォ!」

 

サリー「そんな……」

 

ジョー「……」

 

自分のした事を悪びれもせず、自慢気に語ってやがる……俺も真っ当な人間じゃねえが、こいつの腐り切った性根には反吐が出るぜ。

 

陸「……でも、早瀬浩一たちは……この女はァ……そんな僕にィ、想像力が足りないと言いやがった!!!」

 

ジゼラ「いっ!」

 

城崎「っ!」

 

陸の拳がジゼラの頬に直撃する。弾みで城崎とジゼラの頭が衝突した。

 

ジョー「!」

 

陸「更に鉄華団においては、コトもあろうにブルワーズを壊滅させ、僕の想像力を知らしめる場を奪ったんだよォ!!!」

 

アトラ「うっ!」

 

陸の足が、アトラの腹にめり込む。

 

シャクティ「アトラさん!」

 

ジョー「おい、大丈夫か!」

 

ジゼラ「は、はい……」

 

アトラ「ゴホッ……これくらい……平気……」

 

立場を無視して、ジョーが駆け寄る。その顔には怒りが表れていた。

 

ジョー「お前……何も手を出す必要はないだろう!!」

 

陸「優男ぶってんじゃねえぞ雇われ者ォ! コイツらは僕を馬鹿にしたんだ、むしろこのくらいで済んでよかっただろうがァ!!」

 

陸の発する身勝手な言い分。

 

ジョー「ゲス野郎が……!」

 

その醜い姿は、ジョーの心を憤怒と嫌悪で満たした。

 

陸「……さて、実を言えばあなた方には直接、恨みはありませんが……どうやら彼らとは親密な関係みたいなんでね、彼らを苦しめる道具となってもらいます」

 

ジゼラ(憂さ晴らしの次には、そんな事を……!)

 

ジゼラが憤りを覚える中、城崎は冷ややかに、陸の方を見据えていた。

 

城崎「……では、アナタは私がJUDAの人間だというコトも知らないのですね?」

 

陸「! ヘェ……あなたもJUDAの!?」

 

思いがけない事実を知り、醜い笑顔を浮かべる陸。

 

陸「それは好都合です! あなたは早瀬浩一どころか、JUDAにとっても大事な人質ってコトじゃないですかァ!」

 

嬉しそうに叫ぶ陸とは裏腹に、城崎は終始冷静だった。

 

城崎「では、アナタは『私がどんな人間か』も知らずに誘拐したというコトですね?」

 

陸「今さらあなたがどんな人間だろうと関係ないですよ。彼らの前で最高の人質であるあなた方の四肢を爆破し───」

 

 

 

 

 

城崎「───それなら、アナタにひとつだけ教えてあげます」

 

その言葉と同時に、城崎の瞳……『ファクターアイ』が光った。

 

陸「え!?」

 

次の瞬間、爆音と共に空から『何か』が落ちる。ソレは鬼の姿をした……

 

そ、そんなバカな───

 

 

 

 

 

───ラインバレルだと!!?

 

ジゼラ「城崎さんが……ラインバレルを!?」

 

城崎「現実は、アナタの想像を凌駕する!」

 

 

 

第十話 もうひとつの因子

 

 

 

~~~

陸「バカな! ラインバレルのファクターは早瀬浩一のハズ……どういうコトだ!? 一体のマキナに対し、ファクターは一人しか存在出来ないハズじゃ……」

 

信じられない光景に驚きつつも、自分のアルマに乗る陸。

 

城崎「……久しぶりだね」

 

昔を懐かしむかのように、コックピットを撫でる。

 

城崎「いくよ! フィールド固定後カウンターナノマシン起動! 目標の行動に対し6・7・2・3・5・8ごとにリアルタイムで転送! 一気に終わらせるわ!」

 

その言葉と同時に、ラインバレルの目が光る。

 

陸「ま、まぁ多少は不可解な状況ではありますが……ラインバレルを破壊してしまえば早瀬浩一も……」

 

そう言いかけた途端、陸の口が止まる。

 

ジゼラ「何……あれ……」

 

ジョー「黒くなった……だと……!?」

 

それもそのはず、城崎の乗ったラインバレルの姿が、黒く染まったのだから。

 

ジョー「くっ……ガキ共! 巻き込まれたくなきゃ早く逃げろ!!」

 

サリー「は、はい!」

 

ジョーに促され、サリー達は倉庫から出る。

 

アトラ「ジゼラも早く!」

 

ジゼラ「……」

 

ただ1人、ジゼラを除いては。

 

ジョー「おい、何故立ち止まっている? 逃げろというのが分からないのか!?」

 

ジゼラ「……私に戦う力がなければ、そうするつもりでした。でも、私はその力を持っている! だったらやる事は1つしかありません!!」

 

それに辰也さんだって、同じ立場だったら───その思いを胸に秘め、ジゼラは天を睨む。

腕に巻いている時計……イールソウル・デバイスが、ジゼラに応えるかのように起動した。

 

イールソウル・デバイス「所有者の意志を確認、イールソウルを召喚します」

 

ジゼラ「お願い!」

 

 

 

 

 

───そして、空から太陽の名を持つモノが降下した。

 

ジョー「……勝手にしろ!」

 

そう吐き捨て、ジョーは少女達と共に消えた。

 

ジゼラ「城崎さん、私も戦います!」

 

イールソウルが、黒いラインバレルの真横に立つ。

 

城崎「ジゼラさん……」

 

ジゼラ「……何で城崎さんがラインバレルに乗ってるのか、色々分からない事はありますが……今は後回しです! 一緒にあの男を倒しましょう!!」

 

城崎「……ありがとうございます。では!!」

 

2機の巨人が、小悪党に剣を向ける。戦いの火蓋が切って落とされた。

 

~戦闘開始~

城崎(初戦闘時)

城崎(どこまで戦えるかは分からないケド……やれるだけやってみせる!)

城崎「行くよ、ラインバレル!!」

 

 

城崎(対陸)

陸「黒くなったからといって……なんだっていうんですかっっ!!?」

 

城崎「答える必要はありません……何にせよ、アナタが私達を倒すコトは、不可能です!!」

 

 

ジゼラ(初戦闘時)

ジゼラ「城崎さんと黒いラインバレル……何でこんな事になってるのか、分からない事ばかり……」

ジゼラ「でも、今はあの男を倒す! 辰也さんだってそうしてたはず……だから、行きます!!」

 

 

ジゼラ(対陸)

陸「イールソウル……警戒すべき機体ですが、小娘しか乗っていない機体などゴミ同然! 鉄クズにしてやりますよォ!」

 

ジゼラ「そんな馬鹿げた妄想に付き合ってられない……私はあなたを絶対に倒す!!」

 

 

~~~

城崎「行くよ、ラインバレル!」

 

ジゼラ「辰也さんみたいには出来そうにないけど……!」

 

機体に備えられていた武器で、ヤオヨロズに攻撃するラインバレルとイールソウル。

 

陸「キヒヒ……この程度のコトで、何得意になってるんですかァ!?」

 

陸がそう叫ぶと、大規模な爆発と共に、アルマやシュタルク、メガソニック8823やパオズーが出現した。

 

ジゼラ「アルマに犯罪者のロボット……!」

 

陸「せっかくなので借りさせてもらいますよォ、雷張さァん!」

 

城崎「くっ……!」

 

突然の増援や、自身への負担により、ラインバレルの動きを鈍らせている城崎。

 

城崎(連続転送は負担が大き過ぎるみたいね……でも!)

 

ジゼラ「城崎さん、大丈夫ですか!?」

 

城崎「ええ……心配する必要はありません……!」

 

今の状況でそんなコト、言ってられる場合じゃない!

 

そう思いながら、ラインバレルの顔を上げさせる。この先の展開をどうするか、そう考えていると───

 

 

 

 

 

───どこからか飛来したメイスがヤオヨロズを掠め、そばにいたアルマを貫いた。

 

陸「ヒィッ!?」

 

三日月「ちっ……外したか」

 

視線の先には、ガンダムバルバトス。更にマイトガインも立っていた。

 

浩一(……ラインバレルが来ねえと思ったら……なんで……なんで城崎がラインバレルに乗ってるんだよ……!?)

 

その後ろには、浩一も乗っているナデシコとイサリビ……そこから様々な機体が出撃する。

 

舞人「助けに来たぞ、2人共! 話はサリーちゃん達から聞いてるぜ!」

 

シズナ「何で絵美ちゃんがラインバレルに乗っとるんかは分からんケド……」

 

森次「城崎さん、あまり無理はしないように」

 

城崎「はい……分かっています!」

 

由木「ジェノ! 瀧城君はこっちにいるわ!」

 

つばき「分かってるとは思うけど、無茶しすぎないでね!」

 

ジゼラ「もちろんです!」

 

自分達へかけられた言葉に勢いよく答える2人。

 

山下「ジゼラ! そこで待ってて!」

 

ハインドがイールソウルへと近づく。その手の中には辰也。

 

辰也「開けてくれ、ジゼラ!」

 

その言葉に促され、ジゼラがコックピットを開く。

 

辰也「よし……何とか間に合った……か?」

 

ジゼラ「はい! バッチリですよ!」

 

山下「ソレじゃ、僕は元の場所に戻るから! 後は任せたよ!」

 

そう言うと山下は、ハインドを後退させた。イールソウル内でも、辰也達の座席が交代される。

 

ジゼラ「そういえば辰也さん、怪我は大丈夫なんですか?」

 

辰也「だから、この程度大した事ねえって……」

 

そう話しながら、辰也がジゼラの方を向く……と、不意に言葉を止めた。

 

ジゼラ「どうしました、辰也さっ……」

 

傷つけられたジゼラの顔に、辰也の手が触れる。

 

ジゼラ「あっ、あの……」

 

辰也「……痛かったよな」

 

ジゼラ「は……はい?」

 

辰也「痛かったよな、辛かったよな……あの野郎にひでぇ事されたんだろ?」

 

淡々と、しかしどこか怒りのこもった声で、辰也が語りかける。ジゼラはそれに対して、何も言えなかった。

 

辰也「……でも、もう心配すんな。俺があいつを……あの野郎をぶっ潰してやるからよ!!」

 

バッと前を向き、そう叫ぶ。その表情には、深い憤りが刻まれていた。

 

辰也「覚悟しやがれ、クソ野郎! ジゼラを傷つけた事、後悔させてやるぜ!!」

 

三日月「よくもアトラを……ただで済むと思うなよ……!!」

 

舞人「サリーちゃん達に……罪なき人達に手を出した事、この旋風寺舞人が許しはしない!」

 

城崎「そういうコトです……アナタにはこの状況が少しでも『想像』できていましたか?」

 

陸「キヒィ……舐めたコト言いやがってェ!」

 

三日月「うるさいな……お前は黙ってろよ」

 

辰也「お前は今から俺達に……俺に倒されるんだよ! 分かったらさっさとやられちまえ!!」

 

こいつは絶対に許せねえ……とっととやってやるよ!!

 

~戦闘開始~

九郎(初戦闘時)

九郎「アーカムや姫さん達から離れて、日本に来たと思ったら……まさかこんな面倒事に巻き込まれちまうなんてな」

 

アル「ふ……だったら放棄するか?」

 

九郎「冗談じゃねえ! 目の前で暴れてる奴らを放っとけるかよ! それに、ここで逃げちまったら姫さんにライカさん、鉄也達をがっかりさせちまうし、子供達にも示しがつかねえからな!」

 

アル「よく言ったぞ九郎! なれば、妾達も向かうとするかの!」

 

九郎「おうよ! 行くぜアル、そしてデモンベイン!!」

 

 

九郎(対陸)

陸「アメリカにいたマキナ……鬼械神でしたか……あの時はやられてしまいましたが、今度はどうかなァ!」

 

九郎「前も今日も変わんねえよ! 女子供を掻っ攫うような外道の末路なんざ、ぶっ倒されるって相場は決まってんだ!」

 

アル「哀れなり、人の身でありながら人の道を外れた者よ……今ここで、妾達とデモンベインが打ち滅ぼしてくれるわ!」

 

九郎「って訳だ、覚悟しやがれ!」

 

 

デュオorカトル(初戦闘時)

デュオ「人間同士の争いねぇ……俺達がアーカムにいる間にも、こういう事が起こっちまってるって事か」

 

カトル「ええ……ですが、放置する訳にもいきません。このままだと日本どころか、世界や宇宙まで……!」

 

デュオ「それをどうにかするために、俺達がここに来たんだろ? んじゃとっととやっちまおうぜ!!」

 

カトル「そうですね……では!」

 

 

デュオorカトル(対陸)

デュオ「こいつ……アーカムシティに来やがった加藤機関の奴か!」

 

陸「久しぶりだなァ、あの時のガンダムゥ! 前はやられてしまいましたが、今回はそうは行きませんよォ!」

 

カトル「以前に比べると多少は攻略しやすいですが……あのロボット達には警戒する必要があるでしょうね」

 

デュオ「けどまぁ、こういう状況には慣れてんだ、とっとと終わらしちまうぞ!」

 

 

JUDA特務室(初戦闘時)

山下「さてと……次はこいつらか……」

 

シズナ「にしても……何で絵美ちゃんがラインバレルに乗っとるんや?」

 

森次「ソレについては後だ……城崎さん、大丈夫ですか?」

 

城崎「はい……ご心配おかけしました……」

 

宗美「そして……早瀬クンの方も大丈夫でしょうか……」

 

イズナ「ラインバレルが現れなくて焦ってましたもんね……」

 

森次「色々と問題は抱えているが……ひとまずはこいつらを片付けるぞ。さて……本物の暴力を教えてやろう!」

 

 

JUDA特務室(対陸)

森次「吐き気を催す邪悪……何も知らない女子供を拘束し、拳を振るう……まさにお前のコトだな」

 

シズナ「絵美ちゃんたちにヒドいコトしたんは聞いとるわ……その借り、ウン千倍にして返してやるわ!」

 

イズナ「僕も許すつもりはないですよ……!」

 

宗美「貴方のような卑劣漢には、手加減をする理由もありませんね……!」

 

山下「オマエはボクたちの仲間に手を出したんだ……ただで済むなんて思うなよ!」

 

陸「ギヒィ……JUDAめェ……! こうなったら、僕の想像力を……」

 

城崎「『現実は、アナタの想像を凌駕する』……先程も言いましたが、アナタの想像なんかでは、私達を倒すコトなんてできません!」

 

 

舞人(初戦闘時)

舞人(サリーちゃん達が助かったのはよかったが……逃した奴の特徴を聞く限り、恐らくは奴……仲間割れか?)

 

マイトガイン「どうした舞人、気になる事でもあるのか?」

 

舞人「……いや、問題はない……そうだな、考える事は後でもできる! まずは悪党達を懲らしめるぞ!!」

 

舞人(対陸)

舞人「サリーちゃん達を誘拐した事は許さない! 俺が倒してやるぜ!」

 

陸「ヘェ……あの女がアナタにとって大切な人質でしたかァ! アナタもアナタで気に入らないので、少しいたぶってやればよかったですかねェ!」

 

マイトガイン「……舞人、こんな男の話に耳を傾ける必要はない!」

 

舞人「そうだな……王政陸! 改めて言っておくが、俺はたとえ何をされようとも、お前を許しはしない! 覚悟しろ!!」

 

 

三日月(対陸)

三日月「ねえ、何でアトラに手を出したの?」

 

陸「うるさいですねェ、ブルワーズを壊滅に追い込んで、僕の想像の場を奪った奴が何を……」

 

三日月「そんな事はいいんだよ。俺はさ……何でアトラを傷つけたのかって聞いてるんだ!!」

 

陸「!! な……何ですか……! こ……この腹の底からわき上がる恐怖は!? 僕の想像を超える恐怖……一体何なんだよ、お前はァ!!?」

 

三日月「もういいよ……! お前はもう、死んでもいい奴だから!!」

 

 

昭弘(対陸)

昭弘「ブルワーズでは昌弘やアストン達にひでぇ事やらかしたと思えば、今度はアトラ達に手え出すなんてな……とことん見下げ果てた奴だ、てめえは!」

 

陸「ヒューマンデブリ風情が、僕を見下すなんて100年早いんだよォ! デブリはデブリらしく、ゴミのように死……」

 

昭弘「ゴミのように死ぬのはてめえの方だ!! 前に仕留め切れなかった分も、アトラ達に手を出した分も……この場にいねえ昌弘達の分も含めて、てめえに叩き込んでやるよ!!」

 

 

オルガ(対陸)

オルガ「おい、爆弾野郎……とりあえず、お前の命乞いだけでも聞いてやるよ」

 

陸「命乞いィ? ソレはオマエ達の方だ! 僕の想像力を見せる場を奪っておいて、勝手なコトを……」

 

ユージン「勝手な事言ってんのはてめえの方だろうが、このゲス野郎!」

 

オルガ「まだ自分の立場が分かってねえようだな。お前は鉄華団を……家族を傷つけたんだ! その落とし前はきっちりつけさせて貰うぜ!!」

 

 

ウッソ(対陸)

ウッソ「こいつっ……よくもシャクティを! 嫌な奴だとは思ってたけど、ここまで性根が腐ってたなんて!!」

 

陸「そうかァ……あの子供はアナタにとって大切な人質でしたかァ! だったら少しぐらいは手を出してもよかったですかねェ」

 

ウッソ「そんな歪んだ思想……そっち側にいるから……犯罪組織なんかにいるからそうなったのか? だったらあっ!」

 

 

ジャック(対陸)

ジャック「女に、それもヒナに手を出すなんてな……やっぱりおめえは、とんでもなく腐り切った野郎だぜ!」

 

陸「ヒューマンデブリも同然の、木星のゴロツキ風情がァ……それもこれも、お前があの時ブルワーズを裏切ったせいで……!」

 

ジャック「話をずらしてんじゃねえぜ! おめえが今こんなことになってんのは、全ておめえが蒔いた種だ! クソみてえなことをしでかしたおめえは、おれが倒させてもらう!」

 

 

アレンビー(対陸)

アレンビー「まさかとは思うけど、あの女の子達を攫ったのって、もしかして私や翼じゃ勝ち目がないから?」

 

陸「そんなワケないでしょう! あの場にたまたまいたから攫った、ソレだけです! ガンダムファイターだからって、あまり調子に乗ったコトは言わないでもらいたいですがねェ」

 

アレンビー「そう……でも、調子に乗ってるのはアンタの方じゃない? 悪いけど、私はアンタなんかに負けないから!!」

 

 

サイ・サイシー(対陸)

サイ・サイシー「お前は……どこまで卑怯な真似をすりゃあ気が済むんだよ!」

 

陸「卑怯? 違いますねェ! コレは僕の想像力を見下した報いですよォ! コロニーの奴らも、あのクソガキ共も……想像力がない故の、僕の想像力を見下した故の、当然の報いなのです!」

 

サイ・サイシー「それ以上はもういいぜ……お前の言う事を聞いてただけで、オイラはもう落ち着いてもられねぇからなぁ!!」

 

 

アルゴ(対陸)

アルゴ「フン……正攻法では敵わんからと、人質を取ろうとしたか。いかにも外道が使いそうな手だな」

 

陸「国のお情けでお目溢しを受けてる犯罪者が偉そうなコト言いやがってェ! 今すぐそのガンダムごと爆発させて……!」

 

アルゴ「お前ごときに遅れをとる俺ではない! もう一度、ボールのように弾き飛ばしてやる!!」

 

 

由木(対陸)

陸「キヒヒ……頼みの綱のグレートマジンガーはいませんねェ。さあ、どうしますか!? 泣いて謝ってももう許しはしませんよォ!」

 

由木「残念だけど、それはこちらの台詞よ! こっちこそ、想像と妄想を履き違えてる奴なんかに負けはしない!!」

 

 

辰也(初戦闘時)

辰也「野郎……絶対に許さねぇ……! 俺がこの手で直々にぶっ潰してやるよ!!」

 

ジゼラ「た、辰也さ……」

 

辰也「心配すんなよ、ジゼラ! お前の仇は、俺がきっちりと討ってやるからな!!」

 

ジゼラ「は、はい……」

ジゼラ(何だろう……今の辰也さん……すごく怖い……)

 

辰也「さて……あのクソデブ野郎をぶっ潰す前に、邪魔な雑魚共を蹴散らすとすっか!!」

 

 

辰也(対陸)

辰也「一応聞いとくけどよ……何でお前、ジゼラの顔面殴ったんだ?」

 

陸「簡単なコトですよォ! その女は僕の想像力を馬鹿にした! だから罰として、痛めつけてやったんです!」

 

辰也「そうか……もういいや、お前もう喋んじゃねえよ。ずっと黙ってろ」

 

陸「分かりましたァ! では、2人まとめて仲良く爆破してや……」

 

辰也「黙れって言ってんだよ!! んな下らねえ理由でジゼラの……ジゼラの顔を傷つけやがって!!」

 

陸「!! コイツ……前とは全然違う! 僕の想像をはるかに超えた怒りが……!」

 

辰也「ごちゃごちゃとうるせえな! てめえにはジゼラの受けた……それ以上の痛みを味わわせてやるぜ! この拳でな!!」

 

 

~~~

城崎「ハァ……ハァ……!」

 

辰也「邪魔すんじゃねえよ、雑魚共!!」

 

三日月「おい、どけよ。お前らがいると……アイツを殺せないだろ!!」

 

怒涛の攻撃……もはや蹂躙としか呼べないそれは、敵部隊をまたたく間に殲滅させた。

 

陸「あ、ああ……!」

 

辰也「さて……残りはお前だけだな」

 

三日月「絶対に許さない……お前は殺す」

 

冷静に、しかし怒りを煮えたぎらせて、太陽と悪魔はヤオヨロズへと顔を向ける。

 

陸「ヒィィイ……た、助けてくだ……さい〜〜〜……」

 

追い詰められた陸は、みっともなく命乞いをする。

 

城崎「安心……しなさい。アナタみたいな……人間の命なんて、奪うに……値……しない……っ!?」

 

突如膝をつくラインバレル。黒く染まった姿も、元の白色に戻っていた。

 

イズナ「城崎さん!?」

 

由木「今すぐ助けないと……!」

 

ディスィーブやウィングルが、ラインバレルの方へと向かう。

 

陸「キヒッ!? 色が戻った!!?」

 

というコトは……チャンスですねェ!

 

……が、それよりも速く、ヤオヨロズがラインバレルを拘束した。

 

城崎「っ!?」

 

自分を守る盾にするかのように、ラインバレルを抱えるヤオヨロズ。

 

陸「キヒヒ……人質がいればアナタ方は手を出せない! このまま逃がしてくれるなら、こいつを離してやってもいいんですがねェ」

 

舞人「貴様……どこまで堕ちるつもりだ!」

 

陸「何とでも言ってくださいよォ! これも想像できなかったアナタ方の……」

 

人質を取り得意になったのか、上機嫌になり始める陸。周りの機体も、容易に手を出す事はできなかった。

 

 

 

 

 

───ただ、2機だけを除いては。

 

城崎「!!」

 

ラインバレルの横を、メイスと大剣が掠める。

 

陸「な……へ……」

 

メイスはヤオヨロズの片腕を潰し、もう片方の腕は大剣によって削ぎ落とされた。

 

辰也「人質? それがどうしたんだよ」

 

三日月「そんなのに構ってたら、お前を殺せないだろ」

 

歩みを止める事なく進撃する2機の巨人。その様子に周りの人間は怯えを感じていた。

 

ジゼラ「辰也……さん……?」

 

オルガ「ミカ……お前……」

 

辰也「心配すんなよ! 今から俺がこいつを殺して───」

 

三日月「オルガ……アトラの仇は俺が取るからさ───」

 

 

 

 

 

山下「───やめて、瀧城!」

 

アキト「───止まってくれ、三日月!」

 

コックピットに武器を突き立てようとするイールソウルをハインド・カインドが、バルバトスをアキトの駆るエステバリスが引き留めた。

 

辰也「止めんじゃねえサトル! 俺はこいつに、ジゼラの苦しみを味わせなくちゃならねえんだよ!!」

 

三日月「こいつはアトラを傷つけた……だから……!!」

 

山下「いい加減にしろよ! そんなコト、ジゼラも望んじゃいないって!」

 

辰也「うるせえ! いいから離せ!!」

 

山下「……だったら、後ろを見てみなよ!!」

 

言われた通りに振り返る、と───

 

 

 

 

 

ジゼラ「辰也……さん……! もう……やめて……!」

 

───自分にしがみつくジゼラの姿があった。

 

辰也「!? ジゼっ……」

 

ジゼラ「私はもう……いいから……! これ以上は……!」

 

その言葉で我に帰る。そして、イールソウルは振り上げていた大剣を落とした。

 

辰也「……っ! わ、悪かった! 俺は……!」

 

ジゼラ「……それ以上は言わなくても大丈夫です! 私は辰也さんが元に戻ってくれたらそれで……!」

 

辰也「……ありがとよ。んじゃ一旦、こいつから離れるか!」

 

一方でこちらでも……

 

アキト「なあ、止まってくれよ三日月……! 頼むよ……!」

 

三日月「うるさいな……俺は離せって言ってるんだよ……!」

 

アキト「だったら後ろを見てくれ! 後ろの……子供達の姿を!」

 

こちらでも言われた通りに振り返ると、3機のエルドランロボが立っていた。

 

飛鳥「三日月……さん……?」

 

ブルーガンバー「こ、怖いよ……!」

 

拳一「お、俺はビビってなんてねえからな……!」

 

その声は震えており、心なしか機体も揺れている。

 

三日月「……で?」

 

アキト「分からないのかよ! 三日月は……鉄華団は子供達の『ヒーロー』なんだぞ! そのヒーローが……子供を怖がらせてどうするんだよ!?」

 

三日月「……」

 

昭弘「……アキトの言う通りだ……もうやめとけ、三日月。確かに俺もこいつにはムカついているが……」

 

ジャック「いくら外道でも、ヒナどもを怖がらせてまでやっちまう必要はねえんじゃねえのか?」

 

アキトや昭弘、ジャック達の言葉に何かを感じたのか、バルバトスは持っていたメイスを下ろした。

 

三日月「……分かったよ。殺すのはやめておく……ねえ辰也」

 

辰也「何だ?」

 

三日月「こいつ、持って帰るよ」

 

辰也「! ……ああ!」

 

そう言うと2機のロボットは、ラインバレルを抱えて後退した。

 

城崎「あ、ありがとうございます……」

 

三日月「いいよ別に。こっちこそごめん」

 

ジゼラ「もう大丈夫ですよ、城崎さん! あ、お怪我はありませんか……?」

 

城崎「いえ……私は平気です」

 

3機のロボットはそれぞれ、体勢を立て直す。

 

森次「……さて、こいつはどうする?」

 

もはや動けそうにないヤオヨロズを見下ろし、森次が言う。

 

舞人「こいつのした事は許される事ではありません。一刻も早く連行すべきかと」

 

オルガ「俺達も落とし前をつけなきゃなんねえが……何より、加藤機関って奴の情報も欲しいしな」

 

そう言うと、確保の準備を始める。が───

 

 

 

 

 

ジョー「───失せろ、JUDA。こいつは加藤機関の人間だ」

 

どこからともなく、ジョーの駆る飛龍が現れた。

 

陸「! 雷張さァん!」

 

突如現れた「味方」に歓喜する陸。

 

陸「いやァ、僕は来るって信じてましたよォ! どうです皆さん! ここまで想像出来ていなかったでしょう!? 切り札は最後まで取っておくモノですよォ!」

 

ジョー「……」

 

舞人「ジョー! 今更何をしに来た!」

 

柳生「大方、やられそうな仲間の援護……って所かしら?」

 

その言葉にフ……と意味深な笑みを浮かべるジョー。

 

ジョー「……そうだな、『正義の味方』のお前達には、そう見えるだろうよ」

 

そう言うと飛龍はジャベリンを持ち───

 

 

 

 

 

───ヤオヨロズのコックピットへと突き刺した。

 

城崎「……!?」

 

舞人「な……!」

 

その行動に呆然とする面々。ヤオヨロズのコックピット内でも、予想外の出来事に陸が放心していた。

 

陸「雷張……さん……どうして……?」

 

ジョー「……『あいつは想像を履き違えている……まあ要は機関の目的とズレが生まれちまっているんだよ』」

 

陸「へ……」

 

ジョー「前々から沢渡はこう言っていた。そしてあいつは久嵩に、お前が目に余る行動を起こしたら殺せとも頼まれていたようだ」

 

陸「……嘘だ……司令が……加藤さんが僕を……」

 

信じられない……『想像』もしていなかった事に、更に頭の中が真っ白になる。

 

ジョー「俺にとっちゃ機関の方針なんざどうでもいい……だが、あいつの代わりに俺がお前を殺す。理由は簡単だ……俺はお前のやり口と、お前そのものが嫌いだからだ!!」

 

ドスの効いた声で言い放つと同時に、2度3度と、繰り返しジャベリンで刺し続けた。

 

陸「ら……いば……」

 

ジョー「……そういや、沢渡は伝言も頼まれてたな……土産代わりに教えておいてやる」

 

お前が1番想像を理解していない……何故なら、自分自身の死を想像していないからだ。

 

ジョー「……だとよ」

 

無慈悲にも伝えられた冷徹な言葉に、陸が咆哮する。

 

陸「かっ、加藤ォォォォォォ……!」

 

だが、その叫びはヤオヨロズの爆発にかき消されてしまった。

 

城崎「……」

 

昭弘「クソ野郎の最期か……」

 

舞人「……見損なったぞ、ジョー!」

 

門子「てめえには仲間意識ってもんがねえのかよ!」

 

身堂「それとも失ったのか? 裏の世界に染まったせいで……!」

 

凄惨な状況に目を背ける者や、やり場のない怒りをぶつける者もいた。

 

ジョー「……流石は『正義の味方』様だ。こんな奴の死でも悼み、殺した奴に憤る気持ちがあるなんてな」

 

舞人「何だと!?」

 

そんな彼らに、皮肉めいた言葉を言い放つジョー。

 

ジョー「だが、俺はそんな甘っちょろい考えは嫌いだ……吐き気がするぜ!!」

 

凱「そうか……なら、その甘っちょろい人間の力、見せてやるぜ!」

 

戦闘体勢を取るガオガイガー達。それに対して、飛龍はくるりと背を向けた。

 

ジョー「俺も本当はお前達を潰してやりたい所だが……あのガキ共に免じて、ここは下がっておいてやる」

ジョー「だが次に会った時こそ、お前達の命日だ……覚えていろよ!」

 

そう吐き捨てると飛龍は、飛行形態となり戦線から離脱した。

 

舞人「ジョー……」

 

柳生「あいつも色々と、思う所はあったんだろうね」

 

由木「だけどあんなやり方、許される事ではありません……!」

 

森次「……ともかくだ、我々も引き上げよう。こちらも色々と立て込むコトになりそうだからな」

 

森次の指示で、機体は艦へと戻っていった……

 

〜JUDA・大広間〜

JUDAへと帰投した辰也達は、そのまま広大なスペースのある部屋へと集まっていた。

 

ジゼラ「……」

 

辰也「その……ジゼラ……悪かった……お前を不安にさせちまって……」

 

ジゼラ「……あのですねぇ」

 

ハァ……とジゼラがため息を吐く。

 

辰也「……っ!」

 

ジゼラ「私は辰也さんが元に戻ってくれたらそれでいいんですって! それにあんな顔も今の顔も、辰也さんには似合いませんよ!」

 

辰也「ジゼラ……」

 

山下「全くだよ……お前はロボット見て変に興奮してるくらいがちょうどいいって」

 

辰也「さ、サトル……」

 

馬鹿にしてんのか? と問いかける辰也。その光景を見て、ふふ……と微笑むジゼラ。

 

山下「ケドま……よかったよ。あのままアイツを殺してたら、取り返しのつかないコトになってたからさ」

 

辰也「ああ……ありがとなお前ら。あの時止めてくれなかったら、俺は……!」

 

ジゼラ「ええ……ですから、次から気を付けてくださいね」

 

山下「ボク達もしっかりサポートするからさ」

 

辰也「ジゼラ、サトル……!」

 

投げかけられた言葉に、感涙する辰也。その近くでは三日月達も話していた。

 

アトラ「三日月! 大丈夫だった!?」

 

三日月「まあね……アトラこそどうなの?」

 

アトラ「うん……ちょっとお腹が痛いけど、そんなに気にする程度じゃないってレインさんが言ってたよ! それより、三日月が私のために戦ってくれたのは嬉しかった……けど……」

 

三日月「けど?」

 

アトラ「私のためだとしても、あんな三日月は見たくなかったから……もう、あんな風にはならないでね」

 

三日月「……分かったよ」

 

アキト「アトラちゃんの言う通りだよ。それに俺も鉄華団に……お前に人殺しなんてしてほしくないんだ。そりゃあもう既に、自分の手は汚れてるとか何とか言うつもりだろうけど……でも!」

 

フォント「鉄華団はヒーローだから……ですよね?」

 

三日月「……ヒーロー、か」

 

ぼそりと三日月が呟く。

 

三日月「俺はそういうの、よく分かんないけどさ……なんか、悪い気はしないよね」

 

アキト「三日月……!」

 

三日月「それに、あんまりアトラを悲しませたくないから」

 

昭弘「……俺も下手すりゃ、あいつを殺してたが……多分やっちまってたら、昌弘やアストン達に合わせる顔がなくなっちまってた」

 

ジャック「昭弘……」

 

いくら腐り切った外道だからって、簡単に命を奪うなんてのは……やっぱり、「やっちゃあいけねえこと」だよな……

 

ボスの言う通りだ、とぼやくジャック。

 

辰也「……で、浩一はどこだ?」

 

舞人「……あいつは自分の部屋だ。しばらく、1人にしてほしいと言われたよ」

 

山下「無理もないよ……自分だけ戦えなかったんだからさ」

 

舞人「あまり抱え込みすぎてなければいいが……」

 

辰也「だな……」

 

城崎「……」

 

しんとした静寂が、空間を支配した……

 

〜JUDA・浩一の部屋〜

浩一(クソッ……オレは……オレは……!)

 

独り、部屋で苦悩する浩一。

 

浩一(あんなコト言ったせいで、城崎が危険な目に遭っちまった……なのに、オレは何もできずに……!)

 

ケド、ソレだけじゃない……

 

浩一(……ラインバレルに城崎が……なんでだ……!?)

 

様々な負の感情に囚われる浩一……ふと、彼の脳裏に、自分が「一度死んだ時」の情景が流れた。

 

浩一(! そうだ……思い出したぞ……あの時……オレが死ぬ前に見た最後の光景……)

 

浩一「……あそこに、城崎はいたんだ!!!」

 

孤独の中で声を絞り出しながら、浩一はそう叫んだ……。

 




・中断メッセージ(陸のスパロボ)
陸「キヒヒ……アナタ達は想像できていませんねェ……今から僕に撃墜されるというコトを!」
陸「……あっ! 逆に落とされてしまいました……相手の命中率は40%……避けられる数字だと言うのにィ!」

沢渡「……久嵩から伝言だ、『お前が1番想像を理解していない……何故なら、味方ユニットの撃墜を想像していないからだ』ってよ」

陸「……加藤ォォォォォォ!!」

沢渡「そこまで怒るコトでもねェだろうが……画面の前にいるてめェらも、回避できそうだからって油断すんじゃねェぞ」
沢渡「でねェと……陸みたいになっちまうからなァ! ははは!」

陸「沢渡さん……笑いゴトじゃないですよォ〜……」
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