スーパーロボット大戦N   作:黒百合蜂

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ボリューム多いのと割と「あっ…(察し)」ってなる人多い気がするな…

まあこれからも書いていくんで応援お願いします!


第十六話 崩壊の音

〜九州・阿蘇〜

ゾーンに包まれた薄暗き地、九州……それより深く昏い阿蘇山の地の底で、女王妃魅禍と邪魔大王国の幹部が集っていた。

 

妃魅禍「貴様等……いつまでジーグとゲッターを放置しておるのだ?」

 

威圧感を放つ妃魅禍の前で、幹部達はだだ、粛々と面を下げていた。

 

壱鬼馬「妃魅禍様の御心労、お察し致します」

 

晴明「ですが、心配は御無用……奴らを一網打尽にし、銅鐸を得る算段は付けております……妃魅禍様、こちらを」

 

晴明が手に持っていた水晶を、妃魅禍へと差し出す……そこには、ヴィルキスの姿が映っていた。

 

妃魅禍「この姿……機械天使か」

 

晴明「はっ。神を名乗る不遜な輩が造りし機械天使……此奴の力と我が力により、奴らを我が庭へと引き摺り込ませて差し上げましょう」

 

壱鬼馬「あの忌まわしき蜥蜴共にも、その手助けを行ってもらわねばなりませぬ……あの島に奴らが留まる間が、千載一遇の好機となりますれば」

 

妃魅禍は暫し考えていたが、すぐに指令を出した。

 

妃魅禍「ふむ……いいだろう。貴様等、手始めに奴らへ姿を晒すがよい」

 

壱鬼馬&晴明「「ははっ!」」

 

壱鬼馬と晴明が承諾する。そこへ、壬魔使と阿磨疎も口を出した。

 

壬魔使「妃魅禍様、我々にも出陣の許可を!」

 

阿磨疎「人間共を皆殺しにして差し上げます!」

 

妃魅禍「構わぬ……人間共を恐怖の渦へと叩き落としてやるのじゃ!!」

 

壬魔使「承知致しました!」

 

阿魔疎「有難き幸せ!!」

 

2人もまた、妃魅禍へと感謝を示す……その影に、機械の体をした者が潜んでいるとも知らずに。

 

???(ほう……中々に興味深い……では我々も1つ、手を貸してやるとしましょう)

 

全宇宙に鋼鉄の秩序を……そして、忌まわしき『ヒト』の殲滅のために……ね。

 

〜アルゼナル・幼年部の部屋〜

兵士として、ドラゴンと戦うアルゼナルのノーマ……ここは、まだその水準に満たない子供達が集い、教育や養護を受ける場所である。

 

イネス「……は〜い、『なぜなにナデシコ〜アルゼナル出張版〜』は、どうだったかな〜?」

 

黒板の前でイネスが、まるで教育番組のお姉さんのようにそう話す……と、子供達からどっと拍手が上がった。

 

子供1「とっても面白かった!」

 

子供2「これで終わりなの? もっと見たいよ〜!」

 

ヴィヴィアン「ウサギさ〜ん! 握手して〜!」

 

ウサギユリカ「わ〜、とっても大人気だね!」

 

ルリおねいさん「そうね。巻き込まれた側はたまったもんじゃないけど」

 

スージィ「でも、ルリだって楽しそうだったよ!」

 

タクヤ「そうそう、いい演技だったじゃん!」

 

シャクティ「カルルマンも笑ってたわ」

 

そう話すシャクティの腕の中で、カルルマンという赤ん坊がきゃっきゃと笑っていた。

 

ルリ「……バカ」

 

相変わらず、ぶっきらぼうにそう吐き捨て、目を逸らすルリ……その頬はやや紅潮し、満更でもないようである。

 

トロワ「『なぜなにナデシコ』……俺も出たかったな」

 

……近くでは、ピエロの格好に扮したトロワが、寂しそうに呟きながら玉乗りをしていた。

 

子供3「すごい! ボールの上に立ってる!」

 

トロワ「サーカスで鍛えたからな……こんな事もできる」

 

子供達の歓声の中で、今度はお手玉をし始める。一糸乱れぬその姿に、子供達は一段と喜びの声を上げていた。

 

子供4「わあ〜!」

 

子供5「全部キャッチしてる……!」

 

トロワ「他には火の輪くぐりもナイフ投げも……色々とできる。だが……またの機会にな」

 

そう話すトロワの表情は、優しそうな笑みを浮かべていた。

 

久遠「ら……ら……ららら……」

 

子供6「お姉ちゃん、おうたが上手!」

 

子供7「ピアノも綺麗な音!」

 

久遠「ふふ……」

 

……そしてその横では、久遠がピアノを弾きながら、歌を歌っている。丁度ヴィヴィアンも、そこで立ち聞いていた。

 

ヴィヴィアン「……ねえねえ、あれ歌ってよ! アンジュがいつも歌ってる奴! あたし、あれ好きなんだ〜!」

 

久遠「……」

 

ヴィヴィアン「久遠?」

 

久遠「……ちょっと下手だけど、いい?」

 

ヴィヴィアン「……! うん!」

 

久遠の返答に、笑顔で頷くヴィヴィアン。アンジュが口にしている歌……「永遠語り」が、久遠の歌声とピアノの音と混じり合い、室内に流れる。

 

レッドガンバー「よ〜し、しっかり捕まってろよ……ふんっ!」

 

そしてさらにその近くでは、ガンバーチームが子供達の遊び相手となっていた。

 

子供8「わぁ〜! 見て見て、私、浮いてる!」

 

子供9「ねえねえ、次は私も!」

 

レッドガンバーが、物凄い力で子供達を腕にぶら下げる。まるで空を飛んでいるかのように感じさせるそれに、子供達が喜んでいる。

 

イエローガンバー「そ〜れ! 高速メリーゴーランドだ!」

 

子供10「うひゃああ!」

 

子供11「怖いけど、面白い!」

 

イエローガンバーも、超スピードで室内をぐるぐると回る。子供達は悲鳴を上げながらも、メリーゴーランドというよりはジェットコースターのような速さを体感し、興奮していた。

 

子供12「ねえねえ、これってどっち向いてる?」

 

ブルーガンバー「えっと……右……かな? で、そっちは上……あっちは……左斜め下だ!」

 

子供13「すご〜い! こんな遠くからなのに、見えるんだ!」

 

遠くで子供達が紙を掲げる……ブルーガンバーは、そこに小さく描かれた矢印の方向を当てていた。

 

ミランダ「……って、視力検査じゃん」

 

ココ「ミランダ……でも、ガンバーチームってすごいよね! 私達より歳下なのに、色んな事ができて……」

 

イエローガンバー「へへっ! どんなもんだい!」

 

ブルーガンバー「ほとんどは、このスーツのお陰だけどね」

 

ココがそう褒めると、ガンバーチームは謙遜しながらも、威勢のいい声で応えた。

 

仁「おいガンバーチーム! お前らばっかずるいぜ!」

 

拳一「お前らみたいなスーツはないけど、俺達だってヒーローなんだからな!」

 

ダイ「お、落ち着きなよ〜……」

 

金太「お前らの気持ちも分かる……でも、こっちの方が歳上なんだからな」

 

ウッソ「それにあのスーツ、子供受けがよさそうだしね」

 

ガンバーチームばかりが持て囃されている状況に、声を荒げる仁と拳一……ダイや金太が諌める中、エルシャとヴィヴィアンが声をかけた。

 

エルシャ「あらあら……大丈夫よ、皆の頑張りは、お姉さんが1番分かってるから」

 

ヴィヴィアン「そうそう! み〜んな偉いっ!」

 

浩美「そう言われると照れちゃうな……」

 

五郎「でも、同じくらい嬉しいよ」

 

アトラ「ありがとう、ヴィヴィアン!」

 

カズキ「エルシャさんも……ありがとうございます」

 

それぞれが口々に礼を言う……そんな中、洋二がひそひそと、カズキに話しかけた。

 

洋二(ねえ……カズキ君って、もしかしてエルシャさんの事、気になってたりする?)

 

カズキ(え……あ、ああ……そりゃあ、レインさんやマーベットさん達みたいに、頼りになるいいお姉さんだしな……)

 

エリー(分かるわ……やっぱり頼れるお姉さんって、憧れるわよね……)

 

仁(ほんと、マリアも見習ってほしいもんだぜ)

 

吼児(じ、仁君……)

 

……そして部屋の後ろでは、そんな光景を微笑ましく見ている大人達の姿があった。

 

ミナト「子供達、馴染んでるわね」

 

レイン「ええ……最初の頃と比べて、距離が狭まったように思うわ」

 

メグミ「でも……この子達も皆、やがてはドラゴンと戦う事になるんですよね……」

 

エルシャ「……」

 

メグミが怪訝な顔でそう呟く……それがエルシャの耳にも入り、ぴくりと一瞬驚いた後、悲しそうに眉を顰めた。

 

アオイ「だけど、僕達が口を挟める事じゃないしなぁ……」

 

ジュンコ「その気持ち、分からなくもないわ。でもね……」

 

コニー「だからこそ、今のうちから楽しい思い出を作っておこう……って事じゃない? 嫌な思い出ばかり抱えて死ぬよりも、マシだと思うわ」

 

ケイト「……ねえ、エルシャはどう思ってるの?」

 

ケイトが、近くに立ち寄ったエルシャに話を投げかける。

 

エルシャ「そう……ですね。以前も、似たような出来事がありましたけど……でも、ここで生きていくにはやっぱり、思い出は必要だと思いますから」

エルシャ(そうよね……アンちゃん……)

 

辿々しくもはっきりと、そう答えるエルシャ……彼女の脳裏には、かつて第一中隊として共に過ごし、そして散った戦友の姿があった。

 

オリファー「……その通りだ。それに前線で戦っている者達も、ただ黙ってその状況を見ているだけじゃない。中には、犠牲を減らそうと動いている者もいる」

 

宗美「完璧……とまでは行きませんが、そういう人達の行動で、守られる命は増えていく……僕はそう思います」

 

メグミ「言ってる事は分かりますけど……」

 

遙「いずれにしても、この子達の笑顔が続くには、ドラゴンを全滅させるしかない……か。どれだけかかるのやら、って話ね」

 

樹「ドラゴンに話が通じるのなら、殺し合う以外の道もあるのかもしれないね。問題は、話の通じるドラゴンがいるかどうか……だけど」

 

マーベット「気が重いわね……」

 

ふぅ……とため息を吐くマーベット。そんな様子をミランダは眺め、そしてココに小声で話しかけた。

 

ミランダ(……ココ、今の話……聞いてた?)

 

ココ(う、うん……)

 

ミランダ(やっぱりさ……ドラゴンを全部倒さないと、あたし達に平和はないんだよ……だからさ、頑張るしかないよね)

 

ココ(そうだね……そのためにもアンジュ様やナオミ、それに皆を守らなくちゃ!)

 

胸元で小さく拳を握り、決意を固める少女2人。そんな中、酒気を漂わせたマギーが部屋へと入ってきた。

 

マギー「よ〜うアンタら、こんな所で辛気臭い話してんじゃないよ」

 

遙「そういうあんたは酒臭いわね、マギー」

 

ペギー「こんな真昼間から酒かい? ここの軍医ってのは、随分と暇なんだね」

 

ミナト「でも、お昼からお酒ってのも乙なものよね〜。子供達の笑顔を肴に、一杯くらいは……なんて」

 

アオイ「あまりおすすめはしないですけどね……」

 

メグミ「ナデシコの操縦桿、握らせませんよ」

 

宗美「……それよりも、ここに来たのは……僕達に何か用があるからでは?」

 

マギー「おお、鋭いね……ジルがアンタらの事、呼んでたよ」

 

マギーがそう言うと、大人組が子供達に声をかけ、退出の準備を行った。

 

樹「そうでしたか……それなら行こうか」

 

ミナト「みんな〜、もう出るわよ〜!」

 

大人達と共に外へ出るルリ達。ノーマの子供達は手を振って、彼らを送り出した。

 

〜アルゼナル・訓練場〜

ドラゴンを狩るために日夜鍛錬を行なっているノーマ達……彼女達が鍛える場所の1つである訓練場では、ゾーラを始めとしてJUDAの精鋭達が稽古をつけていた。

 

ゾーラ「……よ〜しお前ら、これで一通りは終わりだ! へばった奴は隅で休んでな!」

 

ドモン「まだ戦い足りぬ者がいるならば……相手をしてやる」

 

柳生「思いっきり可愛がってあげるわ」

 

やる気に満ちた顔をしている指導者達とは対照的に、息も絶え絶えのメンバー。

 

ロザリー「ぜえ……はあ……」

 

サリア「ゾーラ教官……今日は一段と……ハードすぎる……」

 

辰也「それにあっちには、凱さんや森次さん、ゲッターチームやシャッフル同盟、ビルドエンジェル隊もいるし……」

 

浩一「命がいくつあっても足りないよ……」

 

隼人「……出てくる奴はいないようだな」

 

竜馬「んじゃ、後は俺達だけでやろうぜ」

 

森次「いいだろう。相手をしてやる」

 

身堂「今度は乱戦を想定した戦い……バトルロイヤル方式で行くぞ」

 

凱「たとえ孤軍だろうとも、最後に残るのは勇気ある者だ!」

 

チボデー「ゴングはもう鳴ってんだ、とっととバトルスタートだぜ!」

 

指導陣がそれぞれ対峙する中、限界を迎えた体を動かし、立ち上がる者もいた。

 

剣児「待てよ、俺はまだやれるぜ!」

 

シロー「俺だって、WSOとしての意地があるんですよ!」

 

由木「私も、負けていられません!」

 

門子「へえ〜……まだ骨のある奴らがいたか!」

 

ヒイロ「訓練、続行」

 

五飛「この程度で終わる程、俺はヤワではない」

 

三日月「俺、やれないなんて言ってないけど?」

 

昭弘「だな……俺も同じだ!」

 

ドモン「その意気やよし……ならば行くぞ!」

 

地獄へ突っ走る者と受けて立つ者……それを横に、つばきは壁にもたれ掛かる鏡へと目をやった。

 

つばき「剣児、行っちゃったけど……鏡君はどうするの?」

 

鏡「俺はここでやめておこう……これ以上、体に負担をかける訳にはいかない」

 

ロザリー「お疲れ、鏡様!」

 

クリス「タオルと飲み物、持ってきたよ!」

 

……そんな鏡に擦り寄るロザリーとクリス。訓練を続けていた剣児はそれを見つけるや否や、すぐに反応した。

 

剣児「あ〜! 鏡ばっかずりいぜ! 俺にも後でくれよ!」

 

ロザリー「ああ!? お前なんかに渡すもんなんてねえよ!」

 

クリス「その辺の泥水でも啜ってろ……!」

 

剣児「うげ、辛辣……」

 

門子「おらおら、よそ見してる暇があんのかよ!」

 

柳生「いっぺん、鍛え直しと行きましょうか」

 

ゾーラ「アンタらも余裕ありそうじゃないか……何なら、やっとくか?」

 

クリス「! え、遠慮しときます……」

 

にやりと、ゾーラが怪しげな笑みを浮かべる。クリス達が後ずさる間にも、剣児はサイ・サイシーや弁慶を相手取っていた。

 

サイ・サイシー「頑張れよ、剣児! お前なら強くなれるぜ!」

 

弁慶「そのための労力は惜しまん……さあ、来い!」

 

剣児「っきしょお……こうなりゃヤケだぜ!」

 

……その近くでは、道明寺とヒルダが大の字になって寝転んでいる。

 

道明寺「アンタの蹴り、なかなか効いたぜ」

 

ヒルダ「そっちこそ、悪くない拳だったよ」

 

道明寺「次は決着つけようぜ……俺が勝つだろうケドな」

 

ヒルダ「ハッ、言ってなよ……どうせアタシの勝ちで終わりだ」

 

寝そべったまま、お互い顔を見合わせて笑う。

 

シズナ「何やこいつら……知らん間にこんな仲良うなって……」

 

ヒカル「拳と拳をぶつけて分かり合う……少年漫画の王道パターンだね!」

 

イズミ「まさに青春……今のうちに堪能しとくんだよ」

 

……ヒカル達の言葉が癇に障ったのだろうか、ヒルダがぴくりと反応し、立ち上がる。

 

ヒルダ「……随分、分かったような口利くじゃねえか。お生憎様、アタシはまだこいつらを認めてねえ」

 

道明寺「え、そうなの? 俺はヒルダちゃんと深い関係になれたと思ってたケド?」

 

リョーコ「お、お前……変な言い方だな……」

 

シズナ「ケド、確かにこのアホの言う通りや。殴り合ってる時もいい顔しとったし……アンタ、ホンマに素直やないなァ」

 

イズナ「ね、姉さん……!」

 

ヒルダ「……気が変わった。相手しろよ、パッツン頭」

 

シズナ「それ、ウチに喧嘩売っとるんか? しゃあないなァ……買うたるわ!」

 

道明寺「おいおい、俺抜きで面白そうなコトすんなよ! 何ならヒルダちゃん、今決着つけとこうぜ!」

 

ヒルダ「ハッ……上等だよ、かかってきな!」

 

そう言って、道明寺達がフィールドへと戻る。

 

イズナ「み、皆……あんなに疲れてたのに、元気だなァ……」

 

……イズナが呆れながらそれを見ている近くでは、サリアが九郎に疑問を投げかけていた。

 

サリア「ねえ、貴方……どうして機体に乗ってる時の姿にならなかったの?」

 

九郎「マギウス・スタイルか? まあ……別になってもいいけどよ、それじゃ訓練の意味がねえじゃねえか。肉体的に強くもなってこそ、魔術師ってもんだろ?」

 

アル「その通り……魔力のみに頼らず、生身でも強くなる……それが一流の魔術師だ。九郎はまだまだだがな」

 

九郎「あ、こいつっ!」

 

サリア「そう……魔術師と使い魔のコンビ、見られるかと思ったけど……」

 

九郎「お、何か言ったか?」

 

サリア「……別に、何でもないわ」

 

どことなく寂しげに、サリアがそっぽを向く……それが気になったのか、アルが口を開いた。

 

アル「……ふむ。しかし実戦となれば、魔術による戦闘も行う事になるな」

 

九郎「アル?」

 

アル「九郎、マギウス・スタイルになるがよい! 妾達の力を、あそこで戦っている者共に見せてやろうぞ!」

 

九郎「はぁ!? お前今になってそんな……」

 

アル「……あの娘が見たがっているからな。それとも何か? 汝は自分の休息を優先し、夢見る少女の願望を叶えてやらんのか?」

 

サリア「!? いや、私は別に……」

 

アル「何より、汝はその力でアーカムや世界を守ろうとしておるのだろう? ここで立ち止まっておれば、汝の代わりにアーカムを守っておる鉄也にも申し訳が立たんのではないか?」

 

九郎「クソ……汚ねえ奴だぜ、お前は! わーったよ、そこまで言うなら見せてやる! クラスの皆には内緒だぜ、なんてな!」

 

九郎がそう叫ぶと、白い姿……マギウス・スタイルへと変貌した。

 

サリア「……!!」

 

アル「ふ……やる気を出したか。ではサリアとやら、汝も行くぞ」

 

サリア「! は、はい! 使い魔さん!」

 

アル「誰が使い魔だ、誰が!」

 

九郎「文句垂れんな! 言い出しっぺはお前だろ!!」

 

サリアが目を輝かせ、九郎とアルの後ろへと着いて行く……ナオミはそれらを、横目で見ていた。

 

ナオミ「ふぅ……あの人達すごいなぁ……」

 

アンジュ「あんたこそ。今までずっと寝たきりだったんでしょ? なのにこんなに動けるの?」

 

ナオミ「う〜ん、確かに……自分が1番驚いてるよ……でも」

 

城崎「でも?」

 

ナオミ「ここで立ち止まってたら、ドラゴンから世界を……せっかく生き残ったココやミランダを守れないな……って思って。だからゾーラ隊……教官があの時出撃だって言った時も、今の訓練の時も……自然に体が動いたのかなって」

 

浩一「そういうモンなのかなァ……ケド、ちょっと分かるような気がするよ」

 

辰也「皆を守る……か。いいじゃねえか」

 

アンジュ「……こんな世界、守る価値なんてないわ。守るなら、自分の身だけにしておきなさい」

 

綾人「またそんな事言って……自分が1番、周りを守ろうとしてる癖にね」

 

アンジュ「うるさいわよ綾人! 大体あんた、早くからへばってて根性ないわ! あいつらと戦って鍛え直してきなさい!」

 

綾人「生身で戦った事ないんだから仕方ないだろ!? それにあそこに行くなんて、生肉持って猛獣の檻の中に入るようなものじゃないか!」

 

アンジュ「何よその例え! もういいわ、あいつらが嫌なら、私が相手してあげるわよ!」

 

綾人「何でそういう方向に行くかなぁ〜!」

 

ナオミ「け、喧嘩しないで! 一緒に戦う仲間なんだから……」

 

アンジュと綾人の言い争いを止めようとするナオミ。一方で辰也は、何かを思案していた。

 

辰也「守る……か。そうだな」

 

ジゼラ「辰也さん?」

 

頭の中で考えを巡らせた後、辰也が叫ぶ。

 

辰也「今のまんまじゃ……ジゼラを、皆を守るなんて言えねえ……だったら、こんな所でへばってられねえよな! って訳で、俺も行ってくるぜ!」

 

ジゼラ「た、辰也さん! あまり無理はしないでくださいね!」

 

ジゼラの声が耳に入る間も無く、辰也が駆け出す……と、山下も立ち上がり、口を開いた。

 

山下「……瀧城を見てたら、ボクもやらなくちゃって思えてきたよ。ジゼラ……飲み物とかタオルとか、お願い!」

 

ナオミ「そうだね……やっぱり私も行こう!」

 

浩一「ああ……正義の味方として、ここで立ち止まってるワケにもいかねェよな!」

 

アンジュ「……だって。あいつらやる気になったけど、あんたはどうするの?」

 

綾人「そう言われちゃ、やるしかないでしょ! 俺だって、ここで自分がやれる事をやっていくだけなんだから!」

 

山下達が遠くへと走り、小さくなる……それを、ジゼラはただ見つめていた。

 

ジゼラ「皆さん……」

 

城崎「私達は私達で、自分のできるコトをやりましょうか……ね、ジゼラさん」

 

ジゼラ「城崎さん……そうですね」

 

ジゼラと城崎が出口へと向かう……瞬間、ジルが室内へと入ってきた。

 

ジル「……お前達、訓練は中断だ。これより大切な話がある」

 

ゾーラ「司令……今いいトコなんだけどねェ……」

 

ドモン「まあいいさ、訓練などいつでもできる……行くぞ」

 

かくして、訓練を行っていた者達は、出口へと向かった……。

 

〜アルゼナル・格納庫〜

格納庫には、第一中隊やJUDAのメンバーが集められていた。

 

ジル「……集まったか。ではこれより、第一中隊に指令を言い渡す」

 

サリア「指令……ですか」

 

ジル「ああ。お前達はこれより、JUDA特務室と共に行動しろ」

 

ヒルダ「はぁ? 何で急にそんな事……」

 

ヒルダがそう呟く……と、目の前に掛かっていたスクリーンに、石神の顔が映った。

 

石神『簡単なコトだよ。僕がキミ達を雇った……ここなら、「買った」という方が伝わりやすいかなァ』

 

アンジュ「……! あんた、あの時の……」

 

石神『これはこれは皇女アンジュリーゼ……いや、今はアンジュ君、だったね。あの時はごめんねェ』

 

アンジュ「別に気にしてないわ……ここに放り込まれた以上、自分の身は自分で守る……そう思うだけだから」

 

石神『おっ、変わったねェ……これなら今後も安心できそうだ』

 

ジル「余計な口を挟むな、石神……アンジュ、お前もだ」

 

石神『ごめんねェジル司令……まァそれはそれとしてだ。キミ達には一度、こちらへ戻ってもらいたい……これからのコトもあるしね』

 

森次「分かりました……では総員、これよりJUDAへと向かうぞ」

 

ゾーラ「しっかりやってきなよ、アンタ達!」

 

サリア「イエス・マム……ゾーラ教官もお達者で」

 

ゾーラ「次に顔を見る時が楽しみだよ……そんじゃあな!」

 

ゾーラが手を振る中、各員はナデシコとイサリビへと入っていった……。

 

〜DB海域〜

アルゼナルを離れ、日本へと向かう2隻の艦船。そこから見える景色に、ヴィヴィアンは舌を巻いていた。

 

ヴィヴィアン「おお〜、すっげ〜広〜い!」

 

エルシャ「そうねぇ……いつも見てるはずの海だけど……こんなに広いなんて、戦ってる時は気に留めもしなかったわ」

 

ウッソ「必死な時は視野が狭くなりますからね……こうやって、見渡す時間も大事ですよ」

 

オデロ「ああ……そのためにも、とっとと戦いを終わらせちまおうぜ」

 

ウォレン「そのためにできる事は、何だってやるよ。僕達だってリガ・ミリティア……JUDAのメンバーなんだから」

 

ウッソ達が決意を新たにする中、ココは憧れの「アルゼナルの外」に胸を膨らませていた。

 

ココ「ミランダ、ナオミ! あたし達、外の世界へ行けるんだよ!」

 

ミランダ「はしゃぐなよ、ココ……別に私達、遊びに行く訳じゃないんだからさ」

 

ココ「わ、分かってるよ! でも……外の世界なんて本の中でしか知らないし……」

 

ジゼラ「まあ、ココさんの気持ちも分かりますよ。気を張りすぎていたら、逆に戦えない……でしたっけ?」

 

城崎「ええ……それに、ずっと戦いというワケでもありません……休みだってありますから」

 

アトラ「あっちに着いたら、私達が案内してあげる!」

 

シャクティ「私達が以前に周った所、皆で行きましょう」

 

ココ「本当!? やったぁ!」

 

ミランダ「やれやれ……ま、その時は世話になるよ。で、ナオミ……」

 

ナオミ「どうしたの?」

 

ココのはしゃぎっぷりに呆れながらも、満更でもない様子のミランダ……そのまま、ナオミの方へと話を投げかけた。

 

ミランダ「あんたさ、借金そのままだったけど、それでよかったの?」

 

浩一「社長が肩代わりするって言ってたの、断ったんだろ? 何でそんなコト……」

 

ナオミ「う〜ん……そもそも今の借金も、ジャスミンが立て替えてくれたしなぁ……確かに、別の人が払ってくれるなら、それでもいいのかも……って思ったけど」

 

ココ「けど……どうして?」

 

ナオミ「ジャスミンがね……『お前さんなら返せると思った』って言ったんだ。だから、もし誰かに押し付けたら、その言葉を裏切るんじゃないか……って思っちゃって」

 

まるで優等生のような、模範的な回答をするナオミに、周りの人間は静かに驚いていた。

 

ロザリー「マジかよ……アルゼナルじゃ信じられねえほどのお人好しだぜ……」

 

竜馬「そんなもん知らねえ顔して踏み倒しゃいいのによ……あそこにいた奴にしちゃ、真っ当な考え方してやがるな」

 

九郎「竜馬……しかしまあ、健気なもんだぜ」

 

アル「その爪の垢を煎じて、此奴らに飲ませてやりたいくらいだ」

 

デュオ「真面目だねぇ、あんた……でも、足元掬われないように気をつけろよ? 世の中、善人だらけって訳じゃねえんだからな」

 

ナオミ「そ、それは分かってるよ」

 

カトル「まあ、自分でそう決めた以上、頑張って返すしかないでしょうね……もちろん、僕達も手伝いますよ」

 

ミランダ「ココやエルシャも言ってたけどさ……仲間が困ってんのに、助けない訳ないじゃん」

 

クリス「そ、そうだよ……私もナオミになら、何かしてあげたい……って思うから……」

 

辰也「そういう訳だしよ、何か手伝える事あったら言ってくれよな」

 

ナオミ「あ、ありがとう……」

 

周囲から温かい言葉を投げられるナオミ。彼女がその優しさに感謝している側では、アンジュが窓の外を眺め、物思いに耽っていた。

 

アンジュ「……」

アンジュ(タスク……貴方と出会った島……どこだったかしらね……それに貴方は今、どこにいるの……?)

 

恵「……アンジュ、もしかしてタスクさんの事考えてる?」

 

アンジュ「! ち、違うわよ!!」

 

綾人「必死だなぁ。そんな言い方じゃ、はいそうですって言ってるのと同じようなもんじゃん」

 

アンジュ「あ、あんた達……余計な事ばっかり……!」

 

あまりの恥ずかしさにわなわなと震えるアンジュ……そこに、ヴィヴィアンが乱入する。

 

ヴィヴィアン「ここでクイズです! そのタスクって人は誰なのでしょ〜か!」

 

アンジュ「ヴィヴィアンまで!」

 

恵「……って言うか、ヴィヴィアンは答え知ってるの?」

 

ヴィヴィアン「ぜんぜん? タスクって誰?」

 

綾人「それじゃあクイズの意味ないじゃん……」

 

綾人が呆れる中、更に久遠までが話の輪に入る……そして、アンジュに優しく微笑むと、柔らかく静かに語りかけた。

 

久遠「大丈夫……貴方の騎士にはまた会える……心配しないで、アンジュ」

 

舞人「騎士……か。つまり、アンジュの大切な人って事だね」

 

アンジュ「だからどうしてそうなるのよ! いい? あいつとは何もなかった……それでこの話は終わり!」

 

ヴィヴィアン「本当かなぁ〜……」

 

綾人(……色々あったみたいだよ、って言うのは流石に黙っとこうか……)

 

恵(そ、そうよね……また変にこんがらがりそうだし……)

 

舞人(何か……余計な事言っちゃったみたいだね……)

 

アンジュが顔を赤くしながらそっぽを向き、綾人達が気まずそうにひそひそと話している……と、艦内に警報音が響いた。

 

サリア「この音……!」

 

ルリ『皆さんの考え通りです……シンギュラーが開きました』

 

ユージン『そういう訳なんで、出られる奴は出てください!』

 

ルリやユージンの呼びかけに、各員は手早く出撃の準備を行うのであった……。

 

 

 

第十六話 崩壊の音

 

 

 

〜〜〜

ナデシコとイサリビから機体群が出撃する……と、目の前にはドラゴンが群をなしていた。

 

ユリカ「総員出撃、配備完了です!」

 

サリア「ドラゴン……こんな所にまで……!」

 

ヴィヴィアン「!」

 

そんな中、ヴィヴィアンが何かに気づく。その視線は、ドラゴンの群れの中で宙に浮かぶ、焔のように赤いパラメイルに向けられていた。

 

綾人「ねえ……あれって……」

 

アンジュ「赤い……ヴィルキス……?」

 

竜馬「何だ……ゲッターが妙に反応してやがる……!」

 

???(ビルキス……ここで相見えるか……そして、他にも……)

 

ドラゴンのパラメイルの操縦者は、周りを見渡す……彼女の瞳には、ヴィルキスやラーゼフォン、ゲッター……その他、様々な機体が写っていた。

 

???「相手にとって不足はなし……であれば、いざ!」

 

赤いパラメイルがビームを放つ。それを皮切りに、ドラゴン達もそれぞれ、攻撃を行った。

 

サリア「! あの攻撃……私達のパラメイルの兵装を上回る威力だわ……!」

 

ヒルダ「ハッ、だからってビビってられるかよ!」

 

オルガ「あちらさんはやる気のようだな……だったら!」

 

アンジュ「ええ……相手がその気ならこっちだって! 迎え撃ってやるわ!」

 

アンジュ達も、ドラゴンの群れ……そして、赤いパラメイルへと突撃していった。

 

〜戦闘開始〜

アンジュ(初戦闘時)

アンジュ「せっかくアルゼナルの外に出られると思ったら、ドラゴンと遭遇するなんて……思いっきりついてないわね……!」

アンジュ「それに、あの赤いヴィルキスも気になる……けど、ごちゃごちゃ考えるよりも先に、あいつらを倒す! そうやって生きるって決めたんだから!」

 

 

ナオミ(初戦闘時)

ココ「せっかく外の世界に行けると思ったのに、ドラゴンと戦うなんて……!」

 

ミランダ「このくらいの壁を乗り越えなきゃ、外の世界を楽しめないって事なんだろうね……だけど、へこたれるなよ、ココ! ドラゴンを倒して平和にするって、2人で決めただろ!?」

 

ココ「ミランダ……そうだね!」

 

ナオミ「2人共、そんな事を考えてたんだ……それじゃあ私も、借金返済と平和のために、ドラゴンを倒すよ!」

 

 

第一中隊(初戦闘時)

サリア「こんな所でドラゴンと鉢合わせるなんて……!」

 

ヒルダ「おいおいサリア、今更ビビってんのかよ? いつもとやる事は変わんねえだろうが!」

 

ロザリー「おう! 流石はヒルダだぜ!」

 

クリス「ここまで来て、ドラゴンなんかに足止めされてたまるか……!」

 

ヴィヴィアン「……」

 

エルシャ「……ヴィヴィちゃん……どうしたの?」

 

ヴィヴィアン「何か……嫌な感じがするかも……あの赤いパラメイルも、ゾクゾクしてくる……!」

 

サリア「……そうね。各機、赤いパラメイルを警戒しつつ、ドラゴンを殲滅するぞ!」

 

第一中隊「「「「「イエス・マム!!!」」」」」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一「せっかくJUDAに帰れると思ったのに、まさかドラゴンが出てくるなんてな……!」

浩一「ケド、今更そんなコト言ってられねェ……あいつらを倒して、オレ達は帰るんだ! 行くぞ、ラインバレル!」

 

 

JUDA(初戦闘時)

森次「JUDAへの帰還ルートに、ドラゴンが現れるとはな……DB海域内とはいえ、このような不運が襲ってくるとは……!」

 

シズナ「ケド、んなコト言ってられへんで、森次さん!」

 

イズナ「こうなった以上、戦闘は避けられません!」

 

山下「ソレに、あの赤いパラメイル……警戒が必要っスよ!」

 

宗美「ええ……あのビーム兵器を見るに、アルゼナルを上回る技術を持っているのでしょう……ですが!」

 

森次「ああ……総員、あの赤いパラメイルを警戒しつつ、ドラゴンを叩くぞ。我々はここで、無駄足を踏むワケにはいかないからな!」

 

 

綾人(初戦闘時)

綾人「ドラゴン……この前にも戦ったけど、今度は一段とヤバそうだ……それにあの赤いの……何だ? 俺、あいつにビビってるのか……?」

綾人「……いや、やるしかないんだ! TOKYO JUPITERに戻るためにも、朝比奈と守に再会するためにも……今はあいつらを倒すしかない!」

 

 

竜馬(初戦闘時)

弁慶「何という不運……ドラゴンと遭遇するとは……それに……!」

 

隼人「ああ……ゲッターの反応も強くなっている……気をつけろ、竜馬!」

 

竜馬「んな事、言われなくても分かってらぁ! ゲッターがどうだろうと関係ねえ、ドラゴン共とあの赤いパラメイルに味わわせてやるぜ……俺達の恐ろしさをな!」

 

 

辰也(初戦闘時)

ジゼラ「まさか、ドラゴンが襲ってくるなんて……それに……!」

 

辰也「ジゼラも分かるか……あの赤いパラメイル……何かヤバそうだってよ……!」

 

ジゼラ「辰也さん……今回は流石に真面目ですね……!」

 

辰也「ああ……いつもみたいなノリだと、流石にやられちまいそうだからな……! って訳で行くぜ、イールソウル!」

 

 

〜〜〜

サリア「各機、陣形を組んで! ヴィヴィアンとヒルダは前方、ロザリー、クリス、エルシャは後方で援護! ナオミ、ココ、ミランダ、アンジュは遊撃よ!」

 

アンジュ「ええ……好きにやらせてもらうわ!」

 

ココ「アンジュ様やナオミ、ミランダ……そして皆を守る……!」

 

ミランダ「勝手にやれってのも難しいけど……やるしかない!」

 

ナオミ「気持ちで負けたらおしまいだから!」

 

サリアの号令で、第一中隊はドラゴンの殲滅に動く。

 

由木「兜隊長は私についてきて!」

 

シロー「もちろん……やってやりますよ、由木大尉!」

 

ウィングルとイチナナ式のコンビネーションが、ドラゴンを次々と落としていく。

 

辰也「サトル、剣児、舞人! 俺達も行くぞ!」

 

山下「分かってるっての、瀧城!」

 

剣児「お前に言われなくても、こっちはそのつもりだぜ!」

 

舞人「連携して、ドラゴンを倒すぞ!」

 

自軍部隊の果敢な攻めにより、ドラゴンは落ち、中には撤退するものもいた。

 

???「牽引してきたドラゴンは多くはない……それでも、ここまでやるとは……!」

 

どうやら、認識を改める必要があるようですね……!

 

竜馬「後はあいつだけだぜ!」

 

隼人「ああ……油断するなよ、竜馬!」

 

ヴィヴィアン「みんな……あいつ、何かヤバいかも……!」

 

ナオミ「ヴィヴィアン……アンジュ、気をつけて!」

 

アンジュ「分かってるわ……だけど、そんな事を気にしてたら、逆にこっちがやられる!」

 

久遠『風の竜……光の姫……導くは歌……そして来たるは……』

 

遙『久遠さん……何かを伝えようとしているの……?』

 

綾人「何かあるのかも……でも、ここで止まってたら、やられるから!」

 

???「多勢に無勢……ですね。しかし!」

 

赤いパラメイルが向かって来る。ヴィルキスやラーゼフォン、ゲッター達も、それを迎え撃つために、前へと進んでいった。

 

〜戦闘再開〜

アンジュ(対???)

???「来るか、ビルキス……!」

 

アンジュ「ビルキス……って、訛ってるの?」

 

???「何も知らずにそれを駆り、焔龍號と渡り合うか……警戒の必要があるな……!」

 

アンジュ「よく分からない事ばっか言って! そっちが仕掛けてくるんだったら!」

 

 

ナオミ(対???)

ナオミ「ドラゴンとパラメイルが……一緒に戦ってる……?」

 

???「パラメイル……そちらではそう呼ぶのですね。これは龍神器……ラグナメイルを研究し、製造したものです」

 

ココ「龍……神器……ラグナ……メイル……?」

 

ミランダ「聞くな、ココ! 気を取られてたら、死ぬよ!」

 

???「幼子の命を無駄に奪うつもりはありません。ですが、ここは戦場……そこに立つ以上は、覚悟していると見ます!」

 

ナオミ「そうだね……確かに死ぬのは怖いけど……今になってそんな事、言えないよ!」

 

 

ヴィヴィアン(対???)

???「! その姿……ミィ!」

 

ヴィヴィアン「……って、誰? あたしはヴィヴィアンだよ?」

 

???「どうやら記憶を失っているようですね……そしてこの状況……となれば、やむを得ません……多少の手荒は覚悟してください!」

 

ヴィヴィアン「な、何だか分からないけど……そっちが来るならあたしは抵抗するぞ〜!」

 

 

第一中隊(対???)

???「ラグナメイルの模造品……それで、この焔龍號と戦おうとでも?」

 

ロザリー「あいつ……アタシ達を舐めてんのか!?」

 

クリス「ゆ、許さない……正直、怖いけど……」

 

エルシャ「そんな気持ちじゃ、こっちもやられちゃうわ……サリアちゃん!」

 

サリア「ええ! そうやって見下せるのも今のうちよ!」

 

 

浩一(対???)

???「マキナ殺し……カウンター・マキナ……ラインバレル! ここで相手取る事となるとは……!」

 

浩一「アンタ……ラインバレルについて、何か知ってんのかよ!?」

 

???「勿論……できれば戦いたくはありませんでした……しかし、刃を向けた以上は!」

 

浩一「やるしかねェ……ってコトかよ! だったらこっちも、相手になってやるぜ!」

 

 

JUDA(対???)

???「この地球には、マキナを所有する組織があると聞いていましたが……ここまでとは」

 

森次「ほう……マキナについての知見もあるか」

 

山下「それよりも……『この地球』……って……?」

 

宗美「ドラゴンは別次元から現れる存在……となると、考えられるコトはいくつかありますが……!」

 

シズナ「そんなん気にしながら戦えるほど、コイツは甘ないわ……!」

 

イズナ「ええ……今はまず、あの機体を止めるコトが先です!」

 

森次「そうだな……どのような思惑があるかは知らんが、お前はここで倒させてもらう!」

 

 

綾人(対???)

???「神の器ゼフォン……目覚めたとは聞いていましたが……我らに仇なすと言うならば!」

 

綾人「ゼフォン? こいつ、ラーゼフォンって名前なんだけど……」

 

???「何も知らぬか……ならばそのまま、ここで落ちてもらう!」

 

綾人「いきなり来たか……! そっちがそう来るんなら、こっちだってやられるつもりはない!」

 

 

剣児(対???)

???「邪なる者を討つ、鋼鉄の防人……敵として戦う事になるとは……!」

 

剣児「そっちから仕掛けといて、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ! ジーグを知ってるみたいだが、かかって来るなら容赦はしねえぞ!」

 

 

竜馬(対???)

???「進化の光……意思持つドラグニウムを動力とする機体が相手か……!」

 

竜馬「ドラグニウムだあ? 何言ってんだよ、てめえ」

 

隼人「察するに、おそらくはゲッター線の別名……という事か。多少の違和感はあるがな」

 

弁慶「ううむ……隼人、今はそのような考え事をしている暇はないぞ!」

 

???「その者の言う通りだ……世界の終わりを迎えぬよう、その機体はここで落とす!」

 

竜馬「上等だ! 返り討ちにしてやるぜ、ドラメイル野郎!」

 

 

シロー(対???)

???「魔神を模した量産機……取るに足らぬと、切り捨てるつもりはない!」

 

シロー「どうやら、イチナナ式と俺を警戒しているみたいだな! だったら、全力で相手をしてやるぜ!」

 

 

由木(対???)

???「その翼……成程、そうでしたか」

 

由木「勝手に納得されても困るわ……何かあるならはっきり喋りなさい!」

 

???「今の状況で言葉を重ねるだけ、無意味なものです……が、これだけは言わせてもらいましょう。貴方の止まり木は、朽ちてはいません」

 

由木「言いたい事、何となくは分かるかもしれない……けど、そっちが来るなら、こっちは迎え撃つだけよ!」

 

 

三日月or昭弘(対???)

???「厄災戦の悪魔……この地で見える事となるとは……!」

 

三日月「あいつ、バルバトスを知ってるんだ……だから何? って話だけど」

 

昭弘「ああ、そうだな……相手が来るなら倒すだけだ!」

 

 

九郎(対???)

???「魔を断つ剣、デモンベイン……因果を超え、この地へと降り立ったか」

 

アル「その口ぶり……汝は此奴について知っておるようだな」

 

???「ええ……とは言っても、ほんの少し……ですが。しかし、今は問答をしている場合ではありません」

 

九郎「あんたの言う通りだぜ! 何を知ってるかは分からねえが、そっちが仕掛けてくるんなら、俺達は迎え撃つだけだ!」

 

 

エルドランロボ(対???)

???「地球の守護者、エルドラン……彼が託せし者達と戦う事になるとは……!」

 

仁「あいつ、エルドランを知ってるのか!?」

 

イエローガンバー「そりゃあ俺たち、正義のヒーローとして戦ってんだからな! 悪党だって名前くらいは知ってんだろ!」

 

???「悪……ええ、今はその謗り、甘んじて受けましょう。エルドランに牙を向けた我々は、そう呼ばれるに相応しいのだから……!」

 

吼児「その言い方……もしかして、僕達と戦いたくないのかな……」

 

浩美「だったらやめてください! 僕達だって、無駄な戦いをしたくはありません!」

 

???「その言葉、ありがたく受け取りましょう……ですが、剣を向けてしまった以上は、致し方なし!」

 

拳一「そうかよ……そっちが来るんだったら、俺達だって戦うだけだ!」

 

 

ゴルドランorアドベンジャー(対???)

???「レジェンドラの勇者……願わくば、この戦いは避けたかったのですが……!」

 

カズキ「あいつ……レジェンドラを知ってるみたいだぞ!」

 

ダイ「そうだね……それに、もしかしたらあの人、悪い人じゃないかもしれない……!」

 

アドベンジャー「ああ……主達よ、命令を……それがどのようなものであろうとも、我々はそれに従う!」

 

タクヤ「分かった……ゴルドラン、アドベンジャー……あの人を止めて!」

 

ゴルドラン「心得た……我々も無益な戦いはしたくない……パイロットを傷つけず、機体の動きを止める!」

 

 

凱(対???)

???「カインの遺産……見たところ、この地球で造られた物と言えますが……破壊の化身となる可能性は高い……!」

 

凱「何を言っているかは分からんが……ガオガイガーは地球を守る勇者だ! それを教えてやるぜ!」

 

 

辰也(対???)

???「隠者の太陽が来るか……乗り手は未熟とはいえ、警戒する必要はあるでしょう」

 

ジゼラ「あの人……イールソウルを知ってる……? ならもしかして、エレミタの事も……」

 

辰也「どうだろうな……何にせよ、俺達がやる事は1つ……あのパラメイルを倒す事だ!」

 

 

〜〜〜

竜馬「食いやがれ! ゲッタートマホークだ!」

 

綾人「まだ終わりじゃない! こっちからも行くぞ!」

 

ゲッターとラーゼフォンの攻撃が、ドラゴンのパラメイル……焔龍號へと当たる。

 

???「くっ……!」

???(ドラグニウムの戦鬼に神の器……完全に力を引き出せていないとはいえ、油断は禁物か……!)

 

アンジュ「そいつらばっかに気を取られて、私を忘れてるんじゃないでしょうね!」

 

???「!」

 

猛攻に晒された所に、ヴィルキスが追撃を食らわす。

 

???「ビルキス……こちらも力を引き出せていないか……だが!」

 

それでも互角に渡り合えるとは……!

 

アンジュ「さっきから、訳の分からない事をブツブツと! とっとと落ちなさい!」

 

ヴィルキスと焔龍號が剣を出し、切りつけ合う。剣の次には銃を出し、互いに撃ち合った。

 

ヴィヴィアン「すげぇ〜……!」

 

ドモン「ああ……下手に踏み込めば、巻き込まれる……!」

 

フォント「でも、これがいつまで続くか……!」

 

暫しの銃撃戦が続くと、両者共に動きを止めた。

 

アンジュ「ハァ……ハァ……中々……やるわね……」

 

???「其方こそ……未熟と侮った非礼、ここで詫びます」

 

アンジュ「いらないわよ……そんなの……っ!」

 

ヴィルキスが銃を向け、焔龍號へと撃つ。間一髪それを避けた焔龍號は、急接近しヴィルキスへと切りかかった。

 

アンジュ「くっ!」

 

完全に避けきれず、左腕を損傷するヴィルキス。眼前に剣を向けられ、絶体絶命の状況へと陥った。

 

???「ですが……こちらの方が一枚上手だったようですね」

 

アンジュ「……っ、まだよ!」

 

???「最後まで足掻くか……だが、覚悟!」

 

焔龍號が剣を振り下ろす、寸前───

 

 

 

 

───どこからかの攻撃が、2機を襲った。

 

アンジュ「ぐうっ!?」

 

???「なっ!?」

 

オルガ「何だよ……またドラゴンか!?」

 

サリア「いいえ……だとしたら、味方であるはずの機体にまで当てるとは思えない……!」

 

ルリ「はい……それに、シンギュラーは開かれていません」

 

ヴィヴィアン「嫌な感じが……どんどん強くなってる……!」

 

久遠『光と風に誘われ、地から這い出る怨嗟の闇……!』

 

味方部隊が混乱する中、それらを囲むように、鬼や烏のような姿をしたハニワ幻神が現れた。

 

竜馬「なっ……鬼の野郎が出やがったかよ!」

 

剣児「ハニワ野郎共……邪魔してんじゃねえぞ!」

 

柳生「! あそこにいるのは……!」

 

柳生の視線の先には、十字の形をした飛行船の上に立つ、4体の異形の姿があった。

 

鏡「奴らは……!」

 

壱鬼馬「邪魔大王国が女王、妃魅禍様に仕える幹部が1人……壱鬼馬!」

 

壬魔使「同じく、壬魔使!」

 

阿磨疎「そして……阿磨疎様だ!」

 

3体の化け物が名乗りを上げる。

 

身堂「邪魔大王国の幹部連中か!」

 

門子「あの変な格好した奴は誰なんだよ!?」

 

早乙女が、平安貴族のような出立ちをした男に目を向ける……それに気づいてか、男が口を開いた。

 

晴明「む……名乗りが遅れたな。我が名は安倍晴明……妃魅禍様に付き従う者なり」

 

つばき「安倍晴明……ですって!?」

 

竜馬「って、誰なんだよ?」

 

道明寺『平安時代の陰陽師ですよ……ケドまさか、邪魔大王国って奴らの仲間だったなんてな……!』

 

壬魔使「そんな事はどうでもいい……それより人間共!」

 

壱鬼馬「我等が女王、妃魅禍様のために、貴様等を恐怖に陥れてくれる!」

 

???「ああ……そしてその手伝い、不本意ながらやらせてもらう」

 

どこからか声がする……と同時に、機械化獣までもが現れた。

 

拳一「なっ……こいつら、機械化獣かよ!?」

 

教授「という事は……機械化帝国が!?」

 

歯車王「その通りだ、人間……我らが機械化帝国の支配のため、貴様らを滅ぼしてくれる」

 

機械化獣軍団の後方から、姿を表す歯車王。

 

五郎「機械化帝国まで出てくるなんて……!」

 

阿磨疎「おいおい、余計なお世話だぞ!」

 

壬魔使「人間共の前にぶっ壊してやろうか、ガラクタ共!」

 

歯車王「黙れ、下劣で悍ましき下等生物が……私とて、好きで手を貸す訳ではない」

 

阿磨疎「んだとぉ!?」

 

壬魔使「ガラクタ風情が、俺達に向かってそんな口を叩くか!」

 

壱鬼馬「……まあよい。かつて共に戦った縁もある……一時、手を組もうではないか」

 

晴明「壱鬼馬……貴様は我と共に下がれ。阿磨疎、壬魔使……ここは貴様らに任せる」

 

壱鬼馬「いいだろう」

 

阿磨疎「おい、俺に命令していいのは妃魅禍様だけだぞ!」

 

壬魔使「抑えろ阿磨疎……いいではないか、人間共をブチ殺す大役を任されたのだからな!」

 

歯車王「あちらは下がる者もいるか……では、こちらも高みの見物と行こう」

 

晴明と壱鬼馬、そして歯車王がどこかへと消える。

 

???「我らにとって、討つべき敵が多いか……ならば!」

 

そう言うと同時に、焔龍號がヴィルキスの隣へと並び立つ。

 

???「ビルキスの乗り手……そして、その仲間達よ……ここは一時加勢します」

 

焔龍號のパイロットはそう言う、が……

 

ヒルダ「はぁ!? さっきまで殺し合ってた奴と一緒に戦えだぁ!?」

 

サリア「ドラゴンが敵にならないのはありがたいけど……!」

 

ロザリー「そう簡単に、信用できるかよ!」

 

……先程まで戦っていた者同士、いがみ合うのは必然であった。

 

???「やはり、こうなるか……」

 

アンジュ「……そりゃあね、自分の名前も名乗らないような奴、誰が信じられるかって話よ」

 

???「!」

 

確かに、この者の言う通りか……!

 

アンジュの言葉にはっとした焔龍號のパイロット……ハッチを開き、自らの姿を曝け出した。

 

サラマンディーネ「では……私はアウラの民、近衛中将サラマンディーネ……邪なる者を討つため、貴方達に協力を申し出ます」

 

アンジュ「……だって。私はいいけど、あんた達はどう?」

 

サリア「言ったでしょう……ドラゴンが敵にならないのはありがたいって」

 

ヴィヴィアン「それにサ、サラ……サラサラさん、ちょ〜っち親近感? っての湧くんだよね〜!」

 

ヒルダ「……ったく、仕方ねえな……いいか、下手な真似したら後ろから撃つからな!」

 

サラマンディーネ「ええ、それで構いません。それとミィ……いえ、ヴィヴィアン……私はサラマンディーネです」

 

アンジュ「そんなの何だっていいわよ、え〜っと……サラマンドリル、だったかしら?」

 

サラマンディーネ「サラマンディーネです! 名乗れと言っておいて、聞いた名を間違えるなどと……無礼な!」

 

アンジュ「仕方ないでしょう!? あなたの名前、長いのよ!」

 

竜馬「アンジュ、ドラゴン女! こんな時にごちゃごちゃやってんじゃねえ!」

 

森次「戦況は見ての通りだ……浮ついた気持ちでは命はないと思え」

 

アンジュ「……分かったわよ」

 

サラマンディーネ「失礼……お見苦しい姿を見せてしまいました」

 

気を取り直し、敵へと顔を向けるヴィルキスと焔龍號。2機は同時に、禍々しい気を放つ者達の方へと駆けて行った。

 

〜戦闘再開〜

サラマンディーネ(初戦闘時)

サラマンディーネ(殺し合っていた者達と手を取る……受け入れられないのは必定でしょう……ですが!)

サラマンディーネ「それでも彼らは、一時的とはいえこの手を取ってくれた……であれば、私はそれに報いるだけだ!」

 

 

サラマンディーネ(対機械化獣)

サラマンディーネ「エルドランに敵対する、機械の星の者共か……!」

サラマンディーネ「ここで放置していれば、我らの世界も支配される恐れはある……なればこそ、ここで切る!」

 

 

アンジュ(初戦闘時)

アンジュ(あの女……戦った時から何か、引っかかるものがあるのよね……)

アンジュ「ま……そんな事、今はどうでもいいわ! まずはこの場を切り抜ける!」

 

 

拳一(対機械化獣)

拳一「機械化帝国め……こんな時に出てきやがって!」

 

浩美「あいつら……邪魔大王国に手を貸すとか言ってたけど……何でだろう?」

 

しのぶ「さあ……悪党同士、気が合うとかじゃないの?」

 

拳一「んなもんどうだっていい! 俺たちの邪魔すんなら、ぶっ壊すだけだぜ!」

 

 

シロー(対機械化獣)

シロー「機械化獣……話には聞いていたが、機械獣とは違うみたいだな……!」

シロー「けどよ、機械獣だろうが機械化獣だろうが関係ねえ! この兜シロー様が相手になってやるぜ!」

 

 

剣児or鏡(対機械化獣)

鏡{機械化帝国……それと邪魔大王国の関係……奴らが揃った今、それを思い出すとは……!)

 

剣児「考え事してる暇があんのかよ、鏡! 悪党共が手を結ぼうが、俺達の敵じゃねえって事を、思い知らせてやるぜ!」

 

 

〜〜〜

五郎「拳一! ザウラーボンバーだ!」

 

拳一「おう! ザウラァァァーボンバァァァーッ!!!」

 

仁「ザウラーズだけに任せてられるかよ!」

 

イエローガンバー「おう! 俺たちもやってやろうじゃん!」

 

タクヤ「こっちも負けてられないよ、ゴルドラン!」

 

ゴルドラン「うむ、その通りだ!」

 

エルドランロボやゴルドランの猛攻で、機械化獣は全滅した。

 

サラマンディーネ「エルドランのロボットと、彼に託された子供達……そして、レジェンドラの勇者……流石、と言うべきですね」

 

拳一「へへっ、どんなもんだい!」

 

イエローガンバー「ま、俺たちならこの程度……ってね!」

 

仁「何なら、もっと褒めてもいいんだぜ!」

 

サラマンディーネが称賛の声を上げる。それを聞いて、血気盛んな子供達は舞い上がっていた。

 

金太「調子に乗るなよ、拳一!」

 

レッドガンバー「まだ敵はいるんだからな!」

 

飛鳥「仁……そんな浮かれてると、すぐやられるぞ」

 

次いで、冷静な視点を持つ子供達が、彼らを抑える。

 

カズキ「……やれやれ、子供ってのはす〜ぐ調子に乗るんだから」

 

タクヤ「そういうカズキだって子供じゃん」

 

ダイ「まあまあ……でも、皆が頑張ったおかげで、結構楽になったんじゃない?」

 

アドベンジャー「そうだな、主達よ!」

 

ゴルドラン(見ているかエルドラン……貴方が託した、子供達の姿を……)

 

一方……戦力を全滅させられた歯車王は、苛立ちを募らせていた。

 

歯車王「おのれゴウザウラー……こうも安易と……! これではあの下等生物共を付け上がらせるだけではないか!」

 

そんな中、後ろからギーグが現れる。

 

ギーグ「歯車王様、ここは撤退を進めますです!」

 

歯車王「そうしたい所だが、奴はここで待てと言っていた……そうすれば、我々に機会があるとな!」

 

ギーグ「では、当初の手筈通りに?」

 

歯車王「ああ……奴の話に乗るのは癪だがな……!」

 

歯車をギリギリと鳴らし、不機嫌な様子を見せる歯車王……彼が見ている先には、悪態を吐く阿磨疎と壬魔使の姿があった。

 

阿磨疎「あ〜あ……ガラクタ共、ぶっ壊されちまった」

 

壬魔使「あんな役立たず共など放っておけ! 人間共、まだ俺達が残っているぞ!」

 

竜馬「そうやって吠えてられるのも今のうちだぜ!」

 

剣児「おおよ! てめぇらもまとめて、全滅だ!」

 

ゲッターロボとジーグを先頭として、味方の機体が鬼とハニワ幻神の群れへ突っ込んで行った。

 

〜戦闘再開〜

サラマンディーネ(対鬼or徒鼻羅)

サラマンディーネ「我らの敵、邪魔大王国と悪鬼共か……!」

サラマンディーネ「ドラグニウムを危険とする考えは理解できなくはない……だが、我らの敵である以上は!」

 

 

剣児(対鬼or徒鼻羅)

剣児「鬼の野郎に加えて、カラスみてえなハニワ野郎が相手かよ!」

剣児「どんな奴が相手だろうが、俺とジーグの敵じゃねえって事、教えてやるぜ!」

 

 

鏡(対徒鼻羅)

つばき「あのハニワ幻神、大きい上に速いなんて……ビッグシューターで、太刀打ちできるかどうか……!」

 

鏡「だが、それでもやるしかない……でなければ、やられるのは我々なのだからな!」

 

 

柳生(対徒鼻羅)

門子「このハニワ幻神……デケェ!」

 

身堂「デカさだけならお前も負けちゃいねえが……足が3本もある!」

 

門子「多けりゃいいってもんじゃねえだろ!」

 

柳生「八咫烏の化け物ってとこね……こんなのが暴れれば、こっちの被害も大きくなるわ……各機、直ちに動きを止めるぞ!」

 

 

竜馬(対鬼or徒鼻羅)

竜馬「鬼の奴ら、こんな所まで出張ってきやがって!」

 

隼人「奴らも邪魔大王国の尖兵だからな……そしてあのハニワ幻神、大きさもそうだが、スピードが桁違いだ……ここは俺に変われ、竜馬!」

 

弁慶「いや、デカい相手ならゲッター3が!」

 

竜馬「悪いな隼人、弁慶……こいつの相手なんざ、俺で十分だ!」

 

 

綾人(対徒鼻羅)

綾人(ハニワ幻神……か。MUのドーレムとかと似たような感じなのかな……もしかしたら、MUと邪魔大王国って、何かあったりして……)

綾人「……って、そんな事は後でも考えられるよな! まずはあいつらを倒すだけだ!」

 

 

〜〜〜

ハニワ幻神、徒鼻羅と戦うジーグ達。しかし……

 

剣児「は、速え! マッハドリルじゃ駄目だ!」

 

竜馬「デカブツのくせに、ちょこまかと動きやがって……!」

 

ヒルダ「何なんだよ、あの鳥野郎は……!」

 

ナオミ「私達の機体じゃ、とても追いつけそうにないよ!」

 

……スピードに翻弄され、思うように攻撃ができない状況であった。

 

鏡「ならば……つばき、あれを使うぞ!」

 

つばき「了解! スカイパーツ、シュート!」

 

隼人「竜馬……やはりここは俺が!」

 

竜馬「チッ……仕方ねえな。ヘマすんじゃねえぞ!」

 

隼人「当たり前だ……チェンジ、ゲッター2!」

 

アンジュ「こいつらの相手、こっちが引き受けるわ! ヴィルキスなら、こんな奴らなんて!」

 

ヴィヴィアン「アンジュが行くならあたしも! うおお〜!」

 

ビッグシューターから射出されたパーツを換装するジーグ、別形態へとチェンジするゲッター、出力を上げ空を翔けるヴィルキスとレイザー……各機が、徒鼻羅の群れへと向かっていく。

 

剣児「おお〜! こいつは速えや! これでやられたら笑いモンだぜ!」

 

隼人「音速を超えた戦いを見せてやる!」

 

アンジュ「やるわよ、ヴィルキス……全力で!」

 

ヴィヴィアン「あたしも頑張るにゃ〜!」

 

スカイジーグが飛行機のような姿へと変形し、ゲッター2がドリルを回し、ヴィルキスとレイザーが銃火器を撃ちながら、徒鼻羅へと突撃する。

 

剣児「こいつで止めだ!」

 

隼人「ドリル……アァァームッ!」

 

アンジュ「凍結バレット、食らいなさいっ!」

 

ヴィヴィアン「カチンコチンになれぇ〜っ!」

 

スカイジーグとゲッター2が徒鼻羅を貫き、ヴィルキスとレイザーが凍らせる……それが繰り返され、やがて徒鼻羅の群れは壊滅した。

 

サラマンディーネ「ミ……ヴィヴィアン、ビルキスの乗り手……そして、鋼鉄の防人にドラグニウムの戦鬼……ここまでやるとは……」

 

ヴィヴィアン「ありがとう、サラサラさん!」

 

アンジュ「ま……悪い気はしないわね」

 

剣児「美人の姉ちゃんに褒められちゃあ、こっちもやる気がビンビンだぜ!」

 

竜馬「へっ……見たかよ、これがゲッターの力だ!」

 

サラマンディーネがまたも感嘆の声を漏らす。それを聞き、得意気になるアンジュ達。

 

サリア「貴方達、そうやって調子に乗らないの!」

 

つばき「剣児ったら……すぐ鼻の下伸ばして……!」

 

門子「ははは! 後でキッツイお仕置きだな!」

 

隼人「竜馬……お前が得意になるな」

 

彼らが仲間達から叱責を受ける……その間に、鬼もまた全滅させられていた。

 

浩一「こっちも鬼は全員倒した!」

 

舞人「残るはあの戦艦だけだ!」

 

ヒイロ「ああ……ターゲット、ロックオン」

 

鬼を倒し、残るは大火焔偶……彼らの視線は、空中にぽつんと浮かぶそれに向いていた。

 

阿磨疎「ちっ……人間共が調子に乗ってんじゃねえぞぉ!!」

 

壬魔使「鬼や徒鼻羅を倒したくらいで、いい気になるなよ! 貴様等如き、我々だけでも十分だ!」

 

アキト「典型的な悪党の台詞だな!」

 

ウッソ「大きくて強いからって、脅せるなんて思ってっ!」

 

辰也「こいつらを倒せば終わりだ……行くぜ!」

 

士気を上げ、ロボット達が走る……戦いが、幕を開けた。

 

〜戦闘再開〜

サラマンディーネ(対大火焔偶)

壬魔使「妃魅禍様に抵抗する蜥蜴め……俺達が倒してやる!」

 

阿磨疎「ゲヘヘ……コックピットから体を引き抜いて、嬲ってやるぜぇぇ〜〜〜っ!」

 

サラマンディーネ「下郎め……貴様らなぞに容赦はしない……近衛中将サラマンディーネ、参るっ!」

 

 

アンジュ(対大火焔偶)

壬魔使「機械天使……完全に目覚める前に、潰す!」

 

阿磨疎「乗ってる人間も美味そうだ……涎が止まらねえ!」

 

アンジュ「品性下劣な化け物が……そう簡単に私を殺せると思ったら、大間違いよ!」

 

 

剣児(対大火焔偶)

壬魔使「ジーグ! お前を倒し、銅鐸を妃魅禍様に捧げるのだ!」

 

阿磨疎「妃魅禍様に褒められるのは俺だ! 俺がジーグをぶっ殺す!」

 

剣児「こいつら……ハニワ幻神とは違えな……けどよ、そんな事でこの草薙剣児様がビビるかってんだ!」

剣児「今に見てろよ邪魔大王国……全滅だ!」

 

 

鏡(対大火焔偶)

壬魔使「お前……多卦流か!」

 

阿磨疎「裏切り者はここでぶっ殺してやる!」

 

つばき「……鏡君、どういう事? あいつら何を……」

 

鏡「……いずれ話す……だが、今はただ俺と一緒に戦ってくれ、つばき」

 

つばき「鏡君……分かった! ずっと一緒に戦ってきたんだもの、私は鏡君を信じるわ!」

 

鏡「ありがとう、つばき……では、行くぞ!」

 

 

柳生(対大火焔偶)

壬魔使「ゾーンから消えた人間が2匹……ここで引導を渡してやるぞ!」

 

阿磨疎「そんな小せえ飛行機で、この大火焔偶に勝てると思ってんのかよ!」

 

身堂「黙れ、邪魔大王国……!」

 

門子「仲間の仇、そして未来のためにも、お前らは俺達が叩き潰してやるよ!」

 

柳生「その意気よ、2人共……大きいだけの相手なんかに、退いてはいられないわ!」

 

 

由木orシロー(対火焔偶)

壬魔使「魔神の模造品に髑髏の翼……だが何の事はない、捻り潰してくれるわ!」

 

阿磨疎「お前達に地獄を見せてやるぜ!」

 

シロー「地獄……かよ。あの2人に比べりゃ、随分と優しい地獄だな!」

 

由木「私達の前で、軽々しく地獄という言葉を使った事……後悔させてやるわ!」

 

 

竜馬(対大火焔偶)

壬魔使「ゲッター……お前達の存在は許されるものではない!」

 

阿磨疎「進化の……滅びの光は俺達が消してやる!」

 

隼人「邪魔大王国の奴ら……ゲッターを嫌うらしいな」

 

弁慶「俺達にとって好都合よ……行け、竜馬!」

 

竜馬「おおよ! 遠慮はいらねえ……味わわせてやるぜ、ゲッターの恐ろしさをな!」

 

 

綾人(対大火焔偶)

壬魔使「神の器……完全には目覚めきっていない今が好機!」

 

阿磨疎「不快な歌を奏でる前に、喉笛を噛みちぎってやるぜ!」

 

綾人「ラーゼフォンに手を出すなら、こっちだって戦う! そう簡単に、お前達の手にかかってたまるか!」

 

 

浩一(対大火焔偶)

壬魔使「カウンター・マキナ……お前を捕らえれば、こちらの戦力も増える」

 

阿磨疎「抵抗すんならぶっ壊してやるけどな……何てったって、マキナなんだからよぉ!」

 

浩一「オマエ達にラインバレルは壊させねェよ! 城崎を守るためにも……オマエらを倒す!」

 

 

JUDA(対大火焔偶)

壬魔使「マキナめ……貴様等の存在を許しておく訳にはいかん!」

 

阿磨疎「かつての恨み……ここで晴らしてやるゥゥ〜〜ッ!」

 

シズナ「何言っとるんや、アイツら……」

 

宗美「少し前に邪魔大王国と交戦したコトは知っていますが、それにしてもこの言い方は……!」

 

森次「深く恨みを募らせるタイプか、あるいは……まあいい、こちらもそう簡単にやられると思うな」

 

 

三日月or昭弘(対大火焔偶)

壬魔使「厄災戦の悪魔……話には聞いている! ここでお前達を倒せば、俺達の格も上がるというものだ!」

 

阿磨疎「悪魔程度が、俺達に敵うと思うなよ!」

 

昭弘「三日月……どうやら俺達、狙われてるみたいだぞ」

 

三日月「そう……別にいいよ。どうせ潰すのは、変わらないから」

 

 

エルドランロボ(対大火焔偶)

壬魔使「エルドランのロボット……邪魔をするのなら、叩き潰してやる!」

 

阿磨疎「ガキ共の肉も美味そうだなぁ……コックピットを潰して、まとめて食ってやるぜ!」

 

仁「俺たちを食おうとしたって、そうは行くかよ!」

 

イエローガンバー「ガンバーチームが悪者にビビってたら、笑われちまうぜ!」

 

拳一「邪魔大王国! 俺達はお前らなんかに負けねえからな!」

 

 

ゴルドランorアドベンジャー(対大火焔偶)

壬魔使「レジェンドラの勇者……1つでも欠ければ、真価を発揮する事はできん!」

 

阿磨疎「まあそんなのは関係なく、妃魅禍様に逆らうならぶっ壊すだけだけどなぁ!」

 

アドベンジャー「邪悪な者め……来るなら来い!」

 

ゴルドラン「主達とその仲間に危害を加えるならば、容赦はしない!」

 

 

凱(対大火焔偶)

壬魔使「カインの遺産……そして、破壊に連なる者……お前も警戒しなくてはならぬ……!」

 

阿磨疎「緑の星の宝玉も、厄介な奴だからな……ぶっ壊してやるぜ、ライオンロボ!」

 

凱「邪魔大王国め……ガオガイガーの何を知っているかは分からんが、向かってくるなら容赦はしない!」

凱「行くぜ! お前達の邪気と俺の勇気、どちらが強いかの勝負だ!」

 

 

辰也(対大火焔偶)

壬魔使「隠者の恒星……人間共の手に余る力は、我々邪魔大王国が貰い受ける!」

 

阿磨疎「嫌って言うならぶっ殺す! そこの女も美味そうだからなぁ!」

 

ジゼラ「あいつら……イールソウルを狙ってる……!」

 

辰也「ついでにお前もな……けど安心しろ、ジゼラ。あんな奴らに、お前を傷つけさせはしねえ!」

辰也「覚悟しやがれ、邪魔大王国! ジゼラとイールソウルには、指一本触れさせねえぞ!」

 

 

〜〜〜

剣児「食らえ、スピンストォォォーーームッ!!」

 

竜馬「ゲッタァァァーーービィィィーーームッ!!」

 

綾人「こいつを使えばいいのか……? よく分からないけど、それなら!」

 

ジーグやゲッター、ラーゼフォンの嵐やビーム、光の矢が大火焔偶へと向かう……が、大火焔偶には細かい傷がついただけであった。

 

壬魔使「どうした人間共! この程度で我々を倒そうなどと、片腹痛いわ!」

 

舞人「くっ……だが、俺達は諦めない!」

 

凱「見せてやるぜ、俺達の勇気をな!」

 

ドモン「この程度で屈する俺達と思うな!」

 

フォント「あんなに大きいなら、どこかに弱点はあるはずだ……!」

 

アキト「悪ってのは、この世に栄えないんだよ!」

 

なおも続けられる猛攻……しかし、結果は先程と変わらなかった。

 

阿磨疎「ふあ〜あ……あくびが出ちまうぜ……」

 

ヒルダ「クソが……舐めやがって!」

 

ジュンコ「これ以上は無駄玉ね……どうしてやろうかしら……!」

 

攻撃が無駄となり、戦意も削がれる……

 

サラマンディーネ「……最早、これしか手はないようですね……!」

 

……そんな中、焔龍號が飛翔する……そして、サラマンディーネは歌を歌い始めた。

 

ヴィヴィアン「! この歌……」

 

エルシャ「アンジュちゃんが歌ってるのと、同じ……」

 

アンジュ「どうして……あの女が永遠語りを……!?」

 

戦場に広がる歌声……それを聞いたアンジュが困惑する中、彼女の目に淡い光が入る。

視線を向けた先には、黄色い服を来た女が立っていた。

 

???「歌いなさい……ヴィルキス……」

 

アンジュ「!? だ、誰!?」

 

???「歌うの……受け継がれし歌……永遠を奏でる、星の旋律を……」

 

アンジュ「言ってる事は分からないけど……そうしろって言うんなら!」

 

謎の女の言葉に乗り、アンジュもサラマンディーネの歌に合わせ、歌い始めた。

 

サラマンディーネ「……何故に、偽りの民が真なる星歌を……」

 

アンジュ「そっちこそ、どうしてミスルギに伝わる永遠語りを知ってるのよ!」

 

サラマンディーネ「それは……しかし、今は!」

 

アンジュ「ええ……言い争いなんてしてる場合じゃないわ!」

 

わずかな諍いがありつつも、歌い続ける2人。

 

阿磨疎「グギギ……その不快な歌を止めろぉぉ〜〜っ!!」

 

壬魔使「ぐうぅ……早くしろ、晴明!」

 

阿磨疎と壬魔使は、苦しむ様子を見せていた。

 

サラマンディーネ「歌え……歌え……今2つの願いは……」

 

アンジュ「強く……強く……天の……金色と煌めく……」

 

アンジュ&サラマンディーネ「「永遠を……語らん……!」」

 

歌が終わったその瞬間……ヴィルキスと焔龍號の両肩に光が集まり……そして、竜巻が吹き出した。

 

剣児「うおわ! 何だよ……あの竜巻!」

 

つばき「スピンストームと同じ……いいえ、それ以上の威力……!」

 

ユリカ「よ〜し、やっちゃえ〜!」

 

2つの竜巻は大火焔偶へとぶつかる……どんな攻撃もものともしていなかった巨大な戦艦は、徐々に綻ぶ様を見せていた。

 

阿磨疎「ヒイィ……おいおい、やべえぞ!」

 

壬魔使「狼狽えるな阿磨疎! ここまでは我々の想定通りよ!」

 

ぼろぼろと崩れゆく大火焔偶……勝利が確信される一方、悪い予感を感じる者もいた。

 

ヒイロ「ゼロ……この未来は……!?」

 

ヴィヴィアン「空が……割れる……!」

 

アル「これは……! まずい……世界が崩れるぞ……!」

 

久遠『星の旋律……世界の揺らぎ……拓かれるは古の世界……駄目ぇぇぇーっ!!』

 

樹『久遠!? そうか、これは……!』

 

恵『アンジュ! 久遠さんが……とにかく、その竜巻を止めて!』

 

晴明「もう遅い! 貴様らの詰みよ!」

 

突如、今まで姿を消していた晴明が現れる……と、口を動かし、呪文を唱え始め───

 

 

 

 

 

───そして、世界が揺らいだ。

 

アンジュ「何……これ……!?」

 

サラマンディーネ「時空が……歪む……!」

 

竜馬「テメェ、何しやがった!」

 

晴明「我はただ、綻びを広げただけ……楔を打ち込んだのは貴様達だ……旋律を奏でる者共よ!」

 

アンジュ「何ですって!?」

 

オリファー「落ち着くんだ! 今優先すべきは何かを考えろ!」

 

オルガ「オリファーさんの言う通りだぜ……全員、イサリビとナデシコに戻れ!」

 

三日月「駄目だよオルガ……バルバトスが動かない……!」

 

剣児「ジーグもだ! 畜生……どうなってやがんだよ!」

 

九郎「どうしたよデモンベイン!? おい! 動きやがれ!」

 

アル「無駄だ九郎……この揺らぎには抗えぬ……!」

 

浩一「動け……動けよ、ラインバレル! じゃないと、皆が……!」

 

ジゼラ「このままじゃ……私達は……!」

 

辰也「ジゼラ……まだ、俺は……!」

 

押せども引けども動かぬ機体……その異常に、ただ焦りを募らせる者達。

 

綾人「くそっ……どうすれば……!」

 

???「綾人君……歌って……調和の歌を……せめて彼らが、孤独に震えないように……」

 

綾人「美嶋!」

 

そんな中、綾人の隣に立つのは、黄色い服の女……美嶋玲香。

 

綾人「分かったよ……どこまでやれるかは分からない……けど、せめて……!」

 

そう口にする綾人の目が赤く光る。ラーゼフォンもまた、体から光を放ち……叫ぶ。

 

ラーゼフォン「ラアァァァーーー!!」

 

ラーゼフォンの叫び……しかし、それをもってしても、揺らぎは止まる様相を見せなかった。

 

晴明「調律の神……今更貴様が何をしようと、全ては無駄よ!」

 

綾人「黙れよ……お前らの思い通りになんて……っ!」

 

揺らぎの中、なおも叫び続けるラーゼフォン……一方で歯車王は、何者かと話をしていた。

 

???『歯車王……今です。奴らの元へ飛び込むのですよ』

 

歯車王「貴様……!」

 

ギーグ「し、しかし……あの高エネルギー反応、下手をすれば我々も……!」

 

???『ご安心ください、死にはしません……まあ、命が惜しいのなら、ここに残っても構いませんよ……』

???『兵を失った事と、標的を追わなかった事に対する処罰を受けたいのであれば、ですがね』

 

歯車王「ぐっ……行くぞ、ギーグ!」

 

ギーグ「は、はいです!」

 

憤りを見せながら、揺らぎの中心へと向かう歯車王とギーグ。少しずつ大きくなる揺らぎは、やがて小さくなり、そして……

 

久遠『永遠の幻……忘れ去られし遥かなる地……導かれるは、宇宙の吹き溜まり……』

 

晴明「来たれ……鬼の棲む都……我が黒平安京へ……そして、夢と暴力が支配する退廃なる世界───

 

 

 

 

 

───エンドレス・イリュージョンへ!」

 

……収まった頃には、何の姿もない、青い海が広がっていた……。

 

〜九州・阿蘇〜

阿蘇の火口深く……妃魅禍は、巨大な鏡で事の成り行きを見ていた。

 

妃魅禍「奴達は行ったか……後は任せるぞ、貴様等……」

 

そう呟き、ちらと視線を横にやる……

 

妃魅禍「……そして、機械の者よ……横槍を入れた落とし前、どうつけてくれようか」

 

……そこには、機械の体をした存在……エンジン王の姿があった。

 

エンジン王「そう感情的にならないでください。我々は、あなた方の助けに参ったのですから」

 

妃魅禍「言葉を選べ。貴様等如きの助けなぞ、求めてはおらぬ」

 

エンジン王の言葉が癇に障ったのか、妃魅禍が睨みを利かせ、斧を彼に向けた。

 

エンジン王「それはそれは……しかし、かつての地球侵略において、あなた方が敗れたのもまた事実……それは我々も同じ事」

エンジン王「だからこそ、『奴ら』を倒すため、互いに手を組む必要がある……それが分からぬ女王ではないでしょう……と、口が過ぎましたかね」

 

一歩間違えれば首が飛ぶ……そんな窮地でも、平静を崩さないエンジン王。

 

妃魅禍「……妾を前に不遜な物言い……本来であれば、その首を飛ばしてやるところだが……」

 

緊迫する状況下……一息吐き、妃魅禍がエンジン王の首元に構えていた斧を降ろす。

 

妃魅禍「……いいだろう、貴様の主にも伝えよ……我々と貴様等とで、一時的に同盟を結んでやろうとな」

 

エンジン王「ええ……ご理解いただけたようで何よりです。全ては、鋼鉄の秩序のために……そして」

 

妃魅禍「忌まわしき『ヒト』の殲滅のためにな……!」

 

〜???〜

???「!」

 

どこかも分からぬ部屋……そこで、深緑色の燕尾服を着た金髪の男……エンブリヲが、何かを悟った。

 

加藤「どうした、エンブリヲ」

 

それに気づき、側にいた加藤が彼に声をかける。

 

エンブリヲ「この世界における、ファクターの一団が導かれたみたいだ……崩壊し忘れ去られた、あの懐かしき世界にね」

 

加藤「……そうか。まァいいさ、こっちはこっちで変わらず動くだけだ」

 

エンブリヲ「君達はそうするか、久嵩……ならば、私は見届けよう……この世界の行く末をね」

 

加藤「干渉するつもりはない……か。それはそれで構わんがな」

 

エンブリヲ「今はまだ、私の動く時ではない……それにあの一団には、私の興味に触れる者がいる……彼女がどう動き、そして世界がどう変わるか……私はそれを見てみたい」

 

もっとも、運命が変わった……いや、変えたのは彼女だけではないが……ね。

 

そう言い残し、エンブリヲは姿を消す。暫しして、加藤も部屋を出て行き、残るは光を通さない、黒き闇だけとなった……。




・中断メッセージ(三匹が行く)
竜馬「おい、もう終わるのかよ? ったく……いい所で辞めやがって……」

弁慶「情けない……と言いたい所だが、確かに休憩は必要だ……それをとやかく言う筋合いは、俺達にはない」

隼人「ああ……だが、できる限り早く戻ってくれ。ゲッターの……世界の行き着く果てを見るためにもな」

竜馬「それじゃ……またな、ダチ公!」
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