スーパーロボット大戦N   作:黒百合蜂

23 / 28
投稿、してみるか…

最近のスパロボで言えばチャプター2に入った辺りですね

色々と上手く回せたり書けてない所がありますが、読んで、どうぞ


第十七話 タキシードは晴天に舞う

〜御崎中学校・教室〜

がやがやとした話し声が聞こえる教室……その隅にぽつんと1人、読書をしている生徒……立花虎之助がいた。

 

虎之助「……」

 

辰也「よう! 何読んでんだよ、お前」

 

虎之助「……別に。関係ありませんよ、貴方には」

 

馴れ馴れしく話しかける辰也に、つんとした態度を向ける虎之助。

 

辰也「そんな事言うなって、同じクラスなんだから……で、ん〜と……『神の雷計画の真実』……これ、読んだ事あるぜ!」

 

虎之助「……本当ですか?」

 

辰也「おう! 俺、モビルスーツとかロボットとか、そういうのが大好きでよ! この本の中だと、特にクロスボーン・ガンダムってのが気に入っててな……」

 

虎之助「へえ……僕はどちらかと言えば、政争や陰謀、社会の流れといったものに興味を惹かれますが……」

 

……そうして、暫しの間2人は話し込む。教室に広がる喧騒が少しずつ収まり、チャイムが鳴る頃には、お互いの距離も縮んだようであった。

 

辰也「あ〜……もうこんな時間かよ……全然話し足りねえな」

 

虎之助「……また後で、話せばいいじゃないですか。同じクラスなんですから」

 

辰也「はは……そう言われりゃそうだな……っと、自己紹介がまだだったな。俺は瀧城辰也……お前は?」

 

虎之助「……虎之助。立花虎之助……ですよ」

 

すっかり打ち解けた雰囲気の2人が、お互いに軽く自己紹介を済ませる……穏やかに笑う虎之助の姿が、段々とぼやけていき……視界は白く、そして眩しく光る───

 

〜イールソウル・コックピット内〜

辰也「ん……」

 

目を開く……瞳に入るのは、ジゼラの顔。

 

ジゼラ「辰也さん! やっと起きたんですね!」

 

辰也「っ!?」

 

不安そうな顔から一転、明るい笑みを浮かべるジゼラ。辰也も驚きつつ、見知った顔に安堵した。

 

辰也「じ、ジゼラか……あれ……? 俺、確か虎之助と話してて……」

 

ジゼラ「何言ってるんですか? 私達は世界の揺らぎに巻き込まれて……」

 

辰也「! あ……そ、そうだったな……」

 

ジゼラにそう言われ、今までの事を思い返す辰也……ヴィルキス、赤いパラメイル、邪魔大王国、安倍晴明、ラーゼフォン……頭の中で、かちりかちりとピースがはまっていく。

 

辰也「……悪い! んな大変な時に俺、眠っちまってたみたいで……」

 

ジゼラ「いえ……辰也さんが謝る事は何も……それに、私もさっきまで気を失ってましたし……」

 

辰也「あ、ありがとよ……で、外はどうなって……」

 

辰也が外を眺める……

 

辰也「……って、どこなんだよ、ここは……」

 

……辺り一面には、のどかな平原が広がっていた……。

 

〜平原〜

イールソウルの中から、辺りを見回す辰也達。しかし、何度見返しても、そこにはただの平原しか映らなかった。

 

辰也「本当、何もねえな……」

 

ジゼラ「周りを探せば、誰か何かはあるかもしれませんが……」

 

辰也「だな……ちょっくら行ってみ……ん?」

 

何かの駆動音が、辰也達の耳に入る。

 

ジゼラ「この音……こっちに向かってきてる……?」

 

辰也「通りすがりの誰かか……もしかしたら、ここに飛ばされてきた仲間かもな!」

 

ジゼラ「はい! でも……万が一の場合も考えて、警戒しながら行きましょう」

 

辰也がイールソウルを動かす。散り散りになった仲間の誰かか、もしくは……そんな期待と不安を膨らませながら。

 

ジゼラ「! 見えました!」

 

辰也「そうか……お〜い!」

 

機体の影に、辰也が警戒しつつも呼びかける……が、影は動きを止めず───

 

 

 

 

 

───こちらに弾丸を放った。

 

辰也「!」

 

ジゼラ「撃ってきた……!?」

 

影が近づき、はっきりとした姿を現す……そこにいたのは、見知った仲間の機体ではなく───

 

 

 

 

 

───「過去」のモビルスーツだった。

 

辰也「は……待てよ……あれって……ザクじゃねえか!?」

 

ジゼラ「ザク……って、一年戦争の……?」

 

辰也達が驚く中、「ザク」……一年戦争時代のモビルスーツに乗っている野盗達は、仲間内で話していた。

 

野盗1「お前ら! 変なヨロイがこっちに来てるぜ!」

 

野盗2「ああ! 見た事もねえが……珍しい格好だな!」

 

野盗3「捕まえて俺達が使うか、どっかに売っ払うか……どっちにしろ、お宝だ!」

 

辰也「あいつら……ジオンの兵隊とかじゃなさそうだ……!」

 

ジゼラ「ええ……あの、すみません! こちらに戦う意思は……」

 

野盗1「獲物が何か言ってるぜ!」

 

野盗2「構わねえ、とっとと落とすぞ!」

 

ジゼラが通信を開く……が、野盗達は聞く耳を持たず、攻撃し続けた。

 

ジゼラ「どうやら、話を聞いてくれそうにはありませんね……だったら!」

 

辰也「ああ……遠慮はいらねえ! 返り討ちにしてやるぜ!」

 

訳の分からない状況に困惑しつつも、ひとまずは目の前の敵を倒す事にした辰也達……そのまま、モビルスーツの方へと走っていった。

 

〜戦闘開始〜

辰也(初戦闘時)

辰也「目の前にいるのはジオンのモビルスーツ……俺達、ひょっとしてタイムスリップしちまったのか?」

 

ジゼラ「それは分かりませんが……まずは目の前の敵を倒しましょう!」

 

辰也「そうだな……行くぜ、イールソウル!」

 

 

辰也(対野盗)

辰也「なあ! あんたらジオンじゃねえのかよ! それ、ザクだろ!?」

 

野盗1「ジオ……何だって? ヨロイの名前か?」

 

野盗2「それにザクって何だよ? こいつはボルジャーノンだぞ?」

 

辰也「は……ジオンを知らねえ……? それに、ヨロイって……」

 

ジゼラ「ボルジャーノン……って、そういうモビルスーツがあるんですか?」

 

辰也「いや……そんな名前のは聞いた事ねえ……てかあれ、ザクにしか見えねえし……」

 

野盗3「こいつ、物を知らねえ田舎モンだぜ! なおさらいいカモだ!」

 

野盗1「おう! 使えそうならそのまま捕獲、そうでなくともバラせば売れるぜ!」

 

辰也「クソっ……訳分かんねえけど、イールソウルに手を出すってんなら、こっちだってやってやるぜ!」

 

 

〜〜〜

ジゼラ「辰也さん、今です!」

 

辰也「ああ! 食らえ、ファッシオ・ランチャライジ!」

 

イールソウルのビームで、ザク……いや、ボルジャーノンにダメージを与える。

 

野盗1「な……何だよこの兵器! こんなの撃てるヨロイなんか知らねえぞ!」

 

野盗2「まさかこいつ、オーバーマンだったのか!? それともアンチボディか、はたまた新しく発掘されたモビルスーツ……」

 

野盗3「知るか! とにかく逃げるぞ! こんなの、(かしら)でもなきゃ戦えねえ!」

 

野盗達は、一目散に逃げ出した。

 

辰也「行ったか……あいつら、最後まで意味分かんねえ事ばっか言いやがって……」

 

ジゼラ「ええ……でも、もう大丈夫そうですね……それじゃあ、誰かいないか探しましょうか」

 

辰也「ああ……注意して進むぞ……」

 

野盗達を退けた辰也達……どこかにいるかもしれない仲間を探し、イールソウルを進めていった……。

 

〜とある町〜

仲間を探して、右往左往する辰也達……しかし、どこにも見知った者はおらず、すっかり気落ちしてしまう。

……そんな中見つけた小さな町……辰也達は情報収集や休憩も兼ねて、そこに行く事にした。

そして現在……辰也達はその町で食事を摂っている。

 

辰也「いや〜……美味えなこれ!」

 

ジゼラ「はい……! 疲れた体に染み渡ります……!」

 

辰也「一見すると普通のホットドッグにコーラだけどよ……」

 

ジゼラ「お腹が空いてるから、いつもより美味しく感じますね!」

 

舌鼓を打つ2人。空腹は最高のスパイスとは、よく言ったものである。

 

辰也「金も心配なさそうだよな……これ買った時、手持ちのもんは使えなかったけど……」

 

ジゼラ「『旧時代の貨幣なら、あそこにある古物屋に行けば交換してもらえる』とか何とかで、逆にいっぱい貰っちゃって……」

 

辰也「マニアってのは、どこにでもいるもんなんだな!」

 

辰也が朗らかに笑いながらそう放つ……が、その直後、目を伏せながら口を開いた。

 

辰也「……やっぱ俺ら、別の時代に来たのかな……さっきは過去だとか思ったけど……」

 

ジゼラ「逆に、未来の可能性もありますよね……」

 

店員の言葉を思い出し、自分達が異なる時代に来た事を改めて自覚する。

 

辰也「……ま、分かんねえ事考えても仕方ねえ! まずは、俺達にできる事をやってくだけだ!」

 

ジゼラ「そうですね……っ!!?」

 

辰也が更に気持ちを切り替え、明るく前向きに努める。ジゼラもそれに同調しようとした瞬間……彼女は青ざめた。

 

辰也「ジゼラ!? どうしたんだよ!? まさか……腹痛か!?」

 

ジゼラ「い、いえ……そういう訳では……あの、一応言っておきます……後ろ、振り返らない方がいいですよ……」

 

辰也「え……?」

 

ジゼラの言葉に、思わず振り返ってしまう辰也。そこには───

 

 

 

 

 

???1「……いつもの事だけど……あなた、調味料かけ過ぎよ!」

 

???2「うるせえな……こうじゃなきゃ味しねえんだよ」

 

 

 

 

 

───沢山の調味料がかけられたホットドッグ……というよりは、ドロドロとした何かの塊を手に持つ黒いタキシードの男と、それを咎めるお下げの少女の姿があった。

 

辰也「……は?」

 

辰也が固まる中、男は塊に齧り付き、「うまーい!」と声を上げていた。

 

辰也「な……なあ、あれ……マジで食ってんのかよ……?」

 

ジゼラ「だから言ったじゃないですか……」

 

信じられない光景に、血の気が引く2人……思わず、口元を押さえていた。

 

辰也「俺……何か気持ち悪くなってきたぜ……」

 

ジゼラ「せっかく食べたのに……うう、吐きそう……」

 

???1「……ほら、あそこの2人も引いちゃってるわ」

 

???2「あ……その……すみません……」

 

それに気づいたのか、男が辰也達の前へと向かい、しおらしく頭を下げる。

 

ジゼラ「あ、いえ……お気になさらず……」

 

辰也「こっちこそすみません……変な目で見ちゃって……」

 

???1「いいえ……迷惑をかけたのはこっちの方なので……」

 

???2「……ところで、お前ら」

 

辰也「な、何ですか……?」

 

唐突に、男が問いかける。先程までのしおらしい態度とは一転、鋭い刃のような雰囲気を纏う彼に、思わず緊張が走る。

 

???2「お前ら……右腕がカギ爪の男を知らないか?」

 

辰也「え……?」

 

ジゼラ「いえ……知りませんけど……」

 

???2「そうか……」

 

辰也達の答えに、肩を竦める男。くるりと背中を向け、とぼとぼと歩き出していった。

 

???2「あ、それと……そこのトゲトゲ頭のお前……その女を大事にな」

 

……今度は顔だけを2人に向け、そう言い放つ。

 

辰也「……そんなの、言われなくても分かってますよ……ジゼラは、俺の大切な仲間なんですから」

 

ジゼラ「た、辰也さん……」

 

???2「フ……」

 

真っ直ぐな目を向け、そう答える辰也……そしてそれを聞き、ほんのりと顔が赤くなるジゼラ……2人の姿を見て、男が少しだけ口角を上げ、そして顔を前へと戻し、先を歩いていった。

続いて、付き添いの少女が2人に頭を下げて、彼の後ろに着いていく……辰也達は暫し、彼らから目を離せずにいた。

 

ジゼラ「……あの人達、一体……」

 

辰也「さあ……でも、そんなに悪い人達でもなさそうだったな……んじゃ、飯も食ったし気を取り直して───」

 

辰也がそう言った瞬間───

 

 

 

 

 

───突如、謎の揺れが町を襲った。

 

辰也「どわっ!?」

 

ジゼラ「な、何……」

 

突然の事態に2人が混乱している……と、町の外側には例のモビルスーツ……ボルジャーノンの集団と、赤く丸っこい形をした機体の姿があった。

 

野盗1「頭ぁ! 多分ですけど、この町にいそうですぜ……俺らをボコした、変なヨロイ野郎が!」

 

野盗「いいや、オーバーマンかモビルスーツだ! そうでなくちゃ、あの兵器の説明がつかねえ!」

 

野盗3「んな事どうでもいいだろ!」

 

コレン「おうおうおう! 俺の可愛い部下をいじめた奴……とっとと出てきなぁ!」

 

赤いモビルスーツ……カプルに乗った男……コレン・ナンダーがそう叫ぶ。

 

辰也「あいつら……さっきの奴らじゃねえか!?」

 

ジゼラ「ええ……どうやら、目的は私達みたいですね……!」

 

辰也「らしいな……だったらやる事は1つ……ここの人達を守るためにも!」

 

そう叫び、辰也達が町の外まで走る。そして……

 

辰也「出ろ! イールソウル!」

 

……地中から、橙色の巨人……イールソウルが現れた。

 

野盗1「! 出ました! あいつです!」

 

野盗2「あいつが俺達を……!」

 

野盗3「とっととシメちまってくだせえ、頭ぁ!」

 

コレン「バカモンが、お前達もやるんだよ! 自分の尻は自分で拭くのが、社会の常識ってなぁ!」

 

辰也「野盗が常識語ってんじゃねえぞ!」

 

ジゼラ「町に被害は出させません……私達が食い止めます!」

 

イールソウルが野盗達の方へと走る……町を守るための戦いが始まった。

 

〜戦闘開始〜

辰也(初戦闘時)

辰也「成り行き任せになっちまったが、この町の人達を守るために……!」

 

ジゼラ「そして、仲間の皆さんに会うためにも……私達は戦います!」

 

辰也「ああ! 皆に会えずに、くたばってたまるかよ!」

 

 

辰也(対野盗)

野盗1「さっきの奴! 頭が来たからには、お前なんざコテンパンよ!」

 

野盗2「俺たちゃ、泣く子も黙るワイルドバンチ! やられた事は、万倍にして返してやるぜ!」

 

ジゼラ「な、何て身勝手な……先に仕掛けたのはそっちでしょう!」

 

辰也「悪党に理屈は通じねえんだ……って訳で行くぜ!」

 

 

辰也(対コレン)

コレン「可愛い部下をいじめた報い、食らわせてやるぜ……立髪付き!」

 

辰也「そうかよ……だったら返り討ちにしてやるぜ!」

 

ジゼラ「はい……町を守るためにも、行きますよ!」

 

 

コレン(初戦闘時)

コレン(ガンダムの野郎にやられて、気がつきゃあれよあれよとゴロツキ共のボスかい……)

コレン「ま……そんな生き方も悪くねぇし……何より! 俺にとっちゃあこっちのも、性に合ってるかもってなぁ!」

 

 

〜〜〜

辰也「1……2……3っ!」

 

イールソウルが剣を使って、ボルジャーノン達を倒していく。

 

野盗1「くそっ! やられちまった!」

 

野盗2「頼んます、頭! 俺達の仇を!」

 

コレン「当ったり前よぉ! あの立髪にぃ……ロケットパンチ!」

 

遠くから、コレンの乗る赤い機体……カプルがイールソウルに向かい、拳を飛ばした。

 

辰也「なっ!?」

 

コレン「見たか! 飛ばせ鉄拳……ってなぁ!」

 

辰也「モビルスーツがロケットパンチかよ!? そういう機体も考えた事はあるけど……!」

 

ジゼラ「そんな事、言ってる場合じゃない……!」

 

コレン「どうしたよ、立髪付き! 昔みたいに暴れてくれよぉ!」

 

辰也「……あ? あんた何言ってんだよ?」

 

コレンの叫びに疑問を抱き、辰也が訊ねる。

 

コレン「立髪付きの太陽さんよぉ! 昔は色んな奴らと戦って、周りを照らしてたんだよなぁ!?」

 

ジゼラ「この人……イールソウルを知ってる……?」

 

コレン「それとも、敵がいなくて寂しいってか? だったらぁ、もっと連れてきてやるぜ!」

 

コレンがそう言うと、カプルの後ろから、多数のボルジャーノンやシルエットマシン……ドゴッゾが現れた。

 

コレン「シベ鉄共からかっぱらってきた、シルエットマシンの試し撃ちよぉ!」

 

野盗4「了解ですぜ、頭ぁ!」

 

野盗の乗るドゴッゾが、イールソウルに向かって機関砲を放つ。はずみで流れ弾が、町の方にまで飛んでいった。

 

辰也「くそっ! 今は考え事してる場合じゃねえか!」

 

ジゼラ「はい……それに、町の方にも被害が……!」

 

コレン「そうかぁ! 町に当たるなら……奴も出てくるかもなぁ!」

 

辰也「え……」

 

ジゼラ「その言い方……もしかして、目的は私達以外にも……?」

 

ジゼラが疑問を呟く……それに応じてか、コレンが勢いよく口を開いた。

 

コレン「言ってなかったかぁ! 俺には倒さなきゃならねえもんが3つある! 1つはヒゲのガンダム……2つ目はお前ら立髪付き! そして最後は……前の頭を倒したヨロイ乗りだ!」

コレン「そいつはどうやら、そこの町にいるみたいでなぁ……この際、まとめて倒してやるってんだよ!」

 

辰也「言ってる意味が分かんねえよ!」

 

コレン「分からなくても、こっちは分かる! 出てこいよ、『ラッキー泥棒のヴァン』!」

 

〜〜〜

逃げ惑う町民の流れの中……タキシードの男……ヴァンと、お下げの少女……ウェンディ・ギャレットは立ち止まり、野盗の機体へと目を向ける。

 

ウェンディ「ヴァン! あの人達、私達を狙ってるみたいよ!」

 

ヴァン「ああ……ご指名だってんなら……」

 

そうして、2人は流れに逆らい、野盗の方へと向かっていった……。

 

 

 

第十七話 タキシードは晴天に舞う

 

 

 

〜〜〜

町の入口……そこにヴァンとウェンディが辿り着く。

 

ヴァン「……」

 

野盗4「! あ、あいつだ!」

 

野盗5「奴が前の頭を倒した男……!」

 

野盗6「『ラッキー泥棒のヴァン』だ!」

 

辰也「あ……あの人って……」

 

ジゼラ「さっきの人じゃないですか!?」

 

野盗や辰也達の言葉もどこ吹く風……ヴァンは帽子に付いていたリングに指を通し、くるりと逆方向へ回す……そして、手に持っていた刀で、V字を切る───

 

 

 

 

 

───と、空から現れた巨大な剣が、地面に勢いよく突き刺さった。

 

ヴァン「ウェイクアップ、ダン」

 

ヴァンが剣の中に入り、自身の剣をコックピットに突き立て、そう言い放つ……と、巨大な剣は人型のヨロイ……「ダン・オブ・サーズデイ」へと変形した。

 

コレン「会いたかったぜぇ……『ラッキー泥棒のヴァン』ちゃんよぉ!」

 

ヴァン「違うね……今の俺は『夜明けのヴァン』だ!」

 

ヴァンとコレンの問答……その間、辰也は目を輝かせていた。

 

辰也「かっけえな、あの機体……! 剣から人に変形しやがった!」

 

ジゼラ「そうなると思ってましたよ……でも辰也さん、今は……」

 

辰也「分かってるぜ……今はまず、悪党共を退治するぞ!」

 

ヴァン「狙いは俺達だろ? 相手してやる……来いよ」

 

コレン「俺達は元からそのつもりだぁ! 立髪野郎に剣のヨロイ……ここでケリをつけてやるぜぇ!」

 

カプルが、ダンとイールソウルの方へと向かい……戦いの火蓋が切られた。

 

〜戦闘再開〜

辰也(初戦闘時)

辰也「いや〜すげぇなあれ! 変形するロボットは色々見てきたけどよ……武器から人形(ひとがた)ってのは見た事ねえ! 俺、ああいうの大好きだ!」

 

ジゼラ「辰也さん……あの……」

 

辰也「分かってるっての! 今は町を守んなきゃいけねえし、それに……分かんねえ事とか色々あるしな……って訳で行くぜ、イールソウル!」

 

 

辰也(対ドゴッゾ)

辰也「これも見た事ない機体だけど……ヨロイって奴なのか?」

 

ジゼラ「さあ……でもこの機関銃、放っておいたら……!」

 

辰也「ああ……町がめちゃくちゃになる前に、ここで止めるぞ!」

 

 

辰也(対コレン)

ジゼラ「貴方は、イールソウルの事を知ってるんですか!?」

 

コレン「だってそうだろぉ? 黒い歴史に飲み込まれちまって、輝きを失っちまった太陽さんなんだからよぉ!」

 

ジゼラ「訳が分からない……けど!」

 

辰也「何か知ってるってんなら、話を聞かせてもらうぜ……その機体を止めてからな!」

 

 

ヴァン(初戦闘時)

ヴァン「ツンツン頭と連れの女……お前らに任せてもよかったんだが……奴ら、どうやら俺も狙ってるみたいなんでね」

ヴァン「……リベンジなら受けてやるよ……行くぞ、ダン!」

 

 

ヴァン(対野盗)

ヴァン「エヴァーグリーンを襲った奴ら……また会う事になるなんてな」

ヴァン「……前のボスに伝えといてくれ……お前に返すラッキーはねえってな」

 

 

ヴァン(対ドゴッゾ)

ヴァン「シベ鉄のシルエットマシン……こんなチンピラ共には勿体ねえんじゃねえか?」

ヴァン「ま、いいか……どうせ、お前らも倒されるんだからな!」

 

 

ヴァン(対コレン)

コレン「剣のヨロイに乗っかった、『夜明けのヴァン』ちゃんよぉ! 盗ったもんは返さんとなぁ!」

 

ヴァン「悪いな……お前らに返すもんなんてねえんだよ……って訳でやられてもらうぜ、赤いまん丸のモビルスーツ!」

 

 

〜〜〜

辰也「どいてろ、ザク……いや、ボルジャーノン!」

 

ヴァン「シベ鉄ってのもだらしねえな……こんな奴らに、機体を奪われるなんてよ!」

 

イールソウルとダン・オブ・サーズデイが、ボルジャーノンやドゴッゾの群れを剣で斬り払う。

 

野盗4「クソ……せっかく掘り出してきたのに!」

 

野盗5「シベ鉄め、わざと使えねえ機体を奪わせやがったな!」

 

野盗6「と、とにかく逃げるぞ! 後は頭が……!」

 

戦意を喪失した野盗達……ボルジャーノンから降り、あるいは上半身だけになったドゴッゾを無理矢理這いずらせ、逃げていった。

 

ジゼラ「ま、真っ二つなのに動いてる……」

 

辰也「爆発もしてねえし、すごい技術だな……」

 

ヴァン「……あんなに遅いなら、普通に降りた方がよくねえか?」

 

辰也「そ、それはまあ……で、残るは……っ!」

 

辰也がカプルの方を向く……と、そこには棍棒を振りかぶった、赤い球の姿が。

 

コレン「悪いな部下達よ……だが、お前達のおかげで、もらったぁ!」

 

ジゼラ「来るっ!」

 

辰也「危ねえっ!」

 

カプルの攻撃を剣で防ぎ、暫しの鍔迫り合いの後に、弾く……桁違いのパワー相手には、それで精一杯であった。

 

辰也「くっ……何なんだよ、このモビルスーツ……!」

 

コレン「ビビってんなぁ、立髪野郎! んじゃ、こいつで止めと行くぜぇっ!!」

 

コレンが叫び、カプルが拳を構え、飛ばす……

 

ヴァン「させねえよ」

 

……そこにダンが割り込み、飛んできた拳を真っ二つに切り裂く……その勢いのまま、カプルへと突っ込み───

 

 

 

 

 

ヴァン「チェェェーーーストォォォーーーッ!!」

 

 

 

 

 

───返す刀で、機体を切り裂いた。

 

ヴァン「……」

 

ちりん……と、帽子に付いたリングが微かに、しかしはっきりと鳴り響いた。

 

コレン「くっ……クソォォォ〜〜〜っ!!」

 

爆発し、宙を舞う残骸……そこから命からがら、コレンが脱出する。

 

コレン「ええい、こうなりゃ逃げるが勝ちよ! 覚えていろぃ、立髪野郎に『夜明けのヴァン』!」

 

辰也「待てよ! あんたには聞きたい事が……!」

 

ヴァン「逃げる前に聞かせてもらうぜ……お前、右手がカギ爪の男を知らねえか?」

 

コレン「知るかよ! そんな奴、見た事も聞いた事もねえ! 立髪野郎はともかくな!」

 

ジゼラ「やっぱり……イールソウルを……!」

 

コレン「んじゃ、ごたごた話してる暇があったら、とっととお(いとま)させてもらうぜ!」

 

ヴァン「ちっ……」

 

辰也「おい、まだ話は終わってねえ……って」

 

ジゼラ「もう……いなくなっちゃったみたいですね……」

 

既に見えぬ所まで消えてしまったコレン。辰也達は呆然と、その光景を眺めていた。

 

ヴァン「終わりか……」

 

暫ししてヴァンがそう呟き、機体から降りる。ダンは剣に戻り、空へと昇っていった。

そしてそれと共に、辰也達も機体から降りた……。

 

〜町・郊外〜

ジゼラ「あの……助けてくださって、ありがとうございます!」

 

ジゼラと辰也が、ヴァンの下へと向かい、頭を下げる……それを面倒くさそうに眺めるヴァン。

 

ヴァン「別に……奴らが俺を狙ってたから、返り討ちにしただけだ」

 

辰也「でも、助かったのは事実ですよ……俺達も、この町も」

 

ウェンディ「そうよ。皆が戦ったから、全部守れたの……貴方のおかげでもあるのよ、ヴァン」

 

ヴァン「ま……そういう事にしとくか」

 

ふぅ……とヴァンがため息を吐く。

 

辰也「あ……そう言えば、自己紹介がまだでしたね。俺、瀧城辰也って言います」

 

ジゼラ「ジゼラ・ジェノです」

 

ウェンディ「ジゼラさんに辰也さん……ですね。私はウェンディ・ギャレットです。で、彼が……」

 

ヴァン「ヴァン……『夜明けのヴァン』だ」

 

それぞれが改めて、自己紹介を行う。

 

ジゼラ「夜明けの……ヴァン……」

 

辰也「何か……かっこいいですね!」

 

ヴァン「そうか? 俺もこの通り名、しっくり来てるんだよな」

 

ウェンディ「ところで……お2人も旅をしてるんですか?」

 

挟まれたウェンディの質問に、頭を抱えながら考え込む辰也達。

 

辰也「えっと……まあ、似たようなもんかな」

 

ジゼラ「私達、色んな人達と一緒にいたんですけど……その、逸れてしまって……」

 

ヴァン「じゃあ……迷子って事か?」

 

辰也「それとはちょっと違うような……けど……そんな感じですね」

 

ウェンディ「それじゃあ、つまり……人探しの旅を?」

 

ジゼラ「は、はい……そんな所です。で、そちらは……?」

 

辰也「ヴァンさん、カギ爪がどうのとか言ってたけど……それも関係あったり?」

 

ヴァン「……ああ。俺はそいつを……カギ爪の男を見つけ出して……殺す」

 

辰也「え……」

 

ジゼラ「殺す……?」

 

淡々と、しかし怒りの籠った声を発するヴァン。それを聞いた辰也とジゼラは、ただ少しばかりの声を発するも、黙る事しかできなかった……。




・中断メッセージ(ヴァンの呟き)
ヴァン「あ……もう終わりか? ま、仕方ねえな……」
ヴァン「その代わり、休んだらとっとと再開しろよ……でないと、お前らがいない間にカギ爪の野郎を殺しちまうからな」
ヴァン「……あー、それとな……確か、どっかの誰かから聞いたんだけどよ……俺のヨロイに似たようなのが、あと6体はいるみたいでな……上手い事やれば、こっちに来るとか何とかで……」
ヴァン「……とにかく、とっとと戻って来い。それじゃあな」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。