スーパーロボット大戦N   作:黒百合蜂

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鉄のラインバレル完全版、発売中です!!
ラインバレルを知ってる方もそうでない方も、ぜひ手にとって読んで下さい!!
では本編スタートです!!


第三話 クロガネと少年

~JUDA社長室~

石神「……というワケで、キミも今日からJUDA特務室の仲間だ」

 

ジゼラ「あ……ありがとうございます」

 

正式にJUDAの一員となったジゼラ。ぎこちないながらも、嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 

辰也「おめでとう、ジゼラ!」

 

ジゼラ「あ……ありがとう、瀧城……さん」

 

辰也「別に遠慮すんなって! 辰也でいいぜ」

 

ジゼラ「は、はい……」

 

石神「……えーっと、次……いいかな?」

 

辰也「あっ、すみません……」

 

コホン、と咳払いをし、声を掛ける石神。

申し訳なく縮こまる辰也。

 

石神「瀧城クンとジゼラ君の体の方を調べさせてもらったケド、体調面においては今のところ、どこにも問題はなかったよ。ただ……ジゼラ君はどうやら記憶喪失で、色々よく分かってないみたいなんだ」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「そうなんすか……」

 

先程までとは一転、ジゼラの表情が曇る。

 

辰也「……ま、一度失ったモンでも取り戻せるんなら取り戻しゃあいいんだ。だからそう心配すんな! 俺も一緒に、やれる事はやるからよ!」

 

そんなジゼラを、辰也が励ます。依然として表情は曇っているが、心なしか少し晴れたようだった。

 

石神「……で、ジゼラ君には早速、仕事をしてもらおう。内容はある人物の調査なんだケド、詳しいコトはこの部屋に行って、そこにいる人に聞いてね」

 

社内の地図を渡し、指示を出す。

 

ジゼラ「分かりました」

 

指示を受けた後、立ち去ろうとするジゼラ。辰也もそれに釣られ、出て行こうとする。

 

石神「あっ、その前に話したいコトがあるんだ。ちょっと待っててね」

 

ジゼラ「?」

 

そんな2人を呼び止める石神。

 

石神「それじゃあ瀧城クン、何故キミをJUDAに誘ったのかを話そう。何しろ僕が言ったんだよ、森次クンにキミらとコンタクトを取れってね」

 

辰也「……そういや、森次さんはそんな事を言ってましたね。どういう事なんですか?」

 

石神「山下クン越しにスタジアムでの戦いを見ていて、気になったからだよ。あのロボット……イールソウルとソレを動かしていたキミにね」

石神「当初我々はあの機体をマキナだと思っていた……でも調べた結果、キミはいたって普通の高校生で、逆にあの機体には未知の部分が多い。つまりキミたちは、マキナとファクターというカテゴリーには当てはまらない」

石神「そもそも、キミがあの機体を発見した時には、コックピットにはジゼラ君がいたんだろう?」

 

こくり、とうなずく辰也。

 

石神「本来、1人のファクターにつき1つのマキナが必要だ。ケド、ファクターが2人存在するマキナは今まで報告されていない……つまり、そういうコトさ」

 

辰也「なるほど……そういえばさっき、社長はその2つについて説明してましたけど……もっと詳しく教えてくれませんか? マキナ、そしてファクターについて」

 

石神「ふむ……」

 

石神が口を開く。

 

石神「未知の技術によって造られた機械で、それを操縦できる特別な存在がファクターだ……というコトは話したよね?」

 

辰也「はい」

 

石神「ソレじゃあ、どうやってファクターが生まれるのかを説明しよう。そもそも、本来マキナは人に危害を加えてはいけないように造られている。ケド、不慮の事故で人を殺してしまった場合、マキナはその人にナノマシンを送り込んで蘇生させるんだ」

石神「そしてその蘇生した人間はファクターとなり、マキナを動かすコトが出来る」

 

辰也「! じゃあ……!」

 

山下を思い浮かべる辰也。話の通りなら、山下は一度死んでいるはずだ。

 

石神「いや、山下クンは死んではいない。彼は元々重い病気にかかっていてね……その時にマキナが『生命の危機を感知』し、山下クンを死なせないようにナノマシンを送り込んだんだ」

 

辰也「何だ、そっか……」

 

死んではいない事が分かり、安堵する辰也。尤も、仮に死んでいたとしても、2人の関係は変わらなかったであろう。

 

石神「……さてと、ここまでの説明で分からない所はあるかい?」

 

辰也「いえ、大体分かりました」

 

マキナやファクターについて改めて理解する辰也。しかし、自身がファクターでなく、そしてイールソウルがマキナでないとすると───

 

石神「じゃあアレは何なのか、って話なんだよねェ……」

 

辰也「……」

 

石神「まあ、今分からないコトを考えてもしょうがない。分からないなら調べればいいだけの話さ! ってコトで今日は解散、ジゼラ君はさっきの通りにね!」

 

辰也&ジゼラ「「了解しました」」

 

社長室から2人が出て行く。

 

石神「……」

 

……まァ、そのジゼラ君とイールソウルがどこから来たのか、が問題なんだケドね。先程の襲撃を考えると、もしかしたらエレミタが関わっているのかな?

 

……と、誰もいない社長室で、石神は考えていた。

 

~JUDA・とある一室~

ジゼラ「失礼します」

 

JUDAのとある一室に入るジゼラ。ドアを開けると、黒髪で自分と同じような背丈の少女……城崎絵美がいた。

 

城崎「あなたは……」

 

ジゼラ「は、初めまして。この度JUDAの一員となりました、ジゼラ・ジェノです……色々至らない点があると思いますが、よろしくお願いします」

 

城崎「ジゼラ・ジェノさんですね……社長から話は聞いています。私は城崎絵美と言います、こちらこそよろしくお願いします」

 

お互いに挨拶を交わし、話をする。

 

ジゼラ「それで、社長から言われた例の調査って……」

 

城崎「そうですね……私たちの任務は、とある中学校に潜入するコトです」

 

ジゼラ「潜入……?」

 

城崎「はい、その中学校にはファクターが在籍しています。その人の監視のためにです」

 

ジゼラ「なるほど……ちなみにそのファクターとは?」

 

城崎「……早瀬……早瀬浩一です」

 

城崎の提示した資料には、そのファクターの情報と、茶髪の少年の写真が貼られていた。

 

 

 

第三話 クロガネと少年

 

 

 

~翌日・御崎中学校~

浩一「……」

 

窓際の席で頬杖をつき、外を眺めているのは例の少年……早瀬浩一だった。

 

矢島(浩一……)

 

友達である矢島英明は、そんな彼を心配していた。

浩一は無気力になっていた。昨日のヴァーダントの一戦で、力の差というモノを見せつけられたのだ。

 

オレは……打ちのめされたんだ……昨日のあの時……

畜生……強くなれたと思ったのに……!

 

浩一の心は、悔しさと怒りと怨嗟で混沌としている。

 

理沙子「……ねぇ矢島、浩一の奴どうしちゃったの?」

 

もう1人の友人……新山理沙子も、浩一を心配している。

 

矢島「……言うな」

 

理沙子「……」

 

いつもと違う、静かだが同時に怒気を孕んだ矢島の剣幕に対して何も言えなくなる理沙子。

 

先生「みんな、席に着いたな。それでは授業を始める……前に突然だが、転校生を紹介する。しかも、2人いるぞ」

 

ざわつく教室。転校生、それも2人いるのだ。中学生にとって心が躍らない訳は無い。

 

先生「それでは、自己紹介をしてもらおう」

 

がらり……とドアが開き、2人の美少女が入ってくる。

 

城崎「今日からこの学校に転校してきました、城崎絵美です」

 

ジゼラ「お、同じく転校してきました、ジゼラ・ジェノです……」

 

浩一「……!」

 

おいおいマジかよ……!

 

しかも女子って……!

 

どっちも可愛くね!?

 

沸き上がる歓声。

 

先生「はいじゃあ静かに! 自己紹介も済んだコトだし、授業を始めるぞー」

 

先生の言葉のすぐ後に、授業開始の鐘が鳴った。

 

~数日後・JUDA社長室~

森次「失礼します」

 

辰也「社長から呼び出しなんて、何かあったんですか?」

 

森次と辰也が入ってきた。

 

石神「よく来てくれたね」

 

森次「どういう用件でしょうか」

 

石神「森次クン、前回キミが戦ったラインバレルだケド、やっぱり回収しちゃってくんない?」

 

ライン……バレル……?

 

聞き慣れない言葉に戸惑う辰也。

 

辰也「それも……マキナなんですか?」

 

石神「そう。森次クンがキミ達に会う前に相手をしていたんだよ……で、マキナだからもちろんファクターがいるんだケド……彼、全然行動しないんだ」

石神「ここ数日間、城崎クンやジゼラ君からの報告にも変化は見られないし……というワケで、二度手間取らせるようで悪いんだけどさ、よろしく頼むよ」

 

森次「わかりました」

 

辰也「あの……それって俺もですか?」

 

辰也が口を開く。

 

石神「その通り。後はドモン君たちガンダムファイターと……由木クンと山下クンにも頼むからね」

 

辰也「了解です!」

 

~夜・公園~

浩一「ハァ……ハァ……」

 

クソッ……何だよ、この感じ……オレはこいつに勝ちたかったんじゃなかったのか!? オレはこいつより強くなりたかったんじゃなかったのか?

なのに……なのに……!

 

浩一(なのに……なんで殴るたびに……嫌な気分になっていくんだよ!?)

 

矢島「……」

 

雨の降る中、浩一と矢島は殴り合いを始めた。しかし、ファクターとただの人間では力の差が大きい。そのため、一方的に矢島を殴る浩一。

だが、彼の心は今、不快な気分に満ちていた。

 

ジゼラ(何でこんな事に……2人共、昔は仲が良かったって言ってたはず……というか城崎さん、なんで先に帰ったんですか……)

 

ジゼラは監視の名目で、彼らを隠れて見ている。ここにいない城崎に、心の中で愚痴を吐きながら。

 

浩一「もうやめろ! 無駄だって言ってるのがわからないのかよ!!」

 

矢島「……この前お前に言われて気付いたんだ……俺の中にある汚いモノに……」

 

浩一「え……」

 

その言葉を聞いて、攻撃の手を止める。

 

矢島「俺は誰かに褒められたくて……誰かの気を引こうとしてお前を守ってただけなんだよ……お前の想いも気付かずにな」

 

浩一「……」

 

矢島の独白を静かに聞き入る浩一。言葉を聞くたびに、戦意が喪失していく。

 

矢島「俺はただの偽善者だよ……だからさ、結局理沙子は俺に振り向いちゃくれなかったよ」

 

浩一「……なんでいまさらそんなコト言うんだよ。オレはずっとお前が……」

 

矢島「正義の味方とでも思ってたか? だから俺が目障りで仕方なかったのか? ……安心しろ浩一、俺はそんなモノじゃない。好きな女の前でイイ格好したかっただけの、どこにでもいるただのガキだ」

 

浩一「矢島、お前……」

 

矢島「悪かった、浩一……」

 

ジゼラ(良かった……仲直り出来そうだね……)

 

降りしきる雨の中、握手を求める矢島。浩一もそれに答えるように、手を差しだそうとした瞬間───

 

 

 

 

 

ドォォォン……と突如、爆音が響いた。

 

矢島「!!?」

 

ジゼラ「なっ!?」

 

あまりにも突飛な出来事に、思わず驚いてしまう。

 

城崎「どうやら、ラインバレルが動き出したコトで、他のマキナも動き出したみたいですね」

 

ジゼラ「え……」

 

そんなジゼラの元に通信が入る。

 

城崎「目的は彼とラインバレルで間違いないでしょう。あちら側から集まってくれる分には、こちらとしてもマキナを探す手間が省けて助かる……というのが社長の見解です」

城崎「そしてジゼラさん……もしもの時は、アナタもイールソウルに乗ってください」

 

ジゼラ「……? 分かりました……」

 

~~~

浩一「また新しい、マキナ……!?」

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊、ファクターの排除。ラインバレルの破壊、ファクターの排除」

 

右手に銃を装着した灰色のマキナが、無機質な音声で同じ言葉を繰り返す。その無機質な一つ目は、浩一を見下ろしていた。

 

浩一「もう……関わらないって決めたのに……どうしてこうなるんだよ!!? チクショウ!! どうすればいいんだよ、オレは!!!」

 

怒りと混乱で我を忘れ、取り乱す浩一。

 

矢島「浩一……」

 

浩一「! 矢島……どこだ!?」

 

どこからか、矢島の声が聞こえる。

 

矢島「いいか、浩一……大切なのは『どうすればいいか』じゃない」

 

浩一「矢……」

 

矢島「お前が『どうしたいか』だ」

 

矢島の体は、先程の衝撃で吹き飛んだ鉄筋コンクリートに貫かれていた。

 

……矢島?

 

浩一の頭は真っ白になり、足が震えだした。

 

矢島「が……はぁっっ……!」

 

浩一「矢島ァ!! ウソだろォ、矢島ァ!!!」

 

吐血する矢島。

 

ハグレマキナ「ファクターの排除!!! ファクターの排除!!!」

 

ハグレマキナが浩一の後ろで叫び、右手の銃を稼働させる。

 

矢島「せっかく……手に入れた力なんだろう? なら……正しいコトに使ってくれ……あの日、お前が俺に言ったコト……思い出してくれよ」

 

そう言いながら、浩一を押し出す。ハグレマキナが撃った弾が、矢島へ近づく。

 

浩一「矢島!?」

 

矢島「……気にするな───

 

 

 

 

 

───昔からそうだっただろ?」

 

そう言い残すと、ハグレマキナの弾で矢島の体は爆散した。

浩一の元へ、彼の右腕が飛ぶ。

 

ハグレマキナ「ファクター排除失敗。ファクター排除失敗」

 

いまさら謝んなよ……いまさらあんなコト言うなよ……いまさら……

 

浩一の脳裏に、昔の思い出が蘇る。

 

~~~

矢島「将来の夢かぁ……俺ん家は母ちゃんと妹しかいないから、金持ちになって家建ててやりたいなァ。んで、お前は?」

 

浩一「えっと……ボクは……矢島クンみたいに強くなりたい」

 

矢島「へ? 強くなってどうすんだよ?」

 

浩一「……矢島クンや理沙子ちゃんがボクにしてくれるように、ボクも弱い人や困ってる人を助けたいんだ」

 

矢島「それがお前の将来の夢? 何か正義の味方みたいだな」

 

浩一「……やっぱり小学四年でそんなの幼稚だよね」

 

矢島「いや! 浩一らしくていいと思うぞ」

 

浩一「ホントに?」

 

矢島「うん」

 

~~~

なあ、矢島……

 

それでもオレ、お前みたいになりたかったんだよ

 

 

 

 

 

浩一が叫ぶ。友の右腕を抱えて。

天から光が落ちる。刀を持ったソレは、ハグレマキナの左腕を切り裂いた。

 

辰也「うおっ!?」

 

ほぼ同時に辰也たちが到着した。

 

山下「なんだよ!? まだ浩一も乗ってないのに、なんで攻撃出来るんだよォ!!?」

 

森次「……」

 

 

 

 

 

大切なのは「どうすればいいか」じゃない

 

 

 

 

 

お前が「どうしたいか」だ

 

 

 

 

 

……矢島の言葉が、浩一の脳裏で響く。

 

浩一「オレは……オレはアイツを……殺したい!!」

 

明確な殺意。彼の瞳……ファクターアイは、友の仇を捉えていた。

 

……殺してやる……お前だけは絶対に……殺してやる!!

 

~~~

ドモン「森次、マキナは人間に危害を加えられないように造られている……だからお前たちファクターが必要、だと言っていたな」

 

森次「そうだ」

 

ドモン「ならば何故、ラインバレルはファクターの搭乗前に攻撃したのだ?」

 

森次「ラインバレルが正常で、あのハグレマキナにファクターが搭乗していないという可能性もある」

 

レイン「なるほど……いずれにしてもあの2体のどちらかが異常って事ね……」

 

辰也「というか、話してる場合じゃありませんよ! まずはあいつを止めましょう!」

 

森次「もちろんだ……む?」

 

由木「! レーダーに謎の反応が!」

 

由木が叫んだ直後、マキナに似た機械が現れた。その内の1体は、赤と黒のカラーリングで、剛健な外見をしている。

 

森次「アレはアルマ……というコトは、加藤機関か!」

 

辰也「アルマ? 加藤機関?」

 

森次「ああ。アルマは量産型のマキナのコピー……そして加藤機関は、この世界の裏で暗躍する秘密結社だ。だが、何故ここに……」

 

???「ラインバレルの捕獲……それが俺達に与えられた任務だ。ま、それ以上の事は知らんがな」

 

アルマの集団の先頭に立っている、派手な色の機体から通信が入る。

 

ドモン「貴様は何者だ?」

 

ジョー「名乗る程の名は持っていないが……そうだな、『エースのジョー』とでも言っておこう。今は加藤機関に雇われている身だが……っと、少し喋りすぎたな」

 

浩一「チッ……邪魔者か……! ケド関係ねぇ、オレはあのマキナをぶっ殺すんだ!」

 

新たな敵に殺気立たせる浩一。だが、彼の標的はあくまでも友人を殺したマキナである。

 

森次「……話している暇は無いな……各機、ラインバレルとハグレマキナ、そして加藤機関への攻撃にあたれ!」

 

山下「んじゃまあ、行きますか!」

 

辰也「ああ!」

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「ラインバレルにハグレマキナ、加藤機関なんて……ただでさえ訳が分かんねえのに、更に分かんねえ事になっちまいやがった!」

辰也「でも、んな事で立ち止まってられねえよ! って訳で行くぞ、イールソウル!」

 

 

辰也(対ジョー)

辰也「あの機体……敵だけど何かカッコいいな……」

 

ジョー「この飛龍相手に隙が多すぎるな。見とれるのもいいが、その瞬間にお前の命は無いぞ」

 

辰也「へっ、あんたに心配されなくても、大丈夫だっての! せっかくだし、こいつも捕獲して……なんてな! よし、行くぜ!」

 

 

ドモン(対ジョー)

ジョー「なかなかの殺気……さすがはガンダムファイターだな」

 

ドモン「そちらも、よほどの実力者だと見える……訳の分からん組織に属するにはもったいないな」

 

ジョー「ありがとうよ……さて、無駄話はもうよそう。あんたにとっては口よりも拳の方がやりやすいだろうからな」

 

ドモン「そうだな……では行くぞ!」

 

 

森次(対ジョー)

森次「自らをエースと名乗るとは、なかなかの実力者なのか、それともただの思い上がった愚か者か……」

 

ジョー「あまり俺を舐めていると痛い目を見るぞ。それに、あの中でもお前は強い……そんな奴と戦えるとは、俺も誇らしいな」

 

森次「そうか……だがとりあえず、エースの看板は今日で下げてもらおう……覚悟は出来ているな?」

 

ジョー「上等だ、行くぞ!」

 

 

由木(対ジョー)

由木「! あなたは昔、WSOにいた……!」

 

ジョー「ほう……技官の端くれだったお前が、スカーレットと例の2人が死んだあの島からよく帰ってこれたな」

 

由木「WSOのエースパイロットも落ちぶれたわね……そんなテロ組織に雇われて、一緒に破壊活動なんて!」

 

ジョー「俺が誰に与しようが、お前には関係がない……っと、話している場合ではないな。やられてもらうぞ、由木翼!」

 

由木「こっちだってただでやられる訳にはいかないわ! やれるものならやってみろ!」

 

 

浩一(対ジョー)

浩一「加藤機関か何だか知らねえが、オレの邪魔をするんじゃねえ!」

 

ジョー「……今のお前は俺に似ているな」

 

浩一「何を言ってやがる! オレとアンタが似てるなんて、ワケの分からねえコト言ってんじゃねえよ!!」

 

ジョー「ま、分からんでもいいさ……っと、無駄口を叩いている暇はないな。任務のために捕獲されてもらうぞ、ラインバレル!!」

 

浩一「そうかよ……来やがれ! エースだか何だか知らねえケド、調子に乗るんじゃねえ!!」

 

 

~~~

浩一「オレの……オレの敵討ちの邪魔をすんじゃねえよ!!」

 

加藤機関のアルマを徹底的に薙ぎ払う浩一。

 

ジョー(こいつの攻撃……動きは素人だが、破壊力が桁違いだ……!)

 

ジョーの乗る機体……飛龍も、ラインバレルによる深いダメージを負ってしまう。

 

ジョー「チッ……どうやら戦力に差があるようだな。また会おう、JUDA、ラインバレル!」

 

ジョーの合図で撤退する加藤機関。

 

由木(雷張ジョー……WSOから抜けて傭兵になったとは聞いたけれど……どうして加藤機関なんかに……でも、今は!)

 

アレンビー「加藤機関は逃げた……後はラインバレルとハグレマキナだけ……!」

 

ドモン「ああ……だがあの殺気……恐ろしいな……」

 

レイン「怖くなった? ドモン」

 

ドモン「……まだまだ!」

 

拳を固く握りしめ、ラインバレルへと向かった。

 

~戦闘再開~

辰也(対浩一)

辰也「くぅっ……こいつがラインバレルか……! 中々の……圧力だぜ……っ!!」

 

浩一「アンタが何モンか知らねえケド、俺の邪魔をすんじゃねぇよ!!」

 

辰也「お前の気持ちは痛え程分かる……けど、そいつは出来ねえ相談だ! 俺たちの任務はお前の捕獲だからな! もしどうしてもって言うんなら、俺を倒してから行け!!」

 

浩一「上等だ! この際アンタもぶっ殺してやるよ!!!」

 

 

辰也(対ハグレマキナ)

辰也「こいつがハグレマキナか……何つーか、禍々しい感じがするな……!」

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……ファクターの排除ォォ……!!」

 

辰也「ラインバレルをご所望の所悪いが、てめえの相手は俺とイールソウルだ!」

 

 

森次(対浩一)

浩一「あんた森次とか言ってたなァ……なんでオレの邪魔をするんだよ!?」

 

森次「フッ……私から見れば、君も立派に我々の邪魔をしているのだが?」

森次(……ファクターとして覚醒したとはいえ、前回と太刀筋が違い過ぎる……これでは……まるで別人だ……!)

 

浩一「何をボーッとしてんだよ!! とにかく、邪魔すんならやられてもらうぞ!!」

 

森次「……だが、まだまだ単なる力押しだな。ソレでは私には永遠に勝てないコトを、直接体に教え込むとしよう!」

 

 

森次(対ハグレマキナ)

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……! ファクターの排除ォォ……!」

 

森次「ハグレマキナ……大人しくしていてもらおう」

森次(山下によれば、中にはファクターがいるとのコトだ……できる限り生かしておきたいが、万が一の時は私が背負わせてもらう!)

 

 

山下(対浩一)

浩一「くそっ……どきやがれ!! そいつは……そいつだけは、オレが殺さなきゃいけないんだ!!」

 

山下「何回言えばいいんスか! この分からず屋には!」

山下「まずは大人しく捕獲されてもらうっスよ、ラインバレル!!」

 

 

山下(対ハグレマキナ)

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……! ファクターの排除ォォ……!」

 

山下「ヨソ見してんなっつーの! オマエの相手はボクなんだよ!!」

山下(あのハグレマキナにはファクターがいる……出来るだけその人を傷つけないように無力化しなきゃ……絶対にやってみせる!)

 

 

ドモン(対浩一)

浩一「ガンダムファイター! アンタも俺の敵になるのかよ!!」

 

ドモン(この少年は友を失い自暴自棄になった、と聞いている……大切な人を失う辛さは分からんでもない)

ドモン「だが、いかなる理由があろうとも、これ以上被害を広げる訳にはいかない!」

ドモン「来い、少年! このゴッドガンダムが相手になるぞ!」

 

 

レイン(対浩一orハグレマキナ)

レイン「あの暴走状態……デビルガンダムの時と同じ……!」

レイン「また同じ事の繰り返しにならないように、あの2つを止めてみせる!」

 

 

アレンビー(対浩一orハグレマキナ)

アレンビー「ラインバレルにハグレマキナ……どっちもあの時の……暴走した時の私に似てるわ!」

アレンビー「ハグレマキナはともかく、あの子には私のようになって欲しくない! だから行くよ、ノーベルガンダム!」

 

由木(対浩一orハグレマキナ)

由木「見境なく暴れている対象の鎮圧……あの2人で慣れてるつもりだけど……!」

由木「とにかく、これ以上の被害は出させないわ! 何としてでも任務を遂行する!」

 

 

浩一(対ハグレマキナ)

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊! ファクターの排除!」

 

浩一「許さねえ……お前だけは……矢島の仇であるお前だけは……絶対に許さない!!」

浩一「行くぞ、ラインバレルッ!!!」

 

 

~~~

辰也「うおぉぉぉぉあぁぁぁッ!!!」

 

浩一「があッ!」

 

イールソウルが大剣を振りかぶり、ラインバレルを斬りつける。

 

山下「いいぞ瀧城! さて、ハグレマキナ! オマエの相手はボクなんだよ!」

 

ハグレマキナ「グガガ……!」

 

ハインドから発射されたミサイルが、ハグレマキナに当たる。

 

浩一「! 何やってんだよ! そいつは……矢島の仇なんだぞ!!」

 

辰也「んなこた分かってる! お前が友達の仇を取りてえって事は! ただなぁ……お前が後先考えずに戦ってたら、町が滅茶苦茶になっちまうだろうが!」

 

浩一「知ったコトか!! オレはそいつを……そのマキナを殺せればどうだっていいんだよ!!!」

 

こいつ……っ!!

 

山下「てめェ……いい加減にしろよ!!」

 

山下の攻撃がラインバレルに命中する。

 

浩一「ぐっ……!!」

 

森次「山下、ラインバレルは後回しだ。あのハグレマキナを優先しろ」

 

山下「は、ハイ! それじゃ、連携で行きますよ!」

 

森次「ああ!」

 

ハインドとヴァーダントがハグレマキナの下へ向かった。

 

山下「くらえェェッ! バレットアーム!!」

 

ハインドの拳が、ハグレマキナを打ち上げる。

 

ハグレマキナ「グギギ……!」

 

よくやったぞ、山下……

 

森次「さて、後は私だ!」

 

ヴァーダントが刀を抜く。

 

森次「本物の暴力を教えてやろう」

 

上空へと飛び上がり、ハグレマキナを滅多刺しにした。

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……ファクターの排除ォォ……!!」

 

何本もの刀を刺され、地面に激突してもなお、動きを止めないハグレマキナ。

 

森次「まだ止まらないか……!!」

 

ならばやむを得ない……!! これで……とどめだ!

 

最後の一太刀をコックピットに刺すと、ハグレマキナは断末魔を上げ、動きを止めた。

 

ハグレマキナ「ギ……」

 

浩一「!!」

 

ドモン「終わったか……」

 

レイン「ええ、後はラインバレルだけ……」

 

由木「そうみたいですね……」

 

辰也「……ここまでの苦労を思い出したら、何か体がどっと重くなってきました……」

 

森次「気を抜くのはまだ早い。では、これよりラインバレルを……」

 

浩一「……てんだ……」

 

ん?

 

浩一「……何してくれてんだ……そいつは矢島の……オレの敵だったんだぞ!!! ……せめて、せめて敵ぐらいは討ってやりたかった……のに……それを、よくも……!」

 

……ヤバい!

 

浩一「邪魔しやがってえぇェェェ!!!」

 

浩一の雄叫びとともに、ラインバレルの形状が変化する。

 

浩一「許さない……お前らは矢島の敵同然だ……叩き潰してやる!!」

 

そこに立つのは、殺意を隠そうともしない鬼。怒気と殺気を纏わせた鬼が、目の前へと立ち塞がった。

 

~~~

辰也「くっ……こいつはどうすりゃ……!」

 

ラインバレルから発される禍々しさに、圧倒される辰也。

 

ジゼラ「……やさん、辰也さん!!」

 

ふと声のする方を見下ろすと、ジゼラがイールソウルの前に駆け寄っていた。

 

!? じ、ジゼラ!? 

 

辰也「何でこんな所に……」

 

ジゼラ「城崎さんが、『もしもの時は、イールソウルに乗れ』って……」

 

辰也「城崎……あいつか! よく分かんねえけど、それなら乗れ!」

 

ジゼラ「でも、どうやって……」

 

辰也「とりあえずイールソウルの手を出す! それに乗ってくれ!」

 

ジゼラ「わ、分かりました!」

 

イールソウルの掌に乗り、コックピットまで運ばれるジゼラ。

 

ジゼラ「失礼します……」

 

ちょうど座席の後ろにスペースがあったので、そこに入る。

 

辰也「ああ……んじゃまずは、あのラインバレルを何とかしようぜ!」

 

辰也のレバーを握る手に、力が入った。

 

~~~

何だ、この反応は……

 

森次「ヴァーダントが怯えているのか?」

 

山下「森次さんっっ、ハインドの様子もおかしくなってるっス!!」

 

ドモン「動きが鈍い……俺自身が奴を恐れていると言うのか……!」

 

レイン「シャイニングも……正直、彼が怖いわね……!」

 

アレンビー「どうやら、ラインバレルのせいで、皆の機体がおかしくなってるみたいね……」

 

由木「一体どうすれば……」

 

それぞれの機体の動きが、ラインバレルによって鈍くなった。

 

浩一「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

浩一の雄叫びと共に、ラインバレルの背中から「何か」が飛び出す。

「それ」はエネルギーを溜め、剣の形へと変化する。

 

辰也「ビーム……か?」

 

ジゼラ「そうみたい……ですね……」

 

辰也「……なあジゼラ、イールソウルにもそういうの付いてないのか?」

 

え……そんな事を急に言われても……って!

 

ジゼラ「……そういえば!」

 

辰也「どうした!?」

 

ジゼラ「……思い出しました……辰也さん、そこのボタンを押して貰えますか?」

 

辰也「ここか?」

 

言われた通りにボタンを押すと、イールソウルの腰から銃火器のような物が飛び出した。

 

辰也「うおっ!? 何だこいつ!?」

 

ジゼラ「それは……イールソウルのビーム兵器です……ラインバレルのあの武器と同じ位の威力は保証できると思います」

 

辰也「そうか……で、俺が握ってるレバーのボタンを押せばいいんだろ?」

 

ジゼラ「! そ、そうです! でも何で……」

 

辰也「大抵ロボットってのは、そんなモンだからな……っと、話してる場合じゃねえ! あいつを止めねえと!」

 

重圧に抑えられ、ぎこちないながらも、イールソウルは上空でエネルギーを溜めているラインバレルの方を向いた。

 

浩一「くらえェェェェ!!!!」

 

浩一の叫び声と同時に、ラインバレルが剣を振り下ろし───

 

 

 

 

 

辰也「させるかよおぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

 

 

 

───その寸前、イールソウルから放たれたビームがラインバレルの剣を弾く。

ぶつかり合ったエネルギーが、レインボーブリッジの真上で爆発した。

 

アレンビー「何……今のは……」

 

レイン「どうやら、イールソウルから発射されたみたいね……」

 

何だよ……これ……とんでもねえパワーだ……

 

辰也「う゛ッ!」

 

山下「瀧城!?」

 

一気にエネルギーをぶっ放した影響か、イールソウルは膝をついた。

 

辰也「動かねえ……」

 

ドモン「大丈夫か辰也! これ以上は無理に戦う必要はない!」

 

辰也「くっ……はい……そうさせていただきます……」

 

山下「それにしても……あの爆発の威力……イールソウルもラインバレルも、どっちも危険っス……!」

 

森次「ああ、もしもあのままであれば、レインボーブリッジが真っ二つになっていた所だ……まともに喰らえばひとたまりもないぞ……!」

 

話している間に、ラインバレルは次の攻撃の準備に入る。

 

森次「……これ以上被害を拡大させるワケにはいかない、何としてでも止めるぞ!」

 

山下「でも、どうするんです森次さん? イールソウルもさっきの奴は出来そうにない、機体性能も低下したこの状況じゃ、あの高さまで近づくのは無理ですよ!」

 

そうだ……だから私には考えがある。

 

森次「……山下、私の合図でバレットアームを使え。手段を選んでいる時間はない!」

 

山下「はいっっ!」

 

ラインバレルのエネルギーが溜まり、巨大な剣が完成した。

 

浩一「さっきは邪魔が入った……ケド、次ははずさない!!!」

 

両手で剣を構える。その間にヴァーダントが走り、ラインバレルの方向へ飛ぶ。

 

森次「山下ァ!!」

 

山下「とどけェェェ!!!!」

 

ハインドがバレットアームを発射し、ヴァーダントがそれを掴む。

 

浩一「!!」

 

ラインバレルが剣を振り、バレットアームを切り落とすも、既にヴァーダントはラインバレルの上にいた。

 

森次「間に合えぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

浩一「うあああああああああ!!!!」

 

───寸前、ラインバレルのエネルギーが切れ、活動を停止する。

直後、ヴァーダントが刀を振り下ろし、ラインバレルを海に叩き落とした。

 

ドモン「終わった……のか?」

 

森次「……何とかな。では、これより帰還する」

 

森次の合図と共に、各機は帰還した。

 

~JUDA・社長室~

石神(ラインバレル……実に素晴らしいじゃないか。それに、イールソウルもあんなモノを隠し持っていたとはねェ……そして、どうやら俺の予想は当たっていたようだ)

石神(とはいえ、どちらも制御できていない……ラインバレルの方はファクターの精神状態、イールソウルには改修が必要だな……)

 

一連の戦いを見物していた石神は、心の中でそう呟いた。

 

~???~

マサキ「ラインバレルの破壊は失敗、アルマ隊も壊滅し、こちらのマキナも奪われた形になりましたが?」

 

加藤「あれだけの情報を得られれば十分だ。それに比べれば、イカレたマキナを奪われたぐらい、どうというコトはない」

 

広い室内、そこには椅子に座っている男……加藤久嵩とその前に立っている男……菅原マサキ、そして雷張ジョーと他2名がいた。

 

ジョー「……」

 

沢渡「そうヘコむなよ、ジョー。久嵩だってお前を責めてるワケじゃねえからな」

 

ジョー「沢渡……」

 

2人の内の1人……沢渡拓郎はジョーを励ます。

 

陸「キヒヒ…沢渡さんも甘いですねェ。せっかく腕利きのエースパイロットを雇ったというのにあの体たらく……やはりここは司令に信頼されている僕が行くべきでしたよォ」

 

加藤「陸か……」

 

もう1人の男……王政陸は反対に、ジョーを嘲笑している。

 

陸「雷張さん、次は見せてあげますよ……僕のやり方をねェ……」

 

ジョー「……」

 

信頼、か……陸よ、お前は本当に『信頼』されてるのかな?

 

加藤「まあいい……お前は十分やってくれたよ、ジョー。だが次の任務は沢渡と陸に任せている……お前はユリアンヌやジャック達と休暇を満喫してるといい」

 

ジョー「そいつはありがたいが、俺はお前達に雇われている身だ……馴れ合うつもりはない」

 

沢渡「ケッ、無愛想なヤツよ」

 

加藤「……それよりせっかくココまで来たんだ。ウチの連中にも見せてやろう……浮上!」

 

加藤の合図と共に、巨大な戦艦が海の中から現れた。先頭には、大量のアルマが乗っている。

 

加藤「諸君、よく見ておくがいい。あれがJUDA……我々の『敵』だ」

 

加藤が言ったと同時に、一体一体のアルマがJUDAの方向へ顔を向ける。戦艦はやがて、夜の闇へと消えた……。




中断メッセージ(辰也とジゼラ)
ジゼラ「もう終わり……ですか? ……少し寂しいです……」

辰也「おいおいジゼラ、人には都合があるんだ、無理を言うのはよくねえぞ」

ジゼラ「すみません……ですが、もう会えなくなるんじゃないかと心配で……」

辰也「な~に、大丈夫だよ。根拠はないけどまた会える……そう思うんだ。そうでしょ、そこの人?」

ジゼラ「……分かりました……あの、また戻って来て下さいね! 約束ですよ!!」

辰也「そんじゃ、またな~!」
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