2017年11月2日(木) 11:30
佐張大学(さわりだいがく) 弓道場(きゅうどうじょう)
小咲 「まだかなぁ、蕾ちゃんの試合………。」
集 「いやーー、
それにしても、弓道着(きゅうどうぎ)の女の子というものも、
中々いいものですなぁ〜〜!」
るり 「集くん、
本日3発目を喰らいたいの?」
集 「じょ、冗談だよるりちゃん〜〜。」
千棘 「あ!
見てみんな。
アレって、さっきの三国(みくに)さんって子じゃ無い?」
楽 「お、ホントだ。」
里奈 「ふぅ……………。」
サラッ
弓道場(きゅうどうじょう)に弓と矢を持って立った里奈は、
ますます日本人女性的なお淑やかな魅力と雰囲気を醸し(かもし)出していた。
審判 「次は、
三国(みくに)さんの一投目(いっとうめ)でーす。」
三国(みくに) 「はい。」
チャッ
キイィィィ………
千棘 「あれ?
ねーそう言えば楽、
弓道(きゅうどう)って、
どうやって得点決めるの?」
楽 「ああ。
ルールブックによるとな、
的(まと)のド真ん中の黒い部分が10点、
その外側の円が8点、
その更に外側の円が6点で、
1人(ひとり)、3回矢を射って、合計点数を競うんだってさ。」
千棘 「てことは、
最大で合計30点かぁ………。
でも、あんな小さい的(まと)に当たるのかなぁ?」
楽 「それは、
練習した弓道部員なら、当たるんじゃねーか?」
蒼也 「……………。
俺は、この大学祭巡りにはあまり興味が無かったが、
この弓道(きゅうどう)には少し興味が出て来たな。
新しい戦闘法のヒントになるかもしれない。」
楽 「蒼也、
お前大学祭まで来て、そんな事考えてるのか?」
千棘 「そうよ蒼也くん。
楽の言う通り、
今日はそんな戦いの事なんか忘れて、
めいいっぱい楽しみましょーよ!
お友達と楽しむと、スッゴく楽しいよ?」
蒼也 「お嬢、楽……………。
はい………。」
パンッ
楽達一同 「!」
楽達が会話に夢中になっている間に、
三国(みくに)の第一投(だいいっとう)が放たれた。
審判 「8点!」
キイィィィン……………
集 「おっ!
あの子、弓道(きゅうどう)の腕も結構すごいね!」
楽 「いきなり、
10点満点中8点かぁ………。」
三国(みくに) 「フゥ〜ー……………。
次、行きます!」
ビイィィィン……………
パンッ
審判 「10点!」
里奈 「やった………!」
里奈が放った二投目(にとうめ)の矢は、
的(マト)のド真ん中の黒い部分に当たった。
千棘 「すごーい、
10点だって!」
楽 「よく、あんな小さい的に当たるわよね。」
蒼也 「……………。
いい集中力だ。」
ビイィィィン……………
パンッ
審判 「8点!
三国(みくに)選手、
30点満点中、26点!」
ワアァァァ………
里奈の叩き出した高得点に、
観客は歓声をあげた。
三国 「ふぅ………。
まあまあね………。」
サラッ
三投(さんとう)、弓を射終わった里奈は、
艶のある長い黒髪をたなびかせて、
感想を話した。
集 「すごーい!
あんなに、お淑やかで美人で、
その上、弓道(きゅうどう)もあんなに上手いと来てる!」
るり 「……………。」
イラッ
ガスッ(本日3発目)
集 「ギャース!
結局、本日3発目喰らった………。」
審判 「次、
梅原 蕾(うめはら つぼみ)さんの番です!」
小咲 「あっ、
みんな、次はつぼみちゃんの番だよ!」
タンッ
弓道場(きゅうどうじょう)の的(マト)の前に弓と矢を両手に持って立った蕾は、
普段の天真爛漫(てんしんらんまん)な、無邪気な雰囲気から打って変わって、
真剣な眼差しで的(マト)の方を見ていた。
小咲 「つぼみちゃーん、
頑張ってー〜!」
蕾 「……………。」
ビイィィィン……………
パンッ
蕾の放った一投目の矢は、黒の周りの線の、
8点のゾーンに当たった。
審判 「8点!」
楽 「梅原さんも、中々やるな。」
千棘 「でも楽、
もし8点を3回出しても、24点にしかならないから、三国(みくに)さんには勝てないわよ。」
小咲 「大丈夫だよ。
一条くん、千棘ちゃん。」
楽&千棘 「え?」
小咲 「あの顔付きになった蕾ちゃんは、
ホントにすごいんだから。」
ビイィィィン……………
パンッ
楽 「お!」
話してる間に放たれた、
つぼみの第二投(だいにとう)は、
ド真ん中の黒い、
10点(満点)のゾーンに当たった。
審判 「10点!」
楽 「お、スゲ!」
小咲 「弓道をやってる時の蕾ちゃんは、
集中力がスゴいんだよ。」
キリッ
蕾は、普段とは打って変わった真剣な眼差しで的(マト)を見ている。
楽 「なんだか、スゲー一直線な目をしてるよな。」
千棘 「そうよね。
まるで、的(マト)以外は視界に入って無いみたい。」
ビイィィィン……………
パンッ
一同 「!」
蕾が放った三投目(さんとうめ)の矢も、
ド真ん中の黒い部分に当たった。
審判 「10点!
梅原選手、30点満点中、28点!」
ワアァァァ………
千棘 「すごーい!
三国さんに買っちゃったじゃ無い!」
蒼也 「中々の集中力だったな。」
蕾 「ふーぅ………。
皆さん、私の試合を見て頂いて、
ありがとうございました。」
小咲 「あっ、
つぼみちゃん!」
スタスタ………
試合を終えた蕾は、小咲たちのいる観客席に戻って来た。
小咲 「おめでとう、つぼみちゃん!
三国(みくに)さんに買っちゃったね!」
蕾 「ありがとう、寺ちゃん。
私、自分が大好きな弓道の事になると、
真剣になれるから。」
小咲 「つぼみちゃんの集中力はスゴイんだよ!
つぼみちゃんを見てると、
私もお菓子作りに、アレくらい真剣にならなきゃって、思えるんだ!」
楽 (小野寺、
大学でもいい友達を持ったな………。)
第1巻 第260話 完