ニセコイ→マジコイ   作:カルマ1515

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第1巻 第273話 ミカケモ

2017年11月3日(金) 11:30

 

佐張大学(さわりだいがく)

 

16号館前

 

ケーキ屋、「みやなぎ おのでら ケーキ屋」

 

小咲 「はいはーい。

押さないで、並んで下さーい。

ケーキなら在庫はまだまだありまーす。」

 

客A 「なあ、

ここのケーキ、宣伝通りやっぱり美味いぜ!」

 

客B 「おっ、ホントに美味い!」

 

客C 「そういえば、

さっきこのケーキ屋さんを宣伝してたあの声、

一体どこから聞こえたのかしら?

なんだか、空から聞こえたような気がしたけど………?」

 

客D 「アハハ………。

空から聞こえるわけないじゃん!

まさか、人の言葉が話せる動物が、

空を飛んで宣伝したって言うの?」

 

客C 「アハハ………。

そんなわけ無いよね〜〜。」

 

アハハ………。

 

 

ブウロ (……………。

それって、私です。

ここにいますよ、

そんな動物………。)

 

蒼也 「……………。

ブウロ。

お前、自分が飛行能力を持つ星獣だって事忘れてたのか?

なんで他の星獣(せいじゅう)同様に地上から宣伝しなかった?

お前のせいで、

ビーハイブや星獣(せいじゅう)の存在が一般の人間にバレていたかもしれないんだぞ?」

 

ブウロ 「も、申し訳ありません蒼也………。

私、あなたの契約星獣(けいやくせいじゅう)として失格です!」

 

千棘 「まあまあ、

いいじゃないの蒼也くん。

ブウちゃんも、小咲ちゃんと弥柳くんのお店の為に、頑張ってくれたんだから!」

 

弥柳 「そうだぜ双神くん。

契約星獣(けいやくせいじゅう)は何も、

戦闘の為だけに存在してるわけじゃあ無いだろう?」

 

蒼也 「……………。

お嬢がそう言うなら。」

 

客E 「このチョコレートケーキ、

二つ下さい!」

 

客F 「私は、こっちのチーズケーキを!」

 

ワイワイ……… ガヤガヤ………

 

ザワザワ………

 

 

楽 「宮本のアイデアと準備のお陰で、

更にお客が増して繁盛したな。」

 

小咲 「ホントに。

ありがとうね、るりちゃん。」

 

るり 「あんたの為なら、

このくらい安いわよ。」

 

千棘 「……………。」

 

 

千棘は、先刻のるりと同じように、

黙り込んで店の陳列棚(ちんれつだな)に並んでるケーキをじっと見つめていた。

 

 

楽 「ん?

どーしたんだ千棘、そんなにケーキをじっと見つめて。

お前もまだ食い足りないのか?」

 

千棘 「違うわよ!

なんであんたは、

いちいち私がお腹空いてるって思うわけ?」

 

楽 「十中八九(じゅっちゅうはっく)くらいはあってるだろ?」

 

千棘 「そんな事無いわよ!

私は、このケーキを見た目ももっと綺麗にした方がいいと思ってたのよ。」

 

小咲 「え?

見た目?」

 

千棘 「うん。

私が今LAB(ラボ)で勉強してるお洋服だって、

見た目が大事でしょ?

料理やお菓子だって、

もちろん1番大事なのは味だけど、

見た目も良くした方が、お客さんももっと来てくれると思うの。」

 

楽 「なるほど………。

確かにそれも一理あるな。」

 

小咲 「和菓子だって、

外国のお菓子に比べて見た目が大分綺麗だよね。」

 

楽 「ああ。

確か、高2の時にマルーシャさんと小野寺の家の店に行った時に言ってたよな。」

 

千棘 「フフーン♪

でしょでしょ?」

 

鶫 「さすがです、お嬢!」

 

楽 「で、

ケーキの見た目をよくするって、

具体的にどうするんだ、千棘?」

 

千棘 「ああ、それはね………。」

 

スッ

 

 

千棘は、自分のバッグから、

服のデザインをまとめる為のスケッチブックとペンを出した。

 

 

カキカキ………

 

 

千棘 「出来たーー!

こんなのどう?」

 

楽 「おお?」

 

蓮 「おお………!

中々(なかなか)良いかもしれないな………。」

 

 

千棘が描いた絵には、

チョコレートケーキは黒いスポンジの部分の側面に流線型(りゅうせんけい)の白いクリームが塗られていて、

イチゴのショートケーキには、

2つの苺(イチゴ)の隣に、

小さいカードが刺されていた。

 

 

蓮 「でも、

こんなのいきなり今すぐ用意出来るのか?」

 

小咲 「弥柳くん、

私がやってみるよ!」

 

蓮 「え?

小野寺さんが?」

 

小咲 「私、

昔の料理が今より全然下手だった頃から、

盛り付けや飾り付けだけは上手だって、

お母さんや春にも褒められて来たから。

それくらいは出来ると思います。」

 

蓮 「なるほど………。

そうだったな。

よし、頼むよ小野寺さん。」

 

千棘 「小咲ちゃん、

私も手伝うよ!」

 

万里花 「小野寺さん、

見事な努力への姿勢ですわ。

私(わたくし)も手伝いますわ!」

 

鶫 「小野寺様、

私も手伝います!」

 

蒼也 「……………。

まあ、あんたには土星バイソンに肩をやられた時に、

傷の手当てをしてくれた恩があるからな。

俺も手伝うよ。」

 

楽 「勿論(もちろん)、俺も!」

 

小咲 「みんな………。

ありがとう!」

 

 

そして………

 

 

千棘 「小咲ちゃん、

チョコレートケーキのクリームの線は、

もっと綺麗(きれい)な流線型(りゅうせんけい)を描いて!」

 

小咲 「はい!」

 

鶫 「お嬢の見事なスケッチ通り、

忠実に再現します!」

 

万里花 「何事にも努力するのは、

良い事ですわね。」

 

楽 「小野寺、

こっちのショートケーキ10個の札差(ふださし)、終わったぞ!」

 

小咲 「ありがとう、一条くん!」

 

蓮 (みんな………。

俺と小野寺さんの店の為に、ありがとうな。)

 

 

そして………

 

 

客E 「なあなあ、

あのケーキ屋、ケーキの見た目が変わったらしいぜ!」

 

客F 「マジで?

俺、もう1個買ってこうかな?」

 

ザワザワ………

 

ワイワイ………

 

 

楽 「……………。

千棘のアイデアも、大成功だったな。」

 

千棘 「フフーン♪

流石(さすが)でしょ?」

 

鶫 「お嬢、すごいです!」

 

小咲 「ありがとうね、千棘ちゃん。」

 

蓮 「……………。

なあ、桐崎さん。」

 

千棘 「はい?」

 

蓮 「その………。

ありがとうな、何回かあっただけの俺の店の為に、

ここまで頑張ってくれて。」

 

千棘 「そんなの、当たり前よ!

弥柳くんの事は私はまだよく知らないけど、

小咲ちゃんのお友達なんでしょ?

それなら、私が手伝う理由には十分よ!」

 

蓮 「!

そ………そうか………。」

 

蓮 (小野寺さん。

あんた、良い友達を沢山持ったな。)

 

第1巻 第273話 完

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