第1巻 第275話 ヒタスラ
2017年11月3日(金) 13:00
佐張大学(さわりだいがく)
16号館前
ケーキ屋、「みやなぎ おのでら ケーキ屋」
弥柳 「さて、
それじゃあ午後の商売を始めるよ。」
一同 「はーい。」
小咲 「午後も頑張ろうね、みんな!」
弥柳 「ところで、
午前中は宮本さんと桐崎さんがそれぞれ見事なアイデアを出してくれたが、
誰かまだ、いい案があるか?」
万里花 「はいはーい!
それなら、この私(わたくし)にいいアイデアがありますわ!」
千棘 「……………。
万里花、あんたのアイデアってもしかして………。」
万里花 「もちろん!
それは………
ただひたすらに、ケーキを作って、
売って………努力あるのみですわ!」
一同 「やっぱり………。」
そして………
万里花 「舞子さん!
チーズケーキが切れそうですわ!
早く陳列棚(ちんれつだな)に運んで下さい!」
集 「あいよ!」
ガチャッ
サッ サッ
万里花 「楽様!
売るケーキのストックが切れては商売になりませんわ!
申し訳ないのですが、
もっとハイペースで作って下さいませ!」
楽 「おう!
任せとけ!」
コネコネ………
タンッ タンッ
蓮 「……………。
なんだかあんた、
周りをやる気にさせるのが上手いな。」
万里花 「フフフ………。
そんな事は無いですわ。
私(わたくし)はただ、押しただけ。
努力なんて、その人自身がやる気にならない限り、決して出来ないのですわ。」
弥柳 「まあ、そんなもんか………。」
万里花 「フフ………。
しかし弥柳さん、
あなた、随分と努力なさるんですわね。」
蓮 「え?」
万里花 「私(わたくし)は今まで、
あまり自分以外に、努力をする人間を見ませんでしたわ。
あなたとは、気が合いそうですわね。」
蓮 「……………。
ああ、そうかもな。」
第1巻 第275話 完
第1巻 第276話 エイヨウ
2017年11月3日(金) 14:00
佐張大学(さわりだいがく)
16号館前
ケーキ屋、「みやなぎ おのでら ケーキ屋」
客A 「すいませーん。
チーズケーキを下さーい。」
ザワザワ………
ガヤガヤ………
楽 「ふーーう。
すごい人気だな。」
弥柳 「ああ。
みんなのお陰だよ、ありがとう。」
蒼也 「……………。
なあ、弥柳くん。」
弥柳 「ん?」
蒼也 「気になってたんだが、
このケーキ、栄養調合は考えてあるのか?」
弥柳 「え?
栄養調合?
確かに俺は栄養学部の学生だけど、
菓子作りで栄養を気にした事はあまり無いよ。」
蒼也 「やっぱりな………。
まあ、菓子は味が大事だからね。
でも、栄養まで考えないと料理としては成功とは言えない。」
スッ
蒼也は、何本かの小瓶(こびん)を出した。
楽 「ん?蒼也、なんだそれ?」
蒼也 「ビーハイブの薬品だ。
昨日、あんたの店を手伝う事になって、
ビーハイブのアジトから使えそうなのを何本か持って来ておいた。」
弥柳 「まさか………。
それをケーキに入れる気か?」
蒼也 「その通り。」
トクトク………
蒼也は、赤い小瓶(こびん)をケーキに注いだ。
弥柳 「あっ!
おい………。」
蒼也 「まあ、見てなよ。」
スッ
蒼也は、赤い液体を注いだケーキを客に出した。
蒼也 「どうぞ。
ショートケーキです。」
客B 「はい。
ありがとう………。」
客B (わぁ〜〜。
イケメンだぁ〜〜。)
パクッ
客は、蒼也から買ったケーキを食べた。
モグモグ………
客B 「あら?」
楽 「ん?」
客B 「何かしら………。
このケーキを食べた途端に、
今日は寝不足だったのに、いきなり目が覚めたわ!」
千棘 「え?どういう事なの?」
蒼也 「お嬢、さっきあのケーキにかけた薬は、
「精神覚醒剤」です。
本来は戦闘員が眠気を覚まして、
徹夜(てつや)で戦う為のものです。
だから、眠気がフッ飛んだんでしょう。」
楽 「でも、大丈夫なのかよ?
そんな薬、普通の人にやって?」
蒼也 「ああ、それは大丈夫だよ楽。
今日俺が持って来た薬は、
全部副作用が全く無い薬だから。」
楽 「そ、そうか………。」
客C 「なあ、向こうのケーキ屋でケーキを食べた女の子が、眠気が吹っ飛んだって!」
客D 「マジで?
俺も1つ食べてみようかな?」
蒼也 「……………。」
スッ
トクトク………
蒼也は、今度は青い液体の入った小瓶(こびん)をケーキにかけた。
蒼也 「どうぞ。」
スッ
客C 「いただきまーす………。」
パクッ
ジュウゥゥ………
楽 「お?」
客C 「アレ?
昨日ケガした、かすり傷がいきなり治ったぞ?」
客D 「マジで?
ホントにスゲーな、ここのケーキは!」
楽 「そ、蒼也………。
あのケーキにかけた薬は………?」
蒼也 「ああ。
アレは、木星の光と天王星の光を使って作った薬だ。」
楽 「え?あの薬、星の光を使って作ってあったのか?」
蒼也 「ああ。
星神(ほしがみ)の中には、そういう薬を作れるやつもいてな、
ビーハイブにもそういう星神(ほしがみ)が1人いてな、
そいつが作ったんだ。」
楽 「で、どんな効果の薬なんだ?」
蒼也 「木星の光の特性は「成長」、
その効果が細胞の治癒力を活性させて、
傷を早く治したんだ。
天王星の光の「治癒」も手伝ってな。」
楽 「なるほど………。」
弥柳 「……………。
双神くんだったっけ?
ありがとな、更にお客さんが増えたよ。」
蒼也 「ああ、そうか。
それは良かった。」
蓮 「……………。
しかし、なんだか意外だな。」
蒼也 「ん?
何がだ?」
蓮 「いや。
あんたさ、無口だし星神として、組織の命令を忠実に実行してるだけのやつだと思ってたよ。」
蒼也 「……………。
まあ俺も実際、少し前まではそうだったんだがな。
楽たちと一緒にいるうちに、
こういうただの学祭に努力するのも、
中々(なかなか)楽しいと思い始めたんだ。」
蓮 「……………。
そうか。
そりゃ良かったな。」
蓮 (こいつも、俺と同じか………。)
第1巻 第276話 完