2017年11月4日(土) 12:00
LAB(ラボ) ファッション学園
A塔(とう) 12階 1211号室、「長ズボン研究会」前
千棘 「さーて、
次はこの部屋で長ズボンを試着するわよ!」
楽 「うぅ〜〜、
いてぇ………。
お前にビンタされた頬(ほほ)が、
まだヒリヒリするぜ………。」
楽は、
前の13階の「ホットパンツ研究会」で千棘にビンタされた頬(ほほ)を、
まだ押さえていた。
千棘 「みんなの前で、
この私にセクハラ発言をしたあんたが悪い!」
楽 「うぅ〜〜。
それもそうだな………。
悪かったな。」
千棘 「今度はちゃんと、
私たち2人っきりの時に言いなさいよ。」
ボソッ
楽 「え?」
千棘 「な、何でもないわよ!」
鶫 「さあ皆さん、
次にお嬢が皆さんにご紹介したいのは、
こちらの部屋です。」
ガチャ
鶫は1211号室のドアを開けた。
「長ズボン研究会」、
のその部屋は、
その研究会名通り、
何十何百の長ズボンがハンガーに掛けられて飾ってあった。
黒一色、迷彩柄(めいさいがら)、肌色(ベージュ)、ジーンズなど様々(さまざま)な種類の、
そしてその部屋の壁には、
同じくさまざまな種類の長ズボンの絵が描かれていた。
楽 「なんか、
この学校、服のデザインだけじゃなくて、
壁や廊下のデザインや作りも相当(そうとう)凝ってるよな。」
千棘 「当たり前よ!
「何事もまずは見た目から」、
が、
この学園のモットーで校訓(こうくん)の1つなんだから!」
フフン♪
楽 「あっ!
でもいいのか?
この試着会は、
お前ら女子が中心になって楽しむ為のものだろ?
長ズボンなんて、
どちらかと言えばメンズじゃねーか?」
千棘 「フフン♪
分かってないわね、楽。
最近の女の子は、
スカートやショートパンツみたいな女の子っぽい服装だけじゃないのよ。
ボーイッシュな服も、
好きな子がいっぱいいるのよ!」
楽 「そういうもんなのか………?」
千棘 「さあみんな、
ここも学祭期間中は貸し出し中だから、
好きに試着してね!」
小咲・万里花・鶫・るり 「はーい。」
そして、女性陣はこの部屋でも更衣室のカーテンの中に入り………
万里花 「じゃーん!
どうですか楽様、みなさん?」
この部屋で1番手で出て来た万里花は、
迷彩柄(めいさいがら)の長ズボンで出て来て、
普段のお嬢様口調でお淑やかな彼女の雰囲気から、
打って変わったボーイッシュな新鮮さが出ていた。
集 「おお〜〜!
なんか今回の万里花ちゃん、
新鮮〜〜!」
万里花 「エッヘン!
戦場で勇敢に戦う軍人さんを思わせるこの迷彩柄(めいさいがら)は、
努力家な私(わたくし)にピッタリですわ!」
楽 「いやお前、
自分で言うなよ………。」
小咲 「アハハ………。
万里花ちゃん、
よく似合ってるね。」
楽・集 「お!」
2番目に出て来た小咲は、
黒一色の長ズボンで、
彼女もまた、
普段のお淑やかな雰囲気から打って変わったボーイッシュさを滲み出していて、
そのギャップが今までに無い小咲の新たな魅力を引き出していた。
楽 (うお〜〜………!
こんな小野寺も、なんだか新鮮………。)
弥柳 (……………。
なんか、良いな。)
千棘 「お待たせ、楽。」
スッ
楽 「おっ」
3番目に出て来た千棘は、
青いジーンズを履いていた。
腰回りが千棘のものより一回り小さいのを履いたみたいで、
彼女の綺麗(きれい)なヒップラインを、
一層(いっそう)強調していた。
千棘 「ど、どう?
今回のも似合ってる?
楽?」
楽 「ああ、似合ってるぜ。」
楽は、少し顔を赤くしながら答えた。
千棘 「!
そっか………。
良かった………。」
第1巻 第284話 完