ニセコイ→マジコイ   作:カルマ1515

237 / 383
第1巻 第304話 ダイイチ

2017年11月6日(月) 16:15

 

凡矢理大学

 

第1体育館、バドミントン部の練習場

 

LRT(ラブ リアル テスト)会場

 

楽 「よーし、行くぞ千棘!」

 

千棘 「ええ!」

 

ガジッ

 

 

楽と千棘は、

手を繋ぎながら、LRT(ラブ リアル テスト)の会場のピンク色の入り口に入って行った。

 

 

タタタッ

 

 

千棘 「外の外観はピンク一色だったのに、

建物の中は黒一色ね。

なんだか………LAB(ラボ)のA塔(とう)を連想させるわね。」

 

楽 「そりゃそうだろ。

オバケ屋敷の中がピンク一色だったら、

全然怖くねーじゃん。

黒だからこそ、怖い雰囲気が出るだろ。」

 

千棘 「アハハッ、それもそーね。」

 

スタスタ………

 

 

楽と千棘が進むたびに、

最初は広かったオバケ屋敷の通路は狭くなって行き、

灯り(あかり)も、灯っている間隔がどんどん広がって行き、

狭く暗くなっていった。

 

 

千棘 「……………。

ねえ楽、

だいぶ狭くて暗くなって来たね。」

 

楽 「ああ、そうだな………。」

 

千棘 ガタガタ………

 

 

暗所恐怖症、閉所恐怖症の千棘は、

震え始めていた。

 

 

楽 「千棘、大丈夫か?」

 

千棘 「うん………。

これくらいの狭さと暗さなら、

まだ大丈夫だけど、

もう少し暗くなって来たら、

怖いかも………。」

 

 

? 「ゴロッ」

 

楽・千棘 「?」

 

 

楽と千棘の背後から、

変な声がした。

 

 

? 「ゴローー!」

 

千棘 「キャアァァーー!」

 

 

変な声の主は、ミイラ男だった。

 

 

楽 (ミイラ男………冬吾か。)

 

千棘 「キャアァァーー!

こ、怖いよ楽ーー!」

 

ギュウゥゥ………

 

 

千棘は、

楽の後ろに隠れて、楽の背中にしがみついた。

 

 

楽 「落ち着けって千棘!

オバケ屋敷なんだから、本物なわけも、危害を加えるわけもねーだろ?」

 

千棘 「それは分かってる、分かってるけど………。

こんな狭くて暗いところで出てくると、本物じゃないって分かってても怖いんだもん………。」

 

ギュウゥゥ………

 

 

千棘は、半分涙目になりながら、ますます強く楽の背中にしがみついた。

 

 

楽 (ったく………。

すっかり怖がっちまって………。

怖がってる姿は、その………。

可愛いけど………。)

 

ミイラ男(冬吾) 「お兄さんとお嬢さん〜〜。

早く逃げないと、私の包帯でグルグル巻きにして捕まえちゃいますよ〜〜。」

 

千棘 「ひっ!」

 

楽 「なっ!?」

 

ミイラ男(冬吾) 「特にそっちのお嬢さんは、可愛くてさらいたいですね〜〜。」

 

楽 (と、冬吾!

本格的過ぎるだろ!)

 

千棘 「イヤアァァァーー!

私、さらわれちゃうーー!」

 

グイッ

 

楽 「なっ!?」

 

 

ズダアァァ………

 

 

千棘は、

楽の腕を掴んで、全速力でオバケ屋敷の通路を走って行った。

 

 

千棘 「ハァ………ハァ………。

怖かったあぁ〜〜。」

 

楽 「ハァ、ハァ………。

俺は怖かった以上に、疲れた………。

お前、いくら怖いからって星体技(せいたいぎ)全開にして走るなよな………。」

 

千棘 「だってだって、

あのミイラ男、私をさらうって………。」

 

楽 「だから、オバケ屋敷なんだから、本当にさらうわけねーだろが!」

 

楽 (それに、

明るくて広いところで出会ってたら、あんなミイラ男、

逆にボコボコにしてるくせに………。)

 

? 「フフフ………。

客が来たか………。」

 

千棘 「!

え?」

 

楽 「?次のオバケか………?」

 

ドラキュラ(蛍) 「ガオーー!

血を吸うぞ〜〜!」

 

千棘 「……………。」

 

楽 (今度は、蛍(ほたる)のドラキュラか………。)

 

楽 「おい蛍(ほたる)、

オバケ屋敷だから、客を怖がらせなきゃならねーのは分かるけど、

ちょっとやり過ぎだろ。

俺のハニーは、暗いところと狭いところが苦手なんだ。

ほら、こんなに怖がって………。」

 

千棘 「……………。」

 

シラーン

 

 

千棘は、

冬吾が演じたミイラ男の時とは全然違い、

全く怖がらず、

甘く見たような表情で蛍のドラキュラを見つめていた。

 

 

楽 「って、え!?

全然怖がってない?」

 

千棘 「……………。」

 

ポンッ

 

ドラキュラ(蛍) 「え?」

 

 

千棘は、

ドラキュラ(蛍)の頭に手を置いた。

 

 

千棘 「……………。

あんた、

さっき入り口で会った、蛍君(ほたるくん)でしょ?」

 

ドラキュラ(蛍) 「!」

 

ドラキュラ(蛍) (バ、バレたーー!)

 

楽 「千棘、分かんのか?」

 

千棘 「ええ、

そりゃ分かるわよ。

この子の大人しそうな雰囲気でバレバレだし。

蛍君(ほたるくん)、

あんたオバケ役に向いてないわよ。」

 

蛍(ほたる) ガーン!

 

 

蛍(ほたる) 「うぅ………。」

 

 

蛍(ほたる)は、千棘の評価に落ち込んだ。

 

 

楽 (蛍すまねえ。

後でなんか、奢ってやるからな。)

 

千棘 「さあ楽、行きましょ。」

 

フフーン♪

 

楽 「お前、

なんだかいきなり元気になったな………。」

 

千棘 「さっきの蛍くんのかわいいオバケ役見たら、

なんだか大丈夫になって来ちゃった。

このまま余裕でクリア………。」

 

ベチョ

 

 

千棘 「え?」

 

楽 「ん?」

 

第1巻 第304話 完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。