ニセコイ→マジコイ   作:カルマ1515

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第1巻 第305話 ベタベタ

2017年11月6日(月) 16:30

 

凡矢理大学

 

第1体育館、バドミントン部の練習場

 

LRT(ラブ リアル テスト)会場

 

 

第1関門 オバケ屋敷の間

 

 

千棘 「え?なにコレ?」

 

楽 「どうした千棘?」

 

千棘 「なんだか、

この壁、ベタッてしてて、

手が壁から離れないの。」

 

ベターー

 

 

千棘の左手は、

壁の表面に付いていた黄緑色のスライムのようなものにくっついて、

離れなくなっていた。

 

 

楽 「あ!

そういえばイベントの準備の時、冬吾が………。」

 

 

楽の回想

 

 

冬吾 「楽、

実はな、オバケ屋敷にこんなのも仕掛けたんだ。」

 

楽 「は?

スライムの壁?」

 

冬吾 「ああ、

オバケ屋敷の壁の何個かに、

粘着力(ねんちゃくりょく)のあるスライムを貼っておいた。

客は、

狭くて暗い中で身動きが取れなくなって、

怖がるってわけさ。」

 

楽 「なるほど………。

あっ、でも大丈夫なのか?

スライムに引っ付いた人が、取れなくなったりしたら………。」

 

冬吾 「それは安心♪

会場内のアナウンスで少し脅かしたら、

この特殊な液体をかければ、

簡単に粘着力を無くすから♪」

 

カランッ

 

 

冬吾は、

瓶(ビン)に入った水色の液体を楽に見せた。

 

 

楽の回想終わり

 

 

楽 (ホッ、

よかった………。

それなら、

もうじき冬吾がアナウンスを流した後、

液体の入った瓶(ビン)を持ってきてくれるだろ。

千棘は怖がらせちまって少しかわいそうだけど、

そこはオバケ屋敷って事で………。)

 

千棘 「あーもう!

何よコレ!」

 

バッ

 

 

千棘は、

空いている方の左手を振りかぶった。

 

 

楽 「あっ!

おい千棘、じっとしてた方が!

実はコレはな………。」

 

ベチョ

 

千棘 「あっ!」

 

楽 「!」

 

 

千棘は、

空いている左手で右手を壁のスライムから剥がそうとしたが、

左手もスライムにくっついてしまった。

 

千棘の頭の上の方で右手と左手のてのひらが合わさってくっついているので、

映画で、

頭の上で両手を縛られている人のような体制になってしまった。

 

 

千棘 「や、やだ。

怖い………。」

 

 

ガクガク………

 

ブルブル………

 

 

千棘は、

両手が引っ付いてしまった恐怖で、

ますます目に涙を浮かべて、

恐怖に顔を引きつらせた。

 

 

楽 「大丈夫か?

千棘?」

 

千棘 「ううん。

正直、だいぶ怖い………。」

 

 

千棘は、

楽に対して上目遣いで

怯えながら答えた。

 

 

ピンポンパンポンッ

 

 

冬吾 「オバケ屋敷アナウンスでーす。」

 

 

アナウンスで、

冬吾の声が聞こえた。

 

 

楽 (!

冬吾か?)

 

 

冬吾 「「スライムの壁」に、

女の子が1人捕まったようですね?

今から、

そこに捕まってる女の子に狼男さんがやって来て、

食べて貰います♪」

 

 

千棘 「えっ?」

 

楽 「なっ!?」

(冬吾のやつ、学校のイベントで、

なんつー本格的なホラーやってんだ!)

 

千棘 「うぅ〜〜………。

その女の子って、私の事だ………。

私、このままじゃ食べられちゃう………。」

 

ブルブル………

 

ウルウル………

 

 

楽 「千棘、落ち着けって!

本当に食べられるわけなんて無いだろ?

それに、

そんなに怖いなら、星体技(せいたいぎ)で力を強化して、スライムを引きちぎればいいじゃねーか!」

 

シルフ 「それは今はムリよ。」

 

ヒョコッ

 

楽 「あっ、シルフ?」

 

 

シルフは、

千棘の星匣(ほしはこ)から出て来て実体化して、

楽に話した。

 

 

シルフ 「星の光は、

あなた達人間の感情が元になってるエネルギーだもの。

今の怯えきって心が負の感情に支配され切ってる千棘には、

十分な星体技(せいたいぎ)は使えないは。」

 

千棘 「うぅ〜〜………。

それじゃあやっぱり私、

狼男(おおかみおとこ)に食べられちゃうんだぁ………。」

 

ガタガタ………

 

ブルブル………

 

楽 「……………。」

 

楽 「それなら、

お前のその恐怖を、俺が吸い出してやるよ。」

 

千棘 「え?」

 

クイッ

 

千棘 「ひゃうっ!」

 

 

楽は、

千棘の顎を摘んだ。

 

 

チュウウゥ………

 

千棘 「んんっ、んーー………。」

 

 

楽は、

そのまま千棘にキスした。

 

 

楽 「ぷはぁっ………。

ふーー………ごちそうさま。」

 

千棘 「ら、楽………。」

 

楽 「俺は、

お前の怖がってる顔もスッゲー可愛いと思うけど、

やっぱり俺が1番好きなのは、

笑ってるお前の顔だ。

それに、

お前を泣き顔のままにしておくのは、彼氏として自分が許せねーんだ。」

 

千棘 「あ、ありがと………。」

 

 

千棘の体の震えは、収まっていた。

 

 

楽 「……………。

なあレオン、俺の太陽の光は、

確か人の体には無害なんだよな?」

 

レオン 「え?

うん、火星属性の光は、

星獣(せいじゅう)ごとにもよるけど、

太陽の光は、

基本的には星の光や物だけを焼いて、

人体には無害だよ。」

 

楽 「そうか………。

そりゃ良かった。」

 

スッ

 

カシャンッ

 

楽の星匣 「籠手の札(コテノフダ)」

 

ヒュンッ

 

 

楽の左手に、

レオンの顔を模した籠手(こて)が装備された。

 

 

楽 「紅炎(プロミネンス)!」

 

ボウッ

 

 

楽は、籠手の札(コテノフダ)から紅炎(プロミネンス)を、

千棘の両手がスライムに引っ付いてる部分に放った。

 

 

ジュウゥゥ………

 

 

千棘 「あっ!」

 

 

レオンの言った通り、

楽の太陽の光は、

千棘の体には無害で、千棘の腕に引っ付いてるスライムだけを溶かした。

 

 

千棘 「と、溶けた………。」

 

楽 「ふーー………。

良かったなーー、千棘。」

 

千棘 「ら、楽………。」

 

ジワッ

 

 

千棘は、

目に更に涙を浮かべた。

 

 

ギュッ

 

 

楽 「わわっ!?」

 

 

千棘は、

手が自由になった途端に、

楽に抱きついた。

 

 

千棘 「怖かったよぉ〜〜。

怖かったよぉ〜〜………。」

 

ギュウゥゥ………

 

 

千棘は、

いつも楽を抱きしめるよりも更に強く、

楽を抱きしめていた。

 

 

楽 (ヤベーー、スッゲー可愛い………。

本当の恋人になってから何度も抱きしめあったけど、

今日の千棘は尚更(なおさら)可愛い………。)

 

 

冬吾 「フーー。

名プレイだったねぇ、楽。」

 

スタスタ………

 

楽 「あっ、冬吾!」

 

 

楽が千棘に抱きしめられていると、

冬吾がミイラ男の衣装を脱いで、

楽とは別の狼男(おおかみおとこ)役の人を連れて歩いて来た。

 

 

冬吾 「まさか、星札(ほしふだ)を使ってまで彼女を助けるとは………。

文句無しの彼女への愛情だよ。

こりゃ、楽と桐崎さんはこの第1関門は満点だねぇ………。」

 

楽 「満点じゃねーよ!

冬吾お前、大学祭の出し物に本格的なホラーを出し過ぎだ!

見ろ!千棘がこんなに怯えちまってるじゃねーか!」

 

千棘 「いいのよ楽。

久野くんは何も悪くないわ。

悪いのは、

オバケ屋敷にこんなに怖がっちゃう私よ………。」

 

楽 「で、でもよぉ………。」

 

冬吾 「アッハッハ、

いい彼女さんじゃないか。

可愛いだけじゃなくて、

性格もとってもいい子だ。

ところで楽、

さっきのお前と桐崎さんのキスシーン、

しっかりとビデオカメラで録画させて貰ったからな。」

 

楽 「なっ?」

 

千棘 「えっ?」

 

冬吾 「マフィア界のジャーナリスト、

星物書き(ほしものかき)として、

ヤクザの若頭(わかがしら)とギャングの娘とのこんな素敵な熱愛を見逃すわけにはいかないからな。

特にこのシーン、高く売れるぜ?

「お前のその恐怖を、俺が吸い出してやるよ。」

キザだねーー、

楽も。」

 

楽 「わぁーー!

冬吾、それを売るのだけはーー!」

 

冬吾 「アッハッハ………。

冗談だよー、楽。」

 

楽 「……………。

冬吾、やっぱりお前、だいぶ集に似てるわ。」

 

千棘 「確かに、

性格が舞子君にそっくりね………。」

 

第1巻 第305話 完

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