2017年11月7日(火) 17:00
スペクトル凡矢理 705号室
楽 「うーん………。」
パチッ
鶫 「あ!
お嬢、一条楽が目を覚ましました!」
千棘 「え!?
ホントに?」
楽 「アレ?
俺、何でマンションに戻ってるんだ?
確か凡矢理大学であのトレスってやつと戦ってて………。」
万里花 「ふぅ………。
良かったですわ。
楽様………。」
シュウゥゥ………
楽 「アレ?
橘、お前もウチに来てたのか?」
目を覚ました楽の隣には、
ベッドで寝ていた楽の傷を天王星の光で治療していた万里花がいた。
万里花 「良かったですわ楽様!
傷が治って………。
私(わたくし)、とっても心配しましたのよ?」
楽 「なあ、
俺あの後、どうなったんだ?」
鶫 「パピヨンコクーンのボス、
トレスが去った後、
蒼也がお前をこのマンションまで運んで、
橘 万里花の天王星の光の治癒の力でお前を治療したんだ。
幸い、お前の傷は血はたくさん出てはいたが、
内臓は殆ど無傷だったから、
傷さえ治せば簡単な治療だった。
まるで、
初めからお前を戦闘不能にするのだけが目的で、
お前の命までは取る気は無かったようだった………。」
楽 「そうか………。
ありがとな、
橘、蒼也。」
万里花 「楽様が大ケガをされたのですから、
当然の事をしたまでですわ。」
蒼也 「良かったな、楽。」
千棘 「楽ぅ〜〜!」
ダキッ
楽 「わわっ!?」
千棘は、
涙目になりながら、目を覚ました楽に抱きついた。
万里花 「……………。
今回ばかりは、目をつむりますわ。
楽様の恋人として、
側にいて支える者として、
桐崎さんは当然の反応をしているだけですわ。」
千棘 「良かったよぉ〜〜、
良かったよぉ〜〜。
楽が死んじゃったら、
私、どうしようかと………。」
楽 「……………。
すまねぇ。
心配かけたな、千棘。」
ナデナデ
楽は、
千棘の髪を優しく撫でた。
楽 「……………。」
スッ
楽は、
万里花に治してもらった傷跡を服の上から触った。
楽 「……………。
俺、ずいぶん大ケガしたな。
考えてみたら、
あんなに大ケガしたのも、
敵に一対一で負けたのも初めてだ。」
蒼也 「楽、初めて敗北と大ケガを経験して、ショックだったか?」
楽 「ああ。
今までは、
千棘と2人で戦ったら勝てたり、
お前が加勢に来てくれたりして、
結局は勝てた。
でも………。
今回は初めて負けて、
大ケガもした。」
千棘 「……………。」
楽 「今まで俺、
小さい頃から、竜たちが守ってくれてたお陰で、
ヤクザの2代目でありながら、
ほとんど危険に巻き込まれなかった。
でも、初めてホントに大ケガした時、
こんなにキツいもんなんだって、
薄れゆく意識の中で思ったんだ………。」
蒼也 「楽、
ヤクザやギャングや星神なんてやってたら、
そんな命に関わらない程度のケガ、
しょっちゅうだよ?
慣れないと………。」
楽 「ああ、
それは分かってたつもりだった。
でも、
実際に自分が経験すると、ここまで違うんだなぁって………。」
バンッ
楽 「な!?」
蒼也 「!」
鶫 「お、お嬢?」
千棘は、
楽の背中を叩いた。
楽 「ち、千棘?
いきなり何するんだよ?
俺は今、病み上がり………。」
千棘 「らしくない!」
楽 「え?」
千棘 「あんた、
私やこの町のみんなを守る為に、
強くなるって決めたんでしょ?
なに、1回負けただけでヘコんでるのよ!
強くなりたいなら、
負けた相手に、次は勝てるように強くなればいいだけじゃない!」
楽 「千棘………。
そうだな、悪りぃ。
蒼也、もっともっと俺を鍛えてくれ。
俺、もっと強くなりたい!」
蒼也 「ああ。
分かったよ、楽!」
第1巻 第325話 完