ニセコイ→マジコイ   作:カルマ1515

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第1巻 第30話 タチバナ 第1巻 第31話 ケンコウ

PM:17:00 集英組本部 一条家前

 

楽 「おせーな、鶫の奴。」

 

千棘 「珍しいわねぇ、あの子律儀だから遅刻なんて滅多にしないのに。」

 

鶫 「一条楽!待たせたな。」

 

楽 「おっ、来た。」

 

 

スタスタ

 

 

鶫が集合時間を少し過ぎてやって来た

 

楽 「待ってたぜ〜。珍しいな、お前が遅刻なんて。」

 

鶫 「ああ、すまない。思わぬ客人と街で会ってしまってな。」

 

千棘 「思わぬ客人?」

 

鶫 「お嬢もいらしてたんですね。ちょうどいいです。

説明しておくには本人に会わせるのが1番ですから。」

 

楽 「は?誰と会ったんだよ?」

 

鶫 「おい、もう出て来ていいぞ。」

 

? 「はい。」

 

タンッ

 

楽 「え?」

 

千棘 「え?」

 

? 「お久しぶりです。天駆高原以来の10ヶ月ぶりですね。

楽様、桐崎さん。」

 

 

その少女が出てきた瞬間、楽と千棘は固まってしまった。

ここに帰って来るのは早過ぎたからである。

 

楽 「た…橘………!」

 

千棘 「万里花、あんたまでこっちに戻って来てたの?」

 

橘 「やっと会えましたわ」

 

昔のサイドロングとは違いショートに切られた栗色の髪に、それを留める花型の髪飾り、お嬢様口調

 

ニコッ

 

紛れもなく、一昨年のバレンタインにアメリカの病院に2年間の闘病生活をしに行った筈の楽の許嫁、橘 万里花

 

第30話 完

 

 

 

第1巻 第31話 ケンコウ

 

楽 「そっか、橘こっちに戻って来てたのか………」

 

千棘 「え?でも万里花あんた病気の治療にはあと半年くらいかかるんじゃあ?」

 

橘 「…………….………」

 

ダダッ

 

楽 「えっ!?」

 

橘 「らーくーさま!」

 

ギュウゥゥ

 

楽 「えええっ!?」

 

千棘 「な………」

 

鶫 「!」

 

万里花は楽に全速力でかけ付き、抱きついていた

 

橘 「お会いしたかったですわ〜〜この一年半、楽様に会いたい気持ちだけで入院生活を

………やっと帰ってこれましたわ〜〜〜」

 

千棘 「ちょっ万里花、離れなさい!」

 

鶫 「コラーーー!橘 万里花、そういう事をしない約束では無かったのか?」

 

橘 「だってだって、この1年半ずっと病室で………ずっとこの時を待ち望んでいましたわ〜〜〜」

 

楽 「わわっ、とにかく離れろって!」

 

千棘 (私の再会と被った。なんかヤダ………)

 

 

それからしばらくして落ち着き

 

 

楽 「で、お前何でもう日本に戻って来たんだよ?確かお前の病気の完治には2年いるんだろ?早すぎねぇか?」

 

橘 「ああ、その事なんですが。

確かにあと半年以上かかる筈だったんです。

「通常の治療」だけでしたらね。」

 

千棘 「通常の?」

 

橘 「はい。治療開始から一年が経ち、命に関わるであろう病状を乗り越えて安全圏に入り、後はもう一年かけてリハビリとケアを繰り返して人並みの免疫と体力に回復するだけの筈だったのですが………実際はそれは半年で終わりました。」

 

楽 「え?何でだよ。早く終わるリハビリ法でも見つかったのか?」

 

橘 「いえ、確かにそうなのですが。

見つかったというよりは、私自身が出来るようになったと言った方が正しいのです。

私が18歳になり。「許可」が降りたから。」

 

楽 「え?18歳に許可って、まさか………?」

 

橘 「はい。」

 

スッ

 

橘はそういうと、羊の文様が描かれた白いカードデッキを出した

 

楽 「!ソレ……星匣か?」

 

橘 「はい。」

 

スッ

 

橘 「愛羊天皇(あいようてんのう) レム」

 

ボウッ

 

レム 「うーん、どうしたの万里花?私まだ寝てたのよ? ムニャムニャ」

 

橘 「レム、この方が私が話していた許嫁の楽様ですわ。素敵でしょう?」

 

レム 「ああ、いつもしつこくあたしに話してた………眠いわよ………」

 

万里花の星匣からは、白い羊が出てきた

 

千棘 「あ…あんたも星神になったの?

でも、何で………」

 

橘 「はい。18歳の誕生日に私は、古くから続く武家の跡取りとして、星獣や星神の存在を曜子や隠衞の星神のメンバーから聞きました。

それだけの筈だったのです。「母の代」

までなら。」

 

楽 「え?お前の母ちゃんの?どういう事だ?」

 

橘 「橘家に使えてきた隠衞のトップ数名は星神でした。

しかし橘家の当主自体が星神として覚醒することは代々あり得ませんでした。

2つの理由により。」

 

千棘 「二つの理由?」

 

橘 「はい。一つは単純に橘家は皆さんもご存知の通り、代々体の弱い家系でした。

星錠による覚醒に体が耐えれる保証がどこにも無かったからです。」

 

千棘 「もう一つは?」

 

橘 「もう一つは………心が空っぽだったからですよ。」

 

楽 「心が?」

 

鶫 「やはりか………そんな事だろうと思った。」

 

橘 「はい。母を見ればわかると思いますが。

代々政略結婚と伝統に縛られて自由を許されなかった私の一族は、心が虚無感に支配されていました。

星の光を集めるには強い感情が必要不可欠………私の母・千花の代まではそれが無かったのです。」

 

鶫 「やはりな………とくに天皇属性の星の光は強い愛情を持った者に惹かれる。

貴様の母では絶対にあり得なかっただろう。」

 

橘 「はい。私は家を継ぐ必要も無くなったので、厳重な警戒態勢の中で父から貰った星錠を飲む事を許されたのです。

最初は体の弱さゆえ正直大分キツかったのですが、楽様への愛で乗り切り、無事覚醒いたしましたわ。」

 

千棘 「それで、この子の力を借りてリハビリを早く終わらせたって事?」

 

橘 「はい。レムの治療の力を借りました。結果、通常の2〜3倍のスピードで体が強くなっていきましたわ。」

 

楽 「治療?星神って、そんな事も出来んのか?」

 

鶫 「ああ、天王星の光の特性は「治療」

11属性で2つだけ治癒が出来る属性の一つだ。

上位の天皇属性の星神なら通常の医療では修復不可な傷も完治させられる。」

 

楽 「スゲーんだな、橘。」

 

鶫 「まあ、橘 万里花の貴様への愛情なら不思議は無いだろう。

こいつが覚醒したのを聞いて、小野寺様が天皇星の光の素養を持っていたのも納得出来た。」

 

千棘 「え?小咲ちゃんも万里花と同じ属性なの?」

 

鶫 「はい。どちらも大変綺麗な天王星の光でした。

こういう愛情に満ちた女子ほど、天王星の光はよく惹かれます。」

 

千棘 (小咲ちゃんに素養があっただけじゃなくて、万里花まで……)

 

千棘 (………………………………)

 

第31話 完

 

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