白百合の騎士と悪魔召喚士   作:気力♪

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やりたかった会合です。生きている者を導くことこそがサーヴァントの本懐だと思うので

あ、操作ミスによりこれは本日2本目です。3話を見ていない方はそちらからどうぞ。


聖女と聖女

ライコウの事件から1週間。力のコントロールを覚え、日常を取り戻した神野は、学校に行きながら今日も今日とて裏の世界に立ち向かうための知識を蓄えている。

 

とりあえず今日は訓練をデオンに任せられそうなのでゆっくりと魔術書を読み込んでいると、神野の声が響いてきた。「暇ですねぇ」と。

 

「俺たちみたいなのが暇なのはいい事だよ。ていうかデオン、神野の訓練はどうした?」

「...彼女、ある意味凄いぞ。どんな武器を持たせても向いてない。鍛え続ければ普通くらいにはなるかもしれないが、それならもう拳で戦わせた方が早いくらいだ」

「いやー、すいません。でも、運動神経自体は悪くないんですよ!」

「知ってるよ。...となると、祝福を受けたガントレットあたりを主武装にするのが正着かねぇ...幾らかかるんだ?」

「スマホの操作できなくなるからガントレット使う人なんて今日日いないからね。製造技術残ってるかな?」

「そこまでですか...」

「最悪素手でいいんじゃないかな。彼女の身体には神聖な力が付与されている。武器がなくても戦えない事はないよ」

「へー、そうなんですか」

「じゃあ、次はCOMPの都合だな。手足を武器に使うんだとしたら、首から下げるのが良いかな」

「こんぷ、ですか?」

「ああ、悪魔召喚プログラムの入ってるコンピュータ機器のことをそう言うんだ。俺のスマートウォッチもCOMPの一種だな」

「へー、所長さんは何を使っているんですか?」

「私はコレ、スマホ型COMP。安いけど最低限の機能は揃ってるの。私みたいな身一つで戦える異能者からすれば、COMPはそんなに必要じゃないからね」

「ちなみに、普通のスマホに悪魔召喚プログラムをインストールして即席COMPにするって手もある。召喚にストックしたMAGを使えないから悪魔の制御くっそ疲れるけどな」

「へー」

「いや、疲れるで済むのは千尋くんだけだから。普通は暴走するからね。」

 

そんな会話をしつつもどこかのんびりと時間を過ごす。まぁ、こんな日もいいだろう。覚醒者の身体能力は魂に引きずられているので筋トレしても効果はほとんどないのだ。だから軍人たちがトレーニングに使う時間を有意義に使える。

まぁ、逆に言えば幾ら筋トレしたとしても勝てないやつには勝てないということなのだが。

 

「じゃあ、今日の営業時間終わったらCOMPショップに案内するね。縁ちゃん」

「ありがとうございます!...でも私、サマナーになるつもりはないですよ?」

「いや、普通に便利なんだよ悪魔召喚プログラムって。オートマッピングプログラムにマグネタイトの収集機能、あとは異空間に物を収納できるストレージ機能とかな」

 

そう言って、スマートウォッチを操作してストレージからP-90を取り出す。

神野は、「おー」と手品を見た時のような反応をしていた。

 

「他にもインストールアプリとして、敵の存在を教えてくれるエネミーソナー、敵の奇襲を知らせてくれる百太郎、周囲の地形を教えてくれるネオ・クリア、マグネタイトの印象を変えることで会話の成功率を上げるレディ・キラーズ、みたいに色々な機能が選り取り見取りだ。持っていて損はないんだよ」

 

その後、ネットでの異界討伐依頼が2件やってきて探偵事務所の営業時間は終了となった。

 

「じゃ、縁ちゃんのCOMP買ってから異界回りに行こうか。デオンくん、車お願い」

「任されたよ、カナタ」

 


 

四分儀ガジェットストア。結界が張ってあるため決まった道順を辿った後にしか認識できないアングラなショップだが、なかなかに良いものが揃っている店でもある。

ちなみに、俺のスマートウォッチを買ったのもこの店だ。

 

「やぁ、千尋くん。スマートウォッチの様子はどうだい?」

「今のところ問題はないです。魔法陣作成代行プログラムの方もバグは見つかってないですね」

「千尋さん、この人は?」

「四分儀さん。この店の店長だよ」

「私のスマホ型COMPもここの店で買ったんだよ。投げ売りされてたやつ」

「テクノロジーに頼らない化け物は呼んでないよ、撫で斬りカナタ」

「いいじゃない、別に」

「それはともかく、四分儀さん、コイツにCOMPを見繕って欲しいんですけど」

 

神野の背中をトンと叩く。すると、「神野縁です!よろしくお願いします!」と元気よく声を上げた。ちょっと緊張していたようだ。

 

「んー、異能者系だね。強い力場を感じる。獲物はなんだい?」

「今のところは素手、祝福付きのガントレットあたりを使わせようかと思ってる」

「となると、音声認識タイプか思考操作タイプだね。それならちょうどいいのがあるよ。これだ」

 

そう言った四分儀さんは、引き出しから十字架を取り出した。メシアンの天使使いが使うCOMPのようだ。

 

「首からかけられる思考制御型のCOMP。メシアンからの払い下げ品だけど、しっかり初期化したから大丈夫。どうだい?」

「いいんじゃない?イメージぴったりだし」

「...でも、どうせ欠点があるんだろ?お前が普通に良い物を売るとは思えん」

「察しがいいね千尋くん。その通り。このCOMPは高位の悪魔と契約できるようにエミュレータが高性能なものになってるんだけど、その分拡張容量が死んでる。構造上メモリを増やすのも無理だ」

「うわぁ...」

「つまり、百太郎?みたいなアプリを入れられないって事ですか?」

「その通り。プリセットで入ってるアナライズとエネミーソナー以外インストールアプリはなし。入れられて容量の軽いアプリくらいだね。百太郎はギリギリ入るかな?」

「それで、幾らだい?」

「18万円」

「「安ッ⁉︎」」

「まぁ、所詮中古品だし。カスタマイズもしてないしね。新人にウチを布教するには良い機会って事でお安くしてるよ。どうだい?神野さん」

「わかりました、買います!」

「おー、元気いいね。支払いは浅田探偵事務所の口座で良いかい?」

「ああ、構わないよ」

 

「所でデオン、何見てんだ?」

「ッ⁉︎な、なんでもないよサマナー」

 

その目の先には、魔本型COMPがあった。COMPが欲しいなら言うはずだ。と言うことはもしかしてコイツ、読書をしたいのか?

 

そんな事を思った俺は、携帯でのネット通販であるものを注文する。有料会員特典の速達サービスにより、明日の朝には届くようだ。

 

「それじゃあ、異界に行くよ。デオンくん、運転よろしく!」

「ああ、任せてくれたまえ」

 


 

たどり着いた異界の基点は、公園の入り口にある銅像だった。

金田権助像。成金と名高いが、きちんと公共福祉に金を回していた個人的には好きな人の銅像だ。だがその遺族はその名声故に悪魔絡みの事件に巻き込まれる事が多く、サマナーからしたらいい金ヅルだったりする。

 

「でも、この人ってどうしてこんな有名になったんですか?」

「それは、私も気になるね。銅像を建てると言うことは自己顕示欲があるという事だろうが、悪戯された様子があまりない。慕われているのだろう?」

「この人は、“ウカノミタマ”を作った会社の社長だった人だよ。悪魔のデオンはともかく、神野は授業で習ったろ」

「あ!ウカノミタマは知ってます!食料革命ですよね!」

「食料革命?」

「ああ、ある物質を肥料にするシステムを作った事で日本の食料自給率を300%に上げたっていう伝説の革命だよ。今この国で飢えている人が居ないのはウカノミタマのお陰なんだぜ」

「それは凄いな!とすると彼は救国の英雄というわけか」

「そう言う事」

 

まぁ、そのある物質というのがMAGだという事は黙っておこう。この世界がどん詰まりだと気付く人は少ない方がいい。

 

「それじゃあ、中に入るよ。今日は縁ちゃんと私が前に出るから、バックアップよろしくね、千尋くん」

「了解です」

「頑張りますね!」

 

そんなわけで金田権助像から異界に入る。今回は、オブジェの内側が異界になっているパターンだ。悪魔召喚プログラムの異界侵入機能を使って侵入を試みる。障害はなく、すんなりと異界の中に入ることができた。

 

「うん、問題なし。待ち伏せもないね」

「こんな異界もあるんですね」

異界強度(ゲートパワー)はそんなに高くないです。ですがダンジョンタイプの異界、トラップには注意を」

 

そんな事を口にしたら、爆発音が聞こえた。

 

「これは、先客かな?」

「...トラップにかかったんですかね、一応様子を見に行きましょう」

「怪我していたら大変ですもんね!」

「だが皆、気をつけて。悪い気配ではないと思うのだが、何かがいる」

「おうよ」

 

そうして先に進んでいくと、宝箱に対して蹴りを加え続けている胸の開いた修道服の女性がいた。

 

「あーもう!何なのよ!突然爆発する宝箱なんて聞いたことないわ!こういうのは、普通困ってる私に対しての主からの贈り物でしょうが!」

 

なんか、やけに荒っぽいが。

 

そんな素振りを見ていると、こちらの気配に気づいたのか咳払いをしてからこっちに振り向いた。

 

獲物は十字架のついた杖。メシアン系列の術者か?

 

「こんにちわ。私はマルタ。この異界に迷い込んでしまった者です」

「はい、マルタさん!神野縁です!」

「良き魂をしていますね。とても好ましいです」

 

その物怖じしない神野の突撃により、とりあえずは休戦という事になった。とはいっても俺も所長も抜き打ちはできるように構えているし、マルタさんとやらも杖から手を離してはいないが。

 

「浅田彼方だ。悪魔討伐者(デビルバスター)をしている」

「シュバリエ・デオン。今はチヒロの仲魔さ」

「花咲千尋、悪魔召喚士(デビルサマナー )だよ」

 

その言葉に、ピクリとマルタさんの目が動いた。

 

「デビルサマナー ...あなたは、悪魔に与する者ですか?」

「いや、サマナーってのは悪魔を使って悪魔を殺す人でなしの事だよ」

「...時代も変わったのですね、いいでしょう。ひとまず受け入れます。私は未だ右も左もわからぬ異邦人ですから」

 

そのキーワードに、引っかかりを覚える。

 

「すいません、アナライズをしても構いませんか?」

「アナライズ?」

「害になることではありません。これです」

 

自分に対して使ったアナライズの結果をマルタさんに見せる。

 


[人間] 破魔、呪殺無効 毒、精神耐性


 

「こんな感じに、弱点と耐性がわかる分析機能です」

「...いいでしょう、受けます」

「これから敵対するかもしれないのにかい?」

「千尋は自分の身を晒す事で信用を得ようとした。なら、それには答えるわ。私、義理堅い方ですから」

「良き人だね、マルタは」

「よしてよデオン。私はただのマルタよ」

 

許可をもらえたのでアナライズを行う。「なんかムズムズするわね」とは彼女の談だ。

 

そして数秒後に示されたその表示結果に思わずため息を吐きたくなってきた。あかんやつやコレ

 

「それで、どうなの私の耐性って奴は」

「ええ、呪殺、呪いの類に耐性がないですがそれ以外は素晴らしいです。他に弱点はなく、打撃と炎と毒耐性がありました」

「...そういえば、タラスクの火を受けても思ったより熱くなかった事があったわね」

 

「それじゃあ、ここにいる皆で先に進むとしようか。マルタさん、前出てもらっても構わないかい?」

「任せて。接近戦にも自信があるの」

「頑張りましょうね、マルタさん!」

 

「デオン、これどう思う?」

「...人型の悪魔、あるいは擬態の線はないと思う。彼女の魂は実に清々しい」

「だよなぁ...じゃあなんでアナライズに大事な所が映らないんだか」

 


[◼️◼️] 打撃、火炎耐性、破魔無効、毒無効


 

スマートウォッチには、そんなアナライズ結果が示されていた。

 


 

「右から2体、左から1体!臨戦態勢だよ!」

「まずは私が!せいっ!」

 

マルタさんは杖から生み出した光の柱にて接近してきたガキの頭部を消滅させる。ダメージがあることから、破魔属性ではない。光波属性の術か?

 

「サマナー、要らぬ考え事は寿命を縮めるよ」

「だな」

 

神野に向かってきたガキの足を銃撃にて打ち抜き転ばせる。それに神野がテレフォンで殴りかかる。あ、外した。

 

ガキがその隙をついて噛みつきを行おうとしたが、それはマルタさんの蹴りにより頭が吹き飛ばされたことで阻まれた。格闘術士?

 

「皆さま方、どうしてこんな戦いの素人を連れてきているのですか?こんな命のやり取りをする場に」

「戦い方は戦いの空気を知ってからじゃないと学べないよ。だからさ」

「というか、本来は覚醒した時点である程度動けるもんなんですけどね」

「...不甲斐ない私ですいません」

「...あなたの獲物は拳ですよね、エニシさん」

「?...はい、そうです」

「なら、私が戦い方を教えましょう。きっと私のタイプは、エニシさんのものに近いですから」

「良いんですか⁉︎」

「ええ、封印していた48の聖女の闘法。それを伝えるに値する良き魂と出会えたのです。あなたが明日を生きるのに必要な技、教えることに躊躇いはありません」

「ありがとうございます、マルタさん!

 


 

「まずは構え!腰を落として、相手をよく見る!」

「はい!」

 


 

「拳をしっかり握って!雷を握りつぶすように!」

「はい!」

 


 

「躊躇わない!あなたが逃した悪魔は、無辜の民を食い殺すのよ!」

「...はい!」

 


 

「凄いな、マルタさん。神野がみるみるうちにできるようになってきてる。対悪魔用の格闘術が噛み合ってるんですかね」

「でも、肝心な所が改善できてない。彼女は、拳を振るう事に躊躇いを持っている。意思のある生き物を殺すんだから、当然といえば当然なんだよね。私や千尋くんと違って、縁ちゃんはまともな子だから」

 

型はできるようになってから、神野の躊躇いが目に見えて見えるようになってきた。力をつけた事で、考える余裕が生まれてしまったのだろう。

 

「...休憩にしましょう。周囲の警戒をお願いできる?チヒロ」

「ええ。サモン、ノッカー、モコイ」

「今回は、楽できそうだね僕ら」

「じゃのう。それにしてもピカピカしい気じゃ。悪魔には毒じゃの」

 

そんな風にいつも通り警戒要員を召喚すると、マルタさんは目を見開いていた。

 

「...凄い、悪魔召喚をこんなに簡単に行ってしまうのね、現代の術者は」

「術者じゃなくてもやれるんですよ、悲しい事に。悪魔召喚プログラムってものが世に広まってまして」

「ぷろ、ぐらむ?」

「あー、機械で誰でも悪魔を召喚できるってことです」

「...信じられない。それならどうしてこの世界滅んでいないの?主の導き?」

「マルタ、私もこの世界に詳しいわけではないが、この世界に主の導きはない。滅んでいないのは、人の叡智が理由だ」

「...嘘」

 

マルタとデオンはメシア教関係の者だったのだろうか。だが、それなら()()()()()()()()事などとうの昔に知っていないとおかしい。やはり違和感だ。

 

「あの、マルタさんって何をしていた人なんですか?」

「私?あいにくと、大したことはしてないわ」

「それは流石に嘘だろう。君のような聖女が何もしていない訳がない」

「...そうねぇ、やったことと言ったらタラスクのことくらいかしら」

「タラスクっていうと、邪龍だな。子供を食うことと若い女を犯す事を主にしていた毒を吐く龍だ。見たら逃げるのが定石の強力な龍だよ」

「博識ね。まぁ、そのタラスクが旅先で暴れててね、それを鎮めたってのが私のやった事で一番のことかしら」

「確かに、その神聖な杖を使えば邪龍とて物の数ではないだろうな」

 

「あ、タラスクとやりあった時は使ってないわよ、コレ」

 

空気が固まる。何を言っているんだ?と。

 

「タラスクはまぁ、お母さんのいない僻み根性で暴れてただけだったから、説得して暴れるのをやめさせただけなのよ」

「武器を用いずにかい⁉︎」

「ええ。...まぁ、ちょっと手は出たけど

 

小声で恥じるように言ったが、それはちょっとどころではない大業だ。言葉による邪龍払い。なんと尊い行いか。

 

彼女は、聖女として神野の先達となってくれるだろう。そんな気がした。

 

「あー、やめやめ!私の話はいいでしょ。私は、皆の話が聞きたいわ!この世界がいまどうなっているのかとか」

「概ね平和ですよ。悪魔はかなりの頻度で出てきますけど。人間同士の争いはメシア教とガイア教の小競り合い以外ありませんから」

「その悪魔関係の問題も、改善する見込みが出来てるんだ。メシアンとガイアーズはもう何も言えないけど、もうすぐ世界は平和になるよ」

「へー、何か大規模な儀式でもするの?」

「結界を更新するんだよ。今世界を守ってる平成結界を最新の魔導技術でアップデートした新たな結界に。ま、それのいざこざがあったとかで次の結界と年号の名前はギリギリまで公開されないんだけどさ」

「すまないサマナー、平成結界とはどんなものなんだ?」

「ああ、暦である年号って大きなくくりで世界を囲って、現人神であらせられる天皇陛下の威光で悪魔の出現を抑制するものだよ。実際、平成結界の張られた平成12年からは、悪魔の出現率が前年比の2%まで減少したって統計結果もあるんだ」

 

まぁ、実際にはもっと複雑な術式なのだろうが、それは言わなくて良いだろう。マルタさんは術者というわけではないみたいだし、わかりやすさ優先だ。

 

「なるほど、それがこの国が平和な理由か」

「時代が進むと、人間色々やるのね」

「...天皇陛下って凄いんですね、なんとなく尊敬していましたけど、今ではもっと尊敬できそうです!」

 

「じゃあエニシ、休憩終わり!あんたに必要なのは慣れよ!ひたすら悪魔を殴りまくりなさい!」

「はい!」

「あ、すいません。そろそろ俺が前に出ます。異界内部の案内役が欲しい頃ですから」

「あら、肩透かしね」

「大物が出たら任せることになるんで、そこはお願いします」

 

さて、マルタさんの戦い方は十二分に見せてもらった。だが、戦うだけがサマナーのすべきことではない。俺の戦いをするとしよう。

 


 

「アプリ、ジャイブ・トーキン。起動。」

 

「隕九↑縺�。斐□縺ェ縲ゅ◎縺ョ陬�y縲√し繝槭リ繝シ縺具シ?《見ない顔だな、その装備、サマナーか?》」

「ああ、この異界の主に用があってきた。案内役を探している」

 

「ちょっと、アレ会話通じているの?」

「アプリの機能によって、悪魔の意思を翻訳している、らしいよ」

「なんか夢がありますね!」

 

「繧上°縺」縺溘√◎繧後↑繧峨�鬲皮浹繧3縺、雋ー縺翫≧縺《わかった、それならば魔石を3つ貰おうか。》」

「おお、話が早い。俺は花咲千尋。サマナーだ」

「地霊 スダマ 繧ウ繝ウ繧エ繝医Δ繝ィ繝ュ繧キ繧ッ(コンゴトモヨロシク)

 

スダマは、契約が結ばれたことによって俺のマグネタイトの支配下に置かれた。道案内程度の簡単な命令なら余裕だな。

 

「終わりました、じゃ、マルタさん、神野、前衛お願いします」

「わかったわ。それにしても見事な手際ね。悪魔相手に話をするなんて怖くないの?」

「慣れてますから」

「ふーん」

「さ、行きましょう!」

「逡ー逡後�荳サ縺ョ螻�エ謇縺ッ縲√%縺ョ蜈医r蟾ヲ縺ォ譖イ縺後▲縺ヲ縺九i荳峨▽逶ョ縺ョ謇峨r謚懊¢縺溷・・縺縲ゅ◎縺�□縺上�縺ェ縺�ゅヨ繝ゥ繝��縺ョ鬘槭b縺ェ縺��縺ァ蠢��縺吶k縺ェ《異界の主の居場所は、この先を左に曲がってから三つ目の扉を抜けた奥だ。そう遠くはない。トラップの類もないので心配するな》」

「お、トラップないのはありがたいね」

 

そうして、主の間の前の扉とたどり着く。エネミーソナーは当然のレッド。危険悪魔の存在を示唆している。

 

「じゃあ、ぶち抜きましょうか。デオン、マルタさん、所長は突撃準備、神野は俺の護衛な」

 

魔法陣展開代行プログラムにて、術式を形成。対物威力上昇の魔法陣の中心にザンマストーン(自作)を装填する。

 

「3、2、1、GO!」

 

衝撃魔法によりドアをそのままぶち抜いて侵入口を広げる。そのついでにドアを目くらましにしての突入援護。

 

「いきなりご挨拶だなぁ、オイ!広範囲疾風魔法(マハ・ガル)!」

「デオン、マルタさん、そのまま突っ込め!神野!」

「はい!私の力は、護る力!護りの盾!」

「良い援護だよ、エニシ!」

 

盾により疾風魔法を防いだデオンとマルタさんは再び接近しようとする。それに向かいもう一度マハ・ガルを放とうとしていた悪魔の腕をクレイモアが斬り落とす。

 

「残念ながら、相性だね。私に風は通じないんだ」

「ニンゲン、ガァ!」

 

返す刀の斬撃をすんでのところで回避した悪魔。しかし突撃したのは所長一人ではない。

 

デオンの斬撃が、残っていた腕を切り裂いた。両腕を失いガードがなくなったところに、するりと入ってくるマルタさん。

 

「ハレルヤ!」

 

聖句とともにぶち抜かれたボディブローにて、悪魔は爆発四散した。

 

杖を使わないで拳を使ったのは、少しでも神野の成長を促すためだろう。良い人だ、本当に。

 

と、アナライズ結果がスマートウォッチに映る。異界の主の名前すら聞けなかったのは残念だが、まぁ誰も怪我をしていないのは良いことだ

 


[邪鬼] 破魔弱点、呪殺反射


 

今回の主は、耐性の無いも同然な残念な悪魔であった。

 

「あー、これは正面からやりあっても勝てたな」

「確かに、手応えはなかった。異界の主が他にいる可能性はどうだい?」

「異界の崩壊が始まってる。まぁ、主が弱いタイプの異界だったんだろ。多分人造異界だし」

「人の手によって作られた異界か。おぞましいな」

「ま、被害が広がる前に終わったんだから問題はないさ。下手人の捜索は依頼主がやってる。なら、俺たちの仕事は終わりだよ」

 

そんな会話と共に、崩壊する異界に身を任せる。神野は右往左往していたが、まぁこれは慣れだろう。

 

さぁ、帰還だ。

 


 

金田権助像前に放り出された皆。怪我をした様子はなさそうだ。よかったよかった。

 

「千尋さん!なんですか最後のアレ!ぐわぁんってすっごい気持ち悪かったですよ!」

「こういったオブジェタイプの異界は、崩れる時に中のものを放出するんだよ。周りを見てみな」

「...宝石がいっぱい⁉︎」

「異界内部でのMAGを吸って成長した天然物の宝石だ。高いぜ?」

「拾いましょう、今すぐに!」

「気配の薄い僕たちがもう拾っていたんだな」

「あ、モコイくん、ノッカーさん」

「よくやった、モコイ、ノッカー。次行くぞ」

 

「あなたたち、まだ何かするの?」

「はい!もう一件異界討伐の依頼があるんです」

「それなら、私も付いて行っていいかしら?」

「戦力的に願ってもないことですけど、どうしてですか?」

「お金も寝るところもないのよ、私。だから頼れる人についていきたいなってトコ。どう?」

 

「裏はなさそうですね。どうします?所長」

「ま、大丈夫でしょ。害意はないんだから」

「決まりですね!よろしくお願いします、マルタさん!」

 

マルタさんと共に車に乗って次の異界に進む。次の異界も大したことはない。廃病院にゾンビが出るようになった程度のものだ。

 

「今回の異界化は比較的内部構造の変質も少なそうね。内部の間取りは送った通り。参考くらいにはなると思うわ」

 

だが、どうにも違和感がある。なんというか、蜘蛛の糸に絡め取られた時のようだ。

 

「サマナー!これを見て!」

「どうしたデオン...ッ⁉︎」

 

「どうしたんだい千尋くん?」

「足跡だ、まだ新しい」

 

強力な聖女マルタを加えた異界討伐は、一筋縄ではいかないようだった。




長くなりそうだったのでここで一区切り。平均12000文字とか自分には無理なので徐々に文字数は減っていきます。ご了承くださいな

調整平均8.9とかいう作者的にはヤバイ数字出しているこの作品の評価について、評価機能がどれほど使われているのかの個人的興味からのアンケート。暇な時にでもどうぞ。

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