「真里亞、やれるな?」
「はい、叔父様。私は、守られるだけの姫君などではありません!」
「悪しき種よ、滅べ」
キョウジと真里亞にふわりと向けられる右手、そこからの圧倒的なMAGにより作られるただの威圧。
それだけで、射線上にあった館は消し飛んだ。
「術もなしにこれですか!」
「ああ、しかもこれは力場操作の延長戦上だ。MAG切れはねぇ」
二人は瞬間的に察知して回避することはできたが、反撃に出られるような隙はない。
強い。これでは転移の隙すら作れないだろう。
「キョウジ叔父様。草薙を抜きます。そうでもしなければ時間稼ぎにすらなりはしない!」
「だろうな!こっちも全開で行く!サモン、ワイルドハント!」
呼び出される嵐。そしてその中から現れた馬に乗った猟師の軍勢。
軍勢悪魔ワイルドハント。それが、当代の葛葉キョウジの十八番。
単体でミドルクラス上位の力を持つ悪魔が統率された軍勢として襲いかかってくるのだ。
事実、この軍勢を使う戦いによって葛葉キョウジはハイエストクラスの悪魔を討伐したことさえある。
だが、それは相手が常識の範囲内であったらの話。
マサカドは、虫でも払うかのようにして、その嵐の軍勢をなぎ払った。薙ぎ払えてしまった。
圧倒的実力差。それは、どうあっても覆らないものだった。
「抜剣!草薙の剣!」
だが、その嵐の軍勢が稼いだ一瞬で
それは、形を取らない幻想。変幻自在の無形の剣。
「内親王右代宮真里亞!いざ、参る!」
一太刀剣を振るえば、そこには切られたという結果のみが存在する。それが草薙の剣だ。
その剣の力は、たとえ神の領域に至っているマサカドの力場でさえも例外ではなかった。
だが、切り裂かれたのは力場だけ。その肉体は草薙の力を持ってしても無傷だった。
「...」
「草薙で、手傷すら負いませんか!」
「ワイルドハント、パターンD!」
散開しながら突撃するワイルドハント。そして、その体を構築するMAGをオーバーロードさせて自爆させ、真里亞が攻め入るだけの隙を作ろうとしてのことだ。
だが、その目論見は全て挫かれる。
ワイルドハントたちは事前に迎撃され、無形のはずの草薙の剣はマサカドの二本の指に挟まれて止められていた。
「...これで終わりか?」
「まだまだぁ!」
草薙の形状を変化させることでその拘束から首を刎ねに動かそうとしたが、形状が変わらない。
掴まれたというだけで
「真里亞、吹き飛ばせ!」
「草薙、すみません!」
即座に、草薙にMAGを過剰に込めてその物質化を爆発させるという形で解除する。草薙の剣自身のキャパシティもあり相当量のMAGが使われたが、その分の効果は発揮された。
マサカドの体を、3歩ほど後退させたのだ。
それは、おそらく前代未聞の出来事。
三種の神器という歴史的遺物を躊躇いなく爆破させるという事もそうであるが、それ以上にそれほどのMAGを込められた力であるにもかかわらずダメージというダメージを負わなかったマサカドの圧倒的な強さという異常性を示していた。
「叔父様、今です!」
「
だが、その程度はわかっていた事だった。このマサカドと相対したならば真っ当な手段では戦う前に殺される。だからこその互いが言葉を交わさずに作り上げた全力のコンビネーション。
それによって現れた巨神の両腕が、二本の巨大なシミターをマサカドに叩きつける。
質量、技量、力、いずれも神域のその斬撃はマサカドに到達した。
だが、その斬撃は力場を貫通しても尚マサカドの体に傷を付けることはできなかった。
衝撃を地面に逃がされた訳でない。地面にはザババの斬撃の剛力により生まれたクレーターが出来上がっている。
本当に単純に
ザババの斬撃でさえマサカドを傷つけるに足るものではなかったという事なのだ。
「...もういい、死ね」
ザババの両腕が真っ二つに切り裂かれる。いつのまにか抜かれたマサカドの斬撃によってだった。
「...抜刀術、ですか?」
「違えよ。単にスピードが違いすぎて認識できなかっただけだ。向こうさんとしては普通に抜いて切っただけなんだよ」
「...いえ、それも違うと....ッ⁉︎」
悪寒を感じて反射的に回避行動を取った真里亞だったが、それでも首を浅く切られてしまった。
動いていなければ、命はなかっただろう。
「読めてんだよ、そっちを狙うのはなぁ!」
そして、剣を振り切った隙とも言えぬ一瞬で葛葉キョウジは自身の義肢からノーモーションで射撃を放った。
万能属性の込められた、
その射撃は力場を切り裂き確実にマサカドの霊核を捉えたが、それでもマサカドは傷つかなかった。
「化け物め」
「...」
そうして、絶死の弾丸すらも無視したマサカドは、飛びのいている状態の真里亞にもう一太刀浴びせようとして
神速でやってきた鬼神による斬撃によって、体勢を崩された。
「毘沙門天...ッ⁉︎」
「行かれよ、真里亞様。私が時間を稼いで見せます」
その身体は既にボロボロだった。
身体に付けられたブースターによって出力を増しているが、それが原因で身体中の傷からMAGが溢れてしまっている。
このままでは、数分と持たずに消えてしまうだろう。
だが、その数分は
生き恥を晒してきた毘沙門天の、最後の望みであった。
「毘沙門天!」
その姿に真里亞は答える。この世界でただ一人、生き残った皇族として。
「あなたの忠義、忘れません!」
その言葉を聞いた毘沙門天は、ふっと笑顔を見せて突撃していった。
己の命を捨てて、未来に希望を残すために。
「真里亞!」
「はい!」
そうして、毘沙門天の稼いだ時間をもってキョウジと真里亞は転送魔法で逃げ延びた。
四天王による帝都結界の安定化という最後の安全弁がなくなった事で、二人のマサカドにこの帝都と世界の全ての運命が握られるという、最悪の結果を残して。
『...ああ、わかった。とにかく、真里亞とキョウジさんが無事で良かった』
『無事ではありません。草薙を使わされました。今から全力でチャージをしても向こう3週間は使えませんね。...もっとも、使えた所で役に立つかは疑問ですが』
『それならなんとかなりそうだ。護国神のカラクリはまだわからないが、狂将の攻略に関しては最高の助っ人を用意できたからな』
『その者とは?』
『なんと、生きてた頃のマサカド公を討ち果たした凄いアウタースピリッツが、配下の悪魔ごと手を貸してくれる事になったんだよ』
『そんなお方が⁉︎』
話は、真里亞達が命懸けでマサカドと戦っていた頃に遡る
「この酒、なかなかイケるのぉ!」
「でしょう?だから正直交渉材料にはしたくなかったんですが、俵さんみたいな気持ちのいい人と飲めるなら悪くはなかったかな?」
「藤太で良いとも。して、この酒はなんと言うのだ?」
「銘酒とらごろし、俺の地元の酒蔵が作った一品です。ただ、酒蔵は潰されてしまったからもう当分は手に入らないレアものなんですよ?」
「それはもったいないな。全く、この世界は儘ならぬ」
「ほほぅ、藤太さんはこの世界に思うところがあると」
「それはのぉ、若返りに蘇りなど意味のわからぬ状況なれど、人並みの義侠心は持ち合わせておるつもりじゃからの」
「なら、ちょっと力を貸してくれはしませんか?実は今、腕利きを探してるんですよ」
「...何故だ?」
「この帝都には今、狂将と護国神、二人のマサカドがいます。そのせいで、帝都から世界を支えていた結界が壊れようとしているんです。なので、片方のマサカドを討伐しなくてはなりません」
「...あの将門公がなぁ」
「知っておられるので?」
「ああ、まぁな。生前に戦をしたことがある。全く、後味の悪い戦じゃったよ。公がどれほど東国の民に慕われていたかがよくわかる戦じゃった」
「すまない、マサカドというのはこの国の神の名前ではなかったのか?」
「ああ、昔によくあった風習でな。強い信仰とかMAGを持っていた人が死ぬと、その遺体ってのはなんの処理もしないと災いをもたらすんだよ。だから、神として奉ったりしてたんだ。最近じゃその辺りの技術は簡略化されてるから問題はないんだけどな」
「つまり、マサカドは一人の人から神になったのか。...正直、想像がつかないな」
「まぁ、昔のことだ。そんな気にしないでいいだろ」
「ふむ...して、その将門公が何故に国を乱しておるのだ?」
「護国神のほうは不明ですが、狂将の方は大体分かってます。わかりやすく言えば、俺みたいなのが問題ですね」
「ふむ、確かに面妖な顔だとは思っていた」
「簡単に言えば、子供を作るために外法を使ってまして、それで変わった人類を人間だって認められてないみたいなんですよね、あっちのマサカド公は」
「なるほどなぁ、この異界であっても人を守ろうと刀を取っておられるわけかあの御仁は。全く天晴よな」
「なんで、こっちのマサカド公を残して護国神を討伐する作戦を始めてるところなんですよ。強さも組織力も護国神の方がやばいので現状では無理なんですけどね」
「故に、強者を集めておるわけか」
「はい」
そんな言葉を口にした後に、藤太さんは心の内を見透かされるような不思議な目でこちらを見つめてきた。
「では、何故狂将を討たぬ?」
「今日この日までこの世界を守ってきたのは狂将と化してしまったマサカド公です。その大恩に剣で報いた先に、多分良い未来はないと思うんですよね」
「感情論のみか?」
「...まぁ、護国神の方が厄ネタだって確信に近い感じはあるんです。証拠になるデータはまだ観測できてませんけど」
「ならば、良かろう。我らはそなたに協力しようではないか、デビルサマナー」
「かつて将門公の首を取った、この俵藤太の率いる軍勢がな!」
「まぁ、藤太さんの出す食い物に釣られた連中ばっかだけどなー」
「んだんだ。戦ごとに向かねぇオラみたいなのもいるっす」
「そこは乗らんかお主ら、仮にも悪魔であろうに」
「...藤太さん以外はあんまり期待できそうにないな」
「どうやら、戦いに不向きな悪魔の寄り合い所帯のような形でもあったようだね」
藤太さんにここの面子を紹介してもらったが、マサカド公との戦いについて来れるような強者はいなかった。せいぜいがアメノフトタマくらいだが、彼は力の大半を占いに向けている。戦闘行為には耐えられないだろう。
その占いとて、この混沌渦巻く世界では先を見通すことは難しいとのこと。強い因果で定まった出来事しか見る事は出来ないのだとか。
異変前の世界であったが、あそこまで正確な占いをしたカオルのさりげない凄まじさを感じた次第である。あいつが死ぬとは思えないが、今何をやっているのだろうか。
「じゃあ、藤太さんを借りていきます」
「おう人間!藤太さんに何かあったら承知しねぇからな!」
そんなわけで、アウタースピリッツ俵藤太が仲魔になったのだった。
『それで、その俵藤太様の戦力はどの程度ですか?』
『武芸百般だな。弓も刀も俵投げも超一流だ。それに、実際に平将門の命を断ち切った霊剣を所有してる。これなら、狂将の方は倒せるかもしれない。...だけど、その先はお前次第だ。分かってるな?真里亞』
『はい、どんなに千尋さんが説得材料を集めてくれても、最後にマサカド公を従えられるかは私の心次第。分かっています』
『千尋さんはそんな時、どうしているのですか?』
『...あれこれ理屈を振り回す俺だけどさ、だからこそ心からの言葉ってのは大切だって分かってる。だから、自分の道を信じて、胸の響きを、真っ正面から全力の全開で伝えるんだ。きっとそれが、心を繋ぐ唯一の道だから』
『...心を、繋ぐ』
『ま、これはあくまで理想論。狂将マサカドが自分から真里亞に下りたくなるくらいにボコボコにするのがサマナーとしての正解だ。というわけで、真里亞は真里亞で考えて感じた真里亞の言葉でぶつかっていけば良い。きっとそれが一番後悔しないだろうから』
『...千尋さん、ありがとうございます』
『あの日、道に迷っていた私を導いてくれたのが他の誰でもなくあなたであった事は、私の生涯の宝です』
『そういう台詞は死亡フラグっぽいからやめやめ。強さ的には俺が死ぬからそういう話されると』
『なら、もう少しだけ』
『このグレイルウォーが終わったら、私結婚します』
『死亡フラグを重ねて来た⁉︎』
『帰ってくる日の夕食にはパインサラダを用意しますね』
『天丼か!』
そんな冗談だらけの報告を終えて、今日はひとまず野営することになった。
なんだか真里亞をダメな方向に傾けてしまった気がしないでもないが、それは気にしないでおこう。
「...さて、迷彩を改良しないとな」
「サマナー、マリアとキョウジがマサカドに見つかったとの事だが、それはサマナーの術が奴に効かなかったという事なのかい?」
「いや、それなら今俺が護国神が襲われてないのはおかしい。迷彩が割られてるなら、俺の所にマサカドが来ているはずだからな」
「とすると、どうして真里亞達は見つかったのだい?」
「COMPのログ見てみないと正確には分からないが、多分別の探知術式にかかったんだろうな。術者は十中八九シェムハザの奴。他所から来るヤタガラスやクズノハを警戒しての罠だろう。...気付けなかったのは正直痛いな。真里亞の草薙は狂将相手に有効な札だったから尚更に。だから、迷彩に5手間くらい加えて結界の探知を誤魔化してやる。...けどなぁ、これリスク考えたら最初に付けておくべき術式だよなぁもう!あー、失敗した」
「なぁに、過ぎた事を論じても仕方があるまい。それよりも飯を食え飯を」
「あー、それならチョコレートあるか?」
「ちょこれいと?」
「あー...カカオ豆を砕いたのに砂糖を加えて固めたものだ。わかるか?」
「...すまん、かかおとやらを見た事も聞いた事がない故に俺の俵からは出せぬようだ。大体の山の幸と海の幸は出せるのだがなぁ...」
「なら、とびっきりの握り飯をお願いします。これからカロリー使うんで」
「おうさ!」
そうして、握り飯(本当にとびっきりに美味かった)を頬張りつつ術式を練り上げる。帝都結界への迷彩はそのままに、他のトラップ系探知術式を透かせるようにするのはなかなかの難題だった。
なにせ、術式が干渉し合うのである。
あっちを立てればこっちが立たず。だが妥協はできない。
せめてトラップ術式のネタでもわかればいいのだが、同じ術式しか使われていない訳はなく。
結局のところ、干渉し合う同系統の術式を上手いこと混ぜ合わせるしかないのだ。
「これは徹夜かねぇ?」
「サマナーよ、ちゃんと寝ぬと身体を壊すぞ」
「ご心配なく、鍛えてるので」
そうして夜通し作業を続けたはいいものの結局干渉を透かす術式は作れなかった。おのれ帝都結界。
「朝だー」
「おう、飯の用意はできとるぞ」
「...ここは天国か?」
「サマナー、割と地獄だと思うよ」
徹夜明けで朝御飯が用意されている事、それ以上の感激はあるだろうか、いやない。
そうして朝から米に味噌汁に秋刀魚に小鉢の純日本スタイルの朝食を取り、心のリフレッシュをしてからゆっくりと探索を再開する。
今日がある意味タイムリミットなので、頑張って新戦力を確保したいものだ。
「で、藤太さん。なんか新戦力にアテはありますか?」
「それならば面白いのがおるぞ。秋葉原という地に二人組の術師がおる。片方は陰陽術師で、もう片方は式神使いらしいの。食料の融通をした悪魔がぼやいておったぞ」
「へぇ、秋葉原ですか。中学の修学旅行で行ったなー」
「サマナー、土地勘はあるのかい?」
「随分前の話だから、全然だな。まぁ、アキバ淀橋ショッピングタワーは目立つから迷う事はないだろ。あそこの建設は国営事業だから当然相当の術者が関わってる。つーかシェルター用の施設だしあそこ」
「とすれば、避難民も残っているかもしれないね」
「いやいやないだろ。誰だって知ってる事なんだし」
「前途多難だね」
「はっはっはっ、行ってみればわかることよ。今悩むことではない」
そうしてバイクで警戒しつつ移動をする。
すると、常駐させていた
境界タイプの結界による警戒線がぐるりとタワーを囲むように敷かれていた。
「デオン、藤太さん、こっからは歩きで。結界調べます」
「ふむ、見た目ではわからぬな」
「サマナーはこういった術に長けているからね。その辺の実力に関してだけは信用していいと思うよ」
「だけは余計だ」
基本に忠実でかつアレンジもしっかりと練られた厄介な結界だ。コレを使ったのは相当の術者、というかシェムハザだろう。
「うん、破れねぇわコレ」
「...サマナーが諦めるのは、かなり珍しいね」
「いや、コレ最新の術式だから目立ったセキュリティホールは潰されてるんだよ。今までみたく過去の遺物や三流の術者のものじゃないからなー」
「では、秋葉原の術者と接触するのは諦めるのか?」
「いえ、この術式はあくまで生物を探知するものです。つまり...行け、ドローンくん6万5800円(税抜)!」
ストレージから取り出すのは、サマナーとしての技量に自信を持てなかった頃の小細工の一つ。通信機能付きの偵察ドローンである。
「じゃあ俺は操作に集中するから、警戒頼むわ」
「任せてくれたまえ」
「ねー紫式部さん。ドッグフードあったー?」
「いえ、先月見つけた倉庫のものが最後だったのかもしれませんね」
「お肉は腐ってたし、米はもうなくなっちゃったしねー。どうしよう、パスカルのご飯」
「私たち蘇り人は物を食べなくても大丈夫だともう少し早くわかっていれば、まだどうにかなったのかもしれませんが」
「...うん、出るしかないか、この塔を。パスカルを見捨てられないもん」
「ええ、恩人ならぬ恩犬ですもの。その忠義に報いる...と言えるほど高尚な思いではありませんがね」
「...ワン!」
「そんなことはないぜ?」と言わんばかりの忠犬パスカルの仕草。
その姿に魅了された刑部姫は、「パスカルは本当に可愛いねー!」と思うがままにわしゃわしゃと体を撫で回した。
「ええ、本当に。...犬だからと怯えていた過去の自分を呪い殺したい気分です」
「いや、紫式部さん⁉︎」
そんな日常の一幕。だが、それは異音を発しながら近づいてくる一つの物体によりかき消えた。
「紫式部さん、結界は⁉︎」
「感知できませんでした!...あれは一体?」
「こら、パスカル!」
見知らぬ物体に危機感を覚えていた二人をよそに、パスカルが入り口の壊れたドアをすり抜ける。
「犬?まぁいいや、はじめまして。すまないけど飼い主を呼んできてくれるかい?」
「「喋った⁉︎」」
「あ、いらっしゃったんですね。機械越しに失礼します。
「ど、どーも?」
「こ、こう行った場合どうすれば良いのでしょうか?式神の類なのですか?」
「落ち着けよ」と言わんとするパスカルの堂々とした振る舞いに落ち着きを取り戻す二人。
こうして、紫式部と刑部姫と忠犬パスカルは話し合いのテーブルに降り立ったのだった。
どうやら、紫式部さんと刑部姫の現界はそう昔ではなかったようだ。大体3ヶ月程前だとか。その頃にはこのタワーの中身は粗方取り尽くされていたため、侵入者はそう多くなかったのだとか。
なので、平穏無事にこのタワーに引きこもっていたらしい。
だが、それでもたまにやって来る悪魔はいたらしく、二人で必死に防衛をしていたのだが、やってきた高位悪魔に殺されそうになってしまったのだとか。
それを救ったのが、この忠犬パスカルなのだと。
犬とは思えぬ凄まじき戦闘能力をもって悪魔の首を噛みちぎり二人の命を救ったのだとか。マジかこの犬。
「というわけで、スカウトに来ました」
「うーん、この塔から離れるのは決めてたんだけど...君が信じられない。どうしてそのどろーん越しなの?」
「邪魔臭い結界が張られてるんですよ。紫式部さんの結界の外側に。感知タイプなのが最悪で、超えたら強い方のマサカド公が飛んできます」
「...将門公って、ヤバくない?」
「ヤバいです。なんで、早急に対処しないといけないんですよ。具体的には明日がタイムリミットです」
「急展開ッ⁉︎」
「片方のマサカド公を押さえられれば結界に干渉してどうにでもできる...というかどうにかするんですが、その為の戦力が欲しかったんですよ」
「...一つ、お聞きしても?」
「はい、どうぞ」
「マサカド公を止められなかった場合、どうなるのですか?」
「世界が滅びます」
「え、ちょっと無理。なんで姫がそんな重いことしなくちゃならないの?」
「...何故、私たちを頼ったのですか?」
「正直、この仲魔探しはアテがあったわけじゃないんです。なんで、あなたたちが絶対に必要だってわけじゃあありません」
「けど、正直手段は選べないんです。どうか、力を貸してください。那由多の果ての可能性を、少しでも近くに手繰り寄せる為に」
すると、パスカルは刑部姫と紫式部さんのことを引っ張り始めた。
これは、俺の援護をしてくれているのだろうか。
そんな姿に二人は根負けしたようで、ため息を一つ吐いたのちに言葉を発してくれた。
「...うん、パスカルがそう言うなら仕方ないか。世界が滅んじゃうなら、せめて友達と一緒にいたいし」
「ええ、ですね。では花咲さん。その話、お受けいたします。未熟者ではありますが、よしなに」
時はもう昼過ぎ。明日の準備もあるのだから、もう撤退するべきだろう。
戦力は、十分に集まった。
そうして歩いてくる二人の美女と犬。この中で最強なのが犬だと言うのだからこの世界はなかなかに広いものだ。
「んで、ちっひー。結界ってどれ?」
「今ドローンが飛んでるあたりです。境界をまたぐと感知されるパターンの奴だから、合流したら速攻で転移します。いいですね?」
「はい、構いません」
「...うん、大丈夫」
「ワン!」
「じゃあ、走れ!」
「私インドア派なのにー!」
「私もです!刑部姫!」
「ワン!ワン!」(訳:いいから走れ、運動音痴ども!)
「「なんか酷いこと言われた気がする!」」
そうして、走り出した2人と一匹。
「ようこそ!じゃあ飛ぶぞ!」
「それは少し待って頂きましょうか、花咲千尋」
瞬間、術式に介入があった。転移妨害だろう。このままゴリ押して転移中に修復するのは十中八九無理だ。契約をしていないアウタースピリッツ達とパスカルを掴む手が足りない。
即座に判断して、転移を中断。
声の響いてきた方に取り出したP-90の銃口を向ける。
そこには、いつか相対したあの悪魔。
ファントムソサエティの大悪魔、シェムハザがいた。
「...オーケーオーケー、マサカドはどこだ?どうせ詰んでるなら窮鼠として噛み跡くらいはつけてやる」
「いえいえ、マサカド公はいらっしゃいませんよ。あなたの迷彩は完璧に公を騙しています。まったく、あなたの仕業だとわかっていれば公に告げ口などしなかったものを」
「...待て待て、どういうことだ?」
「マサカド公討伐、私にも一口噛ませて頂けませんか?という事です」
「あの護国神、邪魔なのですよ。私自身の目的には」
そんな腹の内を読めない言葉と共に、シェムハザは笑顔で近づいてきた。
最近どうにも文字数が伸びないのがちょっと悩みどころ。
なので、ちょっと読者様方へのアンケートをばやってみたいと思います。週間連載ではどのくらいの文字数が望まれているのかを教えて下さいな。票数によっては地獄が始まるかもしれませんが、まぁなんとか頑張ります。
あ、それとFE風花雪月青獅子ルートクリアしましたー。あとはエガちゃんルートと教会ルートの2つだけですね。
その内容次第になりますが、風花雪月の中編を書こうかなとか思ってます。というか、もう序章書いてます。
そんな事してっから文字数伸びないんだよなぁ...
週間連載やってるこの作品の文字数は、どれくらいが望まれているのかのアンケート。尚、作者の力量を超える文字数の場合は頑張るだけ頑張りほしますが、まぁ無理でしょうねー。
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4000字〜6000字のお手軽コース
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平均8000字の中盛りコース
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平均1万2千文字の現在目指してたコース
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平均1万5千文字以上の特盛コース