天の星を断つ者
十天衆---それは何物にも汚されぬ頂、超越者。
障流域を単独で越えられる七曜の騎士ですら、その天には届かぬ、まさに至高天にして武の極致。
余りの強大さから彼らは全空の脅威とされ、また同時に抑止力ともされた。それは彼ら自身、徒にその力を振るって空に混乱を齎す気がなかったからこそだ。
彼らはそれぞれが各武器種の頂点であり、比類なき実力者だ。しかし、それと同時にやはり彼らはヒトなのだ。故に当然、完璧ではない。
あるものは友達がいないぼっち。またあるものは剣に目がない剣馬鹿。はたまたあるものはケーキに目がなく「力こそパワー」と言い切ってしまう脳筋野生児。
誰もかれも一筋縄ではいかない、良くも悪くも個性派集団。それが十天衆という騎空団だ。
そしてそんな俺は---
「どういうことなの、これぇ・・・」
栄えある十天の頭領、
☆
シエテ---ゲーム中では十天衆という騎空団の団長を創設者のウーノから任された男であり、剣のエキスパート。
趣味は剣拓を取ることで、戦闘の際はその剣拓を飛ばして赤い弓兵の固有結界みたいなことをするお兄さんだ。
普段はどこか覇気のない喋り方をしているが、集まりの悪すぎる十天衆の現状をソーン共々憂いており、あーでもないこーでもないと色々と考えを張り巡らせている、どこか苦労人っぽい人。
しかしやはり十天衆の頭領という肩書は伊達ではなく、戦闘においてはまさに剣王の名に恥じない実力を見せ、さらに天星器を覚醒させた主人公と対峙した時には普段の優男然とした雰囲気はナリを潜め、力ある者としてその覚悟を問い、また確かめるために主人公と激突したりもした。
昼行燈気取りのやる時はやるお兄さん、それがシエテだ。
「どうしようかなぁ、これから・・・。」
しかしそんなかっこいいシエテはどこへやら、今ここにいるのは顔面蒼白ガワだけシエテのパチモンである。現代日本という平和な時代に育った俺が剣とか振るえるわけないし、魔物討伐とかむりむりつむり。どうしてこうなったのだろうか。
「大体、今っていつよ?俺若くない?原作前なの?というか下手したら十天衆立ち上がってすらないのでは・・・?」
そう、今の俺は若いのだ。おそらく10歳ほどだろうか。家に剣が一本しかなかったのでまだそこまでの実力を持っていなかったのかもしれない。それも時間の問題だったろうが、こうして俺がシエテになってしまった以上、十天衆なんていう怪物集団の一員になれるとは到底思えない。
というか天星器からして厄ネタだ。七星剣は世界を七度滅ぼせる剣とか言われてるし、どう考えても触れてはならないアレだ。主人公は一体何をトチ狂ってそんなものに手を出すんだろうか。
「うーん、でもどうしよ。十天衆出来んのかなー無理だろうなーだってシエテ俺だもん。ウーノに誘われそうにないし、剣王はジークフリートさんでもいいんじゃないかな(やっつけ)」
地面を木の棒でほじくり返しながらこれからを考える。案外ジークフリートさんでも剣王は務まりそうだ。でもそしたら黒竜騎士団がどうなるか謎。フェードラッヘイベ好きだったし、あんまりシナリオに影響が出そうなのはなー。空蒼イベとかまんま滅亡の危機だし、バタフライエフェクトがどこで起こるのか分からんし。
「・・・あれ?じゃあやっぱりゲームなぞるしかないのか?俺が十天衆にならないとダメなの?マジで?」
どうなってんでい!逃げ場がねえじゃないの!いやまだだ!まだ舞える!こんなところで諦めてたまるか!大体俺がいなくてもザンクティンゼルのクラスⅣババア駆りだせば大抵のシナリオはクリアできんだろ!十天衆一人変わったくらいでお空滅亡とかそうそうねえよ!
そうだよ、俺はちょっぴり贅沢出来ればいいんだよ!多くは望まない、食っていけてちょっと趣味に回す金さえあればそれでいいんだよ!わざわざ全空の脅威とか仰々しい称号はいらねえ!そんなもんはとっくに卒業してんだ!
俺は十天衆を辞めるぞッ!ウーノォ!
☆
「はじめまして、私の名前はウーノという。君が<剣王>シエテだね?」
「」