目が醒めると空に歯車がある荒野に立っていた。
周りには様々な剣山
この風景を知っているが思い出せない。
「どうしたものか。」
ただ一つ分かるのは、ここが心情風景ということくらいか。
「随分寂れた場所だな。」
まあ、俺自身が分からないから他の奴にも分からないんだろうな。
俺はその荒野を歩き出す。
先には何もないと思うが、歩き続ければ答えは見えてくるはずだ。
俺にはやらなくてはいけないこともある。
このまま倒れることなど許されない。
だったら歩き続ければいい。
その先に、日は登ると信じて………。
「………嫌な夢だ。」
目が醒めると自室のベッドの上だった。
気分は最悪だが、頭は冴えている。
「飯食って、模擬戦に行くか。」
なにせ、今日は留学生の『ステラ・ヴァーミリオン』との模擬戦だからな。
つーか、なぜ俺?
別に俺じゃなくても良くね?
まあ、適当にやって負けるか。
その時あまり使わない携帯が鳴る。
つーか、このタイミングで鳴るということは、理事長だな。
「はい、この電話には、いちゃもん、文句、不満、命令、不平は受け付けておりません。」
「教師に言う言葉かそれ?」
「自分に勝ってから言ってください。」
「ふん、可愛げのない奴だ。」
「切りますよ?」
「まて、『比翼』からの伝言だ。」
なんデスと?
「負けたら、もう面倒見ないだとさ。」
「はぁ!? それを先に言えババァ! 危うく負けようと考えていたぞ!」
「………中間ぐらいの言葉は聞かなかったことにしよう。」
「要件はそれだけですね? それしかないでしょう? では、闘技場に向かいますね。」
それだけ言って携帯を切った。
さて、今回は本気を出しますかね。
しばらくして闘技場には、沢山の生徒が集まっていた。
「おー、こりゃ中々多いことで。」
「アンタはなんでそんなに呑気なわけ?」
目の前には噂の留学生
対峙して思ったが、確かに強い、そして努力の塊だ。
万が一いや、億が一にも負けることはないが下手したら傷をつけられそうだな。
「まあいいわ。アンタのランクは?」
「ん? 俺か? 一応Bってことにしてある。」
「一応って、何それ?」
「怒らない怒らない。それよりも構えな。口より剣だろ?」
そう言って俺は構える。
ヴァーミリオンは固有霊装を出す。
「アンタ固有霊装は?」
「出して欲しいか? ならば出そうか。」
『おっと!! ここで今までの試合で霊装を出さなかった彼の霊装が明らかになります!!』
闘技場内にどよめきが走る。
「開闢を紡げ『天地乖離す開闢の星』」
俺の目の前の地面から剣と言い難い霊装が出てきた。
『ほー、今回はアレか。アイツとんでもない霊装だったの忘れてたわ。』
『西京先生どう言うことですか?』
『まあ、空と地を裂いた剣って言ったら空想で何があると思う?』
『それは、ギルガメッシュの乖離剣ですよね?』
『正解だ。それと一緒って言ったらどうする?』
『はい?』
あのー、人の霊装バラさないでくれますかね?
ま、これは伐刀絶技なんだけどね。
霊装はまた別にある。
「ま、いいか。さて、始める? 手加減してあげるよ?」
「コイツ殺す!」
『始めるぞー、『let's Go ahead』!!』
「傅きなさい『妃竜の罪剣』!!」
「起きろ『天地乖離す開闢の星』」
その一言でヴァーミリオンの炎はかき消された。
「前言撤回、手加減はほぼ無しだ。」
ヴァーミリオンに人差し指を向ける。
「俺が総じて『鬼道』と呼んでるものだ。」
俺は冷淡に放つ。
「縛道の六十一『六杖光牢』」
ヴァーミリオンに六つの光が突き刺さる。
「何これ!?」
「縛道は相手の動きを止め、破道は攻撃技だ。」
俺はそのまま破道を唱える。
「破道の三十三『蒼火墜』」
同じ手のひらをヴァーミリオンに向けて放つ。
「舐めないで!! そんな炎で私を焼けるとでも思ったの!!」
蒼火墜を弾くと同時に六杖光牢を破る。
『おっと!! 鬼道が破られました!! さあ、次はどうする!?』
さっきからやかましい。
「ヴァーミリオン、お前には悪いが、あまり手の内を晒したくないのでな、これで終わらせる。」
俺は『天地乖離す開闢の星』をしまう。
そして、その場にしゃがみ地面に両手を当てる。
「縛道の九十九『卍禁』」
ヴァーミリオンはまずいと悟ったのか炎を飛ばしてくる。
だが、遅い。
「初曲『止繃』」
巨大な布がヴァーミリオンを巻き取る。
「くっ! こんなもの!!」
「無理だよ。それは解けない。今使ってるのは俺が作った『鬼道』の中でも最も威力の高い90番台、そして、破道と縛道の両方の使い道もできる『鬼道』だ!」
俺は詠唱を続ける。
「弐曲『百連閂』」
鉄串がヴァーミリオンの手足を固定する。
「ああああああああ!!!」
ヴァーミリオンが叫ぶ。
幻想とはいえ、痛いものは痛い。
「せめてもの慈悲だ。一思いにやってやる。」
俺は両手を合わせる。
「終曲『卍禁太封』」
その瞬間、闘技場が暗くなった。
何故ならヴァーミリオン目掛けて巨大な碑石が降ってきているからだ。
ズゥゥゥゥン!!!
腹の底から響く音と共にヴァーミリオンは押し潰された。
俺は詠唱を解除する。
そこには無傷のヴァーミリオンがうつ伏せに横たわっている。
闘技場は唖然とし、勝者のアナウンスすら忘れられていた。
『天地乖離す開闢の星』はエアと呼んでください。
一応、霊装は