やはりこの聖杯戦争はどこかおかしい。   作:島田ミカ

1 / 4
…こちらで言うことは特にありません。

1つだけ言うのであれば、fateのシステム(聖杯戦争や英霊召喚)についてはまんま同じですが、SN〜fgoまでのキャラは一切でません。

詳しいことは後書きで…


やはりこの聖杯戦争はどこかおかしい。プロローグ1

汗が頬を伝った。

もう夏も終わりだというのに、蒸し暑い夜が続くそんな秋間近の夜中。

立秋とか何言っちゃってんの?某出版のオンライン雑誌かよ。というレベルで蒸し暑い夜が続いていた。

そんなある夜。

 

俺は、その日、奇跡に会った。

 

流れるような黒髪に、赤いリボンが翻る。

紫色のスカートが風に揺られ、ギリギリのラインで視界を遮っている。

『…有り体だけど一応聞いておくわ、貴方が私のマスター?』

闇をかき消すように現れたソレは、凛とした涼しげな声で言った。

『召喚の求めに参上した。これより貴方の運命は私と共にある。…契約は成立よ。さあ、教えない。貴方はどんな願いで聖杯を輝かせるのかしら?』

そう、契約は完了した。

彼女が俺をマスターと選んだように。

きっと、俺も彼女の願いを助けると誓ったのだ。

月光はなお冴え冴えと闇を照らし。

街は先程の蒸し暑さが嘘のように、ピンとした空気が張っていた。

僅かに振り向く横顔。

無表情に眺める穏やかな黒い瞳。

差し込む僅かな月光。

彼女の漆黒の髪が、月の光に濡れていた。

ーーー

 

それは今から2年前の話。

…誰よりも超えたくて、超えられなかった人を見ている。

誰よりも完璧で、知りうる限り欠点なんて1つもない、そんな人が優しそうにこちらに微笑んでいる。

いや、ちょっと違うか。

微笑んでいるのではなく、楽しんでいるという表現の方が近いのかもしれない。

それも当然ね。

なにしろ、あの人は誰かに対して本心なんて見せたことすらないのだから。

『それじゃ、雪乃ちゃん。後のことはよろしくね』

普段から軽薄そうな笑みを浮かべている、その人だが、この時だけは少し重い声でそう言った。

きっと私の返事など聞いてもいないだろうけれど、こくりと首だけで返事を返す。

その人は一度だけ、私の顔を除き込むと、パチンと額にデコピンを放った。

『いたっ!?』

『あはは、ごめんごめんちょっと刺激が強すぎちゃった?…それじゃ、ちょっと行ってくるね』

…ただ、それだけ。

あの人が私にイタズラをするのは別に特別なことではない。

けれど、何故かあの時のあの人は…いいえ、やめましょう。

ただ、この時が、あの人と最後になると知っていたなら、今の私ならどうするかしら…

…答えは、決まっていない。

おそらく、今の私でも到底あの人には届かないのだから。

『もう!そんな顔しないでよ!雪乃ちゃん!!いつまでもおねーちゃん離れ出来ない様だと後々困るぞ〜!!』

…余計なお世話よ。

なんて言いながらも、今思えば、あの人なりに私のことを考えていてくれていたのかもしれないわね。

 

…戦争が起きた。

国と国が争う文字通りの戦争ではなく、人と人が戦う戦争。

といっても、いがみあっていたのはたったの7人だけ。

それなら戦争、なんて大それた言葉は使う必要ないのかもしれないけれど、戦う人が魔術師なら話は別である。

派閥の違う魔術師がなんだか訳の分からない理由で争い始め、挙句殺し合いまで始まった。

そのうちの1つが雪ノ下家のだった。

ただ、それだけの話。

なんでもウチの家系は代々続く魔術師の家系で、聖杯の獲得は悲願であるらしい。

らしい、というのはそれもそのはず、雪ノ下の家系を継ぐのは姉であり、妹である私はそれがなんなのか、詳しく説明されたのもつい2年前からなのだから。

『雪乃ちゃん、私は聖杯を取る。でもそれは雪ノ下の為でもなく、義務でもない。自分の叶えたい願いのために、ね』

もう一度、つん、と私の額に指をおいて、その人は去っていった。

それが、その人と会った最後。

マスターの1人として聖杯戦争に参加し、帰らぬ人となった、私の姉…雪ノ下陽乃の最後の姿。

『行かないで、お姉ちゃん』

本当に久しぶりに自分の姉のことをそう呼んだ。

無意識的な深層心理か何かだろう。

おそらく、だが、本当に遺憾ながら、

私は姉さんに憧れを抱いていたのだ。

成績優秀で、人当たりもよくて、誰からも好かれる、そんな姉に追いつきたい、そう思って今まで必死にやってきた。

だから、その時つい、ぽろっと昔、よく呼んでいた呼び方が出てしまっただけ。

姉さんが少しびっくりしたような表情を浮かべて、苦笑いしてたのは今でも思い出せる。

…悪かったわね、ついよ、つい。

だから、決めていたのだ。

姉が帰って来たら今度こそ聞こうと。その完璧な姉が何を望んでこんな戦争に参加したのか、興味があった。

『私の願い?うふふ…ひ・み・つ』

………。

彼女はついぞ、最後まで願いの詳細は教えてくれなかった。

だから、その瞬間に決めたのだ。

『…私が、その聖杯とやらを勝ち取って、あの時、姉さんが何を望んでいたのか暴いてやるわ』

あの姉に成し得なかった事を私が成すのは気持ちがいいし、なにより姉さんより優れた証明にもなる。

姉さんに出来ないことを私がやる。

こんな誓いを立てて、まあ、紆余曲折あって私、雪ノ下雪乃は成長した。

姉が戦いに赴いてからちょうど2年。

この時を待ち焦がれていたという訳ではないけれど、気持ちは昂ぶっている。

それも当然ね。

あの日以来、忘れることの無かったそのイベントが、もう少しで始まろうとしているのだから。




こんにちは、島田ミカです。
まず初めに、このような未だプロローグすら終わっていない話にお付き合い下さった方ありがとうございます。
(まあ、こちらも以前どこか別の場所で作りかけていたものなので…もしかしたら、はじめましてではないかもしれませんが)
さて、お気づきの方も多いかと思われますが今回のこの作品は世に数多あるfateと俺ガイルのクロスオーバーの1つ…では、ありません。
いえ、クロスではあるのです。システム上は。
ただし、決定的に違うことは。
召喚するサーヴァントが過去の英霊ではない、という点です。
そう、ここで召喚されるのは過去偉業を成し英霊の座に就いた偉人ではありません。
ここで召喚されるのは、誰しもfateを知る人物なら一度は想像したことがあるでしょう(偏見)別の世界、別のメディアやコミック、ゲーム、ラノベ、アニメ等で活躍したキャラクター達…即ち、fateの召喚システムに則った超多重クロスになる、というわけでございます。

例 (本来の聖杯戦争) セイバークラス:真名 アルトリア・ペンドラゴン 出典:アーサー王物語

と、なるところを

(本作品の聖杯戦争の場合)セイバークラス: 真名 桐ヶ谷和人 出典:ソード・アート・オンライン

と言った風に、fateや俺ガイルとは違う世界のキャラクターを聖杯戦争という法則に当てはめて、サーヴァントとして使役することになります。(ちなみに、キリトはあくまで例であり、作中には全くなんの関係もありません)


勿論、fateの醍醐味の1つでもある真名考察を基準としているため、fate/grand orderのように最初から真名で呼び合うことはありません。

召喚するサーヴァントを除けば、他はfate界の設定で統一させてもらおうと思っております。

このようなfate界への冒涜をお許し頂ける方、お時間の許す限り、お付き合いいただければ幸いです。

それでは、次回またお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。