東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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東雲友奈の章
『狭間』


勇者御記

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 僕は何か勘違いしていたのかもしれません。

 最初は、◼️◼️◼️の裏切り者か、◼️◼️◼️の裏切り者かそのどっちかが、敵なのだろうと思っていました。

 残っていた本から察するに、そうなのだろうと。

 でも、それは違った。

 まさか、◼️◼️が生み出した◼️だったなんて。

 

 ーーーーーー

大赦書史部・巫女様

検閲済

 

 

 神世紀400年ーー。

 それは、人間と神が力を合わせ、異形の者と戦う年代。

 その異形の者はバーテックスという天津神の力を模倣し、人類に仇なすもの。

 それを見た天津神は激怒し異形の者を国津神と追い返す。

 

 しかし、完全なる消滅を願う天津神の力により、勇者システムが大赦により復活。

 またもや、何も罪もない無垢なる少女達が選ばれていった。

 

 そして神世紀800年ーー。

 そこに、神の力を宿した例外が現れる。

 

「三連撃ィ…勇者ァ…パアァァァァァァンチ!!」

 

 男の声が白山に響き渡る。

 相対するサジタリウス・バーテックス、キャンサー・バーテックス、スコーピオン・バーテックスの体が砕け散り、消滅する。

 男は消滅するバーテックスを見やり、白装束を着直す。

 

「次は恐山だっけ…」

 

 男は地図を出し、次の目的地を見る。

 

「うん、これで最後か」

 

 

大赦の従業員のお話

 

 ーーー

 

 とにかく、東雲友奈はモテる。

 私がそう感想を抱いたのは、東雲友奈に会ってから然程時間はかからなかった。

 

「大丈夫?僕が代わりに持ってあげる」

「あっ、そんな勇者様が」

「いいって」

 

 よろける程、大きな荷物を持っていた私は階段に差し掛かった時、東雲友奈にこう話しかけられた。

 東雲友奈はひょいと軽く荷物を持ち上げると、スタスタと階段を降りていく。

 やはり、男の人は力持ちだなと私は陳腐な感想を抱いた。

 

 その次の日、上司が女に重い荷物を持たせないよう徹底するようにと言っていた。

 

 次に東雲友奈を見かけると、今度は喧嘩の仲裁をしていた。

 大赦内にいる小さな女の子達だ。

 見ていると、たちまち子供達は喧嘩をやめ、笑顔になっていった。

 そして子供達と遊び始める。

 彼自身、御役目の疲れがあるだろうに。

 

 次に見かけたときは、同い年と思われる女の子に迫られていた。

 

「もー!友奈!いつになったら私と付き合ってくれるのよ!」

 

 私は条件反射で壁に急いで隠れる。

 まさか、彼にそんな人がいるとは夢にも思わなかった。

 しかし、東雲友奈は。

 

「またお買い物?次はどこ行こっか!」

「っ!あんた…はあ…今日は勘弁しといてあげる」

 

 東雲友奈は少し頭が弱いのだろうか。

 あんな迫られ方して付き合うとなったら、男女の交際しかないだろう。

 

 次も、そしてそのまた次も。

 

 私は行く先々で、東雲友奈を見かけてはため息が出るような行動を見た。

 

「あれ?あの時の」

「あ、こんにちは」

 

 私は遂に東雲友奈と真正面から鉢合わせてしまった。

 一応挨拶だけでもと思って、頭を下げる。

 相手は勇者だ、本来ならお話しすることも許されない存在である。

 

「もう重い荷物は持たされてないようだね」

「ええ、何故か女性に重い荷物は持たせないようにと上司が仰ってました」

「そっか!良かったね!じゃあ」

「はい、失礼致します」

 

 東雲友奈はにこやかに私の元を去る。

 私は思った、彼はいつも笑顔だが疲れないのだろうかと。

 

 私は、お昼休憩を取るために休憩室に入ろうとしたら噂話が聞こえてきた。

 

『ねえ、知ってる?女に重い荷物を持たせないようにって大赦全員にお達しがあったこと』

『ええ、知ってる。勇者様が上層部へ言いに行ったのよね』

『こんな小さな事に気づくなんて、流石勇者様よね』

 

 何だろうか、ちょっとだけ東雲友奈がモテる理由が分かった気がする。

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