東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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七話『決戦』

 そして決戦の日。

 

「さて、東雲くんは昨日言った通り、勇者達の陽動をお願いねぇ」

「うん!わかった!」

 

 樹海の中で、作戦を構築させていく準備に入る二人。

 今回は巫女達を捕獲するべく、赤嶺が讃州中学の本拠地、勇者部に攻め込むというものだった。

 巫女が居なくなれば、相手の移動手段であるカガミブネは使えなくなる。

 そして、その作戦は東雲の方にも通づるものがあった。

 

 東雲の目的は陽動+東郷三森の戦闘不能、こうすれば赤嶺の作戦同様、カガミブネを封じることができる。

 

 そして、万が一陽動がバレた場合にも東雲は東郷を抑える役目だ。

 

「それじゃあ行ってくるね、お互いの作戦の成功を祈ろー」

「…赤嶺ちゃん、気をつけてね」

「うん、まっかせて」

 

 そして、一陣の風が吹き赤嶺の姿が居なくなった。

 これから東雲は16名の勇者を抑えなければならない。

 

(出来るかなぁ)

 

 数の不利はバーテックスで埋めると赤嶺は言っていたが、そう簡単に行けるだろうか。

 そこが、東雲の気になるところであった。

 

 ☆

 

(来たか)

 

 木の上で、勇者達の姿を確認する。

 ここは様子見で、まずは第一陣のバーテックス部隊を送る手はずだ。

 

「よし、みんな頑張って行ってきてね」

 

 バーテックスは心なしか凛々しい顔立ちをして、東雲に頷いたように見える。

 そして、東雲の号令がかけられた。

 

「天津華撃団!出撃せよ!」

 

 神世紀でも、こうやって好きなように部隊名をつけて遊んでいたなと東雲の思い出が頭をよぎる。

 今回は篠目がやっていた旧世紀時代の古いゲームの部隊名を参考にさせてもらった。

 

 右手を前に突き上げ、バーテックスを前進させる。

 こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 ☆

 

 次から次へと送られてくるバーテックスに勇者達も困惑する。

 バーテックス一つ一つが人の意思で動いているので手強いのだ。

 勇者二人でバーテックス三体を倒すのが精一杯なこの状況。

 しかも相手は前回同様東郷を執拗に狙っている。

 

 なにかがおかしいと思っていた伊予島杏が戦いの場を整理し、とある一つの考えにたどり着いた。

 

「消耗以外の作戦……ああ…!まさか!」

「どうしたんですか!?」

 

 近くにいた鷲尾須美が杏に話しかける。

 

「もしかしたら敵は本拠地である、勇者部に奇襲をしているのかも…!」

 

 そして、勇者達の行動が変わる。

 東郷を執拗に狙っていたバーテックス達を押しのけ、そののまま東郷を中心に密集の陣形をを取り始める。

 それを見ていた東雲は、異変に気付く。

 

(まさか、陽動がバレた…?この短時間で)

 

 いま、勇者達を取り逃がしたら、赤嶺の負担が大きくなる。

 東雲は急いで、勇者達の足止めに向かった。

 

「っ!東雲…友奈!」

 

 青い勇者服を着、刀を持った勇者、乃木若葉が東雲の存在にいち早く気づいた。

 

「天津華撃団、全軍前へ」

 

 東雲が手を上にあげ、バーテックス達に合図をする。

 それは決して、この場から誰一人逃がさないという意思を感じられた。

 

 勇者のうち誰かをここに残して東雲の相手をすれば退けれるという考えが勇者達の頭に浮かぶ。

 しかし、実力も未知数の東雲を相手、それにバーテックスの大群に何人ほど残せば足りるのかという疑問が頭に浮かんだ。

 

「…私が行くわ」

「ぐんちゃん!」

 

 郡千景が東雲の前に出る。

 こういう役は千景はあまり趣味ではない。

 しかし、ここで東雲の真意を確かめたいという気持ちもあった。

 

「…じゃあ!アタシも残ります!」

 

 三ノ輪銀も千景の横に並び、前に出る。

 

「さっき、銀影隊を作ったばっかりですからね!」

「…ええ、そうね」

「銀が残るならタマも残るぞ!遠くの敵はタマにお任せだ!」

「私も…銀が心配なので残ります」

「園子も残るんよ〜」

 

 そして遠距離担当の土居珠子、鷲尾須美、中距離の乃木園子(小)もここに残ることが決定した。

 

「「じゃあ!私も残る!」」

 

 それを見た高嶋友奈と結城友奈も一緒に声を上げる。

 二人の友奈も東雲の真意を確かめたいと思ったと同時に、この不思議な感じはなんだと知りたいのだ。

 

「友奈ちゃんが残るのなら私も残る必要があるわね」

「東郷ー、アンタ、カガミブネ使うって役目があるの忘れないでね」

「そんなっ!」

 

 東郷も残ろうとしたがそれは風によって阻止される。

 

「しょうがないわね、友奈だけじゃ心配だから私も行くわよ!雑魚処理は任せなさい!」

 

 それならばと、三好夏凛が二刀を構えて前に出た。

 

 こうして、東雲友奈足止め部隊が完成したのであった。

 

 ☆

 

「…半分ぐらい逃げられたか」

 

 東雲は止められなかったことを悔いる。

 これでかなり赤嶺の負担が大きくなるはずだ。

 そして、東雲を足止めするために用意された勇者達、千景、銀、須美、園子、高嶋、結城、珠子、夏凛。

 

 東雲を相手するのは、千景、高嶋、結城、銀の四人になり、大量のバーテックスは残りに任せることになった。

 

(僕を足止めする勇者は四人か…大丈夫かな)

 

 東雲も対人戦をやったことがなく、赤嶺と昨日練習したと言っても、それにも限界はある。

 そして、今回の戦いは東雲は少し分が悪い。

 篠目によく似た少女、千景を相手にすることになるからだ。

 

 そして、相手に結城友奈がいるということも大きかった。

 伝説の勇者にどれだけ奮闘できるか。

 それが疑問だった。

 

 そして、高嶋と銀。

 高嶋の方も同じ友奈だということで結城と同じような警戒をしているが、銀の方は未知数であり、その大きな二つの斧みたいな武器で何をするのか分からないところが大きい。

 

 しかし、見ればわかる。

 かなり強いことは。

 

「やあああ!」

 

 銀が東雲に突進し、その合図で残りの3人も走り出す。

 銀の持つ双斧が東雲に向けて振り下ろされる。

 しかし、東雲にあたることはなく、地面を抉る。

 

 東雲は銀の攻撃を後ろに避けていた。

 そして追撃が来る。

 

 友奈達が東雲を挟み込んでいたからだ。

 

「勇者!」

「パーーンチ!」

 

 東雲は左右からくるパンチを上に避ける。

 しかしこれは失策だった。

 

「!」

「はああ!」

 

 千景が、上で待機していたのだ。

 そのまま大葉刈の峰打ちを横腹にくらう。

 

「ぐは!」

 

 そのままゴロゴロと地面を転がったが、すぐさま起き上がり構える東雲。

 相手の力量を見誤ってしまったことを反省して、次はこちらが仕掛ける。

 

 同じように、銀が東雲に向かっていくのを確認し、またもや後ろに避ける。

 そして、両方からの友奈達が放ったパンチを両手で受け止める。

 

「その技は…さっき見たよ!」

「きゃあ!」

「うわ!」

 

 高嶋と結城の拳を掴み、前に叩くように押し出す。

 そこには銀もおり、友奈に挟まれる形で銀も攻撃を食らった。

 

「高嶋さん!結城さん!三ノ輪さん!」

「はああ!」

「くっ」

 

 東雲の貫手を辛うじて躱す、千景。

 千景も応戦するが、力量が違うのか東雲に押し切られてしまい、そのまま。

 

「二連撃ィ!勇者ァ!パアアアアアンチ!!」

 

 高速で二回の打撃を放つ。

 それを辛うじて大葉刈で受け止めたが、かなりのダメージが千景を襲う。

 

「きゃああ!」

「ぐんちゃん!」

 

 高嶋が東雲に向かって走りだし、そのままパンチを繰り出す。

 

「勇者パーンチ!」

 

 その技は東雲に見切られ受け流されてしまうが、その反動で高嶋は千景の元へ駆け寄れた。

 

「大丈夫!?ぐんちゃん!」

「…っ!なんとか…高嶋さんこそ…」

「私は大丈夫だよ!…それより」

「ええ…」

 

 二人は東雲の方を見る。

 こちらを見てそのまま動かない。

 まるで立つのを待っているかのようだ。

 

「いてて…大丈夫?銀ちゃん?」

「はい!三ノ輪銀、怪我はありません!…でも」

「うん…強いね…これまでの相手とは比べ物にならないかも…」

 

 これまでにない脅威が四人を襲う。

 

 ☆

 

(…流石に強いなぁ、ひやっとしたよ…)

 

 しかしまだ油断は禁物だと東雲は気を引き締める。

 東雲は倒れている相手に追撃するほど卑劣にはなれない。

 なので、相手が立ち上がるまで待とうと思ったのだ。

 

「よし、友奈さん私が引き付けるんで高嶋さんと千景さんで作戦を練ってください」

「銀ちゃん…!」

 

 銀は腰を低くし、また東雲に攻撃を仕掛ける。

 東雲は真っ向から迎え撃とうと、貫手で斧を受け止めた。

 

「うおおおおお!」

「!」

 

 そこから銀が連打で畳み掛ける。

 東雲も負けじと、応戦して、連打の応酬になる。

 そして徐々に二入はスピードアップしていき、遂には肉眼で捉えられるかどうかのスピードになっていた。

 二人の精霊が前に出ており、それらが守っているお陰で肉体には傷はつかない。

 

「す、すごい…」

「感心してる場合じゃないわ結城さん、何とかしてあの男を止めないと」

「…でもどうすればいいんだろう?」

 

 3人で唸る。

 かなり身体能力が高い東雲に対し、どう立ち振る舞うか分からないのだ。

 しかし、あることを千景が思いついた。

 

「…東雲友奈がパンチを放つ時、若干のタメがあるのだけれど、そこの隙を突けれないかしら」

「…うん、ぐんちゃんがそう言うなら!」

「結城友奈も大丈夫ですっ!」

 

 勇者パンチを引き出す役は千景が担当して、その隙をW友奈が突くという作戦だ。

 千景が東雲に向かって走り出す。

 

「……!待ってました!」

「三ノ輪さんも攻撃の手を緩めないで!」

「…りょーかいっ!」

 

 そして二人で東雲に攻撃を与える。

 

(くっ…!直撃したら…危ない、一気に行くしか…)

 

 そう思った東雲は二人の武器を手のひらで受け止め、そのまま掴む。

 そして、前へ押しのけ、無理矢理隙を作る。

 

「二連撃ィ!勇者ァ!」

「今よ!」

「「勇者!パーーンチ!!」」

「しまっ」

 

 タメにより隙を作ってしまった東雲は二人のパンチで弾き飛ばされる。

 

「ぐああああ!」

 

 直撃したら腹がズキズキと痛む。

 しかし、こんな所で立ち止まってはいられない。

 

「!まだ立てれるの!?」

「直撃したのに…」

 

 東雲友奈は咆哮する。

 それと同時に結城友奈も前に出た。

 

「うおおお!」

「やあああ!」

 

 二人とも走り、己の拳がぶつかり合う寸前。

 

 ーー樹海が解けた。

 

「よぉし!全部倒したぁ!」

 

 三好夏凛が吠える。

 それはバーテックスを殲滅したということ。

 これにより、東雲側の敗北が決定した。




華撃団…うん…あのゲームから持ってきました。ごめんさい
走れー高速のー勇者華撃団ー
唸れー衝撃のー天津華撃団ー

誤字とかありましたら教えてくれると嬉しいです。
感想もお待ちしてます。
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