東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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八話『敗北』

 樹海が解けたことにより、赤嶺、東雲双方の造反神側の勇者は敗北した。

 敗北者に待っているのは、尋問である。

 東雲は後ろで手を夏凛に締められたので、一応神妙にしている空気を出す。

 

「さあ、造反神側の勇者……貴方は一体何なのか教えてもらうわ」

 

 千景が東雲の首元に大葉刈の先端を突きつける。

 それを冷静に見下ろし、これは逃げられないと悟った東雲は喋り出した。

 

「僕の名前は東雲友奈…造反神側の勇者だよ」

 

 いつもの口調、声質で喋り出す東雲。

 男にしては高い声の持ち主で、喋り方は友奈にそっくりの喋り方だ。

 

「それは分かってんのよ!アンタはいつの時代の勇者って聞いてんの!」

 

 夏凛が東雲に怒鳴る。

 取り敢えず喋っておかないと、この場から離れなさそうだし大人しく答えることにした。

 

「最初に言うけど驚かないでね、神世紀800年だよ」

「「ええええええ!?」」

「「未来!?」」

「いつも思ってたけど、何でアンタ達はそんなにハモるのよ…」

 

 珠子と銀と高嶋と結城が声を揃えて驚く。

 そこにすかさず夏凛がツッコミを入れた。

 そして、東雲は『驚かないでって言ったのに』と少し不満を漏らした。

 そしてまたある者は…。

 

「すぴーすぴー」

「ああ、そのっちが眠っちゃったわ」

「おーい起きろー園子ー」

「ふあっ〜、あまりの衝撃に頭がふわーってなってたんよ〜」

「それただ眠たかっただけなんじゃ…」

 

 小学生組が漫才を繰り広げているのを、千景が横目で見て、少しため息をついた。

 

 東雲の方に視線を戻す。

 神世紀800年…未来から来た友奈の話を信じるかは難しいが、まっすぐ千景の目を見ている東雲の顔を見ると、どうしても高嶋がフラッシュバックする。

 

 途端に、仮にでも友奈である存在に刃を向けるのはどうかと思い、大葉刈を千景は下げた。

 

「…まあ、その話は置いておきましょう。さて、単刀直入に聞くわ」

「なに?」

「貴方達、造反神側の狙いは何?そして造反神というのは?それを教えてくれる」

 

 東雲は一旦目を瞑る。

 そして、ゆっくりと目を開けた。

 それは、千景の顔をまたよく見るためだ。

 そして、千景の質問には出来る限り答えてあげたいが、この質問に東雲は答えられるはずがない。

 

 だって東雲は。

 

「うーん、知らない…かも…」

 

 何も聞かされていないのだから。

 

「…っ!ふざけているの!?」

 

 千景はまた大葉刈を東雲の首元に置く。

 この男はふざけてこんな答えをした、友奈の顔をしてそんなことをするのは許せないと思ったからだ。

 

 しかし真剣な顔で東雲は千景の言葉に答える。

 

「本当だよ、何も知らないんだ」

「アンタ…!適当な返事してると承知しないわよ!」

「いてて、ちょっと腕締めすぎだよ…」

 

 夏凛は条件反射的に締め上げてしまった腕を少し緩める。

 どうも、友奈によく似ている相手だと調子が狂うようだ。

 

「…嘘よ」

「…信じなくたっていいけど…僕からは何も情報は出せない」

「吐かせるわ」

「知らないものを?どうやってするの…」

 

 目に見えて東雲が落ち込んできた。

 仕方ない、ここまで勇者に囲まれて、知らないものを吐けと強要されているのだから。

 

「ねえ、ぐんちゃん…」

「うん、東雲くん嘘…言ってないよ…私たちには分かるんだ…」

 

 いたたまれなくなったのか、友奈達が千景を止める。

 そして、東雲の目を見て高嶋と結城は確信していた。

 確実に嘘は言ってないと。

 

「そうですね…千景さん…」

「そうだぞ千景…少し手加減してやろう」

 

 銀や珠子も止めに入る。

 いつもなら、千景はここで意固地になっていただろう。

 しかし、今は小学生も見ているし、何より高嶋と結城が止めている。

 ここは信じてみるのもアリかもしれないと千景は思い大葉刈を下ろす。

 

「そうね…少し熱くなってたわ」

「その熱を冷ますために、水垢離でも明日からしますか?」

「鷲尾さん…遠慮するわ」

「あらら〜わっしー振られちゃったね〜」

 

 毎朝水垢離は流石に体力が持たないと思い、すぐに断る千景。

 断られたショックで暗くなる須美を慰める園子であった。

 

「…仕方ないわね、私も一旦…って、ああ!」

 

 夏凛の拘束が緩まった瞬間だった。

 逃げれるタイミングはここしかないと思い、東雲は体をひねって拘束を無理矢理解除させる。

 びっくりした勇者達は一歩反応が遅れ、その合間の時間で、東雲は建物の屋上へ飛び移る。

 

「ごめんね!赤嶺ちゃんから逃げれるときは逃げろって言われてるから!」

「ちょっと!待ちなさい!」

「あはは!それはちょっと無理かも!じゃあね!また会お、ぐんちゃん!」

「っ!」

 

 ぐぬぬと唇を噛む夏凛、そしてその次は肩を落とした。

 

「ごめん…みんな」

「気にしないで夏凛ちゃん!失敗は誰にもあるある!」

「そうだよ!それにまた直ぐに会えるよ!

「…バーテックスを連れてくるのであれば、直ぐには会いたくないわね…」

 

 こうして、東雲足止め部隊の戦いは終わったのであった。

 

 ☆

 

「…確かこの辺り…」

「あ、東雲くん!おーい」

 

 決戦の前、作戦が終わったら集合すると言い、集合場所を決めていた。

 そして、その集合場所に行ったら赤嶺が手を振って待っていた。

 

「どうだった?そっちは」

「うーん、負けちゃった」

「うん僕も」

 

 そして、二人はそのまま反省会を始める。

 最大の敗因は優秀な指揮官が向こうにいたことによる時間稼ぎの失敗。

 そして、切り札の存在をすっかり忘れていたことである。

 

 赤嶺はまさかあのタイミングで変身されるとは思ってもなかったので、意表をつかれそのままズルズルと負けてしまった。

 

「あの後援軍が来てねぇ」

「…ごめんなさい」

「ま、東雲くんが悪いわけじゃないしいいよ、今回はちょっと下調べがうまく行ってなかっただけで次は勝てる」

 

 そして、二人の状況報告。

 二人とも負け、赤嶺は少しの情報を神樹側に開示したようだ。

 東雲は何も聞かされてなかったので、情報提供する事はなかった。

 

 そして、収穫もある。

 それは篠目に似ている女の子の名前が判明したのだ。

 

「…ぐんちゃんか、いい名前だね」

 

 こうして初の戦闘は苦い結果で終わったのであった。




とゆうわけで、ようやくゆゆゆい13話分まで終わりました。
これから軽く日常編と東雲友奈の章『閑話』を投稿してゆゆゆい14話分の準備に入ろうと思います。
さっくりと進めたいけど今の技量では無理かも…。

ぐんちゃん、しずくちゃん、シズクちゃんガチャ爆死した。

誤字とか見つけたら教えてくれると嬉しいです。
感想もお待ちしてます。

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