東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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今日は二本です。


九話『日常』(2)

 アパートの一室に、ちゃぶ台の前で行儀よくご飯を待っている赤嶺友奈の姿があった。

 

「はーい、ご飯できたよ赤嶺ちゃん」

「やったー」

 

 今日の二人の夕飯は麺つゆで作った炊き込みご飯に天ぷらの盛り合わせだ。

 この世界に来る前に東雲は自炊をしていたのでこれくらいは朝飯前である。

 

「本当に美味しいよねぇ、東雲くんのご飯は」

「褒めても何も出ないよー」

 

 東雲は若干照れながらも、お茶碗にご飯をよそっていく。

 キノコやタケノコ、そして魚のいい匂いが鼻腔をくすぐり、お腹を空かせる。

 

「いただきまーす」

「おあがりなさい」

 

 この世界にきて、二人で寝食を共にする中で、かなり仲良しになってしまった。

 側から見ると本当に中の良い兄妹みたいだ。

 まあ、二人とも同じ友奈でかなり容姿も似ているので仕方ない事なのだが。

 

「おかわり、お願いしよっかなぁ」

「はーい」

 

 そして赤嶺はご飯を掻き込み、おかわりを要求する。

 東雲はおこげの部分を少し多めによそい、赤嶺に渡す。

 

「はい」

「ありがと、うーんおいしいー!」

 

 赤嶺は目を細めながら、心底幸せそうな顔をする。

 ここに来て一人で居た時は、こんなに美味しいご飯にありつけなかったから感動も二倍になっているのだろう。

 しかし、東雲は少し気がかりなことがあった。

 

「そういえば、もうそろそろ学校では身体測定の時期だね」

「うーん、そうかな?」

 

 そして、東雲は横に置いてあるものを赤嶺に見せる。

 

「じゃーん、僕たちは学校に行けてない分、体重だけでも測っておいた方が良いと思って用意しましたー!」

 

 それは体重計。

 乙女にとって最大の敵、脅威とも言える敵がそこに居た。

 

「……まあ、私は大丈夫…?だし」

「赤嶺ちゃん、結構ご飯食べるから、ちょっと心配なんだ。僕には教えてくれなくても良いから、後で乗ってみたら?」

「……ま、まあ、東雲くんがそういうなら…」

 

 そして二人ともご飯を食べ終わり、東雲が食器の片付けをしている頃、自分で掃除したお風呂にお湯を張り、一番風呂を堪能している赤嶺がそこに居た。

 

「…またおっきくなっちゃったかな?」

 

 豊満な胸がお湯に浮いてくる。

 赤嶺が前に見た時と、少しサイズが違うような気がしたため、今度測りに行こうと思った。

 そして、計るといえば。

 

 体重…思春期の乙女の心を絶望に染め上げる、人類最悪の敵。

 

 赤嶺は少し、察していた。

 そして頭の中で言い訳を始める。

 だって、東雲くんの作るご飯が美味しすぎるもん。

 だって、おやつが美味しすぎるもん。

 

 その他諸々、頭の中で勝手に言い訳を行う。

 

 そして、少しお湯に長いこと入っていたので、のぼせそうになり一旦お風呂から出た。

 

 タオルを体に巻き、体重計の前に立つ。

 そしてそーっと、赤嶺は体重計に乗った。

 

 結果は目を瞑っていてまだ見えない。

 しかし、このままではダメだと思い、恐る恐る目を開ける。

 

 そして、赤嶺は。

 

「きゃあああああ!!」

 

 絶叫した。

 

「ど、ど、どうしたの!?赤嶺ちゃん!」

 

 女子がお風呂場にいるので、無理な突撃もせず、中に入ることもできず、扉の前でモタモタする東雲。

 すると、か細い声で扉の向こうから声が聞こえた。

 

「ーーてた」

「え?」

 

 声がか細すぎて、東雲の耳には入ってこない。

 扉に耳を押し付けて、もう一回聞く。

 

「な、なんて?聞こえないよ!」

「増えてた…」

 

 ピシリと東雲の体が硬直する。

 そして、恐る恐る東雲は口を開いた。

 

「な、何キロ?」

「ーーキロ」

 

 今度ははっきり聞こえ、東雲の脳内に届く。

 そして、東雲がすぐに最良の方法を導き出し、赤嶺に提示する。

 

「赤嶺ちゃん…明日から練習量、増やそう」

「はい…」

 

 こうして、ドタバタ友奈ハウスでの一日が過ぎていく。




赤嶺ちゃん、オムネオオキイ(思考停止)
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