東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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十一話『質疑』

 勇者部の部室に、緊急として東雲友奈と戦った勇者たちが集合した。

 議題は『本当に東雲友奈は敵なのか?』である。

 あの時に戦った勇者たちはある疑問を抱いていた。

 

 まず一つ。

 造反神側の勇者でありながら、造反神側と赤嶺友奈の目的を一切知らない事。

 そして二つ。

 態度が急変した事。

 

 一つ目は置いておいて、問題は二つ目だ。

 勇者たちに最初にコンタクトを取った、東雲友奈はとてつもなく冷ややかな目をしており、聞く声は怖気が全身を襲うような感覚。

 

 しかし、捕まえてみれば、友奈のような表情に友奈のような性格。

 まるで、敵とは思えない。

 

「どっちにしろ…東雲友奈は放っておくわけにはいかないな…」

 

 横で聞いていた乃木若葉がこの先どうするかを述べる。

 東雲友奈が味方であろうと、敵であろうと、この先嫌でも戦っていくことになる。

 その時にいずれ、答えは出るだろう。

 

 そう勇者たちは結論づけた。

 

 ☆

 

「さて、次の戦いまで私は準備に取り掛かるよ」

「準備?なにするの?」

 

 赤嶺が戦いに備えて準備する。

 その言葉を聞いて、東雲はまた悪いこと考えているんだろうなと思った。

 そして、作戦の内容を赤嶺に聞く。

 その作戦内容を聞き、東雲は軽く顔をしかめた。

 

「うひゃ〜…ほんと悪いこと考えるよねぇ…」

「ん?今回はドン引きされたような気がするよ?」

 

 ここ数日で赤嶺は東雲の顔を見て、見たこんな事を考えているなという事まで分かるようになった。

 ちなみに今回は本当にドン引きしている顔だ。

 しかし、東雲は誰も傷つかないのならそれもまたアリかと思ってしまう。

 

 そうして、赤嶺は作戦の準備に入った。

 東雲は取り敢えず、勇者たちが攻め込んだ時に迎撃する、バーテックスの指示を担当することになった。

 しかし、たった一人で勇者たちに立ち向かうのは無謀すぎるので、赤嶺が準備を終えるまでは戦闘には参加しない手はずだ。

 

 そのおかげで、かなりの愛媛の領土は取られて、遂に半分まで取られてしまう結果になってしまった。

 

「うわぁ…赤嶺ちゃん怒るかなぁ?」

 

 東雲は基本指揮というのに慣れてはいない。

 それは神世紀800年で一人で戦っていた弊害だろう。

 なので作戦を練り、相手を罠に嵌めるというのが得意ではないのだ。

 

「そっかー大分取られちゃったんだね。まあ予想通りだしいいか」

「うう…ごめんなさい」

「そんな謝らなくていいよ、東雲くんはよくやった方だって。勝たれると少し困るしね」

 

 アパートに戻った東雲はここ最近集中して、ご飯とお風呂以外準備を進めていた赤嶺に誤る東雲。

 しかし、赤嶺は怒るどころか褒めてくれた。

 この行動に少し疑問を抱く。

 赤嶺は勝たれると少し困ると言っていたが、領土が取られても良いのだろうかと東雲は思った。

 

 東雲は思う。

 赤嶺はまるで、彼女たち勇者を、何か試そうとしているみたいだと。

 

 東雲はこれまで、赤嶺の言う事を聞いてただ命令を実行してきたわけでは無かった。

 暇があれば、造反神側の勇者の目的というのを東雲は一人で探っていた。

 しかし、手がかりとなるものは、なに一つ無かったのだ。

 

 東雲には勇者の適性は非常に高いが、神の声を聞く能力、巫覡の適性は皆無であり、造反神にはコンタクトは取れなかった。

 

 赤嶺には、造反神側用意した勇者服があるのでそれで信託を受け取ることが可能だと東雲は考えた。

 

 そして作戦決行日前日。

 

「ねえ、東雲くん。ちょっと実験しても良いかな」

「実験?」

「うーん、試用って言うのかな?最終調整に入りたいし」

「ああ、あの作戦に使う精霊のこと?」

「うん、で?どうかな?」

「……それ僕に使っても大丈夫なの?」

「どうやら、造反神の加護に入ってる勇者はどうやら、質問に答えられなくてもその後の影響は無いんだって」

「そうなんだ、じゃあ良いよ」

 

 実験に快く引き受ける、東雲。

 赤嶺は本当に人がいいなと思ってしまった。

 こんな怪しい実験を引き受ける東雲は少し危機感を持った方がいいと同時に思う。

 しかし、それはそれ、赤嶺は戦闘不能効果があったとしても東雲は絶対に帰ってくると確信していた。

 

 そして、東雲はいつのまにか前にいた自分の分身と向き合う。

 

『ふふ、こんな状況になってもあまり驚かないんだね』

「まあ、前に話は聞いてるしね」

 

 自分の分身とにこやかに話し始める東雲に対し赤嶺は流石だなと苦笑いを浮かべる。

 

『じゃあ、そろそろ始めるよ。ドーーン』

 

 そして東雲の目が虚ろになる。

 精神世界に入るのは成功したみたいだと赤嶺は確認した。

 

 ☆

 

「ん、どうやら成功したみたいだね」

『うん、結構すんなり入り込めたよ』

 

 東雲はいつのまにか白い箱のような空間に閉じ込められたことに対してそれほど驚きもせず、自分の分身に向き合った。

 

『さて…最初の質問だけど…君は戦うのは怖い?』

「うん、怖いよ」

『即答だね、さて次は…』

 

 こうして何気ない質疑応答が繰り返される。

 分身が喋る質問の内容は、東雲にとってはたわいもない事であって、効く人には効く質問も織り交ぜられている。

 しかし、東雲はその質問に対して即答で答えていった。

 

『うん、なんだかただのカウンセラーの真似事みたいな感じになってきちゃったね…さて本番行くよ』

 

 本番とは一体何かと思った東雲は、次の質問で少し間が空いてしまうことになる。

 

『君は、篠目ちゃんの事、どう思っているのかな?それは……恋愛的な意味での好きでいいのかな?』




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