樹海、そこに神樹側の勇者たちと造反神側の勇者達が対峙していた。
東雲の態度が180度変わっており、赤嶺は諦めた様子だった。
そして、黄色と緑の色を織り交ぜた勇者服を着ている、白鳥歌野が話しかける。
「取り敢えず、挨拶して置こうかしら?ハロー!」
「こんにちは」
「こーんにーちはー!」
「こんにちは!挨拶はきちんと!」
東雲が大きく手をにこやかな顔で降り、それに答えるかのように結城も手振り返す。
それを見た前回東雲と対峙した勇者たち以外が、驚いた顔をする。
「おう……一気に友奈らしくなったわね…」
「ははは…みんな元気そうで何よりだねー、私はちょっと低血圧気味だよ」
風と赤嶺が同じタイミングで苦笑いをする。
もう取り繕っても仕方ないと赤嶺は思った。
「え!?赤嶺ちゃん低血圧なの?チョコあるよ!」
「…うん、ありがとう。でも少し静かにしててね」
「はい」
東雲が赤嶺にチョコを渡す。
なぜチョコを持っているかという疑問は置いておいて、一欠片口に含んで赤嶺は勇者たちに振り返った。
この時の様子を勇者たちはこう思う。
そこはかとなく、不気味だと。
敵である、東雲と赤嶺がこっちと同じような行動をしているのが、親近感を覚えてしまう。まだ、得体の知れない敵がこんな行動を取っていたら、不気味か微笑ましいかの半々に意見が分かれるだろう。
「前は一本取られたから、色々と準備してきたよ。今回は、精霊を使うんだ。私が持ってきた精霊は、造反神が作ったオリジナルでね」
因みに東雲が使役している精霊も造反神のオリジナルである。
神世紀800年には精霊システムは採用されていなく、東雲はバリアなしの状態で戦っている。
赤嶺は手を横にやり、精霊の姿を顕現させる。
「人の姿に変身するんだ、こーんな風に。ばぁーん」
横に突如現れたのは鷲尾須美と瓜二つの分身。
勇者たちは目を見開く。
そして、今回の戦いの趣旨を赤嶺が勇者たちに伝える。
東雲はそんな様子を観察しながら千景の方に目線を動かした。
どうやら千景も東雲の事を見ていたようで目線が合う。
東雲はにこやかに軽く手を振ると、千景はふいと顔を横にした。
その様子を見て少なからずショックを受ける東雲。
(うーん、もうちょっと仲良くしたいけど、やっぱり無理かなー?)
東雲は思う。なぜか漠然とした理由だが千景とは仲良くしたいと。
しかし、東雲自身なぜ、仲良くしたいか分からなかった。
篠目とよく似ているから?違う。もっと別の理由だ。
そういえば、前に戦っていた時の事を思い出す。
東雲が捕まった時に、珠子と銀が千景の名前を言っていたが、東雲はどうやって逃げるかという事を考え、脳を動かしていたので詳しくは覚えていない。
(ぐんちゃんの名前……うーん、まいっか)
ぐんちゃんはぐんちゃんで可愛い名前だしね、と東雲は結論づけた。
「まあ、良しとしちゃおう。さぁ、説明と警告はきちんとしたからね。そろそろ始めようか」
赤嶺の話が終わったようで東雲は一旦考えるのをやめる。
時期に思い出すだろうと思ったからだ。
「その前に君らを倒してしまえばいいんでない!?ほいや!」
雪花が槍を赤嶺に向かって投げる。
赤嶺は咄嗟のことに反応が遅れたが、それを東雲は掴んで、赤嶺に槍が届くのを防いだ。
「ええ…あれ掴んじゃうの…?」
雪花が少し苦笑して悔しげな表情を浮かべる。
「おっと!ありがとう東雲くん」
「ううん、気にしないで」
赤嶺は勇者たちに振り返り、こう言う。
「勇者なら、この攻撃は正攻法で破ってくれると嬉しいな」
☆
結論から先に言う、鷲尾須美は赤嶺の精神攻撃を打ち破った。
鷲尾須美に精神攻撃を仕掛けたものの数分で解除され、赤嶺は内心喜びを感じていた。
それは試練に打ち勝ったと言うことであり、この調子でいけば、他の勇者たちも鷲尾須美と同様、精神攻撃を打ち破ってくれるだろうと言う期待。
東雲はそんな赤嶺の少し変化した表情を感じ取る。
(笑ってる?)
それはよく目を凝らさねければ、分からない程度に赤嶺は苦笑していた。
東雲は、そんな表情の少しの変化を見逃しはしなかった。
まだ分からないことだらけの、味方。
東雲はこのまま背中を預けていいものかと少し疑問に思う。
しかし、赤嶺のちょっとした表情の変化は気掛かりだ。
それに、今は赤嶺に着いていかないと、東雲には今の時代はよく分からない。
そして赤嶺は勇者たちに、もう一つ、この精神攻撃のことについて、説明があった。
それは、この世界で精霊に取り憑かれると再起不能だが、元の世界に戻れば精霊の影響は消え去ると言うものだった。
そして赤嶺は分身をまた用意する。
事前に全員分の用意をしてきて、この精神攻撃が効きそうな。いわば、精神が不安定な物がこの攻撃に選ばれる。
その中には千景の姿もあった。
千景は東雲の方を睨みつける。
東雲はにこやかな顔で言ってらっしゃいと言わんばかりに口を開けた。
「じゃあ、レクイエムさんに乗ってここから離れようかな、このままじゃ攻撃されちゃうかもだから」
赤嶺は用意していた大型のバーテックスを出現させる。
すると同時に鷲尾須美が矢を放ってきた。
それをまたもや、東雲が掴む。
しかし、急に花の文様が出てきて、東雲はすぐに矢を放った。
下の方で爆発したのを確認し、東雲は少し汗をかいた。
「あぶなー」
「間一髪だったねぇ」
そして、この戦いは熾烈を極めることとなる。
ゆゆゆいのストーリで出た会話とか、説明とかは結構省いています。
今、のわゆの方のストーリーを書きたいなぁと思ってます。
西暦時代の防人のお話を書きたいですね、西暦は防人=自衛隊ですが、そういうのではなく、神世紀の防人みたいな。
主人公はオネェの防人なんですけ(
遅れた理由は今季の積みアニメ一気に見てたからです(´・ω・`)(わたてんすこ)
誤字とか教えてもらえると嬉しいです。
感想もお待ちしてます。