プロローグ
神世紀800年ーー。
一人の人間が、白装束のような衣を身にまとい、道路を歩いていた。
道端に転がる白く巨大で醜悪な体をした通称『星屑』の死骸を見ながら歩を進める。
「もうそろそろ…」
人間は独り言を呟いて、空を見上げた。
どこまでも綺麗な青い空が見える。
「うん、ここの空も綺麗だ…まるで四国のような気候だね」
首をコキリと鳴らしまた歩く。
目的地は青森県・恐山ーー。
そこに、この馬鹿げた戦いの最期の舞台が幕を開ける。
☆
次に人間が目を覚ましたのは樹海だった。
樹海は人類の敵バーテックスから神樹を守る、神樹自身が作り出した勇者の為の空間。
人間は目元まで深くかぶった和装束の帽子を脱ぐ。
(…ここは、何処?)
そもそも、人間の領地を取り戻す為、霊的存在が力を増すという日本三大霊地の一つ、恐山に向かっていた筈だ。
そこに日本最期の領地、青森がある。
☆
新世紀300年、人間は辛うじて神樹と共に天津神である天照大神を一時撤退にまで追い込んだ。
その後の資料などはないものの、人間たちはそれ以来、平和な世界を取り戻し、四国から九州、そして沖縄に行き次に本州まで復興を成し遂げた。一つ分かっていることは、その復興に最も尽力したのは千景殿防人部隊という少女たちだったという。
しかし、長野県の復興に差し掛かった瞬間のことである。
神世紀400年頃、突如としてバーテックスが長野に襲来、復興作業にあたっていた人員に多大な被害を負わせることになった。
そしてバーテックスたちはそれ以上の進行はして来ず、日本三大霊地である、青森・恐山、石川、岐阜・白山、富山・立山。
それぞれの場所に留まった。
奇襲により、日本の四県を取られたのは人間側にとって痛かったが、こうなることを予想しなかった人間達ではない。
古くから続く大赦と呼ばれる組織が瞬く間に新たな勇者システムを完成させ、また新たな勇者達が誕生した。
しかし、一つだけ人間側の想定外だった事が起こった。
なんと、国津神である大國主と天津神である天照大神が手を組んだと言う事だった。
☆
見慣れない場所に大いに驚いている人間。
赤色の髪を短く切り揃え、顔立ちは女顔ではあるが、キリッとした目はまさしく男の目。
白装束を脱ぐと、その下には淡いピンク色のマフラーに、赤々とした戦闘衣。
両手には鉄製のピンクの籠手、その手の甲の部分に桜の紋章が施されている。
「勇者システムは未だ健在……でも、少し性能が落ちた?」
「あーうん、それは過去の勇者システムに合わせてるからだよ」
いきなり声が背後から聞こえ、男はすぐさま飛び去り、戦闘態勢に入る。
(……僕の後ろを取るなんて)
「まーまー、そんな殺気立たなくても」
まるで気配を全く感じなかった、目の前の女。
その風貌を見て男は驚愕する。
「そんな…女の子になった…僕…?」
「あー…そういう反応なっちゃうか」
目の前の男によく似た女。
赤い髪を後ろで束ね、黒白赤と彩られた戦闘衣、そして男と同じような籠手。
「初めまして、私は赤嶺友奈。そしてようこそ東雲友奈くん、歓迎するよ」
☆………
見てくださり誠にありがとうございます。
この二次創作に出てくる具体的な神の名前は、全部私の考察から来ているものです。