東雲友奈は勇者である   作:うみうどん

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二話『悪役』

 神世紀800年、それは赤嶺にとっては遥か未来の話、赤嶺はちゃんと付いていけるかどうかは分からなかったが、それも杞憂に終わった。

 

「そしたらバーテックスが急にバーン!と現れて、ババーンとみんなが作った建物をガガーンって倒しちゃったんだ!そしたら大國主様と天照大神様が力を合わせてバーテックスをドッカーンって一時的に追い返しちゃったんだけど」

「待って待って待ってストップストップ」

 

 赤嶺は頭を抑える。

 

(確かに、私も擬音を使う事もあるけどここまで酷くないよ!?…よね?)

「どうしたの?赤嶺ちゃん?」

 

 心配そうに東雲は赤嶺の顔を覗き込むが、赤嶺は苦笑いをしてまた東雲に向き合う。

 

「まあ、神世紀800年に至るまでの話は置いといて、なぜ私達が『友奈』って名前を付けられたか分かる?」

「うん、逆手を打って生まれてきたら友奈って名前が付けられるんだよね」

「そこは分かってるかー」

 

 東雲友奈は喋り方はバカっぽいが、全然賢い方だ。

 なので、神世紀800年で色々と勉強してきた。

 大赦による検閲も昔よりかは緩和になっており、それで神の事も大赦の事も東雲の頭の中には叩き込んである。

 

「じゃあ、話もそこそこにして、東雲くんに私たちの仲間を紹介しようか」

「仲間?他にも勇者がいるの?」

「ううん、勇者じゃないよ。もしかしたら…東雲くんの敵かもしれない」

 

 赤嶺は立ち上がり、樹海の中を歩いていく。

 東雲もそれに追従する形で、付いていった。

 

「もしかして、天津神側だからバーテックスが仲間ですとか…」

「あはは、結構頭いいよね東雲くんって。そうだよ私たちの仲間…バーテックスなんだ」

 

 やはりか、東雲は頭の中でそう思う。

 まあ、東雲の頭では幾ばくか予想をしていたので大体覚悟は出来ていたが、それでも衝撃は大きい。

 神世紀時代に戦っていた敵と仲間としてのやっていけるのか。

 それが東雲の唯一懸念していた事だった。

 

 ☆

 

 先に結果を言おう。

 

「あはは!慣れるとなんだか可愛いや!」

 

 東雲友奈はバーテックスとも仲良くなれていた。

 星屑が撫でて欲しそうに東雲の周りを浮遊する。

 赤嶺はその光景を見て唖然としていた。

 

(あそこまで仲良くなってしまうなんて…)

 

 赤嶺は考える、さっき東雲が言っていたセリフ。

 

『大國主様と天照大神様が力を合わせて』

 

 もしかしたら東雲の勇者服には天津神の力が宿っているのかもしれない。

 その天津神の力が作用し、東雲の事を仲間だと思っているのかもしれないのだ。

 バーテックスや星屑達は赤嶺の言う事は聞く事は実験済みだ、恐らく造反神が用意した勇者服のお陰だろう。

 しかし、東雲みたいに星屑が懐いてくる事は無かったのだ。

 

「お魚さんみたいなのもいるね」

 

 バーテックスがフヨフヨと東雲の周りを凄いスピードで浮遊する。

 凄い懐かれようだ。

 赤嶺は苦笑いするしかなかった。

 

(未来凄いなぁ)

 

 ☆

 

「さて、勇者達の様子でも見に行こうか」

 

 赤嶺は星屑に群がられている東雲を引っ張り出す。

 まるで、星屑に食われているのを助けているみたいだ。

 

「勇者の様子?」

「うん、まだ樹海化が解けてないようだから、苦戦してるのかなって」

「うん、分かった行こうか」

 

 二人は樹海を素早く走り抜ける。

 赤嶺は木から木へ飛ぶように走り、東雲は地面を走る。

 しばらく走っていると戦いの音が聞こえてきた。

 

「…」

「…」

 

 二人は気配が察知されないように、遠くから見る程度にする。

 すると、16名の女の子達が星屑やバーテックスの討伐に当たっていた。

 

「僕が女の子になったのが二人…?」

「ああ、あれは結城友奈ちゃんと高嶋友奈ちゃんだよ」

「っ!結城!?」

 

 東雲は結城友奈の事を知っていた。

 何せ、神世紀300年頃に一時的な平和とはいえ、灼熱の大地から世界を天津神から取り返した張本人だ。

 その伝説は神世紀800年になっても衰えない。

 

 東雲は友奈という名前になれた事自体とても誇り高い事だと思ったがその伝説を作った本人に会えるとは思えなかった。

 

「あれ、勝てるの?」

「……限りなく低いだろうね」

 

 バーテックスは次々に殲滅されていく。

 この戦いの勝敗はもう決してしまったようなものだ。

 

「さ、戻ろうか。時期に樹海も解けるでしょ」

「そういえば、彼女達の目的は聞いてなかったね、どうして戦っているの?」

「造反神を鎮め無ければ四国は消えるんだ」

「え!?」

「待って、最後まで話を聞いて」

 

 東雲は一瞬、四国が消えるのはいけないと思った。

 しかし、赤嶺はまだ何か言いそうなので東雲は口をつぐむ。

 

「私たちは造反神の味方には変わりない。それは四国を消そうとしてると思われても仕方ない事だよ。」

「…」

「でもね、そんな事をしなければならない理由がある。大事な私達の御役目が」

「それは?」

「それは……ごめん…まだ言えない」

 

 東雲は不服だ。それは赤嶺がきちんとした理由を提示しないからだろう。

 しかし、東雲は赤嶺の目を見る。

 それは嘘は付いていない目だった。

 東雲は目を瞑り、自分の考えをまとめ始める。

 

 ーーそして出した答えは。

 

「分かった、今は協力するよ」

「…!」

「なんだか赤嶺ちゃん…ほっとけないもん」

 

 東雲には赤嶺の悲しそうな目が気がかりだった。

 理由はそれだけで十分だ、と東雲は自分に言い聞かせる。

 

「じゃ!東雲友奈!悪役になーる!」

「…はは、悪役か…うん、そうだね」

 

 こうして、二人の友奈の悪役になる物語が始まる。




今これ思いましたけど、ゆゆゆい28話以降どうしよう…
29話実装するまで頑張ります…。
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