皆さんどうも、和狼でございます。
前作『パラレル・レコード』の執筆が上手く進まず、内容に関しても納得のいかない部分が有った為、思い切って新しく執筆する事にしました。
『三度目の正直』となるのか、『二度ある事は三度ある』となるのか……其れは神のみぞ知る(オイッ!?)
──という訳で、新作のプロローグ──始まります。
[2/15]一部修正しました。
[2/27]誤字を修正しました。
[5/11]一部修正しました。
[8/25]一部加筆しました。
[11/25]一部加筆しました。
[12/30]サブタイトルを変更しました。
[8/27]段落付けを行いました。
「うっし、準備完了っと」
寒さがより一層に増し、冬の訪れが近くなった事を強く感じる様になって来た今日──十一月六日、日曜日の昼下がり。
俺こと《
「あたしも、準備出来たよ!」
……つもりだったのだが、俺の独言に反応し、
声のした方へと振り向けば、其処には
身内
「……なあ、マジで此処でやるつもりなのか?」
「勿論だよ! だって、お兄ちゃんと一緒にやりたいんだもん!」
俺の言う《此処》というのは、ズバリ《俺の自室》だ。二階建て一軒家の二階に
彼女は、そんな俺の部屋に
別に、兄妹二人で一つの部屋で何かをする事自体は、何らおかしな事ではないだろう。
では、俺達兄妹の仲が悪いのかと言えば、答えは『
ともあれ。であるのならば、何故に溜め息を
其の理由について、順を追って説明して行きたいと思う。其れに当たって注目して欲しいポイントは、イベント──正確には『
では先ず、
此れは、《ソードアート・オンライン(通称SAO)》と言うタイトル名の、
高がゲーム
と言うのも此のSAOは、ゲームジャンルにある《VRー
これまで発売されたソフトタイトルが、完全ダイブ技術を上手く活かし切れていないぱっとしない物ばかりであった為に、広大な世界に於いて自らの身体を思いっ切り動かしてプレイするという、完全ダイブ技術を
そんなSAOの発売を待ち望んでいた者達からすれば、正式サービスの開始がビッグイベントではない訳がないのだ。
次に、SAOを動かす為の
ハード名を《ナーヴギア》。
とある一人の電子物理学者によって基礎設計された其のハードのインターフェースは、頭から顔までをすっぽりと
内側には無数の信号素子が埋め込まれており、其れらが発生させる多重電界によってナーヴギアはユーザーの脳そのものと直接接続し、仮想空間内に於ける五感情報をユーザーの脳にダイレクトに与えてくれるのだそうだ。詰まる所、ユーザーは仮想空間内の景色や音などといった五感情報を、自身の目や耳などによって見聞きするのではなく、脳に与えられた五感情報を見聞きするのだ。
更にもう一つ、ナーヴギアには重要な機能が
ナーヴギアのもう一つの重要機能というのは、
何故其れが重要なのかと言うとだ。もしも現実の身体への命令が生きていた場合、例えばフルダイブ中のユーザーが仮想空間内に於いて『走る』という行動を起こそうとすれば、現実の自分の身体もまた同時に走り出してしまい、其れが部屋の中であれば壁に激突してしまう事になるのだ。
其れではとてもゲームを楽しむ事など出来ないだろう。
故に、ナーヴギアが
『ゲームの中に飛び込む』──正にその様に表現しても過言ではないだろう。
さて、現実の身体を動かす為の命令信号が遮断・回収されれば、その現実の身体は一体どうなるのか?
その答えは至極当然──動かなくなるのだ。
意識の無い状態、と同義と言っても良いだろう。であるのならば、立ったままの状態でダイブするのは危険であるだろう。身体を支えておく為の筋力──其れを働かせる為の命令信号が途絶えているのだから、ダイブした途端に転倒して大怪我、なんて事にだってなり得るだろう。
そうならない為にも、ダイブする際にはベッドなどに横になるか、背
……だだ、俺の部屋に有る椅子には手摺りが付いていない。其れでは何かの拍子に身体が横に傾いて、そのまま転倒してしまう恐れだって有る。その為、此の場合の選択肢は『ベッドなどに横になる』の一択しかないのだ。
幸いと言うべきなのか、俺の部屋に有るベッドは横幅が少し広い為、身体を寄せ合えさえすれば、高一男子の俺と小六女子の妹の二人でも横になる事は可能ではある。……のだが、幾ら俺達二人が兄妹であるとは言えども、思春期真っ只中である俺としては、やはり異性と身を寄せ合って横になる事には多少なりとも抵抗感を覚えずにはいられないのだ。
なので俺は、床に毛布を
…………となれば良かったのだが、そうは
では、此処で二つ目にして、此の話に於ける最大のポイントでもある『良好過ぎるくらいの兄妹仲』についての説明に移ろう。
単刀直入に言おう──我が妹─珪子には、どうにもブラコンのケが有るのだ。
其れを裏付ける様な行動内容の一例としては──
俺と行動を共にしようとしたり、食べさせ合いっこをせがんで来る、などといったまだ比較的に白に近いモノ。
洋服や下着類を購入する際に俺に意見を求めて来たり、一緒に寝ようとしたりする、などといった
俺が居る前でも何の
──などと、その度合いはピンからキリにまで
普通の
此れを『ブラコン』と言わずして何だと言うのだろうか?『兄妹仲が
一体全体、何がどうして我が妹はこんな風になってしまったのだろうか……。そりゃあ、嫌われているよりかは好かれている方がまだ良いに決まっているが、それにしたって限度というものが有ると言うものだろう。
残念ながら、俺には妹がブラコンになってしまった理由はさっぱり解らない。俺としては兄として至って普通に接して来たつもりだし、
一説に
親父の場合は、珪子に対しては呆れと
…………うん、励ましてくれるのは嬉しく思うのだが、正直に言えばンなモン要るかぁぁぁあああああ! 同情とか
……と、珪子の事は
其れに対して、お袋はと言えば──
──だぁいじょうぶよぉ〜。二人がどんな関係になったってぇ、お母さんは最後まで二人の味方でいてあげるからぁ〜。それにぃ、二人の間に子供が出来ちゃったとしてもぉ、お母さんはちゃぁんと祝福してあげるからねぇ〜。
──お袋ぉぉぉぉぉおおおおおおお!!?
オイコラお袋ぉぉぉおおおおお!? アンタ何自分の息子と娘に対して兄妹婚や近親相姦を許可する様な発言をしてくれちゃってやがるんですかコノヤロォォォオオオオオ!? 全ッ然だぁいじょうぶじゃないんですけれどもぉぉぉおおおおお!? 俺達の兄妹関係に対して
お陰で、時々珪子の俺を見る目がガチで男を見る目のソレなんですけれども!? 流石の彼女も、今の所は『年齢』という名の倫理の壁を越えようとはしていないけれども──出来ればそのまま『兄妹婚』や『近親相姦』という名の倫理の壁も越えようとはしないで下さい──、規定年齢に達したらほぼ間違いなく喰いに来るぞアレは! 冗談抜きで俺の貞操の危機なんですけれども!? ……いや、下手をしたら、
──
そんな妹は、今回だって俺の提案を
「狭くて
最終的には、彼女の鬼気迫る雰囲気と諦めの悪さに俺が根負けして一緒に横になる事を許可してしまったのだが、それでも俺は往生際悪く、最終確認という名目で彼女に意思を曲げる気は無いのかと尋ねてしまった。……結果はご存知の通り、そんな様子など
──という訳で、以上が此の話の全貌である。誰に向けてのものなのかは自分でもよく解らないが、長々と俺の愚痴じみた話に付き合って貰い申し訳ない。
さて、そんなこんなで(ダイブ中の現実の身体を安定させておく為の措置的な意味でも)妹と一緒にプレイする事になるSAOの正式サービス。
ゲーム内での待ち合わせ場所を決めたり、ゲーム内で使うお互いのキャラクターネームを教え合ったりしてから、二十分弱という、長いとも短いとも取れる待ち時間をそれぞれに
最終確認は
はぁ、と今更ではあるが溜め息を一つ
「いよいよだね、お兄ちゃん!」
「そうだな」
下ろしたシールドの内側に表示されたデジタル時計が、刻一刻と開始時刻に近付いて行くに連れて、期待と興奮で心臓の鼓動が速くなって行くのを感じる。
妹からの声掛けに、平静を
そんな
「来たッ!」
デジタル時計の数字が『13:00』に切り変わる──遂に、SAO正式サービスの開始時刻が訪れたのだ。
其れを嬉しく思う気持ちが
かく言う俺も、嬉しさのあまりに口角が吊り上がってしまい、顔がニヤけるのを抑え切れないでいる。
「よーし! 早速始めよう、お兄ちゃん!」
「だな。そんじゃま、リンク・s──」
「ちょっと待ったぁぁぁあああああ!!」
「…………え?」
始めよう急かして来たかと思えば、今度は待てと言う……正直に言えば早い所始めたくて仕方が無いというのに、彼女は一体何がしたいと言うのか──そんな不満と疑問を
いや、シールドが下りている所為で表情ははっきりとは読み取れないのだが、雰囲気が……彼女の
「一緒にッ!」
「……へ?」
「一緒に始めるのッ!」
…………OK、Alright、理解把握。
詰まる所彼女は、ログインすらも俺と一緒に行いたかったらしく、故に一人勝手にログインをしようとした俺に対して怒っているらしい。
流石にそこまでする必要は無くないか、と物申したい気持ちは有るが、多分言った所で彼女は「一緒に始めたいのッ!」とか何とか言って、俺の意見なんて聞きゃしないだろう。
そんな些細な事を気にして時間が削られるのは惜しい。なので、此処は素直に彼女の思う通りにしてあげる事にする。
「……あー、分かった分かった。そんで悪かった。んじゃ、せーので一緒に始めるぞ?」
「うん!」
「そんじゃ行くぞ? せーの──」
「「リンク・スタート!」」
其れを
──此の時の俺は、まだ何も知らずに、そんな風に浮かれていたのであった。
【今回の
・シリカ / 綾野 珪子に兄が居たら。
・シリカ / 綾野 珪子が極度のブラコンであったら。