名前;
特性;スロースタート / なまけ
持ち物;なし(文才が欲しい)
…………要するに、遅れてすみません。
[12/21]一部修正しました。
[1/15]一部修正しました。
[8/8]誤字を修正しました。
[11/6]特殊タグを追加しました。
─No side─
デスゲームの開始から、一ヶ月の月日が経過した。
残念な事に、あれから更に千人近くものプレイヤーがゲームから、
ベータテスター達による
……だがしかし、知識が有るというだけで生き残れる程、此の《SAO》というゲームは甘くはなかった。
幾ら知識が有り、其れを上手く活かす事が出来たとしても、一瞬でも、
いや、
とどのつまり、彼らが真に警戒するべきなのはモンスターなどではなく、自分自身の心だったという訳だ。
……
《はじまりの街》の中央広場に在る《黒鉄宮》の、元は《
しかも、死亡したプレイヤーの名前の上には判り易いようにと横線が刻まれる、という配慮された仕組みになっており、更に其の横には詳細な死亡時刻と死亡原因が記されるのだ。
さて、話は
死亡時刻は、デスゲームが開始されてから僅か三時間後の事。
そして、肝心の死亡原因は────《自殺》だ。
事の詳細はこうだ──。
ナーヴギアの構造上、ゲームシステムから切り離された者は自動的に意識を回復する
浮遊城《アインクラッド》の下には、どんなに目を
──彼の名前の上に簡素かつ無慈悲な横線が刻まれたのは、其れから二分後の事。死亡原因は《高所落下》であった。
其れが、システムから切り離されての現実世界への無事な帰還なのか、はたまた
ただ、その様に手軽な手段でゲームの中から脱出が出来るのであれば、直ぐにでも全員が外部から回線切断・救出されていてもよい筈だ、というのが殆どのプレイヤーの共通の見解であった。即ち、飛び降りても無事に現実世界に帰還出来る可能性は低い、と判断したのだ。
……だがしかし、それでも男性プレイヤーがゲームの世界から消えた後も、《アインクラッド》から身を投げ出す者は散発的に出現した。……彼らは、其の単純な決着の誘惑に負けてしまったのであった。
そんな一部の例外を除き、残りのプレイヤーは大きく分けて二つのグループ──《はじまりの街》にて現実世界からの救出を待つ《待機組》と、自力での脱出を目指してゲーム攻略へと挑む《攻略組》に分かれた。
幾ら初心者講習に参加して戦う為の技術を身に付けたとしても、やはり《死》に対する恐怖心は
そして勿論の事、初心者講習に参加すらせず、《はじまりの街》に
そうして、自分達の身の安全を選んで《はじまりの街》に
其れに当たって必要となる食費や宿代……其れらを消費し続ける事によって起こるであろう所持金の
彼らの一部は、勇気を振り
彼らの頑張りの甲斐も有って、今のところは《はじまりの街》は平穏が保たれている状態だ。
一方で《攻略組》はと言うと──。
元ベータテスターや、
勿論
其れ即ち、攻略に参加するプレイヤーが減って行く一方…………という訳でもなく、減ってしまった人数分を
そうして前進をし続ける《攻略組》…………ではあるが、彼らの頑張りに反して、残念ながら一ヶ月が経過した現在に於いても未だに第一層の攻略にすら至ってはいない。
其の原因は……言わずもがな、GMによって設けられた《ゲームオーバー = 現実の死》という特殊ルールの存在だ。此れによって、《攻略組》だけに
ただ、そうした攻略の遅滞に対して、不満や
モンスターと戦った経験の有る者であれば解る事だが、スクリーンモニタを通して2Dグラフィックの敵を攻撃するのとは違い、SAOに於ける戦闘は其の圧倒的なリアリティ故に原始的な恐怖を呼び起こすのだ。どう見ても本物としか思えないモンスターが、凶悪な爪や牙で自分達を殺そうと襲い掛かって来るのだ。余程の者でなければ怖くならない訳がない。
其の恐怖を理解しているが故に、ゲームを攻略する──詰まりはモンスターと戦い続けて行く事が如何に大変な事であるのかを理解出来てしまう。
理解出来るからこそ、恐怖と闘いながらも攻略の為にと戦ってくれている《攻略組》に不満をぶつけるのはお門違いだと考えるのだ。
一方の焦燥感だって、自分の命と現実世界の時間とを天秤に掛け、命の方がより大事だと判断する事が出来れば自ずと無くなるのだ。生きて帰還する事さえ出来れば、人生は如何様にでもやり直す事が出来るのだから。
そして多くのプレイヤーが、リョウヤが演説で言った『現実の時間の事なんて考えるな』『生き残る事を最優先に考えろ』という言葉によって其の判断をする事が出来たのだ。
…………勿論、全員が全員そうであるとは限らないのだが。
さて。
そうした中で、リョウヤ達一行もまた攻略に
しかも、彼らは《攻略組》の中でも最前線にて活動するグループであり、上層と下層とを繋ぐ唯一の道であるダンジョン──《迷宮区》を、探索とステータスの
レベルアップ──経験値稼ぎに関しては、其の日の探索の後に時間を設け、効率良く稼げる様に
一人で倒せば、当然経験値は全て其の一人に入る事になる…………が、最前線のモンスター相手に一人で挑むのは流石に危険が過ぎると判断し、最小ユニットである二人にした次第である。
さて置き。
そういった感じで、彼らを含めた《攻略組》による攻略は進んでいる。
現時点に於いて《迷宮区》の攻略は終盤に差し掛かっている為、第一層《迷宮区》のボス部屋の発見、其処からのフロアボスの攻略の日はそう遠くはないだろう。
そうした中で、出会いは唐突に訪れた──。
─Ryoya side─
流れ星──。
其れを目にしたのは、《迷宮区》を出る為にと来た道を歩いて戻っていた時だ。
現時点では一瞬でダンジョンを抜け出す為のアイテムなんて売られてもいなければ、宝箱から出たりモンスターがドロップしたりする事なんて無いので、《迷宮区》を出る為には必然的に自分達の足で来た道を戻らなくてはならない。一階や二階といった低い階層の時は全然苦ではなかったのだが、階層が上がって行くに連れて引き返す距離がどんどん長くなって行くものだから、此れが結構しんどいのだ。ゲームの中だから体力切れになったりしないのがせめてもの救いだ。
さて置いてだ。
今日は夕方から、《迷宮区》の最寄りの町である《トールバーナ》に於いて、一回目の《第一層フロアボス攻略会議》が開かれるとの事なので、俺達は何時もよりも早めに攻略を切り上げて帰る所だった。
其の道中、とある十字路に差し掛かった際に
十五メートル程離れた視界の先では、細身のシルエットをした
最前線で一人で戦うなんてなんつー無茶な真似を、と呆れの念を
レイピア使いの戦い方は、かなり際どいものであった。
コボルドが振り下ろした無骨な手斧を、見ている此方の背筋が
放つのは、《細剣》スキルで最初に習得出来る単発突き攻撃の《リニアー》。剣を身体の中心に構え、其処から
同じくレイピア使いであるランでも、レイピアの刀身そのものではなく、ソードスキル特有のライトエフェクトが
まさに流れ星と言うべき《リニアー》が
其処から更に、コボルドの攻撃を三回回避してから反撃、というパターン化された攻防を二回
しかも驚くべき事に、確認したレイピア使いのHPゲージは満タンの状態。──詰まる所、レイピア使いは無傷で先の戦闘を乗り切ったというのだ。相当な腕前…………どころか、凄まじい才能の持ち主なのではなかろうか。
……とは言え、決して余裕の一戦という訳でもなかったらしい。最後の一撃を受けてコボルドが四散すると、レイピア使いは実体の無いポリゴン片に押されたかの如く
まあ、無理も無い事だろう。強敵を相手にたった一人で戦い、挙句に敵の攻撃をギリギリの間合いで躱すという無茶な真似を幾度となく繰り返したのだ。精神的に削られて疲れてしまってもおかしくはあるまい。
幾ら無傷とは言えど、そんな様子を見てしまっては放っておく事など出来る訳もなく、
余り大勢で行っても逆に警戒されてしまうだろうし、かと言って一人で行っても其れは其れで警戒されてしまう可能性が有る。そう判断して最小限の二人で向かう事にした。因みにパートナーにユウキを選んだのは、彼女のフレンドリーな性格が、其れでもやはり
近付いて行くと、其れまでは薄闇の所為でよく判らなかったレイピア使いの容姿が確認出来る様になった。
細身のシルエットである事から予想していた通り
近付く俺達の足音に気付き、ぴくりと肩を
此処で対応を間違えてしまえば、余計に警戒心を強めてしまう結果になり兼ねない──
「待って待って! ボク達は敵じゃないよ! 大丈夫だから落ち着いて、ね?」
「……」
が、其処はユウキが上手く対応してくれたお陰で、レイピア使いの雰囲気が少し
「
「ボクはユウキだよ。宜しくね」
更に警戒心を解いて
「……リョウ、ヤ?」
すると、レイピア使いの雰囲気がまたも変わった。どうやら此方に対する警戒心は無くなった様なのだが、其れとは別の視線を俺達──正確に言えば俺に対して向けて来ている。
はて、急にどうしたのだろうか? と不思議に思っていると──
「! リョウヤって……あなたもしかして、ゲームが始まった日に初心者講習の開催を宣言していたリョウヤさんですか!?」
弾かれたかの様に俺の事について確かめて来た。
「うえっ!? え、あ、ああ……そうだけど。……取り
「あ、すみません……」
突然のレイピア使いの反応に驚いて
それにしてもだ。
成る程、レイピア使いが俺の名前を聞いて反応を示したのはそういう事だったのか。まあ、あんだけどデカい事をやらかした訳だから、やらかした事と共に俺の名前が知れ渡っていてもおかしくはあるまい。
……ただ、何となく英雄視されている様に聴こえるのは気の所為だろうか?《リョウヤさん》って……急に敬称付いちゃったんだけど?
「それにしても驚きました。まさか《救済の英雄》であるリョウヤさんと出会えるだなんて。……あっ! すみません! わたしったらまだ自己紹介をしてませんでした……」
《きゅうさいのえいゆう》って何ッ!? どういう字を書くの!?《えいゆう》はやっぱり《英雄》って書くのかな!? そうだとしたら、英雄視されてる様に聴こえたのは気の所為じゃなかったのかな!?
……などと、レイピア使いの口から出て来た思いも寄らない情報に
「わたしは《アスナ》って言います。以後宜しくお願いします」
先ず目に入って来たのは、薄闇の中に於いても目立つ明るい栗色の長いストレートヘア。小さな卵型の顔の中には、大きな
高めの声を聴いた瞬間から予想は出来ていたが、アスナと名乗ったレイピア使いの
因みに、リズベットは童顔の可愛い系の美少女であり、サチは
「ねえねえ、お姉さん」
「ん? なーに? あ、わたしの事は気軽にアスナって呼んでね」
「分かったよ、アスナ」
さて置き。
礼儀正しい雰囲気の華麗な美少女─アスナは……かと思えば、ユウキに対しては物腰柔らかくほんわかした雰囲気で接しており、二人は既にフレンドリーな雰囲気を
んで、俺とユウキとで接する態度が異なるのは……アレか? 俺に対しては英雄視(?)しているが故に恐縮しているからなのだろうか? ……いや、別に俺なんかに対して
「それで、どうしたのユウキ?」
「あ、うん。アスナが言った《きゅうさいのえいゆう》って何なのかなぁ、って思って」
「あれ?
「うん。無い」
「リョウヤさんも?」
「……初耳なんだが」
「そうなんですか……」
やはり俺に対しては
「えーっとですね……リョウヤさんが初心者講習を開いてくれたお陰で、沢山の初心者の人達が戦い方を教えて貰えて助かったって喜んでいたんです。そんな彼らにとって、救済措置を
「へぇー。そうなんだー」
……俺自身はただ戦力欲しさにやっただけの事なので、大した事をしたという自覚はあんまり無い。
けれども、
と言うか、冷静になった頭でよくよく考えてみたら、コレ……十中八九アルゴの奴知ってるんじゃね? アイツあっちこっち飛び回って情報の収集とか売買してるんだろうから、どっかで此の
「…………OK、Alright、理解把握。……けど、だからってそんなに畏まらなくたって良いぞ」
「で、ですけど……」
「というか、寧ろ普通に接してくれないか? 変に畏まられたりしてもこっちが困っちまうからさ……」
「……そういう事なら分かり……ううん、分かったよ、リョウヤ君」
取り敢えずアルゴには今度会った時に問い
最初は
「ところでね、リョウヤ君」
……と、思いも寄らぬ展開がどうにか片が付いた事で、ついつい安心してしまった。此処らで先程の戦闘に対する指摘でもしておこうかと思ったのだが、タイミングを
仕方が無いので指摘するのは後回しにして、彼女の話に耳を傾ける事にする。……指摘の件、忘れん様にしとかんとな。
「何だ?」
「実はね……《救済の英雄》であるあなたに、お願いしたい事が有るの」
やはり其の二つ名で呼ばれるのはこそばゆいからどうにかならんものか……、という割と切実な思いは今は脇に置いておく事に。
何せ、直前まで穏やかだったアスナの表情は、真剣なものに一転したのだから。であれば此方も中途半端に聴くのではなく、
「言ってみてくれ。協力出来るかどうかの判断は其れからだ」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。あのね──」
俺の
「──わたしに、
[今回の
・アスナの態度が最初から軟化していたら。
──という訳で、原作でのメインヒロインたるアスナの登場です。
そんな彼女は原作とは大きく異なり、ご覧の通り物語序盤から丸くなっています。
其れは何故か?
──此れには、現実世界に於けるアスナ /
其の友人のお陰で、此の通り丸くなっています。
ぶっちゃけると、其の友人(パロキャラ)もSAOプレイヤーとして出す予定でいます。
はてさて、一体誰なのでしょうか。
さて……一方で、リョウヤ君は物語の序盤からいきなり妙な二つ名を付けられてしまいました。
こうなったのも、アスナから依頼を受ける、という展開に持ち込む為です。
良い意味での有名人であれば信用が置かれて、此の運びに持って行き易いですからね。
其れには、其れ相応に有名だという証明が必要。
其の結果が《救済の英雄》という二つ名となりました。
以上、