お久しぶりです。
今話は、文字数的には前回までよりも短いです。
……なのに更新までに時間を掛け過ぎているという体たらく。……堪忍な。
という訳で、本編行きましょう。
[11/6]特殊タグを追加しました。
《スゴウ ノブユキ》──。
其れこそが、本来のGMである
「本物の茅場って人がどういう人なのかは知らないわ。……けど、あの声音はよく知ってる。
そして、其れを判断する材料となったものはGMの声音だと言う。
まあ、チュートリアルの際に現れたGMはローブを
さて置き──
「……どんだけ嫌な奴なんだよ、ソイツ」
明るく礼儀正しそうな印象を受けるアスナが、此れ程までに
そんな奴の話をするのは、彼女にとっては
だが、そいつが黒幕であるという以上、俺達も無関係という訳にもいかないだろう。ともなれば、
彼女の不快を承知の上で
「……あの男は、お父さんの会社の部下の人の息子で、昔から家族同然の付き合いをして来たわ」
……答えてくれたのは良かったのだが、早々に
人間性に難有りな野郎と時折会う程度であるのならばまだしも、長年家族の様に付き合うとか……率直に言って嫌過ぎる。此れはアスナに対する同情の念を禁じ得ない。
「頭は良いみたいだし、人の良さそうな見た目をしている。……けど、其れはあくまで目上の人間が居る時だげ。本性は人を平気で見下して、人を
「「うわぁ……」」
思わず
「アスナッ!」
「ふえっ!? な、なに? ユウキ」
「此のゲーム……絶対クリアしようね! そんで、現実世界に戻ったら何としてでも其のスゴウって奴を
「え? ……あ、うん。そうだね。うん! 絶対にあの男を豚箱にぶち込んでやるぞー!」
「おー!」
そんな奴からアスナを助けたい、
そんなユウキの気迫に押されてか、アスナは毒気を抜かれた様子であり、其れに
「まあ、その……なんだ。俺も出来る
「ありがとう、リョウヤ君!
「了解」
ユウキのお
俺としても、こんなアスナを嫌悪感丸出しで不快にさせる様なヤベー奴が、此れから先も彼女に近付き続けるのを想像すると、あまり良い気分はしない。
何よりも、野郎は此のデスゲームをおっ始めやがった黒幕だ。相応に
という訳だからして、
─Asuna side─
リョウヤ君は、優しい人だ。
出会って間もないから、当然彼の事なんて何にも知らない。
だけど、短い時間だけど彼と接してみてわたしは、彼は優しい人だ、と感じた。
先ず始めに、一人でモンスターと戦うわたしの事を気に掛けて、声を掛けてくれた。
一ヶ月が経ったとは言え、恐らくは満足にステータスや武器の強化を行えていないであろう現状では、多分
けれども、リョウヤ君はそうじゃなかった。通り掛かりに見掛けただけでしかないわたしの事を気に掛けて、わざわざ近くまで来て声を掛けてくれた。わたしの主観でしかないけど、此れは優しいと思う。
声を掛けられた時には
次に──此れがわたしの中では一番大きい──、彼はわたしの罪を
わたしは……他の人達が意を決して命
けれど、此の話を聴いた彼は……「其れは罪なんかじゃない」「間違った事なんて何もしてない」と言ってくれた。──わたしの罪を赦してくれたのだ。
おまけとばかりに、彼は、あまりの嬉しさから込み上げて来る涙をどうにか
其れをされた時はいきなりの事に吃驚したし、何が起きたのかも解らなかったけど、其の後に後頭部をぽん、ぽんと何度も優しく叩かれているうちに、彼の行動の意図を
彼の其の優しさが引き金となって、とうとう感情の
後になって物凄く
ごほん! え、えーと……他には、彼はわたしからの『
さっきも言った通り、デスゲームの開始直後、わたしは自分の命惜しさに《はじまりの街》の宿屋に籠もった。──
そんな、折角与えられた
もっと言えば、初心者講習の事だってそうだ。
普通だったら、ゲームオーバーになったら本当に死ぬなんて言われたら、誰だって自分の命を最優先に考える筈。他人の事を気に掛けている余裕なんて一切無い筈だ。
けれども、リョウヤ君はそうじゃなかった。彼だって本当だったら自身の生存率の向上に専念するべきだっただろうに、自分の生存率が下がる事を承知の上でか、他のプレイヤーを助けるべく初心者講習を開いた。
右も左も分からない初心者プレイヤーにとって、彼が
彼にとって、其れらは何を思っての事なのか。当然、其れは彼にしか分からない事だ。
それでも、其処には多少なりともの優しさが在ったと、わたしは思っている。
まだ有る。
彼……だけじゃなくて、彼とユウキは、須郷 伸之という名前の男の
そもそも、いきなり名前が
実を言えば、わたしは其の男と現実世界に
そうしてわたしの話を信じてくれただけではなく、彼らはあの男の逮捕に協力してくれると言ってくれた。彼らが協力を申し出る直前に、あの男の人となりについてを伝えたから、多少なりともの同情は有ったのかも知れない。……それでも、彼らが優しい事に変わりはないだろう。
以上が、わたしが彼と出会ってから此れまでの間に感じた彼の優しさだ。
勿論、此れだけが彼の優しさではないだろう。彼は色んな所で、そして、わたし以外の沢山の人達にも其の優しさを見せているのだろう。
今だってそうだ──
「本当に、良いの……?」
「ああ。我慢も遠慮もしなくて良いんだからな」
「……それじゃあ、その…………すみません、先輩。正直、今はまだ自信が無いから、あたしは今回のボス攻略から降りさせて貰います」
「了解。ああ、
「あ、あははは……考えを読まれちゃいましたか。……ありがとうございます、先輩」
「あいよ。あんまり気にし過ぎるなよ」
「……私も、ごめんなさい。……でも、本当にありがとう」
「了解。サチもな」
《迷宮区》を出たわたし達は、《迷宮区》から程近い所に在る
町に到着したわたし達は、先ずは彼が行動を共にしているというパーティーメンバーと合流する事になった。彼とユウキがわたしと接触するに当たって一旦別れ、先行して町へと向かって貰ったのだそうだ。
マップに表示されるというパーティーメンバーの位置情報を頼りに進む彼らの後に付いて行くと、其処には男女合わせて八人のプレイヤーが居た。
無事にパーティーメンバーと合流する事が出来たわたし達。其の中で唯一の初対面であるわたしは、リョウヤ君に紹介して貰う形で彼らに
そうして、では、攻略会議へ向かおうかという
──あ、ボス攻略から降りたいって奴は、遠慮なく降りて良いぞ。
……彼の言葉に、わたしは呆気に取られてしまった。多分他の
だってそうだ。まだ会議(を始める前)の段階であるとは言え、わたし達は勇気を振り
とは言え、彼がそう言ったのだって、彼なりの考えが有っての事。
曰く──ボス攻略はこれまでのモンスターとの戦闘とは訳が違う。強さも危険度も、これまでのモンスターの比ではない。だから無理をしなくても良い。……と。
結局の所、彼は優しいのだ。
彼は、最前線にまで付いて来ているのだからボス攻略に参加するのも当然の事…………という考え方ではなく、重要な場面でも──いや、重要な場面だからこそ──選択肢を与えて、行動の自由を与えて、相手の意思を
そんな彼の優しさに甘えて、リズベットさんとサチさんの二人はボス攻略から降りる事を申し出た。……やっぱり、女の子には少しきついよね。
二人の申し出を
……けど、ごめんね。わたしは降りないよ。
わたしは、もう逃げる様な真似はしないって決めたから。逃げて、罪悪感を
「…………OK。後の奴らは参加って事で良いんだな。…………たくっ。強情だな、オイ」
強い決心を胸に
ただ、其れを悟った時の彼の表情は、何処か残念がっている様に見えた気がした。
あと、背中を向けた状態で何かを言った様な気がしたんだけど、気の所為だろうか?
「んじゃ、そろそろ行くとしますか」
其れを尋ねる前に、彼は話を先へと進めてしまった。……まあ、良いか。大切な話だったのなら、ちゃんとわたし達に聴こえる様に言うだろう。
「リズとサチは自由にやっててくれ。あ、それと、アルゴの奴を見掛けたらとっ
「ア、ハイ……」
「わ…わかった…よ……」
改めて、いざ攻略会議へ──。
……そう意識を切り替えたわたしだけど、直後に彼から放たれた軽い
アルゴさんには何度か会った事が有るけど、基本的には良い人だ。情報関係でお世話になった事も有る。
そんな彼女が彼に一体何をしたと言うのだろうか…?
「頼むわ。……そんじゃあ、改めて攻略会議へ向かうとしますか」
「「「お、おー……」」」
彼は直ぐに切り替えて、重たい空気は霧散したけれど、わたし達は状況に付いて行く事が出来ずに
取り
という訳で、後半はアスナから見たリョウヤの人物像を交えながら、話を進めてみました。……物語的には殆ど進んでいないんですけどね。
「アスナさんがチョロ過ぎませんか」って思う方も居ると思いますが、其処は「うーん……そういうものなのかな」といった具合に
それでは、今回は此の辺りで。