ソードアート・オンライン ─集約した世界の物語─   作:和狼

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皆様、こんにちはこんばんは。
和狼でございます。

1話の更新でございます。
以前の更新速度と比べると速いですよねぇ。

…………まあその分、文章量が少なく、内容もあまり進んでいないんですけどね!
此れが自分の、新たな更新スタイルでっす!

それからですね……なんと、此の話からもう既に原作とは全く異なる展開になっております!
どんな風に異なっているのかは、読んでみてのお楽しみです。
ではでは皆様、Let's スクロール! ……でございますよ。


[2/12]本文を加筆しました。
[9/27]本文を加筆しました。

[4/6]特殊タグを追加しました。
[8/27]段落付けを行いました。
 


Stage.1:始まりと待ち合わせ

 

 

 

 

 

 閉じていた(まぶた)を上げると、俺の目に飛び込んで来た光景は、見慣れた自室の其れではなくなっていた。

 ダイブ直前まで見上げていた天井は、其の天辺を(はる)か高い所にまで移し、其の景色を果てなく広がる青々とした空へと様変わりさせている。

 (なめ)らかなフローリングの床であった足下は、ゴツゴツとした石畳(いしだたみ)が広がっている。

 そして、そんな空と大地との間には瀟洒(しょうしゃ)な中世風の街並みが広がり、正面遠くには黒光りする巨大な宮殿が見える。

 どうやら、俺は無事にSAOの舞台──そのスタート地点である《はじまりの街》へと降り立つ事が出来た様である。

 

 巨大浮遊城《アインクラッド》──。

 其れこそが、此のSAOというゲームをプレイする為にと用意された舞台の名前である。

 『浮遊城』の名が指し示す通り無限の蒼穹(そうきゅう)に浮かぶ此の城は、百にも及ぶ階層が積み重なって出来ており、其の材質は石と鉄だ。

 (ちな)みに、ゲームのスタート地点である《はじまりの街》が存在するのは、城の最下層である第一層だ。であるのならば、上に残り九十九もの階層が積み重なっているにも(かか)わらず、今こうして頭上に青空が広がって見えているのは何故なのかと言えば、ズバリ──其の青空が第二層(じょうそう)の底部に映し出された映像であるからなのだ。詰まりは偽物の青空という訳である。

 さて置き。

 先細りの構造を持つ城の内部には、幾つかの都市と多くの小規模な街や村、森や草原、湖などといった様々なフィールドが存在している。

 上下のフロアを(つな)ぐ階段は各層に一つだけであり、其の全てが数多の怪物(モンスター)彷徨(うろつ)くダンジョン──《迷宮区(めいきゅうく)》に存在し、其の最奥部には一際強力な《フロアボス》と呼ばれる存在が立ちはだかっている。

 他のモンスターよりも遥かに強力であるフロアボスの攻略は相当に困難ではあるものの、倒す事が出来れば次の階層への道が(ひら)かれ、上層の都市へと辿(たど)り着く事によって下層の各都市とを繋ぐ《転移門(てんいもん)》が開通し、自由に行き来する事が出来る様になるのだ。

 そして、九十九もの階層をひたすらに駆け上がり、到達する城の頂上──第百層。其処には此のゲームのラスボスが待ち受けており、其のラスボスを倒す事こそが此のSAOの最終的な目標であるのだ。

 

 さて。

 無事に《はじまりの街》に降り立った俺は、続々とログインして来た他のプレイヤー達が此の世界の秀逸(しゅういつ)な景色や、(おどろ)く程現実の身体の其れに近いアバターの感触なんかに感動したり、興奮したりして其の場に立ち尽くしている姿を横目に、妹との待ち合わせ場所に指定した《黒鉄宮(こくてつきゅう)》──先に述べた黒光りする巨大な宮殿の事である──を目指して歩き出す。

 別に、此の世界の景色やアバターの感触に全く感動や興奮を覚えない訳ではない。と言うか(むし)ろ、現在進行形にて絶賛覚えまくりな状態である。

 ただ、『時は金なり』──其れらに(ひた)って立ち尽くしてしまっていては折角の時間が勿体無いので、感動や興奮は心の内で(いだ)くに(とど)めて、行動を起こしているという訳である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 其れから十分くらい経っただろうか。

 腕を組み、黒鉄宮の外壁に(もた)れ掛かりながら、《はじまりの街》の広場に更に増え続けているプレイヤー達の姿を(なが)めながら待っているのだが……………………矢鱈(やたら)と周りから視線を感じる……様な気がする。……思い当たる節が無い訳でも無いのだが……………………うん、きっと気の所為だろう。

 まあ、そんな事はさて置き。

 未だに待ち人(いもうと)(おぼ)しき人物は現れない。アバターの外見に(こだわ)って作り込んでいるのだろうか。

 何にしても、ただ待っているだけというのは実に暇だ。こんな時、手元にスマートフォンが有れば、小説でも読んで時間を(つぶ)す事が出来たのだが。

 などと思いながら、何とは無しに辺りを見回してみる。すると、黒鉄宮の出入り口前に有る数段程度の階段に腰掛けた、如何(いか)にもファンタジーアニメの主人公然とした容貌(ようぼう)の男性プレイヤーと偶然にも目が合った。

 実は随分と前から其処に居たのを知っているので、彼もまた此処で誰かを待っているのだろうか。

 

「なあ、あんた」

 

 そう考えた俺は、其の疑問を問うべく彼へと声を掛ける。

 実を言えば、俺は社交性に欠けている……其の様に自覚をしている。其れ故に、普段の俺であれば自ら進んで他人と関わり合いになりに行く様な事はあまりしないのだが、今回は暇で仕方が無かった事もあって、何とは無しに声を掛けてみる事にしたのだ。

 

「……えーっと、俺……?」

 

 声を掛けられた彼はと言えば、声を掛けられた事に対して何処か戸惑っている様な表情を浮かべている。返す言葉も何だか歯切れが悪い。

 其の様子を見て察した──嗚呼、彼はきっと俺と同類なのだろう。彼もまた社交性に欠け、他人と関わり合いになるのはあまり得意ではない口なのだろう、と。

 そんな彼に対して密かにシンパシーを(いだ)いた俺は、自分に話し掛けているのかと問うて来る彼に(うなず)いてから、更に言葉を続けた。

 

「そ、あんた。もしかしてだけど、あんたも誰かを待ってるのか」

 

「……え? あ、ああ、うん。幼馴染達とな…… 一緒にやろうって約束してるんだ」

 

「へぇ、そうなのか」

 

 予想的中である。

 俺の問い掛けに素直に応えを返してくれた彼は、俺の言い回しに気が付いた様子で、同じ問い掛けを投げ返して来る。

 

「『も』って事は、あんたも誰かと待ち合わせを?」

 

「ああ、妹とな」

 

 聞き返されるであろう事は予想出来ていた事なので、此方も(あらかじ)め用意しておいた応えを素直に返す。

 其の直後に、そう言えばまだ相手に此方の名前──当然ながらプレイヤーネームの方だ──を名乗っていないし、相手の名前も()いていなかった、という事に気が付いた。

 もしかしたら此の場限りの出会いになるやも知れないが、かと言って此のまま名乗りもせず、何時(まで)も『あんた』呼びのままでいるというのは何と無く失礼な気もする。それにだ、『袖振り合うも多生の縁』──折角此方から声を掛けて知り合ったのだから、名前くらいは知り合っておいても良いのではないかとも思う。コミュニケーション能力向上の訓練にもなるしな。

 そうと決まればと、再び此方から話を振る。我ながら今日は何時もよりも積極的だな、と思う。

 

「そう言えば、まだ自己紹介をしてなかったな。俺の名前は《リョウヤ》だ。宜しく」

 

「……俺は《キリト》だ。……って、え?『俺』って…………」

 

 お互いに名乗り合った直後、彼──キリトは俺の『俺』という一人称に対して何やら強い違和感を(いだ)いた様な顔となり、不思議そうな声を上げる。

 俺の方も、《キリト》という名前に何と無く引っ掛かるものを感じる。聞き覚えが有るのだが、其れがどの様な形で聞いたものなのかが思い出せない。

 まあ、そんな事は此の際置いておくとしてだ。

キリトが何故に俺の一人称に対して違和感を(いだ)いているのか──其の理由については、何と無くだが察しは付いている。

 

「あー ……OK、Alright、理解把握。うん、ぶっちゃけるとな、こんな見た目をしちゃあいるけど、リアルの俺は男だよ。ああ、それと……先に断っておくけど、俺にはネカマの趣味とかは全くねぇから」

 

「……………………そ、そうか……」

 

  ……やはりと言うべきか、俺のアバターの外見──主に頭部の造形が()()()()()()()()()()為に、外見と一人称が合わず戸惑ってしまったのだろう。

 というのも、顔の線は細く鼻筋も通っており、切れ長の目は綺麗(きれい)常盤(ときわ)色の(ひとみ)をしている。総じて美形な顔立ちをしていると言えるだろう。そして、何よりも誤認を助長しているのであろう要因が、後頭部の高い位置にて一つに結わえられたダークブラウンのストレートの長髪──所謂(いわゆる)ポニーテールである──だ。判別が付かず、戸惑ってしまうのも無理も無いと言えるだろう。

 そういう訳なので、俺は彼の誤解を解いておくべく、MMOに()いては基本的にはタブーだとされている《リアル情報の公開》を(おこな)った。……まあ、性別程度の情報であれば大した問題にはならないだろう。

 そもそもの話、女性だと誤解されない様に男性らしいアバターにしておけば、そんなタブーを犯す事になる様な事態にはならずに済むのではないのか、と思うだろうが……………………まあ、その、何だ……事情というものがあるのだ。察して頂きたい……。

 ともあれ、リアルの性別をバラした事によって、キリトの理解は得られた模様。……ただ、其の表情は驚きと呆れが混ざった様な複雑そうなものであったが。

 ……其れに加えて、周りからも驚きや呆れ、落胆といった感情を含んだ複数の声が聴こえて来る始末。……現実逃避(きづかないふり)をしていたかったのだが、やはり集まる視線は気の所為ではなかったという事だ。それとやはり、其の大多数が俺の事を女性ではないかと勘違いしていた様だ。……本気で考え直すべきだろうか。

 

「まあ、そんな訳で、改めて宜しくな」

 

「あ、ああ……。此方こそ宜しく」

 

 其れに関しては今はさて置くとして。

 握手と共に、改めてキリトと挨拶を交わす。そして、此れも何かの縁だという事で、(つい)でとばかりにフレンド登録も行う。

 そうして、出会ったばかりの彼と急速に仲を深めていた所だった──

 

 

 

 

 

「カズトー! 何処に居るのー?」

 

 

 

 

 

 友人か誰かを探しているのだろうか、高く大きな声が《はじまりの街》の広場に(ひび)いた。

 声が聴こえて来た方向へと視線を向ければ、同様に(くだん)のプレイヤーへと視線を向けているのであろう他のプレイヤー達によって人集りが出来ており、其の人集りを超えた先には、件の声の主だと思しき一人の女性プレイヤーの姿が見える。

 数段程度とは言え俺達が高い位置に居る事と、俺のアバターの身長が百七十センチ程に設定してあった事が幸いした。でなければ、人集りの所為で奥の様子を(うかが)う事は叶わなかったであろう。

 さて、件の女性プレイヤーの容姿なのだが…………正直言って、一瞬だが見()れてしまいそうになった。

 (くせ)の無い、(つや)やかな長い髪は(まばゆ)いばかりの金色であり、其の下に見えるのは透明感の有る真っ白な肌。そして、少し切れ上がった両の目は吸い寄せられそうな程綺麗な深い青色の瞳を宿している。其の完成度たるや、アバターで此処までクオリティの高いものを作り出す事が出来るのだろうか、と思わせる程のものである。

 

「カズトー! 早く返事をしなさいよー!」

 

 目当ての人物は未だに見付けられないらしく、女性プレイヤーは再び探し人のものと思しき名を大声で呼ぶ。

 『探し人』──そして其処から連想される『待ち人』というフレーズ。其れらが頭の中に浮かんだ瞬間に、俺の視線はキリトへと向かった。が、向かう途中にてはたと気が付いた。確かに彼にも待ち人が居るが、彼の名前は《キリト》──何と無く名前の雰囲気が似ている様な気もしなくもないが、彼は《カズト》なる人物ではない。

 そう思いつつもキリトへと視線を向けて見ると……………………彼は顔を(うつむ)かせ、片手で額を押さえていた。

 其の様子を見た瞬間、俺は悟ってしまった──

 

 

 

 

 

──カズトこいつだぁぁぁぁぁあああああああー!!

 

 

 

 

 

 どうやら、俺の目の前にて悲哀感に(さいな)まれた様子で俯いてしまっているキリトこそが、件の女性プレイヤーが探している《カズト》であり、また彼女こそが、キリトが待っていた幼馴染み──其の内の一人の様であると。

 

「まあ、その、何だ……………………ドンマイ?」

 

「……………………ああ」

 

 そんな在り来たりな(はげ)ましの言葉に力無く応えたキリトは、ゆっくりと下げていた頭を上げると、何処か疲れた様子を(にじ)ませた笑顔を浮かべながら、俺に別れの挨拶を告げる。

 

「……そういう訳だから、俺は行くよ」

 

「お、おう……。何か有ったら連絡してくれよ? 可能な限りで助けてやるからさ」

 

「……ああ、ありがとな。それじゃあ」

 

「おう。気を付けてな」

 

 ゲームを本格的に始める前であるにも(かか)わらず、疲労感に苛まれた様な雰囲気を(ただよ)わせながら、件の女性プレイヤーの(もと)へとやや駆け足で向かって行くキリト。其の後ろ姿を見送る俺は、彼の健闘を祈らずにはいられなかった。

 

「あ、お兄ちゃーん!」

 

 其の直後であった。どうやら俺の(もと)にも、(ようや)待ち人(いもうと)が現れたらしい──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、お兄ちゃん!」

 

「こんにちはー!」

 

「……いきなり押し掛けてしまってすみません」

 

 

 

 

 

 ──其の背後に、誰とも知らない二人の女性プレイヤーを引き連れた、妹だと思しき女性プレイヤーが。

 

 

 

 





【今回の可能性(もしも)

・キリト / 桐ヶ谷(きりがや) 和人(かずと)に幼馴染みが居たら。


──そんな訳で、此処のキリト君にはなんと幼馴染みが存在します!
其の内の一人はもう誰だかお判りの事でしょうが、正式な発表は本編に名前が出てからにさせて頂きます。
因みに、幼馴染みが居るお陰で、彼のコミュ症や妹との関係は若干改善されている、という設定になっています。
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