女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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5話

クラス代表決定戦の翌日の朝。一夏は眠気に抗いつつも体をむくりと起こし、大きな欠伸を零す。

 

「ふわぁ~。アイラ、おはよぉ」

 

〈えぇ、おはよ。ほら、さっさと登校準備しなさい〉

 

せっつかれながら一夏はベッドから起き上がり、洗面台へと赴き洗顔と歯磨きを終え、制服に着替えキッチンへと立つ。

 

「今日は、簡単な物でいいかな」

 

そう言いながら一夏はトーストにハムと黒コショウをかけた目玉焼きを乗せる。

皿に盛り付けたトーストを机の上に置き、テレビを見ながら一夏は頬張っていると扉をノックする音が鳴り響く。

一夏はビクッと肩を跳ね上げそっと扉の方に顔を向ける。暫くすると

 

『イッチー、おはよぉ~。教室一緒に行こぉ~』

 

と本音ののんびりとした口調が扉の向こうから聞こえ一夏は一安心した表情を浮かべる。

 

「ちょ、ちょっと待ってて」

 

そう言い一夏は残ったトーストを口に放り込み、ミルクで流し込む。そして鞄を持って扉を開けると、何時もと変わらないダボダボの袖の制服を着た本音が立っていた。

 

「お、おはよう本音さん」

 

「うん、おはよぉ。一緒に行こぉ」

 

一夏は頷き、本音と共に校舎の方へと向け歩き出す。暫く2人で談笑しながら歩いていると教室に到着し中へと入り席に着く。

暫し談笑を続けていると続々と生徒達が教室へと入って来て2人に挨拶を交わしながら席に着いて行く。

そしてSHR開始のチャイムが鳴り響き全員が席に着くと同時に真耶と千冬が教室へと入って来た。

 

「諸君、おはよう」

 

「「「「おはようございます!」」」」

 

「うむ。それじゃあ昨日の試合の結果を「あの、織斑先生」ん? なんだオルコット?」

 

おずおずと手を挙げるセシリアに鋭い目を送る千冬。

 

「その、先日の事を皆さんに謝罪したいのです」

 

「……いいだろう。但し短めに行え」

 

暫し思案した後に許可を出す千冬。セシリアはありがとうございます。と一礼後、体を生徒達の方へと向け深々と頭を下げた。

 

「日本の事、そして皆さんの事を馬鹿にした発言をしてしまい本当に申し訳ありません」

 

深々と頭を下げた状態でセシリアは謝罪の言葉を口にする。

しばしの沈黙が流れた後、生徒の1人が口を開く。

 

「…私も少し言い過ぎたわ。ごめんなさい」

 

そう言うと次々に謝罪の言葉を口にする生徒達。

 

「い、いえ。最初に私が侮辱した発言が事の発端なので。それと、織斑さん。貴方にも高圧的に接してしまい、申し訳ありません」

 

「ぼ、僕は気にして、無いので大丈夫、です」

 

気にしていない。一夏がそう言うとセシリアは暗かった表情からパァーと明るい笑顔を浮かべる。

 

「そ、それではですね。わ、私の事は「謝罪は済んだろ。さっさと座れ」ま、まだ済んで「済・ん・だ。いいな?」は、はい」

 

セシリアが何か企んでいると感じ取った千冬が有無を言わせぬ圧で終わらせた。

 

「ではクラス代表の発表を行う。山田先生」

 

「はい。クラス代表は織斑君となりました。あ、一繋がりで何だかいいですね」

 

手を合わせながらにこやかに言うが、当の一夏は若干困惑の表情を浮かべていた。

 

「どうしたのイッチー?」

 

「な、何で一繋がりだから、良いって言うのか分からなくて」

 

そう零すと、多くの生徒が理由は?と言いたげな視線を真耶に送る。真耶はえっとぉ。と視線を逸らす。

 

「山田先生。何も考えずに発言するのは止めるように」

 

そう言いながら千冬は出席簿で肩を叩きながらため息を吐く。

 

「す、すいません」

 

と若干涙目で謝罪をする真耶。

 

「それじゃあ織斑。クラス代表として挨拶を「あ、あの、織斑先生」ん? なんだ織斑?」

 

「そ、その、ふ、副代表を、決めたい、です」

 

「副代表をか? 何でだ?」

 

「その、ぼ、僕が突然、休んだ場合いた方が、その良いと思いましたし、後相談、出来る人が近くに居てくれると、嬉しいです」

 

オドオドしながらも訳を話す一夏に、千冬はふむ。と声を零しながら思案するもすぐにうむ。と頷く。

 

「分かった。それじゃあ、副代表になって欲しいという者は居るか?」

 

「は、はい」

 

一夏の言葉に多くの生徒達はやっぱりかと何処か納得のいった表情を浮かべており、セシリアは笑みを浮かべながら机に手を置きながら立てる準備に入っていた。

 

()()()()()()、その、やってくれませんか?」

 

「ほへ、私?」

 

一夏は隣にいた本音にお願いした。その光景に多くの生徒がやっぱりね。と優しい笑みを浮かべていた。

 

「は、はい。そ、その駄目、でしょうか?」

 

「ううん。良いよぉ」

 

快く了承する本音に一夏はホッと一安心した表情を浮かべ席に着く。

 

「うむ。副代表も無事に決まったようだから、SHRの続きを「ま、待って下さい!」チッ。なんだ、オルコット?」

 

無事に終わってSHRの続きが出来ると思った矢先にまた声を荒げるセシリアに、千冬は小さく舌打ちを放った。

 

「な、何故副代表を布仏さんにやらせるのですか? 副代表でしたら、同じ専用機持ちである私がいいのでは?」

 

「だ、だったら私は一夏の幼馴染みだ! 私の方が良いに決まってる!」

 

「篠ノ之さんは専用機持ちではありせんし、それに織斑先生から接近禁止を言い渡されておりますでしょ」

 

「そ、そんな物今関係ない!」

 

セシリアと箒は言い合いを行っている中、周りの生徒達は呆れた表情を浮かべていると千冬がチョーク箱から2本チョークを取り出し投げる構えを取り、そして

 

「フンッ!」

 

と勢いよく2人に向かって投げた。チョークは2人の頭にめがけて飛ぶ。そしてバチンと音が教室内に鳴り響く。

 

「「痛っ!?」」

 

「勝手に騒ぐな。騒ぐなら此処から出て行って何処か人の迷惑のならないとこでやれ」

 

睨みながら言われ2人は渋々と席に着く。

 

「副代表は布仏で決定。異論がある者は手を挙げろ」

 

そう言うとセシリアと箒以外手を挙げる者は居なかった。

 

「よし、多数決で布仏が副代表である事を此処で決定とする。SHRの続きをするぞ」

 

そう言い千冬はSHRの続きを行った。

 

~アリーナ~

アリーナで1組の生徒達が整列していた。生徒達の前にはジャージ姿の千冬と同じくジャージ姿の真耶が立っていた。

 

「よし、これよりISの実技訓練を行う。まず専用機持ちのオルコットと織斑前に出ろ」

 

そう言われISスーツ姿のセシリア、そして戦闘用の服装を着た一夏が前に出るが、セシリアと若干距離を置いていた。

 

「あ、あの。もう少し近くの方が」

 

「い、いえ。展開するとき、その、邪魔になるといけないので」

 

「大丈夫ですわ。で、ですからもう少し此方に「織斑の言う通り少し幅を開けなければいかんだろうが」…は、はい」

 

千冬に注意され、顔を伏せるセシリア。セシリアの行動に千冬は薄々感づいていた。

 

(こいつ、一夏に惚れたのか? ……よし、来年別のクラスに飛ばすか)

 

一夏の事を馬鹿にしておきながら、自分より強いと分かった瞬間に惚れました。そんな都合のいい話など存在しない。千冬はそう考えており、今朝の行動などから一夏の事を全く考えておらず自分の都合を押し付けている。

千冬はそんな厄介な存在がまた増えたと考え心の中でため息を吐いた。

 

「よし、ISを展開しろ」

 

そう言われそれぞれ展開するが、一夏の方が早く展開した。

 

「うむ、それじゃあ飛べ」

 

千冬の指示に一夏、セシリアと空へと飛びあがる。一夏はぐんぐんとスピードを上げて上って行く。

 

〈一夏、今前回よりも早めのスピードで上に上がってるけど大丈夫ね?〉

 

〈う、うん。このくらいならまだ大丈夫〉

 

アイラと会話しながら上に上がっていると、気付けば一番上辺りまで来ていた。

セシリアは一夏と地上の丁度中間あたりで上を見上げながら驚いていた。

 

〈あ、あれ? 上り過ぎた?〉

 

〈そうみたいね。まぁいいんじゃない〉

 

そう言っていると、地上に居る千冬から声がかかる。

 

『随分上がったな、織斑。よし、其処から急速降下して地上10センチで停めろ』

 

〈アイラ、い、行ける?〉

 

〈愚問ね。私がタイミングを教えるからアンタは私を信じて降下しなさい〉

 

そう言われ一夏はアイラを信じて降下を始めた。

地上がだんだんと近付いてくる。そして

 

〈今よ、一夏〉

 

アイラの合図を聞き一夏はブレーキを掛けると、段々とスピードが落ち空中で停止した。千冬は定規を持ってバレットホークの脚から地面の差を測る。

 

「10㎝ジャストか。私の指示通りにしたのは良いが、下りてくるときのスピードが速くて此方が冷や冷やしたぞ」

 

千冬はため息を吐きながら注意する。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「次は気を付けるんだぞ。よし、オルコット。次はお前だ」

 

そう言われオルコットが地上に降りてくる。そしてブレーキをかけて降りて来て空中で止まる。

 

「11.5㎝。途中で怖くなってブレーキを強くかけ過ぎたのが原因だな」

 

「しょ、精進します」

 

そして地上に降りてきた2人にそれぞれ並ぶよう指示する千冬。

 

「よし、それじゃあそれぞれ武器を出せ」

 

そう言われ、最初にセシリアが自身のライフルを取り出し決めポーズをとる。

可憐に決まったと思っているセシリアだが、千冬は鋭い目つきで睨んでいた。

 

「おいオルコット。貴様、まだ織斑に恨みがあるなら再教育するぞ」

 

「い、いえ! う、恨みなどもうありませんわ!」

 

「だったらそのポーズを止めろ。今すぐに!」

 

千冬に怒鳴られセシリアは即刻ポーズを止める。千冬が怒鳴った理由は銃口が一夏の方に向けられており、一夏が若干ビクッと怯えたのだ。

 

「よし、それじゃあ次織斑」

 

「は、はい」

 

一夏は手を前に出したと同時アサルトライフルを出した。

 

「0.2秒。早いな。よし、それじゃあ次はサブアームを展開して全部に武器を持たせてみろ」

 

「わ、分かりました」

 

千冬の指示に一夏はサブアームを展開する。そして手が現れた同時に武器を全サブアームの前に出して握らせた。

 

「サブアームを展開してから全武装するまで2秒か。常人なら難しい事をやってのけるとは、流石だな織斑」

 

優しい笑みで褒める千冬に一夏はフルスキンの為顔は周りには見えていないが真っ赤に染まっていた。

 

「それじゃあオルコット。次はお前だ」

 

「はい」

 

そう言いセシリアは手を前に出すも、なかなか出て来ず渦状の物が出ているだけだった。

 

「どうした? 織斑だったらもう10回以上は武器を出し終えているぞ」

 

「もう、インターセプター!」

 

我慢できず声で近接装備を取り出すオルコット。

 

「遅すぎるな。近接に持ち込まれたら即落とされているぞ」

 

「も、持ち込まれる前に「ほぉ。この前織斑に近接で叩き落されて気を失っていた癖にか?」うっ!?」

 

痛い所を付かれ声を漏らすセシリア。そしてつい一夏の方に目を向け睨んでしまう。

 

「睨むな、馬鹿者」

 

バチンと出席簿で叩かれるセシリア。絶対防御があるはずなのにセシリアは痛みから蹲る。

 

「よし、それじゃあ君達にもISを纏って貰いたいところだが、時間が無い為本日は以上とする。各自解散!」

 

「「「「ありがとうございました!」」」」

 

そう言いぞろぞろとアリーナから退出していく生徒達。一夏もISから降り帰ろうとする。

 

「ねぇねぇイッチー」

 

「ほ、本音さん。な、何か?」

 

「あのね、今日食堂でイッチーのクラス代表のお祝いパーティーやるんだけど、来ない?」

 

「ぱ、パーティーですか? その、う、嬉しいですけどほ、他のクラスの人とか「大丈夫だよ。食堂を貸し切りででやるし、他のクラスの人はご遠慮くださいって貼紙張るから」そ、そうですか。わかりました、参加します」

 

本音は笑顔を浮かべやったぁと喜び、其処まで喜ぶことなのだろうかと疑問を浮かべながら首を傾げる一夏。

 

授業が終わり放課後となると一夏は鞄に教科書などを仕舞い教室から出て行く。

 

「あ、イッチー待ってぇ」

 

そう言いながら本音は一夏の横に並ぶ。

 

「一緒に帰ろぉ」

 

「う、うん」

 

そうして一夏と本音は一緒に寮へと帰って行く。2人が並んで帰って行く姿に教室に居た生徒達はほんわかした表情で見送っていた。

 

「なんか、本音さんがお姉さんで一夏君が弟みたいに見えるね」

 

「うん。なんか、和む光景だったね」

 

「心が、安らいだなぁ」

 

ほんわかした表情で見送る生徒達とは対照的に、しかめっ面になっている2人が居た。セシリアと箒であった。

 

(むぅ~、布仏さんが羨ましいですわ。大体何故彼女を副代表に選ばれたのか未だに納得できませんわ。同じ専用機持ちとして私の方が相談しやすいですし、その、分からない事などあれば手取り足取りとお教えしますのに)

 

(一夏の奴、デレデレとしおってぇ! しかもなんだアイツは! わ、私は接近を禁止されているというのに簡単に一夏の傍にいきおってぇ!)

 

2人がしかめっ面を浮かべている中、生徒達は

 

「あの二人なんかしかめっ面浮かべてない?」

 

「うん、浮かべてる。また織斑君に迷惑かける気なのかな?」

 

「たぶんそうじゃない。あの二人にパーティーの事話した?」

 

「ううん。だって話したら滅茶苦茶にしそうだもん」

 

確かに。と皆頷く中一人不安そうな表情を浮かべる生徒が居た。

 

「でも何処からパーティーをやる事が漏れるか分からないし、何か織斑君を守る方法を考えないと不味くない」

 

「うん。でも、方法なんて…あっ! 良いこと思いついた」

 

「なになに?」

 

「あのね――」

 

生徒の一人が耳打ちで話す内容にそれいい!と賛同の声を漏らす。

そして生徒数人が教室からでてある場所に向かって行った。

 

そして――

 

「それじゃあ」

 

「「「織斑君、クラス代表。そして布仏さん、副代表おめでとう!」」」

 

祝福の声が上がるとと同時クラッカーが鳴り響く。

 

「えっと、あ、ありがとう、ございます」

 

「えへへ、ありがとねぇ!」

 

照れた表情を浮かべながらお辞儀をする一夏と笑顔を浮かべる本音。そして皆の前にはお菓子やオードブルの料理が並べらえていた。

一夏は開始の挨拶終了後、直ぐに隅の方に引っ込み静かに持参したジュースを口にする。

すると本音が料理一杯のお皿を両手に持って一夏の元にやって来た。

 

「イッチー、料理持ってきたよぉ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

本音から料理を受け取るも一夏は手を付けようとしなかったが、隣に座った本音がぱくりと自分のお皿の料理を口にする。

本音が持ってきた料理はほとんど一夏と同じ物ばかりだった。

 

「ハムハム、美味しぃ」

 

幸せそうに食べる本音を見て一夏も食べ始めた。最初はちびちび食べていたが、気付いたら口一杯にご飯を食べていた。

 

「ハグハグ、ん。美味しい、です」

 

「本当だねぇ。あ、お代わり欲しかったら言ってね。取りに行くから」

 

「あ、ありがとう、ございます」

 

一夏と本音が仲良く食べている姿に皆ほんわかした表情で見ていた。そんな一夏達の座っている席の近くには

 

「ふむ、久しぶりに食堂で飯を食べたが旨いな」

 

と千冬が一夏達と同様にオードブルの料理を食べていた。そう、教室で生徒達が話していた対策とは千冬をパーティーに参加させることだった。

生徒達が職員室へと行き千冬に訳を話した所快く承諾し一夏の近くの席で参加したという訳だ。

 

そして案の定何処からかパーティーの事を聞いたセシリアと箒が参加していたが、千冬が一夏の傍に居た為近づけず悔しい顔を浮かべていた。

 

そして問題事など起こることなくパーティーは無事に終わりそれぞれ部屋へと帰って行った。




次回予告
学年別クラス代表戦が近付いている中、1組では2組に転入生が入ってくる話題で持ちきりだった。すると突然扉が開き一人の少女が現れ一夏に突撃をかましてくる。

次回
中華娘参上

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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