「そ、それじゃあお二人や皆さんは束お姉ちゃんが造ったんですか?」
【はい、その通りでございます】
教室から護衛として付いて来てくれるモッフ二人と談笑をしながら更衣室へと目指す一夏。
護衛が付いていなかったときは、一夏は何時も何処から女性が来るか分からないと言う恐怖に怯えながら更衣室へ向かっていたが、今は護衛が付いているおかげか、一夏は少し笑顔を浮かべておりモッフ達との会話を楽しんでいた。
そしてアリーナに備えられている更衣室へと到着し、一夏は中へと入り着替えアリーナへと出ると他の生徒達が既に来ており、談笑を行っていた。
それと大きめの麻袋が転がっており、中には何かいるのかもぞもぞと激しく動いており、2組の生徒達は気味悪がって近付かず、1組の生徒達は中身が何か察しているのか特に気にする様子もなくクラスメイト達と談笑していた。
そんな生徒達の中から一夏が来た事に気付いた本音は急ぎ足で一夏の元に駆け寄る。
「イッチー、道中大丈夫だったぁ?」
「うん。モッフさんの4号さんと5号さんが護衛に付いていてくれたおかげで大丈夫だった」
「そっかぁ。ところで、4号さんと5号さんって?」
「モッフさん達って、皆同じ顔だから何か区別できる方法が無いかなと思ってて、そしたらヘルメットに数字が書かれてたから、それで区別しようと思って」
「あぁ、なるほどぉ」
本音とそんな話をしながら授業開始まで談笑をしていると、ジャージ姿の千冬が現れ生徒達の前に立つと同時にチャイムが鳴り響く。
「よし、全員集合!」
千冬の号令がかかると1組と2組の生徒達は足早に4列並びで揃う。
「よし、全員いるか?」
「あの、デュノア君がまだ来ていません」
「はぁ? まだ来てないだと?」
1組の生徒からの報告に千冬は眉を顰めていると
「す、すいません。遅くなりました!」
そう叫びながら走ってくるデュノア。それに対して千冬は鋭い目でデュノアを睨む。
「遅いぞ! 何をしていた?」
「そ、その…。山田先生に送って貰っている最中に他クラスの生徒達に囲まれ身動きが取れなくなってしまって…」
デュノアの説明に、千冬ははぁ。とため息を吐く。
「そうか。なら今回は初日という事で見逃す。だが、次は無いと思え」
「は、はい! すいません」
千冬の睨みにデュノアは急ぎ列へと加わる。
「よし、これで全員…あ、いかんいかん。こいつのことを忘れていた」
そう言いながら千冬は足元に転がっている麻袋のひもを緩め中にいるモノを引っ張り出す。
中か出てきたのは拘束状態で口にはガムテープを張られたボーデヴィッヒであった。
「えぇ、1組は知っていると思うが2組の生徒達にも説明しておく。織斑には本日から護衛部隊を付ける事となった。織斑の症状悪化を誘発しそうな事をしようとする者は即座に護衛部隊が武力行使を行ってくる。以上だ」
そう言いながら千冬はボーデヴィッヒの口に貼られているガムテープを勢いよく引き剥がす。
「痛っ!?」
「五月蠅いぞ、ボーデヴィッヒ」
「し、しかし「元を辿ればお前がいらんことをしなければそうはなっていないだろ」うっ」
「今回は軽めだが、次に問題を起こせば反省房にぶち込む。分かったな?」
千冬の睨みながらの問いに対し、ボーデヴィッヒは体を振るわせながらコクリと頷く。
千冬は拘束バンドを外し列に入るよう指示する。ボーデヴィッヒは俯きながら列へと加わって行った。
「よし、これで全員揃ったな。ではこれより1組と2組の合同授業を行う。まず初めに、凰とオルコット。前に出ろ」
千冬の指示に2人は首を傾げながらも、前へと出てくる。
「えっと、何をするんですか。織斑先生」
「もしかして彼女と対戦ですか?」
「早とちりをするなこの馬鹿者。もうすぐ来る」
そう千冬が言ったと同時に何処かともなく悲鳴のような声が響く。
「ひ、ひえぇぇ~~~!??!」
その声に全員辺りを見渡すも声の主が見つからず、一人が空を見上げた所気付いた。
「え、嘘? 山田先生が落ちて来てる!?」
「「「「えっ!?」」」」
生徒の言葉に全員空を見上げると、ラファールを身に纏った真耶が勢いよく落下して来ていたのだ。
「よ、よよ避けてくださぁぁぁぁい!!?」
「に、逃げてぇ!?」
「ぶつかったら死んじゃうぅ!」
落下してくる真耶に生徒達は急ぎその場から離れようと逃げ出す。無論一夏も急ぎ逃げようとした瞬間、何かに躓きその場に倒れ込んでしまった。
「い、一夏君がぁ!」
「や、やばい山田先生の落下地点って織斑君の所だぁ!」
「イッチー!?」
全員ぶつかる。そう思っていた瞬間、突然ボシュン!という音が鳴り響いたと同時に真耶が乗っているラファールにロケットランチャーの弾頭が命中、真耶はその爆発の勢いで一夏のいる地点とは別の場所に墜落した。
全員突然の出来事に驚き固まっていたが、ボシュンという音が鳴った方へ顔を向けると其処には
「ふもっふ!」
と、ロケットランチャーを肩に担いだフモッフと数体のモッフ達が其処に居た。
「あ、あれが織斑君の護衛部隊?」
「なんか着ぐるみみたい」
「か、可愛いかも」
2組の生徒達は初めて見る護衛部隊にそんな感想を零している中、フモッフはロケットランチャーを担いだまま一夏の元に近付きそっと手を差し伸べる。
「
「あ、ありがとうございます。フモッフさん」
「
差し伸べられた手を握りしめ立ち上がる一夏。
一夏が無事だと判断できたフモッフはモッフ達を引き連れアリーナから出て行った。
「イッチー大丈夫?」
「う、うん。フモッフさん達のお陰で大丈夫」
フモッフ達の後から本音も一夏の元に駆け寄るケガの有無を確認する。体には何ともなく服が汚れた程度だった為本音はホッと一安心する。
「……えぇ、問題があったが全員私の元に集まれ」
そう千冬が指示を出すと逃げ惑っていた生徒達は急ぎ足で千冬の元に集まった。
「よろしい。では、凰とオルコット。今から山田先生と模擬戦をして貰う」
そう言うと2人は、はぁ。と何処か気乗りしていない様子を見せる。
「なんだ? 山田先生相手ではやる気が出んのか? 仕方ない、私が代わりに相手を「「山田先生で大丈夫です!」」よろしい。と、その前に」
千冬は顔を生徒達から墜落した真耶の方に顔を向ける。その先には目を回しながらクレーターに寝っ転がる真耶が居た。千冬はチッ。と舌打ちを放った後、出席簿片手にクレーターの下へと下りていき、そして
「何時まで寝ているんだぁ‼」
と叫んだと同時にバチン‼と甲高い音が鳴り響いた。
「ほぎゃっ!? す、す、すすすいません!」
「さっさと上に上がって模擬戦の用意をしてください!」
「は、はいぃい!」
千冬の叱責に真耶は慌ててクレーターの上へと上がり、その後に千冬も上がって来た。
「さて、山田先生と其処にいる代表候補生の二人との模擬戦を行う。一応言うが、山田先生は元日本代表候補生で、選ばれた候補生の中でトップに入るほどの実力を有していた」
「い、いえいえ。そんな、昔の事ですよぉ」
真耶は照れた表情で、謙虚に言う。
「だろうな。じゃなきゃ、あんなへまなどせん」
千冬の冷たいツッコミがさく裂し、真耶はガックシと首を墜とすのであった。
「では、双方準備に入れ」
そう言われセシリアと鈴、そして真耶は空へと上がる。
「それでは、始め!」
千冬の合図と共に双方模擬戦を開始した。
「では終わるまでの間、デュノア。お前の所の会社が造ったラファールについて説明しろ」
「え? あ、はい! ラファールは――――」
千冬からの突然の振りに、デュノアは慌てながらも説明を始めた。周りに居た生徒達は模擬戦を見ながらもデュノアの説明を聞く。すると模擬戦を見ていた千冬が口を開く。
「デュノア、其処まででいい。もう終わる」
その言葉と同時に空から鈴とセシリアが落下してきて、真耶も一緒に降りてきた。
「えぇ、このように代表候補生2名が束になっても簡単に倒される。この学園に居る教師の多くは優秀な成績を残した元代表候補生や国家代表、そして軍人などだ。山田先生の様にぽわぽわしている教師もいるが、侮っているとさっきの二人みたく痛い目を見る羽目になるから気を付ける様に」
『はい!』
千冬の説明に生徒達全員が返事を返す。
「よし、ではこれよりISを所持している生徒を指導員として君達にもISを乗って貰う。班は名簿順に並んでもらうが、織斑の班には補助役として布仏に入って貰う。では別れろ!」
そう言われ生徒達はISを所持しているセシリアや鈴、新入生のデュノアやボーデヴィッヒ。そして一夏の元に集まる。どの班も1組や2組の生徒達が入り混じっているが、何故か一夏の班だけは1組の生徒がほとんどであった。
一夏は一番扱い易いと思える打鉄を本音に持って来て貰い、班のメンバーの前に置いてもらった。
「そ、それではISを教えていきます」
「お願いしまぁす!」
「よろしくね、織斑君」
「無理しない程度でいいよ」
班のメンバーとなった生徒達からそう声を掛けてもらいつつ一夏は基礎的な歩きから始めましょうと指示を出す。無論近くに居た本音も一夏の補助として指示出しを行った。
メンバーとなった生徒達は一人一人ISに乗ってゆっくりとした歩調で歩き始め、一夏はバレットホークを身に纏った状態でISに乗った生徒がこけない様、ISの前で後ろ歩きで補助していた。
その頃他の班はと言うと
・セシリアの場合
「ですから、脚を45度の角度まで上げ、そして前へと進む。その時腕も45度の角度で曲げながら動かす! そう言っているではありませんの!」
「だから、それじゃあ分かりづらいって言ってるでしょ!」
受け持った班のメンバーと口論をしていた。
その訳だが、セシリアの会話の内容の通り、細かすぎるのである。セシリアの細かすぎる説明に生徒達はチンプンカンプンな表情を浮かべ、もう少し分かり易く説明してと言うが、これが一番分かり易いの一点張りであった。
・鈴の場合
「だから、勘って言ってるでしょうが! 乗ってたら自然と分かるのよ!」
「それはごく一部の人だけでしょ! 乗った回数が少ない私達じゃ分からないわよ!」
此方も口論していた。
鈴の教え方は、ほぼ適当に等しい《勘で感じろ》という物であった。
つまりセシリアの真逆の教え方であった。
・デュノアの場合
「そうそう。そうやってゆっくりと足を上げながら前に進んで」
「う、うん」
分かり易い説明をしながら一夏の様に補助にまわりながら班のメンバーに教えていた。だが次の生徒でトラブルが起きた。
「それじゃあ次の人、どうぞ」
そう言いながらデュノアは次の人の顔を見る。
次の人は箒であった。
「私はいい。一夏の所に行って教えて貰ってくる」
「え? で、でも班異動は駄目だって…」
「そんなもの知らん。兎に角私は一夏の所に「勝手に班異動をしようとするな、この馬鹿者」あ痛っ!?」
突然何処からともなく千冬が現れ、箒の頭を出席簿でしばいた。
「私の許可も無く班異動は禁止だ。さっさとデュノアに教えてもらえ」
「で、ですが私は「お前は織斑に接近するなと警告したはずだ。何だったら私自ら血反吐を吐くような講習でやってやろうか?」い、いえ、結構です」
「だったらさっさと教えてもらえ。後ろの奴が乗ることも無く終わってしまうだろうが」
そう言われ箒は渋々デュノアに教えてもらうのであった。
・ボーデヴィッヒの場合
「……」
「あ、あのぉ?」
仁王立ちのままで目を瞑ったままで何も教えようとしないボーデヴィッヒ。班のメンバー達は困惑した表情を浮かべ、どうしたらいいのか分からず立ち尽くしていると
「何をしている、ボーデヴィッヒ」
と苛立ちを浮かべた千冬が現れた。
「はっ! ISについてこいつらに問うたところ、ただのアクセサリ位としか思っていない回答でしたので訓練など行わず立たせておりまっ!!!???!」
千冬に敬礼しながら答えるボーデヴィッヒに対し、千冬は躊躇いなど一切ない勢いで出席簿の背表紙をボーデヴィッヒの頭に叩きつけた。
「貴様の判断で訓練の中止をするな! もういい、ボーデヴィッヒ。貴様は向こうで立って居ろ」
痛みで蹲るボーデヴィッヒに対し千冬はそう言い放った後、訓練が出来ていない生徒達を他の班へと振り分け、訓練を受けさせた。
そして時刻は経ち、授業終了間近となった時、生徒達全員千冬の前へと整列していた。
それぞれ生徒達のの顔つきは異なっており、訓練に満足出来た表情や、苛立ちなどを浮かべた生徒達など様々であった。
「では、以上で本日の訓練は終了となる。今日満足の行く訓練など出来なかった者もいるだろうが、今回は申し訳ないが運が悪かったと思ってくれ。それともしアリーナで訓練などを行う場合は、一人では行わず、複数人で行うよう。理由は自己満足で訓練を行うよりも、客観的視点からのアドバイスなどがあった方が自分の為にもなるし、他の者たちの為にもなる。いいな?」
『はい!』
「よろしい。では以上で合同授業を終える」
『ありがとうございました!』
千冬の号令と共に、生徒達は疲れたぁと言いたげな表情などを浮かべながらアリーナから出て行く。すると
「あぁ、凰とオルコット。それと篠ノ之とボーデヴィッヒ。お前等は残れ」
帰ろうとする生徒達の中からその4人を呼び止める千冬。ボーデヴィッヒ以外の3人は首を傾げながらも千冬の元に集まる。
「お前達はまともに訓練を行おうとしていなかったから、罰として其処にあるクレーター(真耶作)を埋める様に」
「えぇぇ!? それは山田先生が埋めるべきでは!?」
「そ、そうです! わたくし達はちゃんと班員に教えましたわ!」
「わ、私もちゃんと訓練はやりました!」
「こいつらは分かりますが、何故自分まで!?」
4人は千冬が言い渡した罰に納得がいかない様子で叫ぶも、千冬の鋭い睨みを向けられ先程までの気迫が消し飛び意気消沈となる。
「お前等のどこを見ればまともといえる? まずオルコット。貴様の教え方は細かすぎる。凰、お前は説明不足だ。篠ノ之、お前は自分勝手すぎる。ボーデヴィッヒ、お前は他者を見下し過ぎだ」
千冬の説明にぐうの音も出ない4人は黙ったまま俯く。
「3限目の授業が始まるまでに穴を埋めておくように。それと、適当に穴を埋めるなどして誤魔化していた場合は、学園にあるすべてのトイレを綺麗になるまで掃除をさせる。いいな?」
「「「「……」」」」
「いいか、どうか聞いているだろうが!」
「「「「は、はい!」」」」
漸く返事をした4人に千冬はフゥ。と息を吐いた後、アリーナを後にした。その後4人はいがみ合いながらも、穴を埋めるのであった。
時間は経ちお昼頃。
一夏は何時もと変わらずカバンの中からお弁当を取り出す。
「それじゃあイッチー、今日は裏のベンチで集合ね」
「うん。も、モッフさん達と先に行ってるね」
隣の席の本音は集合場所を確認した後、谷本や相川達と共に小走りでお弁当を買いに向かった。
3人を見送った一夏はお弁当を持って廊下で待機していたモッフ(4号と5号)の元に向かう。
「本音さん達とご飯を食べに行くので、一緒に来てもらってもいいですか?」
「「
敬礼で了承したことを返すモッフに、一夏は安堵した表情を浮かべながら歩き出そうとした瞬間
「あ、一夏! 私特製の酢豚持ってきたわよ!」
と、隣のクラスから飛び出る様に現れる鈴。その手には酢豚が入っているであろうパックの入った袋が握られていた。
「あ、あの、お気持ちは、嬉しいですけど。その「あぁ、お礼とかいらないから。ちゃんと残さず食べてね!」あ、あの、だから」
鈴の一方的な押しに一夏は断ろうとすることが出来ず困っていると、傍に居たモッフ(4号)が動いた。
モッフ(4号)は鈴が一夏に押し付けようとしていた酢豚のは入ったパックをひったくり、無線機を取り出して何処かに連絡を入れる。
「ちょ、ちょっと! それは一夏の為に作ったものよ! 返しなさいよ!」
そう怒鳴りながらモッフ(4号)から酢豚を取り返そうとするが、モッフ(5号)がスタンバトンの電源を入れバチバチと音を鳴らしながら、睨みを効かせ抑制する。
「な! そ、そんな物で怖がる私じゃ無いわよ!」
そう叫びながら取り返そうとした瞬間
「ほぉ? なら私ならどうだ?」
と、鈴の背後からドスの利いた声が響き、鈴は錆びついた歯車の様にギギギと小刻みに震えながら振り向くと鈴を睨みつける千冬が其処に居た。
「フモッフから一夏に手料理を手渡そうとしている奴がいると聞いて来てみれば、貴様か」
「お、織斑先生。だ、だって一夏は酢豚好きだったから「残念だが、織斑は女性が作った手料理は食えんぞ」えっ!? な、何でですか!」
「織斑は女性恐怖症なんだぞ。お前が作ったその料理に、変な物でも加えられていたらと一夏は考えてしまう。だからだ」
そう言い千冬は4号から酢豚の入ったパックを受け取る。
「食べて欲しかったら自分で先に食べて安全だと分からせないと織斑は食わん。だが、お前が作った物は問答無用で私が処理する」
「な、何でですか!?」
「当たり前だ。転入してきたその日からずっとお前は織斑に迷惑をかけまくっているだろが。しかも貴様はそれを悪びれもせずにだ」
「そ、それは一夏の女性恐怖症を治す為で「馬鹿者! 逆効果だ! この説明は前にもしただろ!」そ、そうでしたっけ?」
千冬の説教に鈴は縮こまりながらも、説明された事を思い出そうとするも思い出せず首を傾げたままであった。
「まったく。兎に角、この酢豚は私は処理しておく。織斑、お昼ご飯を食べに行ってこい。モッフ達も織斑の護衛を続けてやってくれ」
「は、はい。失礼、します」
「「ふもっふ!」」
千冬に行くよう言われ、一夏とモッフ達はその場から立ち去っていく。
「あ、ちょっとあたしも「お前は私と一緒に昼食だ。折角だ、この酢豚の感想を貴様の前でしてやる」え゛!?」
「ほら行くぞ」
そう言いながら鈴の首根っこを掴み、引き摺りながら食堂へと向かう千冬。鈴は「お、お助けぇ~~~!?」と叫びながら引き摺られていった。
鈴の襲撃を何とか退けた一夏は階段を降りていく途中
「あ、一夏さん、此方でしたか。実はわたくし、初めて料理を作ったのですがぜひ食べて下さいませんか?」
と、今度はセシリアと鉢合ってしまった。セシリアは持っていたバスケット一夏に手渡そうとするもモッフ達が直ぐに一夏の前に立ち、それを防ぐ
「ど、退いて下さらない? 一夏さんにお渡しできませんわ」
セシリアの抗議に、モッフ達は何も言わず睨んだままだった。
「あ、あの、お気持ちは嬉しいですけど、じ、自分のお弁当があるので…」
モッフ達の後ろからそう言いやんわりと断る一夏。
「そ、それでしたらご一緒にお昼をとりませんか?」
「その、本音さん達と先に約束してるので、また今度でもいいですか?」
一夏は本音達が待っているかもしれないと思い、別の日にしませんかとセシリアに問う。
「でしたらわたくしもご一緒しますわ。それでしたらわたくしが作った料理も食べられますし」
そう言いセシリアは何が何でもついてこようとして来た。すると
「あ、イッチー。此処に居たんだぁ、探したんだよぉ」
そう言いながら下から上がってくる来る本音。
「ご、ごめんなさい本音さん」
「うぅん、いいよぉ。皆が待ってるから早く行こ」
本音にそう誘われ一夏は行こうとしたが、セシリアが待ったをかけた。
「お待ちください、布仏さん。実はわたくしも今からお昼なんです。宜しかったらご一緒してもよろしいでしょうか?」
「セッシーもぉ? うぅ~ん、私は別にいいけど…」
そう言いながら本音はチラッと一夏の方を見る。一夏は若干嫌そうな顔を浮かべていた。その表情を見た本音はチラッとセシリアが持っているバスケットに目を向け、事情を察した。
「ねぇねぇ、そのバスケットの中身って何?」
「これですか? これは私が初めて作ったサンドイッチが入っておりますの」
「へぇ~。それじゃあ、それがセッシーのお昼ご飯?」
「え、えぇまぁそうですわ」
若干言いよどむセシリアに、本音は心の中で確信を持つ。
「そっかぁ。よかったよかった」
「はい? 何故良かったというのですの?」
「だって、イッチーに食べて貰うって言ってもイッチー食べられないからねぇ」
「え? どう言う事ですの?」
「イッチーは女性恐怖症なんだよぉ。そのサンドイッチに何か入れられているんじゃ?ってイッチーは考えて食べないよ」
本音の説明にセシリアはそうだった。と思い出したような表情を浮かべるも、直ぐに笑みを浮かべる。
「そ、それでしたら大丈夫ですわ。何も可笑しな物は入れておりませんわ。料理本を見ながら作ったので、美味しく出来ておりますわ」
「ふぅ~ん。まぁ、セッシーのお弁当だからイッチーには関係無い事だと思うけどねぇ」
そう言い一夏に行こ。と促す本音。一夏は少し困惑の表情を浮かべながらもモッフ達に護衛されながらセシリアの横をすり抜けて本音の元に向かう。
「お待ちください!」
と、セシリアが一夏と本音に待ったをかけた。そして徐にバスケットの中からサンドイッチを取り出す。
「私が作ったこのサンドイッチに何も可笑しな物が入っていないと証明して見せますわ!」
そう言ってサンドイッチを頬張るセシリア。サンドイッチを食べて直ぐにセシリアの様子が可笑しくなった。顔色が赤くなったり青くなったりと変化が激しいうえに大量の汗を流し出したのだ。そして口を手で覆うと大急ぎで何処かへと走り去っていった。
「な、何だったんでしょうか?」
「さぁ? 気にしないで行こぉ」
そう言われ一夏は後ろ髪を引かれながらも、モッフ達と共に本音達が待っている学園裏のベンチへと向かった。
その頃デュノアはと言うと
「デュノア君って好きな料理って何?」
「好きな女性の仕草とかは?」
「ラファールの上手な乗り方とか教えて!」
と、食堂で女子生徒達に捕まって色々質問攻めに遭っていた。
「ちょっ、ちょっとみんな落ち着いてぇ! ひ、一つずつ答えたいからぁ」
と、悲鳴のような懇願を上げるデュノア。だが生徒達の気迫によってそれは打ち消され、その後も大勢の生徒達の質問攻めに遭い、お昼を満足に取れなかったデュノアであった。
次回予告
放課後、一夏は入部した料理研究部へと向かった。
初めて会う部員達に緊張と不安などの表情を浮かべながらも、一夏は部活動を始めた。
次回
一夏君、高校初めての部活動!~よ、よろしくお願いしますぅ!~
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS