女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

47 / 67
42話

一夏達が砂浜から飛び立った頃、旅館の一般生徒達が集まっている部屋では皆、不安な面持ちでいた。

 

「ねぇ、さっきの銃声って何だったんだろう?」

 

「分かんない。廊下から凄いボヒュボヒュと音が鳴ってたから多分、織斑君ところのモッフさん達だと思うけど、結構急いでる感じの足音だったし」

 

「教師の人達も凄い大慌てで動いてたよね」

 

「うん。何があったんだろうね?」

 

旅館内での突如旅館の部屋にて待機するよう指示されたうえに、部屋から勝手に出れば罰則を与えられると言われただ事ではないと言う事態に自分達は無事に帰られるのだろうかと不安と恐怖を浮かべる。更に突如発生した銃声やら怒号に生徒達は不安な表情で一杯だった。

そんな生徒達の中で一人同じく神妙な面持ちでいる人物がいた。それが本音であった。

 

今朝、彼女のスマホに姉から一通のメッセージが届いたのだ。それが銀の福音が暴走したと言う情報だった。特殊な家系が故にこう言った情報は姉から届くため一応頭の片隅に入れておいたのだ。

届いた情報に当初は自分達には関係ないと思っていたが、突如部屋で待機する様指示され直ぐに頭の片隅に入れていた事が引っ張り出された。

そして専用機持ちとして一緒に行く一夏に本音は、周りに一般生徒がいる為機密を喋る訳にもいかず、あのように気を付ける様言ったのだ。

あれから一体どうなったのか。そう言った情報は入って来ず、ただ一夏と幼馴染の簪が無事に帰ってくるのを願う事しか出来なかった。

すると自身のスマホが突如震え、周りには見られない様コッソリと開く。

 

「織斑先生から?」

 

表示画面には千冬からメッセージメールが届いた事が表示されており、本音はそれを開く。其処には

 

『トイレに行くフリをして部屋を出てきてくれ。詳細は会い次第話す』

 

と書かれていた。本音は何故こんなメッセージをと疑問を浮かべながらも千冬の言う通りに行動を開始した。

 

「あれ、本音何処行くの?」

 

「ちょっとトイレ行って来るねぇ」

 

「あ、うん」

 

相川達にトイレに行くと告げ部屋の前にいた教師にもトイレに行きたいと告げ廊下へと出て暫し歩く。

そしてトイレ近くまで来ると廊下の曲がり角から千冬がそっと現れる。

 

「済まないな、突然あのようなメッセージを送って」

 

「いえ、大丈夫です。あの、今起きてることって、軍事ISの暴走なんですよね?」

 

「……あぁ、そうだ。布仏の家の者から教えてもらったのか?」

 

「はい。私達には関係ないと思っていたんですけど…」

 

「残念だが、そうもいかなかったようだ」

 

「ですね。あの、イッチーやかんちゃん達は大丈夫でしょうか?」

 

「……そのことを含めて説明するから付いて来てくれ」

 

そう言われ本音は先導し始める千冬の後を付いて行く。

それから暫くして2人はIS備蓄置き場へと到着する。其処にはウサギのマークがついたコンテナがあり、その隣には束が居た。

 

「おぉ、待ってたよぉのほほんちゃん」

 

「ど、どうも博士。あのぉ一体何か用ですか?」

 

「まずは、のほほんちゃん。君は今起きている事をどのくらい把握してるぅ?」

 

「えっとどう言う「君の家が特別な事は知ってるよぉ。だから聞いてるのぉ」…知ってるのは軍事用のISが暴走した位です」

 

「そっかぁ。それじゃあ今どう言った状況か説明してあげる」

 

そう言い束は説明を始めた。軍事ISを止める為に出た一夏達。そして味方の誤射で撃墜された一夏。そして命令を無視して学園の備品置き場から装備などを強奪してゴスペルを止めに行った専用機持ち達のことを。

束の説明に本音は驚愕の表情を浮かべ、不安の所為か体が震えていた。

 

「そ、そんな。それじゃあイッチーはまだ意識が戻っていないんですか!?」

 

「うぅん。もう意識は戻ってるよ」

 

そう言われ本音はホッと安心した表情を浮かべる。だが

 

「けどさっき教師達と残っていた日本の代表候補生と一緒に再出撃して行ったよ」

 

「えっ? えぇぇええっ!?」

 

束の報告に呆けた表情を浮かべ、その後驚いた表情を浮かべ声を上げる。

 

「な、何で再出撃して。そんなイッチーは怪我をしているんですよねっ?」

 

「うん、軽度とはいえ火傷と打撲をしてるよ」

 

「そんな状態で出撃するなんて…。織斑先生、どうして許可したんですか!?」

 

「…もちろん止めようとしたが、アイツの意思は固かったため許可した」

 

「でももし「お前が言おうとしている事は分かっている。だからアイツには命の危険と感じたらすぐに逃げろと命じた」……」

 

「正直な話無事に帰って来れるかどうか分からん。だが」

 

「のほほんちゃん。君の協力があればいっくん達が無事に帰って来れる可能性が飛躍的に上がるんだぁ」

 

「わ、私の協力ですか?」

 

「そう。正直な話、いま旅館にいる子達の中で一番ISに乗り慣れており、更にはいっくんと息を合わせることが出来るのは君しかいないと思ってる。いや、ほぼ確定かな」

 

「そう、ですか。あの、それだけで私が選ばれたんですか?」

 

「うぅん。もっと他にもあるけど時間が無いから省くよ。それで、答えを聞かせて欲しいんだけど。いっくん達を無事に帰って来させるために力を貸してくれる?」

 

束の問いに本音は俯く。暫しの沈黙の後、本音は意を決したのか顔を上げ、その顔を見た束は口を開く。

 

「決まったかな?」

 

「はい。私、行きます!」

 

「理由を聞いてもいいかい?」

 

「はい。私一人行った所で何かできるのか。先生達やイッチーとかんちゃんと一緒に無事に帰って来れるのかとか色んな不安が一杯浮かびました。でも、それでも私が行くことで皆が無事に戻って来れるなら、微力ながら手助けに行きたいと思ったからです」

 

「そっかぁ。良く決断してくれたね、ありがとう」

 

そう言い束が言うと、直ぐにその横にあるコンテナの方へと体を向ける。

 

「それじゃあのほほんちゃんに貸してあげるISを紹介しよう!」

 

そう言ってコンテナの開閉ボタンを押す。コンテナの扉がゆっくりと開き一機のISが姿を現した。

 

「これがのほほんちゃんに貸してあげる機体、先行試作型IS『紅椿』だよ」

 

そう言い置かれているISの説明を始める束。

 

「この紅椿には1本の刀とアサルトマシンガンを装備してて、刀が空裂。これは斬撃すると刃状のビームを放出するよ。それでアサルトマシンガンはいっくんの持っているアサルトマシンガンとマガジンが共有できる仕様の物だよ」

「そしてこれが一番大事! この機体のワンオフアビリティーだけど、名前は絢爛舞踏。このアビリティーは機体に搭載されているエネルギーを増幅させて難しいと言われてきたIS同士のエネルギー譲渡を可能にする物だよ。しかもエネルギーを増幅させるから少なくなっていても増幅させてフル状態にすることが出来るのだぁ!」

 

「えぇ~!? そんな凄い機体なんですか!?」

 

「イエェス! その通り! なんたってこの機体は試作型とはいえ()4()()()()だからね!」

 

「え? だ、第4世代型なんですか!?」

 

束の口から出た第4世代型と言う言葉に本音は驚きの余り言葉を発した後口をあんぐりと開きっぱなしとなってしまった。

それもそのはずだ。現在配備されている多くのISが第2世代型だ。第2世代型は第1世代型の兵器として完成されたISに、後付装備で戦闘での用途の多様化を主眼にされた世代型である。各国に配備されている軍事ISのほとんどがこの世代型にあたる。

オルコットや鈴達が乗っている第3世代型はBITや龍砲と言った特殊兵装を操縦者のイメージインターフェイスで稼働し操作することを目的にされた世代型だが、稼働させるにしても相当な集中力が必要なため未だに完成された機体は無く、ほとんどが実験機止まりとなっている。

そんな中、束が開発した紅椿は第4世代型。この世代は装備換装無しで装甲の展開や装備による自動支援を可能とした世代型である。

つまり、各国政府が未だ第3世代型の実験機止まりであるにもかかわらず、束の作った紅椿はその第3世代型を越えた機体という事である。

 

「……」

 

「呆けてるところ悪いけど、のほほんちゃん戻って来てぇ」

 

「はっ!?」

 

「うんうん、戻って来たね。それじゃあフィッティングするから乗って頂戴な」

 

「は、はい!」

 

束に促され本音は直ぐにISスーツに着替えようと思うも、ある事に気付く。

 

「あの、ISスーツどうしましょう?」

 

「え? あっ、そっかぁ。訓練中止になったからもう着替えちゃってたかぁ」

 

「はい。スーツは部屋なんで取りに行かないと」

 

「あぁ大丈夫大丈夫。此処に束さんが用意したスーツがあるからこれに着替えて」

 

そう言い束は何処からともなくスーツを引っ張り出す。差し出されたスーツを受け取り、本音は周りから見られない様にと物陰に入り着替える。着替え終えた本音は紅椿に乗り込む。

そして束は高速でキーボードを叩くと、空間ディスプレイに『フィッティングコンプリート』と表示される。

 

「ほい、準備OK!」

 

「分かった。…布仏」

 

束の言葉に千冬は真剣な表情を浮かべながら本音に声を掛ける。

 

 

「無茶な頼みをお前に頼んでしまい申し訳ない。一夏達の事を頼む」

 

「はい! では、行ってきます!」

 

その言葉と共に本音は飛び上がり一夏達が飛んで行った方へと向け高速飛行で向かって行った。

遠ざかっていく本音に千冬は真剣な表情で見送り、束は笑顔だが頑張れと小さく応援の言葉を零す。

 

「……さぁ、戻るか。だがその前に」

 

「そうだね。ちゃちゃっと片付けちゃおっか」

 

千冬の言葉に同意するように返し、束は背後へと顔を向ける。

 

「其処に隠れてるの分かってるよ。出てきたら()()()()

 

束がそう声を出すと、旅館の柱の影から睨んだ眼付をした箒が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

※情報

先行試作第4世代型IS『紅椿』

原作同様で見た目と性能は同じ。

但し装備は刀の空裂とアサルトマシンガン。

アサルトマシンガンを載せた理由は、展開装甲や空裂などエネルギーを大量に消費する装備があり、直ぐにエネルギー切れをしてしまう恐れがある為、アサルトマシンガンである程度エネルギー消費を抑える為。(実際は箒みたく刀オンリーで戦うスタイルじゃない本音の為に、束が載せた。)

 

先行試作型と束は言っているが実際は……




次回予告
銀の福音が居ると思われる地点に向かっていた一夏達。
現場では既に戦闘モードになっている銀の福音が居り、一夏達に攻撃を仕掛けてきた。

次回
再戦、銀の福音!
~今度こそ、助ける!~

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。