女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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43話

物影から現れた箒に対し、全く驚いた様子をも無く束はただニマニマと笑みを浮かべ、千冬は鋭い眼光を向けていた。

 

「篠ノ之、勝手に部屋から抜け出すとは、どうなるか分かっているよな?」

 

「…でしたらアイツだって「布仏は私が呼んだ。だから問題は無い」クッ!」

 

「まぁいい。お前が何故此処に居るのかその理由を聞こうか?」

 

「そうだねぇ。まぁ大方予想は出来るけどねぇ」

 

そう言われ箒は握りしめる手にさらに力を入れる。

 

「…何故私じゃ無くてアイツにISを渡したのですか! アイツじゃなく、私の方があれに相応しいはずです!」

 

そう叫ぶ箒に千冬は冷ややかな目で見つめ、束は先程と変わらず笑みを浮かべるだけだった。

 

「ふぅ~ん、自分が相応しいねぇ」

 

「そうです! あんな奴以上に私の方が「あのさぁ」な、なんですか?」

 

「のほほんちゃんにボコボコにされた箒ちゃんに言われても説得力無いよ」ププッ

 

「全くだな」

 

「あ、あれはアイツが楯なんてせこい物を使うから「別に楯がダメなんて言われて無いでしょ」「あぁ。私が現役だった頃も大会では盾を使っていた奴はいた。まぁ技術が進むにつれて盾を使う物は少なくなっていったが、それでも盾を使う事は禁止といったルールはなかったな」‥‥」

 

2人の正論にぐうの音を出ずただ奥歯を噛み締め悔しそうな顔を浮かべる箒。

 

「まぁいいや。その事は置いておいて、自分が紅椿に相応しいって言うならそれなりの実力は付けてるの?」

 

「勿論です! アイツなんかよりも鍛えてます!」

 

「一応言うが、普段からやっている素振りとかそう言った物以外だぞ」

 

箒の言葉に一応と付けながら忠告する千冬。その言葉に対し箒は

 

「……」

 

えっ?と茫然と言った表情を浮かべていた。その表情をみて千冬は呆れ、束はうわ~、無いわぁ。と言いたげな表情を浮かべる。

 

「はぁ~あ。それは普段やってることを少し数を増やしたりとかでしょ? それじゃあ意味無いね」

 

「クッ。だったらアイツはどうなんですか!? 普段からダラダラして全く鍛えているように思えませんよ!」

 

「それはお前が見えている範囲での事だろ? 布仏なら毎日放課後しっかり訓練をしているぞ」

 

「なっ!? そ、そんな訳ない! 絶対に見えないところでサボっているに決まって「いやいや、それは無いね」何故そう言い切れるんですか!」

 

「だってのほほんちゃんの訓練を見ているのはちーちゃんだもん。ねぇ?」

 

「あぁ、アイツに頼まれて訓練を見ているぞ」

 

千冬の言葉に箒は目を見開き驚いた表情を浮かべ、その後怒りに満ちた表情へと変わる。

 

「ど、どうしてですか!? 何故奴の訓練なんかを!?」

 

「布仏がわざわざ私の部屋に訪ねて来て頼んできたからだ」

 

「では何故私のは見て頂けないのですか!」

 

「お前は私に頼みに来たか? 頭を下げて教えて下さいと私の部屋まで来たか? 無いだろ? 頼まれてもいないのにわざわざお前の訓練を見に行く訳ないだろ」

 

「……」

 

「そういう事。のほほんちゃんはちーちゃんに頼み自分を鍛えた。すべてはいっくんの為に」

 

「一夏の為?」

 

「そっ。のほほんちゃんは時折一人で無茶しちゃういっくんにほんの少しでも支えられるようになりたいとちーちゃんに教えを乞いたの。箒ちゃんはそんな思いなんか抱いた事ないでしょ。 ただいっくんの傍に立つことしか考えてないでしょ?」

 

そう言われ何も言い返せない箒。事実、彼女が束にISを望んだのは他の奴らを力で遠ざけ、自分一人一夏の隣に立とうとしたからだ。

 

「いっくんに対する思いと鍛えた力、どちらも箒ちゃんよりものほほんちゃんの方が軍配が上がるよ。だから私はのほほんちゃんにISを貸し与えたの」

 

「そう言う訳だ。さぁて、フモッフ。そいつを拘束部屋に放り込んできてくれ」

 

「ふもっふ!」

 

2人の言葉に返事をするように箒の背後に何時の間にか立っていたフモッフとモッフ2体。

箒は何時の間にか立っていたフモッフに驚き体が硬直している間に、フモッフ達に拘束されそのまま連行されていった。

 

「さて、私達も戻るぞ。現場の様子が気になるからな」

 

「だね。さぁてお仕事、お仕事ぉ」

 

そう言い二人も指揮所へと戻って行った。

 

 

場面は変わって、旅館から離れた海上。其処には7機のISが飛行していた。そう一夏達である。

旅館から飛び立ちレーダーで確認できた銀の福音の位置へと向け飛行していたのだ。

 

行く道中、一夏と簪は不安な気持ちを抱きつつも作戦を必ず成功させないとと決意を固め、教師部隊は先行する2人を無事に連れて帰ることと、一夏達と同じく作戦を無事に成功させること決意を固めていた。

 

そんな中、教師部隊の数人程はレーダーを見ながら飛行していた。その訳は例の脱走者4名を探す為だ。

脱走した4人を拘束するのは勿論だが、戦闘中そんな悠長な事は出来ない為見つけ次第奪った備品などを取り返し戦闘に役立てようと考えているからだ。その為出来れば戦闘になる前に見つかればいいなと淡い期待をしていた。

だが、そんな淡い期待など意図も容易く崩れ去った。レーダーに赤い光点が現れたからだ。

 

「レーダーコンタクト! 銀の福音と思われる!」

 

「了解。朝田先生、此処から目標が見えますか?」

 

「待って下さい」

 

そう言い淡い水色髪の教師がライフルに着いたスコープで遠方に銀の福音を確認する。

 

「目標を確認。…周囲に専用機持ち達は居ません。銀の福音は戦闘状態の模様」

 

「となると彼女達はやられたみたいね。…仕方ない、私達はこのまま戦闘状態の銀の福音と戦闘に入るわ。更識さん、織斑君。無茶だけはしちゃ駄目よ!」

 

「「分かりました!/は、はい!」」

 

新山の言葉に一夏と簪は返事し、戦闘態勢へと入る。そして簪と教師部隊の3人は前衛で、一夏と残りの教師部隊は後衛で射撃支援へと回る。

 

そして目視で確認できる距離まで詰まった両者。先制したのは一夏達の方だ。

簪が先制攻撃と山嵐を発射したのだ。8連装のミサイルランチャーからミサイルが放たれ、更にそのミサイルからマイクロミサイルが放たれまるで壁の様に無数のミサイルが銀の福音へと向かう。

銀の福音は接近する攻撃に対処するべく光弾を展開してミサイルを撃墜していく。爆炎と煙で視界を遮られる銀の福音。その爆炎の中から数発のグレネード弾が飛来してくる。

これには流石の銀の福音も対処できず命中する。命中して出来た一瞬の隙に残った山嵐のミサイルが襲い掛かる。

多くは光弾で撃ち落とされていたが、それでも数十発ほどのミサイルが残っておりすべて銀の福音に襲い掛かった。

激しい爆風と衝撃が一夏達が居る後方にも襲い掛かる。

普通ならこれで撃墜出来た。そう思うかもしれないが、一夏達は油断することなくライフルやグレネードランチャーを構える。

そして爆風の中から飛び出すように銀の福音が現れ一夏達に迫る。

 

[一夏、兎に角銀の福音のSEを削りまくるのよ。SEを少なくさせれば光弾も出せなくなるし、イグニッションブーストも出来なくなる。機動力が落ちた瞬間にワンオフで止めるわよ!]

 

[うん! 今度こそ止めて、パイロットを助ける!]

 

アイラの言葉に返事し、一夏は迫って来た銀の福音に向け引き金を引く。教師達もライフルやグレネードランチャーを狙いをすまして引き金を引く。

前衛の教師達も射撃し、簪も薙刀ではなく渡されたライフルを撃つ。

接近戦に持ち込んでも圧倒的パワーで押し負ける恐れがあると言われた為だ。射撃に慣れていない簪も必死に銀の福音に銃口を向け引き金を引く。

 

(照準を合わせて、引き金を引く。照準と合わせて、引き金を引く)

 

教科書に書かれていた射撃時の動作を簡易的に何度も思い返しつつ動作する簪。

周囲から浴びせられる弾丸に回避と防御をする銀の福音。

 

[よし、一夏。恐らく銀の福音のSEは殆んどないはず。今がチャンスよ!]

 

[うん!]

 

アイラの言葉に一夏はワンオフを発動させるべく右手に持っていたライフルを仕舞い、意識を集中させる。右手の手の平から光が発生し、それと同時に周囲の空気がピシピシと凍るような音が鳴り響く。

 

「く、空気中の水分が凍っている?」

 

「あれが、織斑君のワンオフアビリティー…」

 

教師達や簪は一夏のワンオフに驚く中、一夏は右手を勢いよく銀の福音に向かってその手の平を向ける。

 

「《アイスエイジ・レーザー》‼」

 

一夏がワンオフの名前を叫んだと同時に、手のひらからレーザーが照射され銀の福音に向かう。

銀の福音は迫るレーザーに避ける事が出来ず命中した。命中した箇所から徐々に氷が張っていく。

暫くしてレーザーの照射を止める一夏。

 

[と、止まったのアイラ?]

 

[関節部等を凍らせたからまともに動けないはずよ。今のうちに完全にSEを削るわよ]

 

「止まった?」

 

「ほぉ。何とかなったわね」

 

一夏のワンオフで機能が停止したと思った教師達。一夏とアイラも止めることが出来た、そう思っていた。

だが

 

《ガガガ、せ、セカンド…シフト……強制、移行》

 

突如機械音声で告げる声が上がると同時に、ピシピシと銀の福音に張っていた氷にヒビが入り

 

《UGYAAAAAAAAAAAAA‼》

 

とまるで獣の咆哮なようなものを上げ機体についていた氷を割った。

 

「そ、そんな!?」

 

「まだ動けるって言うの!?」

 

「しかもセカンドシフトですって。流石に不味すぎるわよ」

 

[まさか、強制的にシフト移行させるなんて!?]

 

[あれじゃあ乗ってる人が!]

 

[分かってるわ! 一夏、すぐに回復パックを使うのよ! もう一度ワンオフで止めるわよ。今度はさっきよりも威力を上げるわ!]

 

[分かった!]

 

一夏はアイラの言う通り回復パックを使おうとした。だが

 

[一夏、避けなさい!]

 

「っ!?」

 

アイラからの突然の警告に一夏は直ぐにその場を避ける。其処にビームの羽のような物が通り過ぎて行った。だが運悪く避けようとした際に持っていた回復パックを落としてしまい、ビームに飲み込まれ消し飛んでしまった。

 

「回復パックがっ! [それよりも回避運動をしなさい! さっき以上の機動力で銀の福音が迫っているわよ!]えっ!?」

 

アイラの報告に一夏は目視で確認しようとする前に銀の福音が一夏の目の前まで迫っていた。

迫る銀の福音に一夏は咄嗟に左手に持っていたライフルで応戦する。

アイラもサブアームが持っている銃を撃つ。

弾幕を張る一夏に対し、銀の福音は全身から展開した翼の様なビームを先程みたく弾丸の様に放つ。

ビームは一夏だけじゃなく他の教師達や簪達にも向けられていた。それぞれ回避行動をとるしか出来ず、一夏の援護に行けなかった。勿論ただ躱すだけじゃなく、隙が出来ればライフルを撃つも迫ってくるビームの翼に弾丸が呑み込まれ銀の福音まで届かなかった。

 

「新山先生、これじゃあ織斑君の援護に行けません!」

 

「分かってる! でも何とかして織斑君に回復パックを届けなきゃならないわ!」

 

新山の怒声に了解と返す教師。

しかし迫りくるビームの翼がそれを阻んだ。

迫りくるビームの翼に一夏は何とか当たらない様にと躱す。

必死に躱しつつライフルを撃つ一夏。しかし

 

カチッカチッ「っ、弾切れ!?」

 

両手に持っていたライフルが弾切れを起こす。アイラはカバーしようとサブアームのライフルの引き金を引くが

 

[一夏、サブアームのライフルももう弾切れ寸前よ!]

 

アイラの報告に一夏は何とかしないとと焦りを浮かべる。

弾幕が薄くなった事に銀の福音はすぐさま一夏へと迫る。教師達はそれを阻止しようするもビームの翼がそれを阻んだ。

一夏は迫る銀の福音に対処しようと左手の弾切れのライフルを銀の福音に向かって投げつける。無論そんなので止まるはずも無く迫りくる銀の福音。

そして銀の福音は回避不能と導き出された距離まで詰めると、ビームの翼を飛ばした。

一夏は回避しようにも間に合わないと思い、恐怖で目を瞑ってしまった。

 

迫るビームの翼。誰もが当たると思われたその攻撃。

 

 

しかし突如上から降ってきたモノによってそれは阻止された。

迫るビームの翼の上から降ってきたそれは、扇状のエネルギー波だった。

一夏に命中すると思われた攻撃が突如別の攻撃によって阻止された事に誰もが驚いている中、頭上から一機のISが舞い降り、一夏と銀の福音の間に割って入って来た。

 

舞い降りたISは紅い装甲を身に纏い右手には刀、そして左手にはライフルが握られていた。

降りてきたISの背後に居た一夏はそのISに乗っている人物が誰か、直ぐに分かった。

 

「ほ、本音さん?」

 

「うん! 助けに来たよぉ!」

 

そう言い笑みを浮かべる紅椿を纏った本音である。




次回予告
救援に駆け付けた本音。しかし現状は未だに悪いままだった。
本音は一夏や簪、そして教師達を助けるべく紅椿に力を貸して欲しいと願う。

次回
金色の粒子は、希望の光

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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