期末テストも終わり、生徒達の多くはやって来る夏休みに心を躍らせていた。
何処に旅行に行こうか。久々に会う家族は元気だろうか。と夏休みを満喫しようとする者が居れば、
期末で思っていた以上に点数が取れなかったから勉強を頑張らないと。もうすぐ就職だからもっと技術を磨かないと。と己を磨くために勉学に力を入れる者で別れていた。
そんな夏休み気分で溢れ返る生徒達と打って変わって、とある場所にいる5人は暗い表情を浮かべながら教科書とノートに噛り付いていた。
そう当小説でもうおなじみになっている問題児達である。
5人は現在学園にある一般生徒が来ることはほとんど来ない地下に設けられている独居房に勾留されていた。
さて、話を戻して何故彼女達が教科書などに噛り付いているかと言うと、期末テストである。
憶えている人もいるかもしれないが、改めて説明すると彼女達は期末テストでまさかの全教科赤点を取ってしまったのである。
その為、再テストで赤点を無かったことにしようと必死に勉強しているのである。
「うぅ、これってどうやって解くのよ」
「それはこれですわよ」
「むぅ、シャル。このコトワザとはなんだ?」
「えっとそれは、この説明をすればいいと思うよ」
「……」
それぞれ四苦八苦しながら勉強を進めていた。彼女達が赤点を回避しようとしているのは無論成績も関するが、もう一つ重大の事の為だ。それは
「鈴さん、しっかり勉強してくださいまし。これで赤点を取ろうものなら確実に退学が決定してしまいますわ」
「分かってるわよ! あたしだってまだ学園に居たいのよ!」
そう怒鳴りながら教科書に噛り付く鈴。
彼女達は赤点を消そうとした最大の理由、それは政府に対し出来るだけ自分達の印象がこれ以上悪くならない様に赤点を回避し、まだ学園でやっていけるという印象を持ってもらおうとしているのだ。
彼女達は赤点を回避できれば学園に残れると思っているようだが、彼女達が起こした問題の数々の事を考えれば赤点回避したくらいで残れるとは思えないが。
さて、そんな問題児達の政府の役員たちはと言うと、頭を抱えていた。
・イギリス政府
イギリスの国会議事堂、ウェストミンスター宮殿の会議室には数人の男性が難しい顔を浮かべていた。すると扉を叩く音が鳴り響く。そして一人のシルクハットを被った初老の男性が入室してきた。
「おぉ、ロズウェル公爵お忙しい中来ていただき感謝します」
入室してきた男性に会議室に居た男性達は立ち上がり深々と頭を下げる。
「いやなに、旧知が困っていると聞けばすぐに来るさ」
そう笑みを浮かべつつ被っていたシルクハットを脱ぎ席へと着く。
それからほどなくして再び扉が開き黒服のスーツを着た男性達に警護されながら一人の女性が中へと入室してきた。
入って来た女性に部屋に居た全員席から立ち上がると胸に手を当てながら首を垂れる。
「お待ちしておりました、女王陛下」
「皆、集まっているようですね」
「はい」
返事を聞いたパトリシア女王陛下は会議室奥の真ん中の席へと着くと、部屋の中に居た政府高官達も席へと着く。
「ではまず今回IS学園からの苦情が来たことについてご説明させていただきます」
「お願いします」
パトリシアの言葉に政府役員が立ち上がり、説明を始めた。
役員が口にしたのはIS学園から届いたセシリア達がやってきた問題行動に関する苦情であった。その中にはこの苦情を送る決定打となった臨海学校の事も書かれていたが、無論銀の福音が暴走したことはトップシークレットの事の為、内容を臨海学校の訓練時にセシリア達がまた要らない事をして一夏に大怪我を負わせたとされていた。
「―――以上が、IS学園から送られてきた苦情内容です」
役員から説明された内容にその場にいた全員が険しい表情を浮かべ、パトリシアは手を組みながら目を閉じながら聞いていた。
そして役員の一人が口を開く。
「一体何を考えているんだ、オルコット嬢は!」
「全くだ。やはりまだあの歳で貴族の末端に座らせるべきでは無かった」
「はぁ、バーナード侯とモニカ嬢が生きておられたら、こんな事態をセシリア嬢は引き起こさなかったのでは……」
そう口々に漏らす役員たち。すると黙っていたロズウェルが口を開く。
「今更起きた事を憂いても仕方あるまい」
「た、確かにそうですが……」
「起きてしまった事を後悔するよりも、今後我々がどうすべきかを決めるのが最優先だと、私は思うがね」
そう言うと、パトリシアも肯定するように目を開き頷く。
「確かに、ロズウェル公爵の言う通りです。今は起きてしまった事よりもこの先我々が取るべき道を決めるのが先決です」
「畏まりました」
そう言い役員は気持ちを切り替え、今後の対応について会議を始めた。
・中国政府
中国、北京にある中国の国会議事堂、人民大会堂の会議室。此処もイギリス同様に重い空気が立ち込めていた。
イギリスと違うのはその場にいた役員のほとんどが、ある方向に向かって睨みつけている事だった。彼等の視線の先に居たのは中国の代表候補生や国家代表などの選出を担当している役員だった。
大勢の役員から睨まれている役員はもはやこの世の終わりの様な表情を浮かべながら、脚をガクガクと震わせていた。
「貴様、今回の失態を一体どうやって責任を取るつもりだ?」
「貴様が彼女は男性操縦者の幼馴染で、他国よりも優先に情報を入手できると言ったから、成績もいまいちだった彼女に専用機を渡して向かわせた結果こんなざまなんだぞ!」
役員達からの罵声や怒声に担当の役員はもはや青白い顔から土色に変わり、最早死んだような表情であった。
そんな表情になった役員に、議長である王議長は鋭い眼光を向ける。
「もういい。警備員、その者をこの部屋から連れ出してくれ」
そう言われ部屋に居た警備員たちは役員を両脇に腕を通し引き摺りながら部屋から連れ出していった。
連れ出された後、王は深く、重い息を吐く。
「皆、もうわかっていると思うが我々はある意味窮地に立たされている」
「どうしますか、王議長」
「どうするもこうするも、決まっている。鳳鈴音代表候補生には専用機の取り上げ及び、代表候補生としての地位剥奪。これは決定事項だ」
「そうですね。他は如何しますか?」
「まずは男性操縦者に対し詫び状と粗品を送れ。但し日本製のお菓子にしておけ。我が国のでも構わんが、相手にこれ以上不快な思いをさせる訳には行かん」
「分かりました。日本にある大使館に連絡し、準備させます」
「よろしい。では諸君早急に動きたまえ」
そう声を掛けるとゾロゾロと役員達は部屋から出て仕事に動き始めた。
・ドイツ政府
ドイツの連邦議会場では役員と軍上層部の者達が居た。政府側の役員達は大きく頭を抱え、軍側は青筋を浮かべながら不機嫌な雰囲気を醸し出していた。
「どうしてこうも問題ばかり起こるんだぁ」
役員の一人がそう零すと、他の役員達も重い息を吐く。
「これも
「何を! こっちにすべて丸投げしている癖にして何を言いやがる!」
「いい加減にしろ! お前達が怒鳴り合った所で解決するもんも解決できんだろうが!」
そう怒鳴り合う双方。
「それでボーデヴィッヒ少佐がこんな馬鹿な事をするようなった原因は一体なんだ?」
「どうやら部隊の中の一人が日本のオタクと言う文化にはまっているらしい。それで間違った知識を教えたらしい」
「その馬鹿の所為でこうなったと言う訳か!?」
「そいつは何者なんだ?」
「ボーデヴィッヒ少佐の部下で、副隊長のクラリッサ大尉だ。もう拘束して独居房に放り込んでいる」
「それ以外は大丈夫なのか?」
「……残念だが、シュヴァルツェア・ハーゼ隊のほとんどが、馬鹿の知識を刷り込まれた状態だった。その為部隊を解散させ、再度訓練学校からやり直しを言い渡してきた」
「部隊に可笑しな知識を蔓延させるとは、何を考えているんだそいつはぁ!」
自分達の国を守る為の軍隊の一部隊がそんな状態になっているとは知らなかった政府役員は頭を抱え天を見上げていた。
「と、兎に角我が国の兵士が大変な事を仕出かしたんだ。しかももうこれで3回目だ! 詫び状と謝罪金を出すしかない」
「そうだな。それと、ボーデヴィッヒ少佐の処分はどうするんだ?」
「軍部としては、これ以上彼女に部隊を預けておく訳にはいかないから、彼女の階級と専用機の剥奪、そして訓練兵として再度軍学校に入学させようと考えている」
「それが良い。それと! 常識の勉強をしっかりとさせておくんだぞ!」
そう叫びながら会議を進めた。
・フランス政府
フランスのリュクサンブール宮殿にはデュノア社の新社長であるマグダスと政府役員が会議室に集まっていた。
さて、マグダスと言う人物が何故デュノア社の新社長かと言うと、前任のシャルロットの父親とその後妻はシャルロットにスパイ行為をするよう指示をしていたが、確かな証拠が無かったため手が出せずにいた。だがある日、警察にデュノア社の汚職に関する証拠が垂れ込まれたのだ。その結果汚職に手を染めていた社長夫妻とその直近の部下達が逮捕されたのだ。
そして株主達は新たな社長として技術部の班長で、多くの社員から慕われている者を新たな社長として選任し就かせたのだ。
静まり返る会議室、最初に口火を切ったのは政府役員の一人であった。
「それで此度の件、一体どういたします?」
「どうするもこうするも、IS学園には謝罪と何かしらのお詫びの物を送るしかあるまい」
「そうだな。此処でしっかりと謝罪の意思を示さんと、我々も関与していると思われかねん」
「ようやく政府内に居たデュノア社と癒着していた奴を叩き出せたのに、何も関係の無い我々に矛先を向けられるわけにはいかんからな」
「うむ。して、デュノア社は何かしらの処分は下すのだよな?」
処分するよな?と若干の圧を加えながら問う政府役員に新社長のマグダスは首を縦に振る。
「無論だ。シャルロット・デュノアに対して企業代表の資格剥奪と、専用機取り上げを行うつもりだ」
「そうか。それを聞けただけでもよしとするか」
そう言い、今後の身の振り方についての会議を進めて行った。
次回予告
専用機持ち4人の政府に苦情が入れられてから数日後。
IS学園に政府役員がやってきた。
そして4人の処罰をどうするかの話し合いが始まった。
次回
会議
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS