女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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49話

学園が問題児達の政府に苦情を入れて数日が経ったある日。

IS学園に設けられている会議室に苦情を入れられた政府役員達が集まっていた。そして対面する反対側の席にはIS学園の学園長轡木と学年主任である千冬が座っていた。

暫しの沈黙の後、轡木が口を開く。

 

「では、話し合いを始めたいと思います。まずは政府側は今回のこちら側の苦情に対し、何か申し開き等はありますか?」

 

そう聞かれ、イギリス政府が最初に口を開く。

 

「いいえ、ありません。むしろ我が国の代表候補生がご迷惑をお掛けした事大変申し訳ございません」

 

「我が中国政府も同じくです。我が国の候補生選出担当官の言葉に踊らされたばかりに、そちらに多大なご迷惑をお掛けしたこと申し訳なく思っております」

 

「フランス政府及びデュノア社も、デュノア社の事でご迷惑をお掛けしたにも関わらず多大なご迷惑をお掛けしたこと誠に申し訳ございません」

 

「ドイツ政府も、Ms.織斑と弟様に数多くのご迷惑を掛けたにも拘らずまた再びご迷惑を掛けた事、大変申し訳ございませんでした」

 

そう言いながら各国役員達は千冬に向かって深々と頭を下げた。

 

「分かりました。して、今回のこちら側の苦情に対してそちら側はどういった処分を検討されるのかお聞かせいただいても?」

 

「はい、まずイギリス政府はセシリア・オルコットに対し代表候補生の地位剥奪、及び専用機の取り上げ。そして爵位…貴族としての地位の剥奪が決定したしました。並びに彼女の資産から今回の謝罪金を振り込まさせていただきます」

 

「中国政府も同じく鳳鈴音の候補生の地位剥奪、そして専用機の取り上げが決定。それと、此度の問題は我々政府にも問題があると考え、賠償金とお詫びの品をご用意いたしました」

 

「我々フランス政府、デュノア社もシャルロット・デュノアを企業代表から剥奪。そして専用機の取り上げを決定しました」

 

「ドイツ政府も度重なる問題行動を引き起こしたラウラ・ボーデヴィッヒを軍規違反として代表候補生の剥奪、及び専用機の取り上げ、更に現階級を剥奪し訓練兵に降格させました」

 

各国政府の処罰に対し轡木はなるほど、かなり重い物ですね。と思い、千冬は鋭い表情を浮かべたままであった。

 

「そちら側の処罰について分かりました。では学園側の処罰をお伝えします。織斑先生」

 

「分かりました。学園側としては4人が起こした数々の問題を踏まえた結果退学処分が妥当だと判断しております」

 

「そうですか。いや、そちらから送られてきた苦情内容などを考えたら妥当ですね」

 

「確かにそうですね」

 

「納得のいく処分かと思います」

 

3ヵ国が千冬の口から出た退学処分に納得している中、中国政府の役員は悩んだ表情を浮かべた後、スッと手を挙げる。

 

「申し訳ないが、発言しても宜しいか?」

 

「えぇ、構いませんよ」

 

「では、今から発言する内容はあくまでも政府上層部の願いでありまして、無理であるならばお断りしていただいて構いません」

 

「ほう、どういった内容でしょう?」

 

「はい、上層部は出来れば退学だけはご容赦願いたいと言伝を預かっております」

 

中国政府の役員から伝えられた内容に他の国の役員は驚いた表情を浮かべ、轡木は怪訝そうな顔を浮かべ千冬は険しい表情を浮かべる。

 

「それはまた、どういった理由でしょう?」

 

「はい。IS学園入学前に代表候補生やその候補生の候補を教育するために、各国の政府が運営する学校があるのはご存知ですよね?」

 

「えぇ、勿論」

 

頷く轡木。

役員の口から出た学校とは、各国の政府が運営するISについて学ぶ教育機関の事だ。其処では国家代表や代表候補生の選出から教育などを行うところである。

オルコットや鈴は此処で教育等を受けて代表候補生に選ばれIS学園へとやって来た。

この教育機関は政府つまり国が運営しており、その運営費は税金等が使われていた。

つまり…。

 

「今回の一件、万が一国民に知られれば……」

 

「政府の教育に疑問を抱かれ不信感を抱かれる。最悪抗議活動になると」

 

「それもありますし、国民だけではなく周辺国からも批難などを受ける可能性があります。そうなってしまえば、進行中の共同プロジェクトを外されたり中止されたり、さらに今後そう言った共同プロジェクトの参加を拒否されたりする可能性があるのです」

 

中国政府の役員が口にしたことに、現在欧州でおこなれている統合防衛計画『イグニッション・プラン』に参加しているイギリス、ドイツの役員の顔が青褪める。

それだけではなく、フランスも非常に不味い事態だと感じたのか同じく顔を青褪める。

 

「そう言った理由で、鳳鈴音の退学だけはご容赦願いたいわけです」

 

中国政府の役員が言い終えると轡木は他の国の人達の方に目線を向ける。

 

「他の方々はどうでしょう? 中国政府と同意見でしょうか?」

 

「…イギリス政府としては同じ思いです」

 

「…ドイツも、同意見です」

 

「…フランスも中国政府と同じ意見です」

 

そう返され轡木はそうですか。と返し暫し目を瞑って考えに更ける。そんな中千冬が口を開く。

 

「しかし、それはあくまでも出来たらの話ですよね?」

 

「えぇ、勿論です」

 

「だったら国の上層部には退学で決まったと――」

 

千冬はそう強く言っている途中で、

 

「織斑先生、お待ちを」

 

轡木がそう制した。

 

「学園長?」

 

「確かに退学となれば、色々と問題が起きるのは確かです」

 

「では!」

 

「しかし、彼女達がこのまま学園に居られますとまた問題を起こされる可能性が高い。いえ、ほぼ確実に起こすでしょう」

 

「それは…はい」

 

「其処でなんですが、彼女達を隔離校舎に異動させるのはどうでしょう?」

 

「「「「はい?」」」」

 

「はぁ!?」

 

政府役員達は轡木の言葉に怪訝そうな顔を浮かべ、千冬は驚愕の表情を浮かべた。

 

「学園長、何を仰られるのですか! 奴らが学園に残せば問題を起こすのは確実だと先ほど仰られたではありませんか!」

 

「えぇ言いました。しかし先程言った通り隔離校舎に異動させるのです」

 

「そんな場所一体何処に?」

 

「織斑先生がご存知ないのは無理有りません。この学園が建てられるのと一緒に作られた建物なんですが、使われる事はほぼ無く、結局倉庫みたいな形で放置されている場所ですからね」

 

「倉庫…。ッ!? あの場所ですか? 学園奥のレンガ壁で覆われた」

 

「えぇ其処です」

 

「あの、その隔離校舎とは一体何なのですか?」

 

「このIS学園には色々な国の者が学びにきます。その中には集団での行動に馴染めず暴れ回る生徒が居るかもしれないと当時の日本政府が思い、そういった生徒を隔離し勉強を教えつつ社会に出ても大丈夫な性格になるよう教育するために建てられた物です。まぁ、結局そういった生徒が来る事は数年に一度くらいで、隔離教室で間に合いましたので結局使われ無くなった建物です」

 

「な、なるほど、そんなものがあったとは」

 

「はい。しかし如何せん使われず倉庫代わりにしていた場所ですので、建物の補修等が必要です。それとこの校舎を使うにも電気や水道等を使えるようにしないといけません」

 

轡木の言葉に政府役員は何が言いたいのか理解した。

 

「……分かりました。すぐに上層部に確認いたしますのでしばしお時間を頂きたい」

 

「分かりました。ではご連絡をお待ちしております」

 

そう言い政府役員達は頭を下げた後一人ずつ退室して行った。

そして役員達が退室した後千冬が口を開く。

 

「学園長、本気で奴らを残すのですか?」

 

「不本意ではありますが、織斑君の安全を考えたら致し方ありません」

 

「どういう事です?」

 

「彼女達を退学させた場合、彼女達を監視しておく者が居りません。そうなれば彼女達は織斑君に会う為だったらどんな手段を取るか分かりません」

 

「其処までの知識があるとは思えませんが…」

 

「確かにそうかもしれませんが、要らぬ物を渡そうとする連中が居るでしょう」

 

轡木がそう言うと千冬の眉間にしわが寄る。轡木が言った連中とは女尊男卑の者達だと。

 

「……確かに奴らも使えるものだったら何だって使う連中ですからね」

 

「えぇ。だから監視もでき、隔離させておける場所に置いておけば彼の安全は保障されます。無論彼女達が脱走何て出来ない様厳重な警備にしておきますがね」

 

「そうですね、それが良いです」

 

 

 

そして翌日イギリス、中国、フランス、ドイツ政府は隔離校舎運営の為の資金提供に同意したのだった。




次回予告
処罰が決定し、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、そして箒は教師部隊に連れられ隔離校舎へと連れられてきた。
何故箒もいるのか、そして隔離校舎とは一体どんな場所なのか?

次回
隔離校舎

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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