女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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51話

夏休みが始まって数日。一夏は伊田と千冬、そして

 

「いやぁ、何時も悪いな真司」

 

「別にいいよ。俺も偶には一人よりも大勢でキャンプとかやりたいからな」

 

そう言いながら近くに停められているジープに荷物を載せ荷崩れ防止用のネットを掛ける真司と呼ばれた茶髪の男性。

 

「真司さん何時もすいません」

 

「なぁに良いって事よぉ。てか、久しぶりに会うが一夏君、前より女性に少し慣れたって?」

 

「はい。でも、まだ少し怖いですけど…」

 

「いいさ、いいさ。少しずつ治せばいいさ。焦った所で進むもんも進まんさ」

 

そう言い笑みを浮かべる真司。

すると一台のハイエースがやって来た。そして運転席から幸平、そして後部座席からぞろぞろと料理研究部の生徒達が降りてきた。

 

「すいません、遅れてしまいました」

 

「いや、まだ時間的に余裕はありますよ」

 

千冬がそう言っていると

 

「すいません、遅くなりました!」

 

「遅れてすいませぇん!」

 

そう言いながら駆けてきた本音と、本音と同じ髪色でポニーテールにした一人の女性。

 

「いや、問題無いぞ。布仏姉も今日は良く来れたな」

 

「はい。前当主が私に働き過ぎだとおっしゃられて、暫く休みを頂いたんです」

 

「なるほどな」

 

千冬は頭の中に浮かぶ一人に対し呆れた思いを抱く。

 

「セレスさん達もおはようございます」

 

「やっほ~、虚さん」

 

「今日はよろしくね」

 

そう挨拶を交わしていく虚。すると虚は一夏が居る事に気付く。

 

「えっと、初めまして。織斑一夏です」

 

「初めまして、織斑君。本音の姉の虚と言います。何時も妹がご迷惑を掛けて御免なさいね」

 

「い、いえ。何時も助けて貰ったりして貰ってるので、むしろ此方の方が迷惑かけてないか、心配で」

 

「そんな事は無いわよ。何時も生徒会室で、織斑君の事楽しそうに話してるから」

 

「そ、そうですか」

 

虚の言葉に一夏は照れた表情を浮かべ、本音も顔を赤く染めながら

 

「もぉお姉ちゃんなんで言うのさぁ!」

 

とポカポカと効果音がなってそうな感じで虚を叩いていた。

和やかな雰囲気が流れている中、幸平が疑問に思っていた事を口にする。

 

「所でそちらの男性は?」

 

「あぁ、コイツは俺の弟の」

 

「真司って言います」

 

「大学で山岳部に入っていて、今は山岳ガイドをやっているんです。その為山の事やキャンプに関する知識は豊富なんです」

 

「そうですか。私、IS学園料理研究部顧問の幸平エリカと言います。キャンプに関する知識は書籍等を閲覧した程度なので、色々とご指導いただくと助かります」

 

「構いませんよ」

 

「ありがとうございます。ほら、皆も挨拶!」

 

『本日はよろしくお願いします!』

 

「おう、任せな」

 

「それじゃあ早速出発しますか」

 

洋一がそう言うと真司が運転するジープには洋一、一夏、千冬が乗り、ハイエースには幸平と料理研究部、そして布仏姉妹が乗り込み出発した。

ジープを先頭にハイエースが後に続き、暫く走り続け都会から離れた森林のキャンプ場へと到着した。

それぞれ車から降りると積み込まれていた荷物等を下ろし、それぞれテントを設営していく。

テントを建て終えると真司が荷物から複数の釣り竿を取り出す。

 

「このキャンプ場に流れている川で魚が釣れるんだ。夕飯の材料にしたいから釣りに行く人?」

 

「因みにだけど、一夏君と俺は自前の釣り竿で釣りに行くよ」

 

真司と洋一の言葉に料理研究部の面々はどうすると話を始め、暫くして

 

「それじゃあ頼んだわよ」

 

「えぇ、任せて」

 

「うむ!」

 

「おっきいの釣って来るわぁ」

 

「任せて下さい!」

 

3年の稲葉と2年の神崎と1年の狗山とニコラスが選ばれ釣り竿をもって一夏と洋一と共に川へと向かって行った。

 

「それじゃあ残った俺達はそれぞれ夕飯の準備に取り掛かろうか」

 

『はい!』

 

真司の言葉に残ったセレス達が返事をし、それぞれ持ってきた保冷箱から食材などを取り出し料理を始める。

そんな中、虚は調理するセレス達から離れ焚火などの準備を始めようとすると、真司が口を開く。

 

「あれ、布仏さんは料理しないのですか?」

 

「実はお恥ずかしい話、私料理が苦手で…」

 

「あぁ、なるほど。それじゃあ自分が教えましょうか?」

 

「え? いや、そんな良いですよ。本当に簡単にできる様なことも出来ないので…」

 

そう言い申し訳なさそうに断る虚。すると本音が

 

「お姉ちゃん、教えてもらったらぁ?」

 

「本音?」

 

「お母さんもお姉ちゃんが料理できない事に悩んでいる事ずっと気にしてたし、この際料理できるようになってたらお母さんも安心するし、将来の相手の人も手料理食べさせてあげたいでしょ?」

 

「た、確かにそれはそうだけど…」

 

悩む虚に真司が言葉を掛ける。

 

「自分もそれが良いと思いますよ」

 

「どうしてですか?」

 

虚の言葉に真司は照れ臭そうに頭を掻きながら返す。

 

「実は自分も料理が苦手だったんです。それも超が付くほどね」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「えぇ。最初の頃は別に料理なんて出来なくても良いと思ってたんです。でもある時に友人達とキャンプに行った時に言われたんです。『別に料理なんて見た目じゃない。味が良ければ見た目なんてどうでも良いんだよ。だから作ってみろって』ね。それでそのキャンプで初めて包丁を握って料理をしたんです。で、出来上がった料理は見た目はもう最悪でしたよ。形が不揃いな肉や野菜。焦げかけの焼き魚だったりと見た目は最悪でした。けど、友人達はそれを旨いと言って食ってくれたんです。それから俺はもっと旨い飯を友人達と食べたいと思って料理の勉強をやり始めたんです」

 

「そんなことが…」

 

「えぇ。だからこういったキャンプでの料理はいい練習になると思いますよ。だって見た目なんて気にしなくても旨ければそれでいいんですから」

 

ニヤッと口角を上げながら笑みを見せる真司に、虚は暫し考えた後

 

「…分かりました。その、真司さん料理を教えてもらっても良いですか?」

 

「えぇ、構いませんよ」

 

そう言い真司と虚は調理をしているセレス達の元に向かっていく。

その後姿に本音はニコニコと笑みを浮かべていた。

 

「上手く行ったみたいだな」

 

タンクに飲み水を汲みに行っていた千冬がそう本音に声を掛ける。

 

「えへへへ、はい」

 

「料理苦手は私も同じだったからな」

 

「先生もですか?」

 

「あぁ。だが私も洋一からだが、見た目に拘らず美味い物を作るを意識すればいいって言われて少しずつ練習したおかげである程度料理は出来るようになったからな」

 

「へぇ~、そうだったんですかぁ」

 

「あぁ。さ、駄弁っていないで一夏達が釣ってくる魚を調理出来るよう準備を始めよう」

 

「はい!」

 

一夏達が釣りに行って数時間後、洋一たちが笑顔を浮かべながら帰って来た。

 

「おぉ~い、戻ったぞぉ!」

 

「あ、お帰りなさい伊田先生! どうでした?」

 

「いいサイズのイワナにヤマメが釣れたぞ」

 

「結構釣れましたね」

 

「そうやなぁ」

 

「楽しかったです!」

 

「此処の山の川は綺麗じゃったのぉ」

 

「本当に、綺麗な川でした」

 

稲葉たちがそう感想を零しながらクーラーボックスの中身を見せる。中にはイワナやヤマメが十数匹と入っていた。

 

「おぉ、活きの良さそうなイワナだぁ」

 

「本当ですわね」

 

イワナやヤマメの姿にそう声を漏らすセレスと藤條。するとアメリアが思った事を口にする。

 

「そう言えば川魚の刺身はあまり食べた事がありませんわね」

 

「あ、そう言えば確かに」

 

アメリアの言葉にセレスが同意するように口を開く。

すると真司がその訳を口にする。

 

「川魚の刺身は専門店じゃないとまず無いな」

 

「どうしてですか?」

 

「川魚の身には寄生虫が一杯いるんだ。だから加熱するなりして寄生虫を殺してからじゃないと食べられないんだ」

 

「そうなんですか。ですが、鮭はどうなんですか?」

 

「あ、確かに鮭って川魚ですもんね」

 

「確かに鮭も川魚だ。けど、普段寿司や刺身用のパックに入っているのはサーモンって呼ばれる養殖の鮭なんだ。日本だと自然で取れた物を鮭と呼んで、養殖された鮭をサーモンって呼んでいるんだ」

 

「へぇ~、そうだったんだぁ」

 

真司の豆知識に料理研究部の面々はなるほどぉと為になったと言った表情を浮かべていた。

 

それから釣って来た魚をそれぞれ内臓を取り出し、持ち易い様に串を刺していく。

 

そして

 

「それじゃあ――」

 

『いただきまぁす!』

 

真司の言葉に皆声を揃えて言うとそれぞれBBQコンロに乗っている肉や野菜、川魚に手を付ける。

 

「うぅ~ん、このイワナ美味しい」

 

「そうね、良い感じに脂とかが乗っているから美味しいわね」

 

セレスや稲葉は焼き魚に舌鼓を打っていた。

 

「お肉が良い感じに焼けていて美味しいぃ!」

 

「そやなぁ」

 

「うむ、炭で焼いたというのもあってか、程よく脂が落ちていて旨いのぉ」

 

「そうね。こう皆でワイワイと食べるのもいい物ね」

 

ニコラス達はそれぞれ持ってきた肉を焼いており、自然の中で食べる肉にお店で食べるのとはまた違う美味しさに舌鼓を打っていた。

 

「織斑先生、幸平先生。何かお取りしましょうか?」

 

「む? それじゃあ済まんが、其処の焼き魚を一つ頼む」

 

「私はおにぎりをお願いね」

 

「分かりましたわ」

 

「はい、一夏君」

 

「あ、ありがとうございます」

 

千冬達教師陣もそれぞれ火の守を行いつつ楽しむ生徒達に笑顔を浮かべてみていた。

そして本音と虚はと言うと

 

「肉、肉、肉ぅ♪」

 

「こら本音! 野菜も食べなさい!」

 

虚が肉ばかり食べる本音を叱っていた。その光景に皆笑いながら見つめ、和気藹々と言った雰囲気となった。

それからコンロや道具などを片付け、他のキャンプ客の邪魔にならない場所に移動し、其処で持参した花火で遊び、その後それぞれテントに戻りその日を終えた。

 

 

 

因みにメサはと言うと

 

【博士ぇ! 貴女どうしてこんな部屋が汚くなっているんですかぁ! 前に掃除した時以上に汚くなっているじゃないですかぁ!(# ゚Д゚)】

 

「しょうがないじゃ~ん! いっくんに渡すプレゼントの案がポンポンと出て来て色々手を付けたらこうなっちゃったんだもぉん!」

 

【それでも酷過ぎでしょうがぁ!】

 

束の隠れ家で束に説教していた。

何故メサが束の隠れ家に居たかと言うと

 

「もうメンテは終わったんだし、早くいっくん達のキャンプ場に行こうよぉ」

 

【この部屋の状況をそのままにはしておけません! (#^ω^)】

 

そう、メサのメンテナンス日だったのだ。

しかしメンテナンスは直ぐに終わるような内容だったのだが、メサが束の部屋を見た瞬間お掃除モードに切り替わってしまったのだ。その為朝から陽が沈んだ夜までずっと掃除をしていたのだ。

 

【ほら、博士も手を動かしてください! 早くしないとキャンプに行けませんよ!】

 

「うわぁ~~ん! ちーちゃん! よーくん! しんくん! いっくん! たすけてぇ~~~~!」

 

束の叫びが木魂しながらも夜は更けていくのであった。

 

 

 

人物紹介

伊田真司(容姿:HSD×Dの一誠からスケベを無くし、男前度を上げた感じ)

伊田洋一の弟。兄洋一と違い医療の道ではなく山の道を進んだ。

山が好きで山やキャンプに関する知識は豊富で、よくソロキャンプをしている。

山岳ガイドの仕事を生業にしており、多くの登山客から慕われている。




次回予告
キャンプ2日目に束とメサと合流し、一夏達はキャンプを楽しみ始める。
そして遊んでいる最中に、アイラも登場し一同驚愕。
そこで一夏とアイラの出会いの話が語られる。

次回
ファーストコンタクト

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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