女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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58話

学園祭の説明会を終え、教室へと戻ってきた一組の女子生徒達。

生徒達の顔は皆、苛立ちの募った表情を浮かべていた。

何故苛立っているのか、それはもちろん前話で学園の生徒会長、更識楯無が突如一夏の身を賭けたイベントを開くと宣言したからである。

一夏の事を何も考えていない。いや、そもそも人を賭け事の商品のような扱いをする生徒会長に皆、ぶちぎれていたのだ。

 

「皆、それでどうする?」

 

「決まってるじゃない。あの生徒会長の思い通りになんかさせないわよ」

 

「じゃあやることは決まったね」

 

その言葉に生徒たちは皆頷く。

 

“あの生徒会長や他のクラスなんかよりもすごい出し物をする!”と。

 

皆が決心を固めていると、教室の扉から千冬と真耶が中へと入ってきた。

2人が入ってきたことに気付いた生徒の一人が口を開く。

 

「織斑先生! あの生徒会長のイベント、どうして止めなかったんですかっ?」

 

「そうです! あんなひどいイベントを、どうして?」

 

と口々に言う生徒達。真耶は困った表情を浮かべ、千冬は眉間にしわを寄せながらも口を開く。

 

「言い訳にしか聞こえんが、我々教師側もまさか奴が織斑を景品にするとは知らなかったのだ」

 

「では、イベントをするのは知っていたのですか?」

 

「あぁ。奴は先に学園長に今回のイベントの事は話していた。だが、景品に関しては豪華景品としか書いておらず、織斑とは書かれていなかった。オマケに教師が介入されないよう色々と書いていて、学園長の許可ももらっていた為我々も手が出せなかったんだ」

 

イラついた様子を見せる千冬に生徒達はそこまで入念にしていたのか。と楯無に対し更に恨みを抱く生徒達。

すると教室の扉がノックされ数人の生徒達が入ってきた。

 

「失礼します」

 

「3年のセレスティーナか。それに、お前たちは…」

 

「はい、料理研究部の上級生です」

 

そう、一夏が所属している料理研究部の上級生達であった。

 

「で、どうした?」

 

「はい、私達料理研究部上級生は1年1組と合同で出し物をしたいと考え、参った次第です」

 

「「「「!?」」」」

 

セレスの言葉に1組の生徒達は驚いた表情を浮かべ、真耶も同様に驚愕の表情を浮かべていた。

千冬は特に驚いた様子は見せず、真剣な表情で問う。

 

「その意見はこの場にいる料理研究部上級生全員の意思か?」

 

「「「「「はい」」」」」」

 

「織斑君は最初は怯えながらも私たちの部活に参加していましたが今は楽しく参加しているんです」

 

「そうじゃ。織斑が作る料理は美味しく、そして人を笑顔にさせる料理じゃ」

 

「織斑君は私達料理研究部にとって大切な後輩で部員です。それを勝手に移籍させるなど言語道断です」

 

「そうか、わかった。それじゃあ「待ってください!」 ん?」

 

突然待ったの言葉が響き、全員声がしたほうに顔を向ける。上級生たちの後ろから現れたのは

 

「私達も手伝います!」

 

「織斑君は、同じ部活の同期やから、こんな形で奪われるなんて許せへんので私達も力貸します」

 

と、ニコラスとあおいが現れた。

 

「え? でも二人は他のクラスだから出し物とかが「その辺は大丈夫や。出し物でそれなりのサービスするから許してって言うたらOKもらえたさかい」そ、そうなんだ」

 

「では料理研究部全員が一組と合同で出し物をするってことでいいか?」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

千冬の問いに1組、そして料理研究部部員全員が返事をする。すると固まっていた真耶が我に返り、慌てて口を開く。

 

「ま、待ってください織斑先生! 勝手にそんなことして大丈夫なんですか?」

 

「山田先生、別に部がクラスと合同で出し物をしてはダメとは言われていないだろ?」

 

「そ、そうかもしれませんが、勝手に決めては「山田先生」は、はひぃ!」

 

なにも、問題はない。良いな?

 

「はひぃいぃぃい(´;ω;`)」

 

千冬からの圧に真耶は有無を言わせず首を縦に振り、結果一組と料理研究部の合同出し物が決まった。

すると、ガラガラと扉が開く音が鳴り響きモッフ達が中へと入ってきた。それに続いて一夏もその中へと入ってきた。

 

「あ、あれ、どうしてセレス先輩たちが居られるのですか?」

 

「実は料理研究部と1組との合同で出し物しませんかって提案しに来たの」

 

「そ、そうだったんですか。…あれ? でも確か学園祭の出し物は主に部活だけと聞いてたんですけど…」

 

「あぁ、えぇと…」

 

言葉に詰まるセレス。それもそのはずだ。今年は楯無が《傍迷惑》企画で1年のクラスも出し物が出せて、しかも優勝クラスは一夏が移籍するなど言えるはずが無かった。

言葉に詰まるセレスに千冬が口を開く。

 

「今年は例年より生徒の人数が多いという事で、1年生にも出し物を出そうってことで決まったんだ。で、料理研究部のセレスが織斑が居るこのクラスで一緒に出し物をしたら面白いだろうと考えて、提案してきたんだ。で、クラスのほぼ全員が賛成していてな。織斑はどうだ?」

 

千冬の問いに一夏は暫し考えた後、コクリと頷く。

 

「ぼ、僕もそれで賛成、です」

 

「わかった。それじゃあ正式に決定したことだからどういう出し物をするか決めるぞ」

 

そう言い千冬は生徒達に座るように指示する。料理研究部たちは後ろの方で立ちながら話を聞く。

教壇にはクラス代表の一夏と、副代表の本音が立ち、千冬たちは窓際で会議の様子を見守っていた。

 

「で、では1組と料理研究部の合同出し物を決めるのですが、その、料理関係でもいいでしょうか」

 

一夏はそう聞くと、皆は

 

「料理研究部と合同にするならそれが良いよね」

 

「確かに。料理研究部に料理を出してもらって、私達が配膳や呼び込みとかが良いかな?」

 

「だね。私達も料理は出来るけど…」

 

「研究部の人達と比べたらね」

 

と言った感じで一夏の案が良いといった感じであった。

そして本音が口を開く。

 

「それじゃあ料理関係の出し物って事で良いぃ?」

 

「「「「うん」」」」

 

方針が決まり、一夏はチョークをもって背伸びをしながら黒板に料理関係と書く。

 

「それじゃあどういった感じに提供するかだよね」

 

「そうだね。ただ普通に提供するだけじゃあ、ただの料理屋さんだし」

 

「こう、見て楽しいといったものが良いよねぇ」

 

「じゃあどんなのが良いんだろう?」

 

と悩む生徒達。これには料理研究部の部員達も悩み全員悩んだ表情を浮かべていた。一夏もどうしたらいいんだろう。と目を閉じて考え込む。その隣にいた本音もどうしよう。と悩む。するとふと一夏の方を見た瞬間、

 

「あれ、何処かで見た顔…」

 

と、一夏の困り顔を何処かで見たようなと、別の悩みを浮かべる本音。しばし思い返していると思い出したのかあっ!と声を漏らす。

 

「本音さん、何かいい案が浮かんだんですか?」

 

「サモエド犬だ」

 

「はい?」

 

一夏の問いに本音が口にしたのは犬種の名前だった。突然の事に一夏はぽかんと言った表情を浮かべ、生徒達もはい?と言った呆けた顔を浮かべていた。

 

「本音、なんでサモエド犬?」

 

「え? いやぁ、イッチーの悩んだ表情がなんか、イッチーと一緒に行った動物園で見たサモエド犬に似てるなぁと思ってぇ」(∀`*ゞ)エヘヘ

 

と照れた表情で言う本音。その姿に生徒達は苦笑いにもう、本音ったらぁと呆れ顔を浮かべるのであった。そんな中、アメリアが何か閃いたのか顔を上げる。

 

「そうよ。コスプレよ」

 

「? コスプレ、ですか?」

 

「そう。制服で提供したりするよりもコスプレの様に楽しそうな姿で提供したらいい宣伝になるんじゃないかしら?」

 

「なるほど。確かに、集客目的ならそれなりに目立つものが良いわよね。流石大企業のご令嬢!」

 

「ふん、このくらい朝飯前よ」

 

「それじゃあどういうコスプレにする?」

 

「うぅ~ん。あ! 動物を取り入れたものはどう?」

 

「つまり、アニマルコスプレって事?」

 

「そうそう。猫耳や猫尻尾をつけて、メイド服だったり、巫女服を着るの!」

 

「それは確かに面白そうだね。でも…」

 

困惑した表情を浮かべる生徒。案を出した生徒はその姿に首をかしげる。

 

「どうしたの?」

 

「このクラス全員分の衣装をどこから調達するかだよ。私達あんまりお金がないよ。自前の物なんてないし」

 

「あ。それもそっかぁ」

 

良い案だと思ってたのにぃ。と零す生徒。するとアメリアが手を上げる。

 

「だったらうちで用意するわ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

アメリアの突然の言葉に生徒達は驚いた声を上げアメリアの方に顔を向ける。

 

「出来るんですか?」

 

「えぇ。事前に全員の採寸をしてどんな衣装を着たいのか要望を出してくれれば、用意はできるわ」

 

「「「「おぉぉ!」」」」

 

アメリアの説明に全員感銘を受ける中、一人の生徒が疑問が浮かんだのか口を開く。

 

「あのアメリア先輩。服ってどうやって用意するのか聞いてもいいですか?」

 

「私が経営している企業の一つにコスプレ専門の服飾業者が居るの。其処だったら多種多様な服があるから問題ないわ。使い終えたらこちらで回収するしね」

 

「それだったら、良いかも」

 

「うん!」

 

全員これで決まりだぁ。という雰囲気の中、神崎が口を開く。

 

「おぬし達、決まるのは良いが、織斑のは衣装はどうする?」

 

「「「「「あ」」」」」

 

と肝心なことを忘れていた生徒達。当の一夏もそうだった。と忘れていたといった表情を浮かべていた。

するとモッフ(32号)がタブレットを突如一夏に差し出す。一夏はそれを受け取ると、画面には

 

『やっほ~~~いっくん!』

 

「た、束お姉ちゃん?」

 

束が笑顔を浮かべながら画面に映っていた。

 

『話は聞かせてもらったぜぇ! いっくんの衣装はこの束お姉ちゃんが作ってあげるから楽しみに待っててねぇ!』

 

「で、でもお姉ちゃんたいへんなんじゃ?」

 

『ふふん! 束さんの手にかかれば、いっくんの衣装なんてものの数日で完成できるぜ! それじゃあいっくんに似合う良い感じの衣装づくりをしないといけないから切るねぇ。バイビー!』

 

そう言い束とのテレビ電話が終わった。

そしてタブレットをモッフに返し、一夏はみんなの方に顔を向ける。

 

「あの、束お姉ちゃんが用意出来るとのことです」

 

一夏の言葉に全員は

 

「良かったぁ。織斑君の分もあって」

 

「まぁ、うちで用意するよりは信頼できるところで用意してもらった方があなたにとっては良いわよね」

 

と和やかな雰囲気になる中、全員の心中では

 

 

(((((篠ノ之博士! 可愛い感じの服お願いします!))))))

 

と願うのであった。

 

その後、様々な話し合いを終えると時刻は放課後となっていた為その日は全員解散となった。

 

 

その日の夜、人気のない階段の踊り場で本音はある所に電話をかけていた。

 

「それでどうして会長はあんな企画を出したのぉ?」

 

『生徒間の結束を固めるため。お嬢様はそんなことを言っていたけど、実際は自分が楽しむためとしか思えないわ。はぁ~』

 

と電話の向こうにいる人物、虚は重い溜息を吐く。

 

「お姉ちゃんにも景品の事は知らせなかったんだね、会長はぁ」

 

『えぇ。私も豪華景品としか聞いていなかったから、まさか当日に織斑君が景品だなんて知らなかったわ。すぐに取り消すべきだって言ったんだけど、聞き耳を持ってくれないし、もう嫌になってくるわ』

 

「あんまり根を詰め込めすぎないでねお姉ちゃん」

 

『えぇ、ありがとうね本音。私も直接は難しいけど、出来るだけ力は貸すから、頑張りなさい』

 

「うん」

 

そう言い電話を終える本音。

そして部屋に戻ろうとしたところで

 

「やっぱりあの企画はあの人の独断だったんだね」

 

と陰から現れた人物。本音は突然現れた人物に驚き顔を向けるとそこにいたのは

 

「か、かんちゃん?」

 

自身の幼馴染、簪が其処に立っていた。

 

「ど、どこから聞いてたの?」

 

「ほとんど最初から」

 

「そ、そうなんだ…」

 

そう言い困った表情を浮かべる本音。すると簪はテクテクと本音の前にやってくる。

 

「本音」

 

「な、なに?」

 

「本音のクラスは何をするの?」

 

「えっと、軽食屋さんだけど…」

 

「そう。……私もクラスの子たちを何とか誘って行くわ」

 

「え?」

 

突然の言葉に本音は驚いた表情を浮かべ、簪を見つめる本音。

 

「だって、織斑君は本音にとって大事な友達なんでしょ? だったら少しでも優勝できるよう手伝うわ」

 

照れながらいう簪に本音は呆けた顔を浮かべていたが、段々と意味を理解したのは笑顔を浮かべながら簪に抱き着く。

 

「ありがとうかんちゃん!」

 

「べ、別にいいよ。ほら、そろそろ帰ろ。門限ぎりぎりだから」

 

「うん!」

 

そう言い本音は簪と共にそれぞれの部屋へと帰っていった。

 

 

そして同じく寮長室の千冬はと言うと

 

「すまんな束。我慢を強いらせて」

 

『別にいいよぉ。ガチギレしてあの小娘をコロコロしてやろうと思ったけど、そんなことしたら学園祭が中止になる恐れがあったからね。せっかくいっくんの初めての学園祭がそんな形で終わらせたくないからね』

 

そう言いながらもどこからしら苛立ちがある様子を見せる束。

 

『まぁ、このイライラはいっくんの写真を見ながら晩酌したらどこか消えていくから良いけどね』

 

「そうか。まぁほどほどにしておけよ。じゃないと一夏の奴がお前がたくさん酒を飲んでいるとか思われるかもしれんからな」

 

『分かってるってぇ。飲みすぎ注意、ほどほどが一番ってね』

 

それじゃあバイビー!と言って電話を切る束。スマホをしまうと千冬も、私も少し飲むかと言い、ノンアルの梅酒を出してそれを氷の入ったグラスに注ぎ口に運ぶ。

 

「ふぅ~。今年の学園祭は無事に終えてくれればいいんだがな」

 

そんなことを祈りながら千冬は2口目をつけるのであった。




次回予告
1組と料理研究部の合同での出し物が決まり、着々と準備が進んだある日。
料理研究部は出す料理を作り上げていた。

しかしこれが学園を巻き込む大騒動の始まりのきっかけだった。

次回
戦場になる学園~前編~

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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