説明会から数日が経ったある日の事。
あの日から料理研究部と1組の生徒達は出し物が決まってからクラスの内装をどういった感じにするかとか、出す料理をどうするかなど話し合いが行われ着々と準備が進められていた。
出す料理については料理研究部がそれぞれアイデアを出し、簡単に調理ができる上に1組の生徒でも簡単に盛り付けが可能な料理にしようと事で決まった。
そして今日がその出す料理の試食会の日であった。
料理研究部の子たちはそれぞれ担当を決め、セレス達3年生はサンドイッチなどの洋食、神崎達2年生は和食。一夏達1年生はデザートで決まった。
お昼ご飯に試食会を行う為、一夏達料理研究部は朝学校に来たと同時に家庭科室に集まって試食用の料理を作っていた。
学園祭の準備期間の為、授業はほとんど無く、あっても1,2時間の座学の為朝から一夏達は料理作りにいそしむことができたのだ。
セレス達3年生達はレタスとトマトとハムをはさんだシンプルな物や、チーズやベーコンをはさんだ食べごたえありのサンドイッチを作ったりしていた。他にも熱々を食べてもらう為にパンケーキの元を用意などもしていた。
神崎達2年生はおにぎりやお味噌汁、そしてこちらも熱々を出せるようにとうどんやそばの準備をしていた。
そして一夏達1年生はシフォンケーキやホットケーキなどのデザートにテイクアウト用のプリンやクッキーが入った物を作っていた。
「よし、こっちは大体できたわね。神崎さん達の方はどう?」
「こちらもおおよそできたぞ」
「そっか。織斑君たちの方はどう?」
「は、はい。こっちもできました。」
そう言いながら一夏は
「えっと、デザートはプリンとシフォンケーキ、ホットケーキの3つだっけ?」
「あとはお持ち帰り用のプリンとクッキーです」
「おぉ。豪勢な感じだけど、織斑君大丈夫? 疲れたりしてない?」
「その、全然大丈夫です。料理を作るのは楽しいので、全然苦じゃないです」
そう言いはにかみながら笑みを見せる一夏。その姿にホッとなるセレス達。するとニコラスがあるものを見つける。
「あれ? ねぇねぇ織斑君、このシールが貼ってる奴ってなにぃ?」
ニコラスが見つけた物、それは小さな箱が3つほどあった。その箱にはそれぞれ雪の結晶、フライパン、眼鏡のシールが貼られていた。
「そ、それは先生達用に用意したお菓子です。試食会に参加できないって言ってたので、それだったらせめてデザートだけでもとも思って、余った材料で作っておいたんです」
「そうだったんだ。相変わらず優しいね織斑君」
優しい表情でセレスがそう言うと、周りにいた皆もうんうん。と同意するように頷き、一夏は頬を染めながらうつむく、その後後片付けが終えるとセレスが口を開く。
「さて、それじゃあこの後授業があるから皆一旦解散ね。お昼になったら1組の生徒達と此処に合流ね」
『はい』
「それじゃあそれぞれ教室に帰りましょうか」
そう言うと皆席を立ち家庭科室から出ると、セレスが家庭科室に鍵をかける。
「セレス、カギは大丈夫?」
「うん。窓の鍵も大丈夫だし、扉には料理研究部使用中ってポスター貼ってあるから他の人達が使う心配はないかな」
「そう。それじゃあ教室に行きましょうか」
稲葉がそう言うと、セレスはえぇ。と返し皆それぞれ自分たちの教室へと向かって行った。
そして時間は飛び、お昼休み。
チャイムが鳴り響くと皆手早くノートや教材などを片付ける。
「さて、それじゃあ家庭科室にいこっか」
「そうだね。もうおなかペコペコだよぉ」
「私もぉ。朝ご飯少し少なめにしてたから、待ちきれなかったぁ」
みな朝を少し抜いたりなど、おなかをすかせていた。
「おなかすいたねぇイッチー」
「はい。皆さんが満足できる料理だと思うので、楽しみにしていてください」
「そりゃあ料理研究部総出で作った料理でしょ? そんなの楽しみ以外ないでしょ」
「うんうん」
本音、相川、鷹月の三人と共に移動していた一夏はクラスのみんなが笑顔で楽しみにしている姿に少し安堵した表情を浮かべながら家庭科室へと向かう。
途中でニコラスやあおい達とも合流した1組の生徒達は遂に家庭科室前へと到着すると、それと同着するようにニコラス達3年と神崎達2年生も集まった。
「あら、丁度いいタイミングね」
「そうね。それじゃあカギをっと」
そう言いセレスは懐からカギを取り出し鍵穴にさす。そしてロックを解除しようとするが
「あれ?」
「どうしたの?」
「鍵が開いてる」
「え?」
稲葉の質問にセレスは返しながらカギを抜き、取っ手に手をかけ横に引く。すると扉が少し開く。
「可笑しいわね、カギはかけたはずなのに」
「えぇ。それは私も見てたし、皆も見てたわよね?」
稲葉が問うと、料理研究部の面々はうん、と同意するように頷く。
「それじゃあなんで開いてるの?」
全員が疑問符を浮かべている中、先に動いたのは一夏の護衛であるモッフ達だった。
モッフ(34号と9号)は銃の安全装置を解除し、プラカードを見せる。
【何者かが侵入した形跡があると見た。我々が安全を確認するまで少し離れていてくれ】
「わ、分かったわ」
モッフの指示に皆家庭科室から少し離れた位置へと移動する。移動した後、34号と9号は扉に手をかける。そしてアイコンタクトで合図を出して、一気に扉を開け中へと突入する。
ぼひゅぼひゅと激しく動く音が鳴り響き暫くして9号が出てくる。
【安全を確認した。中に入っても構わない】
そう伝えられ、皆中へと入る。中は特に荒らされているといった形跡はなかった。
「荒らされてないとすると、なんで入ったんだろ?」
「……まさか!」
セレスは慌てた様子で冷蔵庫の方へと向かう。その姿で犯人が侵入した目的を理解した料理研究部と1組の生徒達。
冷蔵庫の前に来たセレスはすぐさま冷蔵庫の扉を開ける。すると中には朝入れたサンドイッチなどが入っていた。神崎達も自分たちの料理が入った冷蔵庫を開ける。こちらも同様におにぎりなどはしっかりと入っていた。
「どうやら無事みたいだったわね」
「こっちの料理もじゃ。無くなっておらん」
安堵しながら料理を冷蔵庫から出していく。
すると1組の生徒の一人が疑問を口にする。
「じゃあなんで侵入者は入ってきたんだろう?」
「…まさか、料理に何か仕込んだとか?」
そう言うとえっ!?と驚愕の表情を浮かべる面々。するとモッフが近づいてきて料理を凝視する。
しばしの沈黙の後、モッフ11号がプラカードを出す。
【料理に細工された形跡はない】
そう見せられ安堵した表情を浮かべる生徒達。だが
【しかし、料理の数が朝に比べて減っている。恐らく侵入者が食って行った可能性がある】
「「「「「「えっ!?」」」」」」」
11号の言葉に全員驚きの声を上げる。そして神崎2年生が慌てた様子で数を数える。
「…本当じゃ。幾つか消えとる」
「私も数えましたが、やはり消えてますわ」
神崎達のが食べられていることに不安を覚えたセレス達のサンドイッチの数を数える。
「こっちも食べられているわ」
「まったくいったい誰が盗んだのよ!」
アメリアはそう怒りの表情を浮かべながら言葉を吐き出す。
「デザートの方は?」
「こちらもケーキとか数個ほど消えてます」
「そう。「あれ? あれ?」ん? 織斑君どうしたの?」
ニコラスの報告に眉間にしわを寄せていたセレス。しかし一夏が慌てた様子で冷蔵庫の中を何回も見返す姿に声をかける。
「な、無いんです」
「ケーキなら確かに「そ、それじゃあないんです。先生達に渡すお菓子の入った箱が一つないんです」え? まさかそれも盗られたの?」
一夏の報告にセレスも確認するため冷蔵庫を確認する。だが、一夏の言う通り冷蔵庫の中には箱がいくつかあったが、シールが張られた箱は3つあったのが2つになっていた。
「犯人の人、お土産と言わんばかりに持って行っていたのかしら?」
稲葉が怒ったような表情を浮かべながらそうつぶやく。そんな中、一夏はと言うと
「……グスッ」
と涙を流し始めていた。
「あ、イッチー!」
一夏が泣いてしまったことに気付いた本音は慌てて一夏の傍に行き慰める。
「お、おねえ、ちゃんに、お姉ちゃんに渡す、箱、盗られた」
一夏がそう零すと、セレス達料理研究部はどういうことかすぐに察した。
「そっか。シールごとに先生に渡す奴が違っていたんだ」
「なるほど、包丁は幸平先生で、眼鏡が山田先生。で、雪の結晶が織斑先生って事か」
そう言い冷蔵庫の中を再度確認する。冷蔵庫の中には眼鏡と包丁のシールが張った箱しか残っておらず、雪の結晶のシールが張った箱はなかった。
その後セレス達はこの状況をどうするかで話し合いを始めた。
「それじゃあ私と紀子は職員室に行ってこのことを報告しに行ってくるわ。それまでみんなここで待ってて」
そう言いセレスと稲葉は家庭科室から出ていき、残った者たちは不安そうな表情を浮かべる。部屋の隅の席ではまだ悲しみで涙を流す一夏が居り、傍には本音とモッフ達が居て励まし続けていた。
そんな一夏の姿に1組の生徒達は怒りの表情を浮かべていた。
「本当に一体誰よ。織斑君や料理研究部の人達が一生懸命作った料理を盗み食いした人は」
「……まさか、あの生徒会長とか?」
「でも鍵がかかっていたんだよ? どうやってカギを開けたのさ?」
「そりゃあ合鍵とか使って…」
「それだったらカギ閉めてくでしょ」
「確かに…。はぁ~、じゃあいったい誰が犯人なのよ。最有力はあの生徒会長だけど、証拠がないから問い詰められないし」
そう零し、苦渋に満ちた顔を浮かべる生徒達。するとドタドタと走ってくる音が鳴り響く。そして扉が勢いよく開く。
現れたのは
「い、一夏!」
と慌てた表情を浮かべた千冬であった。千冬はすぐに一夏の傍に近寄る。
「大丈夫か、一夏?」
「お、お姉ちゃん。ご、ごめん。お姉ちゃんに、渡す、ケーキを、盗られたぁ」
「大丈夫だぞ一夏。お姉ちゃんが絶対に取り返してやるからな!」
そう宣言する千冬。
その後幸平と真耶達教師と、報告に行っていたセレス達が戻ってきた。そしてセレス達は現状わかっていることを再度幸平達に説明した。
「――という事です」
「なるほどね。それにしてもいったい誰が侵入したのかしら?」
「そうですね。此処の部屋の鍵はたしか…」
「一つは部長であるセレスさんが。もう一つは職員室に。そしてスペアキーは学園長が持ってるわ」
「そうですよね。そうなると、一体どうやって部屋に入ったんでしょう?」
真耶は首をかしげながら頭をひねる。すると、カギの所在を聞いたモッフ9号は家庭科室から出て扉の鍵穴を確認する。しばし見つめた後、千冬たちの方にプラカードを見せる。
【鍵穴付近に真新しい傷がある。恐らくピッキングをしたんだろう】
9号の説明に教師たちや生徒達は驚いた表情を浮かべる。
「ピッキングって、誰かがカギをこじ開けたって事ですか?」
【肯定だ。それと素人ではない。恐らくプロだと思われる】
「プロって、そんな芸当ができる人ってかなり限られるわよ」
9号の説明に考えられる生徒を考える幸平と真耶。すると1組の生徒の一人が口を開く。
「先生、やっぱりあの会長じゃないんですか?」
「……会長って、更識さんの事?」
「はい! あの人、生徒会長って立場ですし、それなりの腕とか持ってるはずです!」
「その可能性はあるかもしれないわ。でも、証拠が無いわ。だから問い詰められないわ」
幸平の説明に1組の生徒達は悔しそうな顔を浮かべる。
すると涙を流していた一夏は椅子から立ち上がる。
「イッチー?」
「ちょっと、トイレに、行ってきます」
そう言いながら肩を落としながら家庭科室から出ていく一夏。その後をモッフ達もついていった。
悲しい表情を浮かべた一夏を見た本音は、暫く悲しい表情で扉を見つめた後、何かを決意したのか真剣な表情を浮かべる。
そして本音はさっそくとばかりにスマホを取り出し電話帳に登録されている姉の番号を呼び出し、電話をかける。
しばしコール音が鳴り響いた後
『もしもし、どうかしたの本音?』
と虚が出た。
「お姉ちゃん、あのね―――」
本音は虚に電話をかけた理由を言う。すると虚は呆れたのか頭を抱えているのか重い溜息が吐かれる音が電話越しに流れた。
『本音の説明だとお嬢様の可能性は高いわね。でも証拠が無いんでしょ?』
「うん。それでお姉ちゃんに調べてほしいなと思って」
『それは構わないけど、盗んだ証拠って分かるものはある?』
「お菓子の箱を盗んだって言ったじゃん。あれにね、雪の結晶のシールが貼ってるらしいの」
『なるほど。決定打には難しいけど、少し調べてみるわ。それじゃあ「あ、まってお姉ちゃん」なに?』
「このままビデオ通話にしてほしいの」
『…確かにそっちの方が確認しやすいわよね。わかった、ちょっと待って』
そう言いしばし暫くすると本音のスマホの画面に虚の顔が映る。
『映ってる?』
「うん、映ってるよ」
『それじゃあ生徒会室に向かうわね』
そう言い虚はスマホを制服の胸ポケットに入れたのか、映像が廊下を映し、上下に動きながら進んでいく。
そして本音は一緒に確認してもらおうと近くにいた千冬に声をかける。
「あの織斑先生」
「どうした布仏?」
「会長が盗んだかどうか調べてほしいってお姉ちゃんに今頼んで、ビデオ通話で繋いでいるんです」
その言葉に千冬は真剣な表情を浮かべ、本音の傍へと近寄り本音の手元にあるスマホをのぞき込む。
映像は丁度生徒会室へと入ろうとしているところだった。
そして虚が扉を開け中へと入る。部屋の奥には楯無が椅子に座って苦しそうな表情浮かべながらおなかをさすっていた。
『どうかされたんですか、会長?』
『いやぁ~、ちょっとお昼食べ過ぎちゃってね。虚ちゃん、お水と胃腸薬とって頂戴ぃ』
『はぁ~、食べ過ぎると太りますよ』
そう自然を装いながら水と薬を取りに行く虚。
「更識の奴、普段から腹一杯に食べていたか?」
「いえ、動きやすいようにとある程度抑えてるはずです」
千冬の言葉に本音はそう返す。そして虚が部屋に備えられている冷蔵庫を開ける。すると冷蔵庫の棚にお菓子箱が置かれていた。
「「あっ、あった!」」
本音と千冬ははもりながらそう言うと、他の生徒達は驚き千冬たちの方へと近づく。そして2人の手元にあるスマホを覗き込む。
「あれ、スマホに映っている箱って!」
「うん、間違いない。織斑君が用意したお菓子箱や」
「これって、何処の映像なんですか?」
生徒達の質問に千冬が口を開く。
「……生徒会室だ」
その言葉に生徒達は驚いた表情を浮かべた後、怒りの表情へと変わる。
「やっぱりあの生徒会長が!」
「ふざけたことをしおって!」
「お仕置きが必要そうですわね」
料理研究部や1組の生徒達は怒りの表情を浮かべるも、幸平が口を開く。
「ちょっとみんな落ち着きなさい。まだこれが織斑君のと言う確証が無いわ」
そう落ち着かせる幸平。
虚も箱に気付いたのか、箱をそっと動かす。すると箱には雪の結晶のシールが貼られていた。
「雪の結晶のシール! もうこれ確定ですよ!」
「そうです! 今すぐ生徒会室に乗り込みましょう!」
1組の生徒達が過激な発言をするも
「そうかもしれないけど、もしこれがお店で買って貼られたシールだって言われたら?」
幸平がそう言うと、虚も同じ質問を楯無に投げる。
『会長、この箱は何ですか?』
『あ、それ? この前美味しいって評判のお店で買ったのよ』
『…そうですか』
「ほらね。これだと織斑君のと言う証拠は難しいわ。決定的なものが無いと」
幸平の説明に1組と料理研究部の面々は苦い顔を浮かべる。
すると虚があるもの気付く。
それは箱の隅からはみ出ているものだった。虚はそっとはみ出ているものを引っ張り出す。
「これはメッセージカード?」
「そうみたいね。織斑君が入れておいたのかしら?」
そう言っている間にも虚がカードを裏返す。其処には
[お姉ちゃんへ
お仕事頑張ってね
一夏より]
と書かれていた。
「これって」
「織斑君の直筆のメッセージカード」
「それじゃあこれは…」
生徒の一人がその先の言葉を言う前に千冬が猛ダッシュで家庭科室から飛び出していった。
生徒会室に向かう道中千冬は携帯を取り出し
「フモッフか? 部隊全員集めろ! 盗みを働いた生徒会長を捕縛する! 抵抗してきた場合は、殺さない程度で痛めつけても構わん! 全戦力を動かせ!」
大声で叫びながら千冬は生徒会室にいる盗人をぶち殺すと言わんばかりの迫力で向かって行った。
次回予告
盗みを働いたことがばれた楯無。
彼女を捕縛(ギッタンギッタンのボッコボコにした後)すべくフモッフは新たに作られた部隊などを導入した。
さてさて、彼女は無事生きて帰ってくることは出来るのだろうか?
次回
戦場になる学園~後編~
千冬「さぁ、貴様の罪を数えろぉ、更識ぃ!」
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS