アリーナで楯無を〆終えた千冬は体に付いた土埃などを払い落とし家庭科室へと戻ってきた。
家庭科室内では
「うわぁ~、このサンドイッチ美味しぃ!」
「このパンケーキもふわふわで美味しいよ!」
「シンプルな塩むすびもいいけど、ツナとかおかかのおにぎりも美味しい」
「だね。それにこのお味噌汁もワカメと麩のシンプルなものだけど体に染み渡って美味しい」
「うどんもそばも熱々で美味しいね」
「このデザート美味しい!」
「うんうん。やっぱり甘いものは格別だねぇ」
と料理研究部が作った料理を笑顔で食べる1組の生徒達。その中には
「イッチー、このシフォンケーキすごくおいしいよぉ!」
「そ、そうですか? 砂糖控えめで作った物なので、美味しくできてるか心配だったんですが、美味しかったら良かったです」
「そうなの? 砂糖控えめは女性としてはありがたいわね」
お菓子の箱を盗まれて悲しんでいた一夏は、少し元気を取り戻していて本音と相川たちと共に料理を食べていた。
その姿に千冬は安堵した表情を浮かべる。するとその傍に虚が近寄る。
「織斑先生、会長は?」
「しばき倒してきた。今は独居房に放り込んでいる」
「そうですか。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
「お前が気にするな。奴の自業自得だ」
そう言う千冬。すると虚は持っていた箱を千冬の前に差し出す。
「それと、これをお返しします。中身は食べられている感じはありませんでした」
「そうか。すまんな」
そう言いながら千冬は虚から箱を受け取る。それは一夏が千冬の為に作った持ち帰り用のお菓子箱だった。
「さぁ、重い話は終わりだ。お前も一緒に試食会に参加するぞ」
「え? わ、私もですか? お邪魔なような気が…」
「アイツの所為で気疲れしてるだろ。旨いものを食べて、気を休めるのも仕事だ」
笑みを浮かべながらいう千冬。すると話を聞いていたのか、他の生徒達も笑みを浮かべながら口を開く。
「布仏先輩もどうぞどうぞ!」
「あの生徒会長の所為でお疲れでしょうし、一緒に食べましょう?」
「織斑君の向かいのところが空いてるので、其処にどうぞ」
「…では、お言葉に甘えて」
そう言い千冬と共に一夏と本音がいる席へと着き、共に試食会に参加するのであった。
こうしてIS学園でのお菓子盗難事件は無事に解決できた。
めでたしめでたし
……と、学園内では解決となった。
が、この人の中では未だに解決とは至っていなかった。
首都から離れ、郊外に建てられた大きな庭付き日本家屋の家。其処の表札には『更識』と書かれていた。そう、此処は楯無と簪の実家であった。
その建物の縁側で椅子に座りながら本を読む初老の男性。男性は持っていた本をゆったりとページをめくりながら眺めていると、突如口を開く。
「何か用か?」
そう声をかけると傍に一人の男性が立っており、手には電話があった。
「源三郎様にお話ししたいと電話がかかってきてまして」
「…わし宛に? 相手は?」
「それが、名を名乗らないのです」
「…なに? だったら切ればよかったじゃないのか?」
「そうなのですが、マザーと伝えたら分かるとも言われまして」
そう言われ源三郎は目を見開く。
「分かった。電話を」
そう言われ使用人は困惑しながら電話を差し出す。受け取った源三郎は手で下がれと合図し、使用人を下がらせる。人の気配が無くなったことを確認した源三郎は電話の保留を解除する。
「…もしもし」
『あら、出るのに随分と時間がかかりましたね』
と電話の先から女性の声が聞こえてくる。その声には怒りが含まれているのか、若干棘があるようなものだった。
「済まない、相手が貴女とは知らなかったもので」
『そう。まぁいいわ、貴方も今は隠居した身ですもの』
「それで、マザー。貴女が私に電話とは珍しいが、一体どのような要件だ? さっき貴女が言った通り、私は既に隠居した身で、今は私の娘が暗部の長だ」
そう告げる源三郎。そう、この人物の正体。それは日本をテロから守る暗部、つまりカウンターテロ組織の一つ、更識家の元長だった。そして楯無と簪の父親でもあった。
『えぇ、知ってます。だからこそ貴方に電話をかけたのよ』
「? どういうことです?」
マザーの言葉に源三郎は首をかしげる。
マザーは続けるように言葉を発する。
『IS学園に通っている世界初の男性操縦者、彼は私の息子なの』
「は? ……えっ、ま、待ってほしい。彼は貴女の息子!? という事は…」
『えぇ、その姉である千冬も、私の娘よ』
その言葉に源三郎は呆然と言った表情を浮かべるが、其処は元暗部の長。すぐに気持ちを切り替える。
「そ、そうですか。しかし何故そのことを私に?」
『決まっているじゃない。貴方のところの長女が、私の大事な息子に迷惑かけているから、その抗議の電話よ』
先ほど打って変わって怒りが更に含まれた口調で告げるマザーに源三郎は頬にたらりと汗が流れる。
『源三郎さん。貴方は仕事もできるし、うちの組織も色々と助かっていたわ。でも、貴方の娘が長になってから好き放題しているみたいじゃない。暗部だけじゃないわ。IS学園内でも色々とやらかしているみたいじゃない』
そう言われ源三郎はどいう事だと聞こうとしたところ書斎にあるパソコンからピコンと通知音が鳴り響く。
『今証拠の資料を送ったから見てみるといいわ』
そう言われ源三郎は席を立ち、書斎のパソコンを覗く。其処にはメールが一件届いており、源三郎はそれを開く。中にはPDFが入っておりそれを開くと其処には楯無がIS学園内でやらかした数々の事が書かれていた。
(IS学園の行事内容の変更、部費の私的分配、建物内の無許可侵入に、こ、これは!?)
ある一点に源三郎は目を見開く。
『見たかしら?』
「え、えぇ。まさか、楯無の奴、勝手に部屋に侵入して
『みたいね。しかも主に大企業や、国家代表だったり、国家代表に近い代表候補生の部屋。ばれたら国際問題待ったなしね。でもね…』
マザーは其処でいったん言葉を区切る。そして
『こんな問題よりも、お宅の娘が私の大事な可愛い息子に迷惑かけたことの方が大問題なのよ!』
怒鳴り声で告げられ源三郎は何とも言えない表情を浮かべる。
「それは、大変申し訳ない」
『謝罪じゃなくて、今後どうするのかを聞きたいんだけど』
「学園にいる以上、私からどうするかは『そう。それが貴方の答えなのね』ま、待ってていただきたい。娘にはもう迷惑をかけるようなことはするなと釘を刺します。だからどうか、待っていただきたい!」
『…良いわ。でも仏の顔も三度までよ。もうお宅の娘は三度私を腹立たせている。また息子に迷惑をかけるようなことをしたら、分かっているわよね?』
電話越しでも感じられるほどの殺気に、源三郎は暑くもないにも関わらず全身に汗を流す。
「も、もちろんです。しっかり言い聞かせておきます」
『……良いわ。その言葉、信じておくから』
そう言って電話が切られた。書斎にいた源三郎は額に溜まった汗をぬぐいながら座布団へと座り込む。
「はぁ~、まさかこんな事態に陥るとはな」
そう零しながらパソコンに書かれている証拠のPDFに目をやる。
「……しかし、一体どうやって此処までの証拠を集めたんだ? …やはり学園内にも彼女の部下がいるのだろうか」
そう零す源三郎。しかしその疑問もさっさと頭の片隅に追いやり、兎に角娘の問題を解決せねばと動くのであった。
次回予告
学園祭開始までもうすぐと言ったある日の事。
五反田弾は息抜きがてらとレゾナンスに来ていた。すると其処で一夏と出会ってしまう。
次回
引きずっていた後悔
「俺は、お前の友達と呼べるのか?」
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS