女性恐怖症の一夏君   作:のんびり日和

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62話

 

「はぁ」

 

ベンチに座りながら重い溜息を吐く弾。彼はぼぉーとした表情で目の前で行きかう人々を眺めていた。

彼が何故こんな状態になったかと言うと、時間は数時間前まで遡る。

 

~数時間前~

 

自宅兼食堂となっている弾の家では今日は定休日だったため昼食をとるため家の居間にて一家が集まっていた。

机に並べられた料理を食べながら4人は黙々と食べていた。すると蘭が口を開く。

 

「ねぇお兄」

 

「なんだ?」

 

「その、鈴さんと最近連絡しあった?」

 

「鈴と? いや、7月の頭ぐらいに電話で会話してそれ以来は全然してないぞ」

 

「お兄から連絡してないの?」

 

「偶にな。けど、この前電話かけたがつながらなかったな」

 

そう言いながらご飯を食べる弾。

 

「てか、なんでまた急に鈴の話をしたんだ?」

 

そう言うと蘭は少し言いにくそうな顔を浮かべ、目線をそらしながら口を開く。

 

「その、もうすぐIS学園で学園祭が行われるの。で、基本一般人は入れないんだけど、その日だけは生徒が招待状を送れば家族とか友人を学園に招くことが出来るらしいの」

 

そう言いながら蘭は持ってきていたのだろうか弾に紙を手渡す。其処にはIS学園の行事などが書かれており、其処に学園祭の事も書かれていた。

 

「ふぅ~ん。それで、鈴に頼んでそのチケットを送ってもらおうとしたわけか」

 

「うん。でも鈴さんと連絡が取れなくて…」

 

「そうか。まぁ、あいつもその学園祭の準備とかで忙しいんだろ」

 

「そ、そうかもしれないけど、いくなんでも繋がらなすぎるんだもん!」

 

蘭の言葉に弾ははぁ~と溜息を吐く。

 

「確かアイツ、国家代表候補生だったっけ? それ関連の事もやりながらだからじゃないのか?」

 

「でも、夜に電話をかけたりしても繋がらないんだよ! このままじゃ学園祭に行けないよ!」

 

「別に行かないと受験に受からないとかそう言うもんじゃないだろ。今回は縁がなかったという事で我慢しておけよ」

 

そう言いながら弾は食べ終えて手を合わせた後、自分が使った食器を片付け始める。すると光莉が口を開く。

 

「そうだ、一夏君は? 確か一夏君もIS学園に通っているんでしょ? だったら一夏君に頼めばいいじゃないの?」

 

光莉がそう提案すると蘭は目をか輝かせてそう手があったといった表情を浮かべる。だが弾は違った。

 

「……母ちゃん、何言ってるんだ?」

 

弾は呆れたような冷めたような目を浮かべながら光莉を見つめる。

弾の目線に光莉は慌てたように訳を話す。

 

「ほ、ほら一夏君のお姉さんはIS学園で教師をしているし、弾達が連絡したら招待状を送ってくれるかもしれないじゃない」

 

訳を話し終える光莉。しかし弾、そして厳は良い表情を浮かべていなかった。

 

「光莉さん、それは止めておいた方が良いんじゃねぇか?」

 

「ど、どうしてですか?」

 

「……蘭、お前さんチケットをもらったら一坊のところ行く気だろ?」

 

そう言われ蘭は肩を跳ね上げる。

 

「一坊がIS学園に通い始めて半年くらいたっているから大丈夫だと思って会いに行こうと思ってるんだろ?」

 

厳の言葉に蘭は俯き、しばしの沈黙の後頷く。

 

「半年経ったとはいえ、まだ一坊が完全に治ったわけじゃねぇだろ。今一坊がどういう状況か分からねぇから下手に会うのは不味いだろ」

 

「そ、そうですね。会ってもし症状が悪くなったりしたら不味いわよね」

 

そう言い光莉も先ほどの発言は不味かったと思いだす。

 

「そう言う訳だ蘭。招待状は鈴ちゃんからもらえるようにしな。但し、もらえたとしても一坊には会いに行くのはダメだからな」

 

そう言い厳は湯呑に入ったお茶を飲み始める。

その後暗い雰囲気の中、昼食を終えた弾達はそれぞれ部屋に戻って行ったりした。そして弾は陰鬱としてた気分を変えたくレゾナンスに来たのだった。

 

「俺も正直に言って学園祭にはいきたい。だが、俺がアイツに頼める立場じゃねぇしな」

 

そう零しながら陰鬱な気分を晴らそうとするも、全然そんな気にならなかった。

弾の心の中では未だにあの時の出来事が引きずっていたのだ。

ぼぉーと目の前の光景を眺め続ける弾。すると視界の端に見知った人物が店から出てくるのが映る。

 

「34号さん荷物もってくださって、ありがとうございます」

 

「ふもふもぉ」

 

其処には一夏と、大きな袋を持った謎の黄色い着ぐるみがいた。何故ここにと疑問符を浮かべる弾。すると一夏が弾に気付いたのか、着ぐるみと一緒に弾のもとに近づく。

 

「弾君久しぶり」

 

「お、おぅ。お前、こんなところに居て大丈夫なのか?」

 

「うん、モッフさん達が護衛に来てくれてるから大丈夫」

 

そう言うと弾は、モッフさん?と首をかしげるも周りにいた着ぐるみたちの事かとすぐに納得がいく。

 

「そ、そうか。ところで買い物か?」

 

「うん、もうすぐ学園祭あるからその準備の物を買いに来てたんだ」

 

一夏の口から出た学園祭と言う言葉に弾はそ、そうか。と言い顔を引きつかせる。

すると一夏は何かを思い出したのか口を開く。

 

「あ、そうだ。さっきも言ったけどもうすぐ学園祭があるんだ。だからもし時間があったら招待状送るから来ない?」

 

笑みを浮かべながら聞いてくる一夏に弾は驚いた表情を浮かべる。

 

「な、なんで…」

 

「え?」

 

「なんで、そんな笑顔で俺に話しかけてくれるんだよ…」

 

弾はずっと心にせき止めていた思いが決壊したのか、悲痛な顔を浮かべながら吐き出していく。

 

「俺が、俺があの時、お前を俺の部屋に招かなかったら、お前の症状は酷くならなかったかもしれないのに。なんで、なんでお前は俺に笑顔を向けてくれるんだよ」

 

弾の言葉に一夏は呆然と言った表情を浮かべ、しばしの沈黙が流れた。そして一夏が口を開く。

 

「あの時は、その、事故だったし、それに弾君が悪い訳じゃないから気にしなくていいよ」

 

「だが、それでも、俺がもっと注意していたら!」

 

「あれは誰にも予想できないよ。それに、あの後僕別に症状が悪くなったとかそんなことはなかったから、大丈夫だったよ」

 

「けどよぉ!」

 

一夏が大丈夫と言っても、納得できずにいる弾。すると一夏は、何かに気付いたのか突如悲しそうな表情を浮かべ始めた。

 

「……弾君は、もしかして僕があの事件で弾君の事嫌ってると思ってるの?」

 

そう言われ弾は肩をビクッと跳ね上げ、暫くした後黙ったまま頷く。

 

「今大丈夫だとか何とか言ってるのは、俺に責任を感じてほしくない一夏の優しさじゃないのか? 本当は俺とは会いたくないとか思ってるんじゃいのか?」

 

そう吐きだす弾。それに対して一夏は

 

「そんなことないよ」

 

優しい笑みを浮かべながら否定した。

その表情に弾は酷く驚いた表情を浮かべる。

 

「だって、会いたくなかったらこうやって弾君に近寄って挨拶しないよ。それに――」

 

 

 

「弾君は、僕にとって大事な親友の一人だもん」

 

一夏が断言するように言った言葉に弾は驚いた表情を浮かべ、そしてボロボロと涙が流し始めた。

 

「えっ!? ぼ、僕なんか変なこと言った?」

 

涙を流し始めた弾に一夏は慌てて自分が失言したのかと思い謝ろうとする。しかし

 

「いや、一夏が悪い訳じゃねぇよ。俺が、ずっと引きずってたのが悪いんだ。けど、一夏のおかげで吹っ切れたわ」

 

そう言い涙をぬぐいながら笑みを浮かべる弾。その表情に一夏は呆然と言った表情を浮かべていたが、すぐにホッと一息吐き、安堵の表情を浮かべた。

 

「そっかぁ。あ、それで招待状はどうしよう?」

 

「あ、あぁ。それじゃあお願いしていいか? あ、それと蘭には一夏に近づかないよう言い聞かせておくからな」

 

「ん? もしかして弾君と蘭ちゃんの二人?」

 

「あぁそうだが、どうした?」

 

「あの、ごめんね弾君。招待できるのは家族は2人まで。友人の場合は1人までしか招待できないんだ」

 

「え? そうなのか?」

 

「うん。学園祭の説明書にもそう書かれてたから間違いないと思うよ」

 

一夏がそう言うと弾はマジかぁ。と驚いた表情を浮かべる。すると、弾の頭にある考えが浮かぶ。

 

(だとすると、俺が一夏から招待状を貰えば、アイツが行くには鈴から貰う方法しかなくなる。万が一の可能性はあるが、少しでも一夏と接触できる可能性は潰しておくか)

 

そう考え着いた弾。そしてすぐに行動に移した。

 

「そうか。それじゃあ取り合えず俺宛に招待状を送っておいてくれないか?」

 

「うん、それは良いけど、蘭ちゃんのは良いの? お姉ちゃんにお願いすれば何とかなると「いや、そこまでしなくていいぞ。千冬さんの手を煩わせたくないしな」そ、そう? でも、蘭ちゃんはどうするの?」

 

「アイツ、鈴に貰うって言ってたから大丈夫だぞ」

 

「え? り、鈴音さんに?」

 

弾の言葉に一夏は驚きと困った表情を浮かべる。そして近くにいたモッフに顔を向けると、モッフ(21号)は首を横に振り、一夏は困った表情を浮かべながら口を開く。

 

「そ、そうなんだ。それじゃあ、そろそろ僕学園に戻るね」

 

「おう! 招待状待ってるわ!」

 

そう言い笑顔を浮かべながら弾。一夏は手を振りながらモッフ達と共にその場を離れていった。

一夏達の姿が見えなくなった後、弾も家に帰るかと思い歩き出す。

 

「そういやさっき一夏驚いた顔を浮かべたが、何だったんだ?」

 

そう疑問を浮かべるも、まっ、いいか。と頭の隅に追いやり、一夏が送ってくれる招待状が来るのを待ち遠しく思うのだった。

 

 

一方で一夏の方はと言うと

 

「21号さん、やっぱりあの事話しちゃダメなんですよね?」

 

あの事。そう、読者の皆さんもご存知の通り、問題ばかり起こした原作ヒロイン(一期)達は全員隔離校舎に放り込まれているのだ。

 

【はい。重大な内容ですので、おいそれとしゃべってはいけない事だと判断されます】

 

「…そ、そうですよね」

 

そう言って一夏はモッフ達ともに学園へと帰っていった。




次回予告
遂に学園祭当日。
一夏達1組と料理研究部のタッグで開かれるコスプレ喫茶店。
無事に学園祭終了まで行けるのか?

次回
学園祭、はっじまっるよぉ~~~~~!!

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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